税理士法 第1条(税理士の使命)
クイックジャンプ
税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。
この条文の基本情報
税理士の使命とは何ですか?
定義税理士の使命とは、税理士法第1条に定められた規定で、「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 税理士法第1条(税理士の使命)は、日本の税理士法に含まれる条文です。
- 税理士法第1条の条文原文は「税理士は、税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念にそつて、納税義務者の信頼にこたえ、租税に関する法令に規定された納税義務の適正…」で始まります。
- 税理士法第1条は第一章 総則に置かれています。
- 税理士法の公布日は昭和26年6月15日です。
- 税理士法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 税理士法第1条の次の条は税理士法第2条です。
- 税理士法第1条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第1条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326AC1000000237 - 本サイト収録
税理士法(昭和二十六年法律第二百三十七号)第1条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/326AC1000000237/1
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点税理士法1条は、税理士が税務の専門家として独立した公正な立場で、納税義務者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現を図ることを使命とすると定める。
Q · 税理士って、顧問料を払っている依頼人の味方じゃないの?
依頼人の味方でも税務署の手先でもなく、独立した公正な立場の専門家です
税理士法1条は、税理士の使命を「独立した公正な立場」で「納税義務者の信頼にこたえ」つつ「納税義務の適正な実現を図る」ことと定めています。そのため、使える特例や控除は漏らさず適用する一方、売上除外や架空経費といった脱税への協力はできません(36条、違反すれば45条で懲戒)。ただし税務署へ通報する義務はなく、守秘義務(38条)を負います。依頼人が不正をしていると知った場合に課されるのは、是正を助言する義務(41条の3)です。
解説
顧問料を払っている以上、税理士は自分の味方だ。多くの経営者や個人事業主はそう信じている。ところが税理士法第1条は、税理士の立ち位置を「独立した公正な立場」と定めている。依頼人の味方とも、税務署の手先とも書いていない。使命として並んでいるのは二つで、一つは納税義務者の信頼にこたえること、もう一つは納税義務の適正な実現を図ることである。この二つが同じ一文に入っている点に意味がある。税理士は、あなたが受けられる特例や控除を一つも漏らさない義務を負う。その一方で、売上の除外や架空経費には手を貸せない(36条で脱税相談等は禁止、違反すれば45条の懲戒)。ここで知っておくべきことがある。税理士は不正に気づいても税務署へ通報する義務を負わない。課されているのは、あなたに是正を助言する義務(41条の3)と、秘密を守る義務(38条)である。つまり、隠しごとをせずに全部話した依頼人ほど、税理士の力を最大限に引き出せる仕組みになっている。
法的な位置づけ
税理士法1条は税理士の使命を定める規定である。税理士は税務に関する専門家として、独立した公正な立場において、申告納税制度の理念に沿い、納税義務者の信頼にこたえるとともに、租税法令に規定された納税義務の適正な実現を図ることを使命とする。脱税相談の禁止(36条)や是正助言義務(41条の3)など、個別の義務規定の解釈の基礎となる。
よくある質問 AI による整理
Q1税理士の使命とは?
税理士法1条が定める、独立した公正な立場で納税者の信頼にこたえ、納税義務の適正な実現を図るという使命です。依頼人の利益だけを追う代理人ではありません。
Q2税理士の独立した公正な立場とはどういう意味?
依頼人にも税務当局にも従属しないという意味です。依頼人に有利な主張はしますが、その主張は租税法令が認める範囲の内側に限られます。
Q3税理士は脱税を見つけたら税務署に通報する?
通報義務はありません。依頼人の不正を知った場合は是正を助言する義務(41条の3)を負い、同時に守秘義務(38条)も負っています。
Q4税理士に脱税を頼んだらどうなる?
税理士は断らなければなりません。脱税の相談や指示に応じれば36条違反となり、45条により業務停止や業務禁止の懲戒を受けるおそれがあります。
Q5税理士の使命と弁護士の使命の違いは?
弁護士法1条の使命は基本的人権の擁護と社会正義の実現です。税理士法1条は、納税義務の適正な実現を正面から使命に掲げている点で異なります。
Q6税理士法1条に違反すると罰則はある?
1条そのものに直接の罰則はありません。ただし、使命を具体化した36条や41条の3などに違反すれば、懲戒処分の対象になりえます。
Q7税理士の使命は昭和55年にどう変わった?
昭和55年改正で「中正な立場」が「独立した公正な立場」に改められました。あわせて「税務に関する専門家として」「申告納税制度の理念にそつて」が加わりました。
Q8申告納税制度と税理士の関係は?
申告納税制度は、納税者が自ら税額を計算して申告する仕組みです(国税通則法16条)。税理士はその申告の適正さを専門家として支える役割を担います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1売上をちょっと抜けないか聞いたら、税理士に断られました。顧問料払ってるのに?
断るのが正しい対応である。税理士法1条は適正な納税の実現を使命としており、36条は脱税の相談や指示を禁じている。違反した税理士には業務停止や業務禁止の懲戒(45条)がありうる。実務のポイント:税理士には税務署へ通報する義務はなく、守秘義務(38条)を負っている。だから正直に全部話したほうが、合法的に取れる控除を最大限に探してもらえる
Q2税理士のミスで払うことになった加算税、税理士に払ってもらえますか?
顧問契約は委任契約にあたるので、税理士が善管注意義務(民法644条:プロとして当然払うべき注意)に違反していれば、損害賠償を請求できる。ただし、本来納めるべきだった本税は原則として損害にならない。実務のポイント:税理士職業賠償責任保険の事故は、消費税の届出書の出し忘れが典型例とされる。契約時に「届出期限を誰が管理するか」を書面で決めておくと、後で揉めにくい
Q3友達の確定申告、タダで作ってあげるのもダメなんですか?
他人のために税務書類を作成したり、個別の税額について相談に乗ったりする行為は、無償であっても税理士でない者には禁止されている(税理士法52条)。違反には刑事罰がある(59条、最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:国税庁の公表資料を見せる、一般的な制度を説明するといった行為と、本人に代わって数字を入れて書類を作る行為の間に線が引かれる。手伝うなら、入力の手を動かすのは本人にしてもらう
間違えやすい点 AI による整理
- 税理士は弁護士と同じように依頼人の利益を最大化する代理人だ、と思われがちである。実際には、弁護士法1条が掲げる使命(基本的人権の擁護と社会正義の実現)とも異なり、税理士法1条は「納税義務の適正な実現」を正面から使命に据えている。依頼人に有利な主張はするが、その範囲は適正な納税という枠の内側に限られる
- 使命条項は飾りの理念規定だと受け流している人が多い。しかし、税理士の専門家としての注意義務の高さを論じる場面で、この条文が引き合いに出されることがある。懲戒処分の判断や損害賠償訴訟でも同様である。理念として掲げられた「専門家として」の一語が、現実の責任の水準を押し上げている
- 「一番節税してくれる税理士は誰か」という問いの立て方そのものがずれている。法が税理士に求めているのは、取れる特例を一つも漏らさない精度と、税務調査で不当な指摘を押し返す専門性である。節税額の大きさを売りにする税理士ほど、のちに否認されるリスクをあなたに背負わせている可能性がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性格 | 税理士法1条:使命を定める理念規定 | 税理士法36条:脱税相談等を禁じる行為規範 税理士法41条の3:不正を知ったときの助言義務 |
| 依頼人の不正に対する立ち位置 | 独立した公正な立場で、適正な納税の実現を図る | 不正な申告・脱税の指示や相談に応じてはならない 是正の措置を講ずるよう助言しなければならない |
| 違反した場合の効果 | 直接の罰則なし(各義務規定の解釈の基礎になる) | 45条による業務停止・業務禁止の懲戒 46条による一般の懲戒の対象 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾には日本の税理士に完全に対応する独占資格がなく、記帳士・会計師などが税務代理を担う。使命条項の明文は置かれていない
韓国の税務士法は、公共性を持つ税務専門家として納税者の権益保護と誠実な納税義務の履行を使命に掲げ、日本と同じ二面構造をとる
ドイツは使命条項ではなく一般的職業義務として独立性・自己責任・誠実・守秘を定め、Steuerberater の行為規範とする
米国は内国歳入庁(IRS)の前で業務を行う者の行為規範を財務省規則で定め、誠実義務や不正への助言義務を課している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 決算直前、顧問税理士に「現金売上の一部を計上しないでおけないか」と持ちかけたところ、きっぱり断られた。顧問料を払っているのに、と腹が立つかもしれない。しかし税理士がこれに応じれば、業務停止や業務禁止の懲戒を受けるおそれがある。断った税理士のほうが、使命に従って動いたことになる
- 顧問税理士が消費税の簡易課税制度選択届出書を期限までに出し忘れ、本則課税で数百万円多く納めることになったら、責任は誰が負うのか? 税務に関する専門家として委任を受けた以上、届出の管理は税理士の注意義務の範囲に入るのが一般的である。差額は損害賠償の対象になりうる
- あなたは数字に強いという理由で、副業をしている友人の確定申告書を無料で作ってあげた。善意でやったことでも、税理士でない者が他人の税務書類を作成する行為は、無償であっても税理士法52条に触れる
- 税務調査で修正申告を勧められた。期限は今週金曜日だ。担当調査官の指摘に納得できないまま署名しようとしている。修正申告は納税者自身が行う申告なので、出したあとで不服申立てによって争うことはできない。その前に、顧問税理士が独立した専門家として指摘の当否を検討したかどうかを確かめる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 税理士のミスが疑われたら、まず委任契約書、メール、申告書の控え、届出書の提出記録を手元に確保する2. 損害を分けて整理する。本来納めるべき本税は原則として損害にならず、加算税、延滞税、特例を適用し損ねたことによる差額などが中心になる3. 書面で説明を求め、あわせて税理士職業賠償責任保険への事故報告を依頼する4. 対応が不誠実な場合は、所属する税理士会への相談や、国税庁に懲戒処分を求める申出を検討する
訴えられた側:1. 税理士として依頼人の不正を知ったら、直ちに是正を助言する(41条の3)。助言した日時と内容は記録に残す2. 依頼人が是正を拒んだ場合は、脱税相談等の禁止(36条)に触れないよう、受任を継続するかどうかを判断する。守秘義務(38条)があるため、通報する義務はない3. 依頼人から損害賠償を請求されたら、届出の管理について依頼人側の情報提供が遅れていなかったかを確認し、過失相殺を主張できる事情がないか整理する。早い段階で保険会社に報告する
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。税理士の過誤に対する損害賠償請求は、一般の消滅時効(民法166条:権利を行使できることを知った時から5年、権利を行使できる時から10年)が適用される。いつから数えるかは、加算税の賦課時点などをめぐって事案ごとに争いがある。払いすぎた税を取り戻す更正の請求は、法定申告期限から原則5年である(国税通則法23条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:1条は直接の法的効果を持たない理念規定だが、36条・41条の3などの義務規定の解釈の基礎になる。税理士に求められる専門家としての注意義務の水準を根拠づける場面でも参照されると解されている
改正沿革 AI による整理
- 昭和55年(1980年)改正 制定当初(昭和26年)の使命規定を改正。「中正な立場」を「独立した公正な立場」に改め、「税務に関する専門家として」「申告納税制度の理念にそつて」の文言を加えて、現行の文言とした
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:税理士法の制定にあわせて使命規定を置いた。当初の文言は税理士の立場を「中正な立場」としていた
- 2.昭和55年(1980年) 改正:「中正な立場」を「独立した公正な立場」に改め、「税務に関する専門家として」「申告納税制度の理念にそつて」の文言を加えて、現行の文言とした
- 税理士法 第2条税務代理・書類作成・相談の業務範囲
- 税理士法 第36条脱税相談等の禁止で使命を具体化
- 税理士法 第41条の3不正を知った際の是正助言義務
- 税理士法 第33条の2書面添付による公正な立場の表明
- 税理士法 第52条税理士業務の無償独占
- 国税通則法 第16条申告納税方式の定義
- 民法 第644条顧問契約上の善管注意義務
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める