出入国管理及び難民認定法 第15条(通過上陸の許可)
クイックジャンプ
- 入国審査官は、船舶に乗つている外国人(乗員を除く。)が、船舶が本邦にある間、臨時観光のため、その船舶が寄港する本邦の他の出入国港でその船舶に帰船するように通過することを希望する場合において、その者につき、その船舶の船長又はその船舶を運航する運送業者の申請があつたときは、当該外国人に対し通過上陸を許可することができる。
- 2.入国審査官は、船舶等に乗つている外国人で、本邦を経由して本邦外の地域に赴こうとするもの(乗員を除く。)が、上陸後三日以内にその入国した出入国港の周辺の他の出入国港から他の船舶等で出国するため、通過することを希望する場合において、その者につき、その船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者の申請があつたときは、当該外国人に対し通過上陸を許可することができる。
- 3.入国審査官は、前二項の許可に係る審査のために必要があると認めるときは、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、電磁的方式によつて個人識別情報を提供させることができる。
- 4.第一項又は第二項の許可を与える場合には、入国審査官は、当該外国人の所持する旅券に通過上陸の許可の証印をしなければならない。
- 5.第一項又は第二項の許可を与える場合には、入国審査官は、法務省令で定めるところにより、当該外国人に対し、上陸期間、通過経路その他必要と認める制限を付することができる。
- 6.第十四条第一項ただし書の規定は、第一項又は第二項の場合に準用する。
この条文の基本情報
通過上陸の許可とは何ですか?
定義通過上陸の許可とは、出入国管理及び難民認定法第15条に定められた規定で、「入国審査官は、船舶に乗つている外国人(乗員を除く。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第15条(通過上陸の許可)は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第15条の条文原文は「入国審査官は、船舶に乗つている外国人(乗員を除く。」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第15条は第四節 上陸の特例に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第15条の前の条は出入国管理及び難民認定法第14条の2です。
- 出入国管理及び難民認定法第15条の次の条は出入国管理及び難民認定法第16条です。
- 出入国管理及び難民認定法第15条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第15条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第15条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/15
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点入管法15条は、クルーズ船の寄港地観光や本邦経由の乗り継ぎのため、船長または運送業者の申請により、入国審査官が外国人の通過上陸を許可できると定める。在留資格は付与されない。
Q · クルーズ船や乗り継ぎで日本に一時上陸するとき、誰が許可を申請するの?
申請するのは本人ではなく船長か運送業者です
入管法15条1項・2項により、通過上陸許可の申請権者は「船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者」です。外国人本人は申請できません。1項は寄港地で臨時観光し別の港で同じ船に戻る場合、2項は上陸後三日以内に周辺の他の出入国港から出国する乗り継ぎの場合です。許可は入国審査官の裁量で、上陸期間や通過経路の制限が付されることがあります(5項)。
解説
クルーズ船で横浜に着いた外国人観光客が、船を離れて東京や箱根を見て回り、神戸で同じ船に戻る。あるいは成田に降り立った乗り継ぎ客が、空港近くのホテルで一泊して羽田から飛び立つ。この二つの場面で、その人たちは「日本に入国」していない。正規の上陸許可も在留資格も持たないまま、法的にはグレーゾーンに立っているように見える。だがそれを合法化しているのが入管法15条の「通過上陸許可」である。あなたが知るべき核心は二つ。第一に、この申請権は外国人本人にはない。船長または運送業者、つまり船会社・航空会社が申請する。本人がいくら「観光したい」と言っても、運送業者が申請しなければ船から降りられない。第二に、2項の通過上陸には「上陸後三日以内」という極めて短い期限があり、しかも入国審査官は上陸期間・通過経路に個別の制限を付けられる(5項)。経路を外れた瞬間、許可条件違反として退去強制の対象になりうる。観光気分で乗った船旅の裏側に、これだけの条件が敷かれている。
法的な位置づけ
通過上陸許可とは、出入国管理及び難民認定法第15条に基づき、船舶等に乗っている外国人(乗員を除く)について、船長または運送業者の申請により、入国審査官が臨時観光または本邦経由の出国のための一時的な上陸を認める特例上陸許可である。在留資格は付与されず、旅券への証印と上陸期間・通過経路等の制限を伴う。
手順
- 1.運送業者に通過上陸の申請予定を確認する 乗船・搭乗の前に、船会社または航空会社へ通過上陸許可を申請する予定があるかをメール等の文書で確認し、回答を保存する。申請権者は本人ではなく運送業者側であるため、ここが出発点になる
- 2.旅程が要件に合うかを点検する 寄港地観光型なら同じ船に別の港で帰船する旅程か、乗り継ぎ型なら上陸後三日以内に入国港周辺の他の出入国港から出国する旅程かを確認する。要件を外れる場合は通常の上陸許可の検討に切り替える
- 3.個人識別情報の提供に備える 入国審査官が必要と認める場合、指紋・顔写真等を電磁的方式で提供させられる(3項)。宗教上・健康上の事情がある同行者は、到着前に運送業者経由で入管への照会を依頼しておく
- 4.証印と制限内容をその場で記録する 許可後、旅券の証印(4項)と交付文書に記載された上陸期間・通過経路等の制限(5項)を写真に残し、不明点は審査ブースを離れる前に入国審査官へ確認する
よくある質問 AI による整理
Q1通過上陸許可とは何ですか?
入管法15条に基づき、寄港地観光や乗り継ぎのために外国人の一時的な上陸を認める特例上陸許可です。在留資格は付与されません。
Q2通過上陸許可は何日まで滞在できますか?
乗り継ぎ型(2項)は上陸後三日以内に周辺の他の出入国港から出国することが要件です。具体的な上陸期間は許可時に個別に制限されます(5項)。
Q3クルーズ船の寄港地観光に上陸許可は必要ですか?
必要です。寄港地で観光して別の港で同じ船に戻る場合は、入管法15条1項の通過上陸許可(または14条の寄港地上陸許可)を得る必要があります。
Q4通過上陸許可で日本で働けますか?
働けません。通過上陸は在留資格を伴わない特例上陸であり、就労・居住の根拠にはならず、在留カードも交付されません。
Q5通過上陸許可の証印はどこに押されますか?
外国人が所持する旅券に押されます(15条4項)。付された上陸期間や通過経路の制限を確認する手がかりになるため、内容を確認しておくことが重要です。
Q6通過上陸許可の制限に違反するとどうなりますか?
許可に付された上陸期間・通過経路等の制限(5項)に違反すると、退去強制事由(入管法24条)に該当しうるなど、重い不利益につながるおそれがあります。
Q7成田で入国して関空から出国する乗り継ぎは通過上陸できますか?
2項は「入国した出入国港の周辺の他の出入国港」からの出国を要件としています。遠距離の港間移動がこの要件を満たすかは慎重な確認が必要です。
Q8通過上陸許可が下りないのはどんな場合ですか?
許可は入国審査官の裁量です。上陸拒否事由(入管法5条1項)に該当する者は許可されず(6項・14条1項ただし書準用)、個人識別情報の不提供も不利に働きます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1クルーズ船で来た友人を、船が停まっている間に自分の家に泊めてもいいんですか?
1項の通過上陸は「その船舶に帰船するように通過すること」が前提で、許可には上陸期間や通過経路の制限が付されます(15条5項)。船に戻らず宿泊するような形は制度の想定外です。実務のポイント:付された制限の具体的内容は旅券の証印と交付文書で確認できます。「何時までに戻る」「どの経路を通る」が書いてあるかどうかで、できることの幅が全く違う。船会社の説明を鵜呑みにせず、現物を見る
Q2乗り継ぎで空港の外に出たいとき、自分で入管に申請できますか?
できません。15条2項の申請権者は「その船舶等の長又はその船舶等を運航する運送業者」、つまり航空会社側です。本人申請の制度設計になっていません。実務のポイント:航空会社によって対応方針が違います。長時間トランジットのホテル手配を含めて慣れている会社と、一切申請しない会社がある。乗り継ぎ便を選ぶ段階で確認しておくと、当日ターミナルに閉じ込められずに済む
Q3指紋と顔写真の提供を断ったらどうなりますか?
3項により、入国審査官は審査に必要と認めるときは法務省令の定めにより個人識別情報を電磁的方式で提供させることができます。提供しない場合、審査に必要な情報が揃わず許可が出ない方向に働きます。実務のポイント:一般の上陸審査(入管法6条3項)でも同様の仕組みがあり、拒否は上陸拒否事由になりえます。通過上陸でも実務上の扱いは厳格。当日に議論して勝てる場面ではないと割り切った方が、旅程は守れる
間違えやすい点 AI による整理
- 「観光で船から降りるのだから、観光ビザや上陸許可が要るはずだ」と考えがちだが、問いの立て方が違う。通過上陸は在留資格を伴う上陸許可(入管法9条)とは別系統の制度で、在留資格は付与されない。だから在留カードも交付されず、当然、日本での就労も居住も一切できない
- 通過上陸許可は「短期滞在の簡易版」だと理解している人は多いが、深刻度を見落としている。5項により入国審査官は上陸期間と通過経路に個別の制限を付けられ、その制限違反は単なるルール破りではなく、退去強制事由(入管法24条)に直結しうる。同じ「三日」でも、短期滞在の90日とは法的な硬さが全く違う
- 「申請すれば許可されるはずだ」という前提が誤り。条文は「許可することができる」と書いており、入国審査官の裁量である。さらに申請権者は外国人本人ではなく船長または運送業者。あなたの移動の可否を決める書類を、あなたは自分で出せない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる場面 | 15条:寄港地での臨時観光(1項)または本邦経由の乗り継ぎ(2項) | 14条(寄港地上陸許可):寄港する出入国港の近傍への一時上陸 16条(乗員上陸許可):船舶・航空機の乗員の上陸 |
| 申請権者 | 船舶等の長または運送業者 | 船舶等の長または運送業者 船舶等の長または運送業者 |
| 在留資格の付与 | 付与されない(特例上陸) | 付与されない(特例上陸) 付与されない(特例上陸) |
| 本則との関係 | 9条の上陸許可(在留資格付与)とは別系統。上陸期間・通過経路の制限が付されうる | 9条の上陸許可とは別系統。短時間の近傍上陸に限定 9条の上陸許可とは別系統。乗員に限定した特例 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も外国人の臨時入国・過境について規定を置くが、日本のように運送業者を申請権者とする構造と完全に一致するかは個別確認を要する
韓国はクルーズ観光客向けに観光上陸許可を設け、船長または運送業者の申請による点で日本の通過上陸と類似する
ドイツはシェンゲン域の国境管理に服し、トランジットは空港乗継査証などEU共通ルールで規律される
米国はトランジットにも原則として C ビザ等を要し、査証なし通過の特例は限定的である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 横浜発着のクルーズ船に外国人の友人が乗ってくる。船が横浜に停泊している間に一緒に東京観光をして、神戸港で船に戻る予定。これが1項の「臨時観光のための通過上陸」。ただし申請するのは友人本人ではなく船会社。船会社が申請を怠っていれば、友人は船から一歩も出られない
- もし、乗り継ぎで成田に降りた外国人が、羽田発の便まで40時間あって空港外のホテルに泊まりたいと言ってきたら? 2項の通過上陸許可の射程内だが、期限は上陸後三日以内、しかも出発空港は「入国した出入国港の周辺の他の出入国港」であることが要件。成田イン・関空アウトのような遠距離乗り継ぎは、この条文では読めない
- あなたが旅行会社の担当者で、クルーズ客のオプショナルツアーを企画している。通過上陸許可には通過経路の制限(5項)が付きうる。コース変更の連絡が遅れて客が指定経路を外れると、客が退去強制手続に乗る可能性がある。契約書の免責条項だけでは守りきれない
- 船会社の運航管理担当として、入港三日前に通過上陸の申請書類を整える。指紋と顔写真の電磁的提供(3項)を拒む乗客が一人いる。その一人だけ許可が下りないと、下船できず船内に留め置かれる。到着当日に判明すると、対応する時間はもうない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 下船・空港外への外出を予定するなら、乗船・搭乗の前に運送業者へ通過上陸許可の申請有無を文書(メール)で確認し、記録を残す2. 許可が下りた場合、旅券の証印(4項)と、付された上陸期間・通過経路の制限内容(5項)をその場で写真に残す3. 制限の意味が分からなければ、その場で入国審査官に確認する。審査ブースを離れた後では確認相手がいない4. 許可が下りなかった場合、理由の説明を求め、同行者の予定変更を早期に判断する
訴えられた側:1. 通過経路や上陸期間の制限を外れたと指摘された場合、まず旅券の証印と交付された文書で、実際に付された制限内容を確認する2. 逸脱が不可抗力(交通機関の遅延、急病、天候)による場合、その証拠(遅延証明、診断書)を直ちに確保3. 運送業者に連絡し、入管への説明と再申請の可否を確認する4. 退去強制手続に移行しそうな段階では、入管業務を扱う弁護士または申請取次の行政書士へ即時相談。手続は数日で進む
時効(請求できる期限):2項の通過上陸は上陸後三日以内に他の出入国港から出国することが要件。1項は船舶が本邦にある間で、具体的な期間は5項の制限として個別に指定される。本条自体に請求権の消滅時効はないが、許可に付された期間の徒過は退去強制事由につながりうるため、時効ではなく期限そのものが決定的(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和26年(1951年) 新設:ポツダム命令として出入国管理令(昭和26年政令第319号)が制定され、特例上陸の一類型として通過上陸の制度が置かれた
- 2.昭和56年(1981年) 改正:難民条約への加入に伴い、題名が「出入国管理及び難民認定法」に改められた(1982年1月1日施行)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める