出入国管理及び難民認定法 第31条の3(通信履歴の電磁的記録の保全要請)
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- 入国警備官は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若しくは多数の者の通信を媒介することのできる電気通信を行うための設備を設置している者に対し、その業務上記録している電気通信の送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、三十日を超えない期間を定めて、これを消去しないよう、書面で求めることができる。この場合において、当該電磁的記録について差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至つたときは、当該求めを取り消さなければならない。
- 2.前項の規定により消去しないよう求める期間については、特に必要があるときは、三十日を超えない範囲内で延長することができる。ただし、消去しないよう求める期間は、通じて六十日を超えることができない。
- 3.第一項の規定による求めを行う場合において、必要があるときは、みだりに当該求めに関する事項を漏らさないよう求めることができる。
この条文の基本情報
通信履歴の電磁的記録の保全要請とは何ですか?
定義通信履歴の電磁的記録の保全要請とは、出入国管理及び難民認定法第31条の3に定められた規定で、「入国警備官は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 出入国管理及び難民認定法第31条の3(通信履歴の電磁的記録の保全要請)は、日本の出入国管理及び難民認定法に含まれる条文です。
- 出入国管理及び難民認定法第31条の3の条文原文は「入国警備官は、差押え又は記録命令付差押えをするため必要があるときは、電気通信を行うための設備を他人の通信の用に供する事業を営む者又は自己の業務のために不特定若し…」で始まります。
- 出入国管理及び難民認定法第31条の3は第一節 違反調査に置かれています。
- 出入国管理及び難民認定法の公布日は昭和26年10月4日です。
- 出入国管理及び難民認定法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 出入国管理及び難民認定法第31条の3の前の条は出入国管理及び難民認定法第31条の2です。
- 出入国管理及び難民認定法第31条の3の次の条は出入国管理及び難民認定法第31条の4です。
- 出入国管理及び難民認定法第31条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第31条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/326CO0000000319 - 本サイト収録
出入国管理及び難民認定法(昭和二十六年政令第三百十九号)第31条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/326CO0000000319/31_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点入管法31条の3は、入国警備官が差押え等のため必要なとき、通信事業者に通信履歴を30日以内(延長で通算60日まで)消去しないよう書面で求められると定める。
Q · 入管は令状なしで自分の通信履歴を押さえられるの?
消去停止の要請は令状不要、取得には令状が必要
入管法31条の3により、入国警備官は差押え等のため必要があるとき、通信事業者に対し送信元・送信先・通信日時などの通信履歴を消去しないよう書面で求めることができます。期間は30日以内、延長しても通算60日が上限です。この段階は保全(凍結)にとどまり、ログを実際に取得するには別途、裁判官の許可状による差押え又は記録命令付差押えが必要です。要請内容を漏らさないよう求めることもできます(3項)。
解説
入管の捜査官が、あなたのスマホを押収する前に、通信会社へ一通の書面を送っている場合がある。「この人の通信履歴、消さないでくれ」という要請だ。入管法31条の3は、入国警備官に通信履歴の保全要請権限を与えている。注目すべきは三点。第一に、これは差押えではない。通信会社に「保存しておけ」と求めるだけで、中身を見るには別途令状(差押許可状)が要る。第二に、期間は30日以内、延長しても通算60日が上限。この60日というタイムリミットが、実は当局側の最大の制約になっている。第三に、3項で「この要請があったことを漏らすな」と求めることができる。つまりあなたの通信履歴が凍結されていても、通信会社はあなたに教えない可能性が高い。あなたが在留資格の手続で何も起きていないと思っている間に、送信元・送信先・通信日時のログが、すでに保全の網にかかっていることがある。
法的な位置づけ
入管法31条の3の通信履歴の保全要請とは、入国警備官が差押え又は記録命令付差押えの準備として、電気通信事業者等に対し、業務上記録している通信履歴の電磁的記録のうち必要なものを特定し、30日以内(延長により通算60日以内)の期間を定めて消去しないよう書面で求める行政調査上の措置である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.要請書面の要件を確認する(事業者側) 入国警備官から受領した書面について、対象となる通信履歴が特定されているか、期間が30日以内に定められているか、書面によるものかを確認する
- 2.期間と延長回数を台帳で管理する 要請の開始日・期間・延長の有無を記録し、通算60日の上限を超える延長要請がないか継続的に管理する
- 3.守秘要請への対応方針を決める 3項に基づく「みだりに漏らさない」旨の要請があった場合の社内取扱い(アクセス権限者、記録方法)をあらかじめ規程化しておく
- 4.調査対象者は早期に弁護士へ相談する 入管から実態調査や出頭要請が来た段階で入管事件に詳しい弁護士に相談し、後に通信履歴が証拠化された場合の取得経緯(要請日・範囲・許可状)の確認を依頼する
よくある質問 AI による整理
Q1通信履歴の保全要請とは?
捜査・調査機関が通信事業者に対し、通信履歴を一定期間消さずに残しておくよう求める措置です。入管法では31条の3が入国警備官の権限として定めています。
Q2入管の保全要請に令状は必要?
保全要請そのものに令状は不要です。ただし保全されたログを実際に取得するには、裁判官の許可状による差押え又は記録命令付差押えが必要です。
Q3入管の保全要請 期間はいつまで?
原則30日以内で、特に必要があれば延長できますが、通算60日を超えることはできません(入管法31条の3第2項)。
Q4保全要請されたら本人に通知される?
本人への通知を定めた規定はありません。むしろ3項で要請事項を漏らさないよう事業者に求めることができるため、本人が知る機会はほぼありません。
Q5保全要請の対象になる情報は?
送信元、送信先、通信日時その他の通信履歴の電磁的記録で、必要なものとして特定されたものです。メッセージ本文などの通信内容は条文上の対象ではありません。
Q6保全要請はどんな事業者に出される?
他人の通信の用に供する電気通信事業者のほか、自己の業務のため不特定又は多数の者の通信を媒介できる設備を設置している者も対象になります。
Q7保全要請が取り消されるのはどんなとき?
差押え又は記録命令付差押えをする必要がないと認めるに至ったときは、入国警備官は要請を取り消さなければなりません(1項後段)。
Q8入管法の保全要請は違法にならない?
法律上の根拠がある措置ですが、対象の特定・期間・書面性という要件を外れた要請は条文の枠を超えます。要件逸脱の有無は個別に検討されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保全要請って、要は通信の中身を読まれてるってことですか?
中身は読まれていない。31条の3の対象は送信元・送信先・通信日時などの通信履歴であり、メッセージの本文ではない。中身を取得するには別途、裁判官が発付する差押許可状または記録命令付差押許可状が必要になる。実務のポイント:実務では「誰と、いつ、何回」というメタデータだけで偽装結婚や資格外活動の実態が推認されることが多い。中身が読まれていないから安心、という発想は防御としては弱い
Q2自分の通信履歴が保全されたかどうか、確認する方法はありますか?
実務上ほぼ不可能である。31条の3第3項で入国警備官が「みだりに漏らさないよう求める」ことができ、事業者は通常これに応じる。本人への通知義務を定めた規定もない。実務のポイント:後の手続で通信履歴が証拠として出てきた段階で、その取得経緯(要請日・対象範囲・差押許可状の有無)を逐一確認させるのが弁護人の仕事になる。ここで手続の瑕疵が見つかることがある
Q3通信会社は入管の要請を断れないんですか?
条文は「書面で求めることができる」と定めるのみで、罰則付きの命令ではない。この点について実務上、事業者の対応義務の性質は解釈が分かれている。ただし同種規定である刑事訴訟法197条3項の運用を含め、実務上は多くの事業者が要請に応じている。実務のポイント:事業者の法務担当であれば、要請書面の対象特定が漠然としている場合に範囲の限定を求める余地がある。「必要なものを特定し」という文言は、事業者側の確認根拠にもなる
Q460日を過ぎたらログは消えるんですか?
保全要請の効力は通算60日で切れる(2項但書)。その後は事業者の通常の保存期間に従う。事業者の保存期間は法定されておらず各社の運用次第だが、数か月程度とされることが多い(最新の運用状況をご確認ください)。実務のポイント:この60日は当局にとってのカウントダウンでもある。この期間内に差押許可状を取得できなければ、証拠確保の確実性が下がる。相手の時間的制約を把握しておくと、手続全体のテンポが読める
間違えやすい点 AI による整理
- 「令状がないなら、まだ何も調べられていない」と考えるのが自然だが、保全要請に令状は不要である。裁判官のチェックを経ずに、入国警備官の判断だけで通信履歴が凍結される。令状主義が働くのは、その凍結されたログを実際に差し押さえる段階からだ。前段階はすでに動いている
- 保全要請の存在は知っていても、3項の「漏らさないよう求める」条項の重みを見落としている人が多い。これは努力義務的な要請に留まるが、実務上、通信事業者はほぼ確実に応じる。つまり、あなたが自分の通信履歴が保全されたことを知る手段は、事実上存在しない。知らないまま調査が進む期間が、最大60日ある
- 「自分は通信の中身を見られなければ大丈夫」という前提そのものが誤っている。この条文が対象にするのは中身ではなく、送信元・送信先・通信日時という通信履歴(メタデータ)だ。誰といつ何回連絡したかという情報は、偽装結婚・資格外活動・不法就労の認定では、内容そのものより強力な状況証拠になる
- 刑事事件の話だと思っている人が多いが、これは刑事訴訟法ではなく入管法の条文である。入国警備官は警察官ではなく、この権限は退去強制事由の調査という行政目的のために存在する。刑事手続の保障(黙秘権告知など)がそのまま同じレベルで及ぶとは限らないという点に、実務上の論点がある
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 措置の性質 | 入管法31条の3:通信履歴の消去停止を求める保全要請 | 入管法31条:許可状による臨検・捜索・押収 刑事訴訟法197条3項:刑事捜査での通信履歴保全要請 |
| 令状の要否 | 不要(書面による要請) | 裁判官の許可状が必要 不要(書面による要請) |
| 目的 | 退去強制事由の違反調査(行政調査) | 違反調査のための証拠収集 犯罪捜査 |
| 期間の上限 | 30日以内、延長して通算60日 | 期間制限の構造なし(許可状の有効期間による) 30日以内、延長して通算60日 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では通信紀錄の調取に原則として裁判所の許可を要し、日本の令状不要の保全段階に相当する独立の制度は明確ではない
韓国は通信事実確認資料の提供に原則として裁判所の許可を要する構造
米国は政府の要請により事業者が記録を90日間保全し、さらに90日延長できる制度があり、日本の保全要請と発想が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 技術・人文知識・国際業務の在留資格で働くあなたが、勤務先と異なる場所で副業をしていた。入管が資格外活動を疑い、あなたの LINE や通話履歴の相手先ログを通信会社に保全要請する。あなたには通知が来ない。数週間後、突然の実態調査で「この番号と頻繁に連絡していますね」と切り出される
- 偽装結婚の疑いで調査対象になった夫婦。入管が両者の通信履歴を保全要請し、後日差押許可状を得て中身を取得。通信の中身ではなく「いつ誰と何回連絡したか」だけで、同居実態の有無が推認される。あなたが思っている以上に、メタデータは雄弁だ
- もし、あなたが外国人を雇用する企業の人事担当だったとしたら? 従業員の不法就労助長(入管法73条の2)の疑いで、会社の代表番号や業務用メールのログまで保全要請の対象になりうる。従業員一人の問題が、会社のシステム全体に波及する
- ブローカーを介して来日した知人から、入管の調査が入ったと連絡が来た。あなたはその知人と頻繁に連絡を取っていただけだが、通信履歴の保全対象は「送信元・送信先」であり、あなたの番号も記録の中にある。当事者でなくても、ログの中では地続きだ
- 退去強制手続が進行中で、あなたに残された時間は限られている。保全要請の期間上限は通算60日。この60日の間に差押許可状が出なければ、そのログは通常の保存期間の経過とともに消える。弁護士がこのカウントダウンを把握しているかどうかで、防御の組み立てが変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 入管から実態調査・出頭要請が来た段階で、入管業務に精通した弁護士(行政書士ではなく弁護士。退去強制手続の代理・意見陳述は弁護士の領域)に相談2. 保全要請の有無は本人に通知されないが、後の差押えや取調べで通信履歴が出てきた場合、その取得経緯(要請日、期間、対象範囲)の開示を求める3. 通信履歴は「誰と何回」のみを示し、その頻度の意味づけは推認に過ぎない。頻度に合理的な説明(業務連絡、家族、友人)がつくなら、事実関係を時系列で整理した資料を早期に準備する4. 供述は一度したら覆すのが難しい。通信履歴と矛盾する説明をする前に、自分の記録を確認する
訴えられた側:事業者側の立場であれば、1. 受領した要請書面が31条の3各項の要件(対象電磁的記録の特定、30日以内の期間、書面性)を満たすか確認2. 期間が通算60日を超える要請は条文上認められない、延長要請の累計を記録・管理する3. 3項の守秘要請に応じるか否かは事業者の判断領域だが、社内の対応方針を事前に定めておく4. 必要性が消滅した場合の取消義務(1項後段)は当局側にある。長期間放置された要請については、当局へ状況照会する運用余地がある
時効(請求できる期限):保全要請の期間は30日以内(1項)、延長は30日以内の範囲でかつ通算60日が絶対上限(2項但書)。起算点は要請書面で定めた期間の開始日。なお、この条文自体に請求権の時効はなく、実際に通信履歴を取得するには別途差押許可状または記録命令付差押許可状が必要である
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