自衛隊法 第121条
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自衛隊の所有し、又は使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物を損壊し、又は傷害した者は、五年以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 自衛隊法第121条は、日本の自衛隊法に含まれる条文です。
- 自衛隊法第121条の条文原文は「自衛隊の所有し、又は使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物を損壊し、又は傷害した者は、五年以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 自衛隊法第121条は第九章 罰則に置かれています。
- 自衛隊法の公布日は昭和29年6月9日です。
- 自衛隊法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 自衛隊法第121条の前の条は自衛隊法第120条です。
- 自衛隊法第121条の次の条は自衛隊法第122条です。
- 自衛隊法第121条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第121条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000165 - 本サイト収録
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第121条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000165/121
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点自衛隊法121条は、自衛隊の武器・弾薬・航空機その他の防衛の用に供する物を損壊した者を五年以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金に処する。親告罪ではない。
Q · 自衛隊の物をわざと壊したら、どんな罪になるの?
故意なら五年以下の拘禁刑か五万円以下の罰金、示談だけでは終わらない
自衛隊法121条により、自衛隊が所有または使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物を故意に損壊・傷害すると、五年以下の拘禁刑または五万円以下の罰金となります。刑法261条の器物損壊罪(三年以下)より拘禁刑の上限が重く、親告罪でもないため、弁償しても起訴の判断は検察官に残ります。ただし対象物は武器等と同列の物に限るという限定解釈があり、過失による損壊には本条は適用されません。
解説
航空自衛隊の戦闘機をわざと壊しても、条文上の罰金の上限はわずか五万円である。一方で拘禁刑の上限は五年で、普通の器物損壊罪(刑法261条、三年以下)より重い。罰金は低いまま、拘禁刑だけが重いというねじれた構造になっている。実務では、罰金で済むと甘く見るのは危険だ。本条の本当の急所は二つある。第一に、器物損壊罪と違って親告罪(被害者の告訴がなければ起訴できない犯罪)ではない。刑法264条の親告罪リストに本条は入っていない。国と話がついても「告訴取り下げで事件終了」という出口はない。第二に、「その他の防衛の用に供する物」の範囲である。1967年の恵庭事件で札幌地裁は、演習場の通信線を切った被告人を無罪にした。理由は、通信線は武器・弾薬・航空機と同列の物とはいえないというものだった。自衛隊が使う物なら何でも対象になるわけではない。この二点を知っているかどうかで、逮捕後の最初の数日の戦い方がまるで変わる。
法的な位置づけ
自衛隊法121条は、自衛隊が所有し又は使用する武器、弾薬、航空機その他の防衛の用に供する物の損壊又は傷害を処罰する特別刑罰規定である。刑法261条の器物損壊罪に対する特別法に位置付けられ、法定刑は五年以下の拘禁刑又は五万円以下の罰金である。親告罪ではなく、故意犯のみを処罰対象とする。
よくある質問 AI による整理
Q1自衛隊法121条とは何ですか?
自衛隊が所有・使用する武器、弾薬、航空機など防衛の用に供する物を壊したり傷つけたりする行為を処罰する規定です。いわゆる武器等損壊罪です。
Q2武器等損壊罪の刑罰はどのくらい?
五年以下の拘禁刑または五万円以下の罰金です。拘禁刑の上限は器物損壊罪(三年以下)より重い一方、罰金の上限は低いままです。
Q3自衛隊法121条は告訴がなくても起訴される?
されえます。刑法264条が親告罪とするのは259条・261条・262条の罪で、本条は含まれないため、被害者の告訴は起訴の条件になりません。
Q4自衛隊の物を壊したら逮捕される?
逃亡や証拠隠滅のおそれがあれば逮捕されえます。逮捕後は最大72時間の後に勾留最大20日と続き、その期間内に起訴するかどうかが決まります。
Q5自衛隊法121条の時効はいつまで?
公訴時効は犯罪行為が終わった時から5年です(刑事訴訟法250条2項)。民事の損害賠償請求権は別に民法724条の期間が進みます。
Q6自衛隊の備品を盗んだ場合も121条?
本条が処罰するのは損壊と傷害です。持ち去った場合は原則として刑法235条の窃盗罪などが問題となり、本条とは別の罪で扱われます。
Q7壊そうとして失敗しても罪になる?
未遂は各本条に定めがある場合だけ罰せられます(刑法44条)。ただし立入りや準備行為が、建造物侵入など別の罪に当たる可能性は残ります。
Q8自衛隊の物を壊すと罰金で済む?
罰金刑(五万円以下)も選択肢ですが、どちらが選ばれるかは行為態様・動機・損害額・弁償の有無などの情状で決まり、保証はありません。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自衛隊の車にぶつけちゃったんだけど、これって犯罪になるの?
わざとでなければ本条の罪にはならない。刑法38条1項により、過失を罰する規定がない罪は故意がなければ成立せず、本条には過失処罰の規定がないからだ。ただし修理費は民法709条で請求されうる。実務のポイント:国を相手にした物損事故も、自動車保険の対物賠償で普通に処理できる。まず保険会社に「相手は国の車両」と伝えるのが一番早い
Q2恵庭事件って無罪だったんでしょ? じゃあ基地の物を壊しても平気なんじゃない?
まったく違う。無罪の理由は、切断された通信線が本条の「防衛の用に供する物」に当たらないというものだった(札幌地判昭和42.3.29)。行為そのものが許されたわけではない。実務のポイント:同じ判決は自衛隊の合憲性の判断を避けたことで憲法の教科書に載っている。刑法の議論では、限定解釈で本条から外れても器物損壊罪が残るという点が見落とされがちだ
Q3弁償して自衛隊と話がついたら、前科はつかずに済みますか?
保証はない。本条は親告罪ではないため(刑法264条の対象外)、被害者側の意向だけでは起訴を止められない。ただ弁償と謝罪は、検察官が起訴猶予にするかどうかの重要な判断材料になる。実務のポイント:弁償は起訴判断の前に終えることが肝心で、起訴後の弁償は量刑を軽くする材料にしかならない。弁護人には最初の接見で弁償の段取りを頼む
間違えやすい点 AI による整理
- 「物を壊しただけなら、器物損壊と同じで示談すれば終わる」と考えがちだが、本条は親告罪ではない。刑法264条が親告罪とするのは259条・261条・262条の罪であり、本条は含まれない。国に弁償しても、起訴するかどうかは検察官の判断に委ねられたままである
- 「自衛隊の物なら何でも本条の対象になる」という問いの立て方自体がずれている。条文は武器・弾薬・航空機を例に挙げたうえで「その他の防衛の用に供する物」と書いている。恵庭事件の札幌地裁判決は、例示の物と同列に評価できる程度の物に限ると読んだ。問題は「誰の物か」ではなく、「防衛機能に直結する物か」である
- 壊した側にすれば「うっかりぶつけただけ」でも、自衛隊側から見れば装備が一台使えなくなった事実だけが残る。刑事では過失なら本条は成立しないが、民事では過失でも修理費全額の賠償責任(民法709条)を負いうる。刑事で罪にならないと安心した瞬間に届く請求書の額が、本当の衝撃になる
他国ではどう定めているか 5 か国
台湾では軍用設備・物品の毀損は陸海空軍刑法が重く処罰し、一般の器物毀損は刑法354条が扱う。軍の物か否かで適用法が分かれる構造は日本と共通する
韓国では公用物の破壊を刑法141条が処罰し、軍用物の損壊は軍刑法にも規定がある。一般刑法の中に公用物保護を置く点が日本と異なる
中国は刑法典の中に武器装備・軍事施設・軍事通信の破壊罪を置く。軍事通信を明示している点で、恵庭事件で問題となった通信線の扱いとは対照的である
ドイツは防衛手段に対する破壊工作罪を刑法典に置き、連邦軍の防衛力や人命の危険を要件とする点で、物の損壊自体を処罰する日本の本条より構成要件が絞られている
米国は国防資材の破壊を、国防を妨害する意図などを要件とする連邦犯罪として処罰し、政府財産一般の損壊は§1361が扱う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 抗議活動の仲間が、夜のうちに演習場の通信ケーブルを切ると言い出したらどうなる? ケーブルが本条の「防衛の用に供する物」に当たるかどうかは、恵庭事件以来の争点である。ただ、本条から外れても刑法261条の器物損壊罪や234条の業務妨害罪に落ちる可能性は残る。「無罪になった前例がある」は、「何をしても罪にならない」という意味ではない
- 航空祭で酔った友人が、展示されている救難ヘリのアンテナを「記念に」と折り取った。本人はいたずらのつもりでも、壊した物は自衛隊が防衛のために使う航空機の一部である。器物損壊ではなく本条で送致されれば非親告罪となり、謝って弁償しても事件は自動的には消えない
- 基地の外周で、警備犬に吠えられた腹いせに蹴ってけがをさせた。条文の「傷害」は動物に対するものを含む表現で、警備犬が本条の対象物に当たるかは解釈が分かれうる
- あなたは防衛装備品の整備を請け負う会社の従業員で、上司への不満から、預かっていた自衛隊機の部品に工具で傷をつけてしまった。所有者が国でも、会社が預かっていても、自衛隊が「所有し、又は使用する」物であることに変わりはない。逮捕されれば勾留は最大二十日で、検察官はその期限内に起訴するかどうかを決める。弁償の申出も、動機が一時の衝動だったことの説明も、その期限までに届けなければ意味が薄れる
- 雪道でスリップして、前を走っていた自衛隊のトラックに追突した。本条は故意犯のみを罰するので、過失の事故で本条の罪は成立しない。ただし国から修理費を請求される民事の話は、まったく別に動く
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自衛隊の部隊や整備の委託先で損壊が見つかったら、現場を保存し写真と時刻を記録する2. 施設内や自衛隊の物に対する犯罪は、警務隊(自衛隊法96条の警務官)と警察の双方が動きうるので、通報先を早めに一本化する3. 修理見積りと稼働できなかった損失を数値化し、民事の請求(民法709条)に備える4. 対象物が武器・航空機等と同列の物だと言える資料(用途、配備状況)を整理しておく
訴えられた側:1. 逮捕されたらまず弁護人を呼び、動機や故意について不用意に供述しない2. 過失なら本条は成立しないため、故意の有無を最初に争点化する3. 対象物が「防衛の用に供する物」に当たるかを、恵庭事件の限定解釈に沿って争い、刑法261条への罪名変更を求める4. 非親告罪であることを前提に、起訴判断の前に弁償と謝罪文を用意する
時効(請求できる期限):公訴時効は犯罪行為が終わった時から5年(長期10年未満の拘禁刑に当たる罪、刑事訴訟法250条2項)。逮捕後の身柄拘束は、逮捕72時間と勾留最大20日。民事の損害賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年、不法行為の時から20年(民法724条)
学説
限定解釈(恵庭事件判決の立場):「その他の防衛の用に供する物」を例示物(武器・弾薬・航空機)と同列の、防衛機能に直結する物に限定して読む立場。文言を広く読むと自衛隊が使う日用品まで重い刑の対象となり、罪刑法定主義に反するおそれがあることを根拠とする。
改正沿革 AI による整理
- 昭和29年(1954年)自衛隊法制定 自衛隊法の罰則規定として置かれた。制定当初の文言と、その後の改正の有無は人的検証が必要
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正に伴う関係法律の整理により、「懲役」が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:自衛隊法(昭和29年法律第165号)の制定とともに罰則規定として置かれた。制定当初の文言の細部は人的検証が必要
- 2.令和4年(2022年)公布・令和7年(2025年)施行 改正:刑法改正に伴う関係法律の整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められ、2025年6月1日に施行された
- 自衛隊法 第95条武器等防護のための武器使用
- 自衛隊法 第95条の2米軍等の武器等防護のための武器使用
- 自衛隊法 第96条警務官による犯罪捜査権限
- 刑法 第261条器物損壊罪、本条の一般法
- 刑法 第264条親告罪規定、本条は対象外
- 日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定の実施に伴う刑事特別法 第5条米軍の武器等損壊の並行規定
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