自衛隊法 第120条
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- 第七十八条第一項又は第八十一条第二項に規定する治安出動命令を受けた者で、次の各号のいずれかに該当するものは、五年以下の拘禁刑に処する。
- 一第六十四条第二項の規定に違反した者
- 二正当な理由がなくて職務の場所を離れ三日を過ぎた者又は職務の場所につくように命ぜられた日から正当な理由がなくて三日を過ぎてなお職務の場所につかない者
- 三上官の職務上の命令に対し多数共同して反抗した者
- 四正当な権限がなくて又は上官の職務上の命令に違反して自衛隊の部隊を指揮した者
- 2.前項第二号に規定する行為の遂行を教唆し、若しくはその幇助をした者又は同項第一号、第三号若しくは第四号に規定する行為の遂行を共謀し、教唆し、若しくは煽動した者は、それぞれ同項の刑に処する。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 自衛隊法第120条は、日本の自衛隊法に含まれる条文です。
- 自衛隊法第120条の条文原文は「第七十八条第一項又は第八十一条第二項に規定する治安出動命令を受けた者で、次の各号のいずれかに該当するものは、五年以下の拘禁刑に処する。」で始まります。
- 自衛隊法第120条は第九章 罰則に置かれています。
- 自衛隊法の公布日は昭和29年6月9日です。
- 自衛隊法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 自衛隊法第120条の前の条は自衛隊法第119条です。
- 自衛隊法第120条の次の条は自衛隊法第121条です。
- 自衛隊法第120条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第120条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000165 - 本サイト収録
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第120条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000165/120
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点自衛隊法120条は、治安出動命令を受けた隊員の争議行為、3日超の職場離脱、多数共同反抗、無断指揮を5年以下の拘禁刑に処し、その共謀・教唆・煽動も同じ刑とする。
Q · 治安出動中の自衛隊員が持ち場を離れたら、どんな罪になるの?
治安出動命令下の離脱・反抗等は5年以下の拘禁刑
自衛隊法120条により、治安出動命令を受けた隊員が正当な理由なく職務の場所を離れて3日を過ぎると、5年以下の拘禁刑に処されます。争議行為、多数共同での反抗、権限のない部隊指揮も同じです。さらに同条2項により、これらの行為を共謀・教唆・煽動した者も同じ刑になります。平時の無断欠勤は懲戒処分(同法46条)で扱われるのが基本で、命令の有無が刑事罰との分かれ目です。
解説
自衛隊が発足した1954年から今日まで、治安出動命令は一度も発令されていない。1960年の安保闘争のときも発令は検討されたが、見送られた。つまり本条は、まだ一度も使われたことのない刑罰規定である。本条が働くのは、首相が治安出動を命じた瞬間だけだ。対象となる行為は四つある。争議行為、職場を離れて三日を過ぎること(命じられた日から三日を過ぎても着任しない場合も含む)、多数で共同して上官に反抗すること、権限なく部隊を指揮すること。いずれも五年以下の拘禁刑である。本当に注意すべきは第2項だ。職場離脱をそそのかしたり手伝ったりした者も、争議・集団反抗・無断指揮を共謀したり、そそのかしたり、煽ったりした者も、実行した隊員と同じ刑になる。条文は処罰対象を隊員に限っていないので、治安出動中の隊員に向けて、部外者が SNS で集団離脱を呼びかけた場合も射程に入りうる。この読み方は学説上争いがある。平時なら懲戒で済む行為が、命令一本で刑事事件に変わる。本条は、国家が暴力装置を国内に向ける局面で、組織の結束をどう担保するかという設計図である。
法的な位置づけ
自衛隊法120条は、治安出動命令を受けた自衛隊員による争議行為、正当な理由のない3日超の職場離脱または不着任、多数共同による上官への反抗、権限のない部隊指揮を5年以下の拘禁刑に処する罰則規定である。第2項は職場離脱の教唆・幇助、およびその他の行為の共謀・教唆・煽動を実行者と同じ刑で処罰する。
よくある質問 AI による整理
Q1治安出動とは何ですか?
間接侵略その他の緊急事態で警察力だけでは治安を維持できない場合に、首相の命令(自衛隊法78条)または知事の要請(81条)により自衛隊が出動することです。
Q2自衛隊法120条の刑罰はどのくらい?
5年以下の拘禁刑です。2025年6月1日の刑法改正施行により、以前の「懲役」から「拘禁刑」に改められました。
Q3自衛隊員の脱走は何日で犯罪になる?
治安出動命令下では、正当な理由なく職務の場所を離れて3日を過ぎると本条の罪になります。平時の無断欠勤は基本的に懲戒処分の対象です。
Q4自衛隊員は争議行為(ストライキ)できる?
できません。自衛隊法64条2項が争議行為を禁止しています。治安出動命令下で違反すると、本条により5年以下の拘禁刑の対象になります。
Q5自衛隊法120条は民間人にも適用される?
第2項は処罰対象を隊員に限定していないため、民間人による教唆・煽動も文言上は射程に入りえます。ただし表現の自由との関係で解釈は分かれています。
Q6治安出動は過去に発令されたことがある?
1954年の自衛隊発足以来、治安出動命令は一度も発令されていません。1960年の安保闘争時に検討されたものの見送られたとされます。
Q7自衛隊法120条の公訴時効は何年?
法定刑が長期10年未満の拘禁刑に当たるため、公訴時効は5年です(刑事訴訟法250条2項5号)。犯罪行為が終わった時から進行します。
Q8上官が負傷したとき部隊を指揮したら違法?
正当な権限の範囲内なら問題ありません。権限がないか、上官の職務上の命令に反して部隊を指揮した場合に、本条1項4号の対象となります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自衛隊員が普段無断で休んだら、それも犯罪になるの?
通常は刑事罰ではなく懲戒処分(自衛隊法46条)の対象である。本条120条の刑罰は、治安出動命令(78条1項・81条2項)を受けた者に限って適用される。実務のポイント:防衛出動のときは122条でさらに重い刑罰が用意されており、平時、治安出動、防衛出動と、事態が重くなるにつれて刑も段階的に重くなる構造になっている。どの命令の下にいるかを最初に確認するのが、弁護人の第一手である
Q2隊員じゃない一般人が、SNS で「命令に従うな」と書いたら捕まるの?
120条2項は処罰対象を隊員に限定していないため、多数共同反抗などの煽動として射程に入りうる。ただし、抽象的な意見表明と、具体的な行為に向けた煽動とは区別されるべきだとする見解が有力で、表現の自由(憲法21条)との関係は実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:本条は一度も適用されていないので判例がない。争点になった場合は、似た構造を持つ国家公務員法の「あおり」規定をめぐる最高裁判例の限定解釈論が、主な参照先になるとみられる
間違えやすい点 AI による整理
- 自衛隊員の脱走は常に犯罪だと思われがちだが、それは違う。本条の刑罰が働くのは治安出動命令を受けた者に限られ、平時の無断欠勤は基本的に懲戒処分(自衛隊法46条)で扱われる。逆にいえば、命令の有無という一点で、同じ三日間の不在が停職で済むか、前科になるかが分かれる
- 「実際に何も起きなければ罪にならない」と考えるのは、第2項の構造を見落としている。共謀・教唆・煽動は、実行行為が遂行されなくても独立して処罰されうる形で書かれている(独立教唆・独立煽動と呼ばれる)。刑法の一般原則では、教唆は正犯の実行があって初めて成立するから、この差は大きい。ただし、どこまで独立に処罰できるかは解釈が分かれている
- 隊員から見れば「家族の危機に駆けつけた」「現場の混乱を収めた」という正しい行動でも、法律から見れば「正当な理由」「正当な権限」があったかどうかという要件の問題になる。自分の主観的な正しさと、事後に第三者が認定する正当性とのあいだの落差が、非常時には人を刑事被告人にする
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 適用場面 | 自衛隊法120条:治安出動命令(78条1項・81条2項)を受けた者 | 自衛隊法119条:治安出動命令によらない場面等の同種行為 自衛隊法122条:防衛出動命令を受けた者 |
| 法定刑の重さ | 5年以下の拘禁刑 | 本条より軽い法定刑 本条より重い法定刑 |
| 争議行為の位置づけ | 64条2項違反を刑事罰の対象とする | 64条2項:争議行為の禁止そのものを定める(行為規範) 防衛出動下での同種違反をより重く処罰 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は独立した軍事刑法典を持ち、抗命・離脱・逃亡などを類型ごとに処罰する。日本は軍事刑法典を持たず、自衛隊法の罰則で限定的に対応する点が異なる
韓国も軍刑法典で軍務離脱・抗命を処罰し、軍事法院が管轄する。日本は通常の刑事裁判所が審理する
ドイツは連邦軍に適用する軍刑法を持ち、無断離隊・脱走・反乱(Meuterei)を独立の罪として定める
米国は軍人には UCMJ、民間人による軍の不服従の扇動には連邦刑法を適用し、主体ごとに規律を分けている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 大規模な暴動で治安出動が発令された日、隊員であるあなたの家族が被災地の病院に運ばれた。上官に許可を求めず持ち場を離れる。残された時間は三日。三日を過ぎれば、懲戒ではなく刑事事件の被疑者になる。四日目の朝に戻っても、もう遅い
- もし、治安出動中の部隊に知り合いの隊員がいて、あなたが SNS で「全員で命令を拒否しろ」と投稿したら、どうなる? 相手が実際に拒否しなくても、多数共同反抗の「煽動」として第2項の対象になりうる。民間人への適用と表現の自由との関係は争点だが、捜査対象になるリスク自体は消えない
- 中隊長が負傷して指揮系統が混乱した。あなたは階級上位の者として部隊をまとめようとする。正当な権限の範囲内なら問題はないが、上官の命令に反する形で部隊を動かせば、善意であっても第1項第4号の「無断指揮」に当たりうる
- 隊内の数名が待遇への不満から「出動中にみんなで作業を止めよう」と相談している。あなたは黙って同席していただけだ。実行されなくても、共謀が成立していれば第2項の共謀罪として同じ五年以下の刑が問われうる。「聞いていただけ」と言えるだけの距離をとっていたかが分かれ目になる
取るべき行動
被害を受けた側:隊内で集団反抗や争議に誘われ、巻き込まれそうな立場なら:1. その場で不参加をはっきり表明し、可能ならメッセージなどの記録で残す2. 共謀の場には同席し続けない3. 部隊内の相談窓口または上官へ速やかに報告する4. 家族の事情などで離脱が必要なときは、無断で動かず、申出と許可の記録を先に作る
訴えられた側:1. 逮捕・取調べでは黙秘権を行使し、すぐに弁護人を依頼する(当番弁護士制度も使える) 2. 争点を三つに絞る。治安出動命令を実際に受けていたか、「正当な理由」「正当な権限」があったか、第2項の場合は共謀・煽動といえるだけの具体性があったか3. 民間人が煽動を問われた場合は、表現の自由(憲法21条)との関係で、構成要件を限定して解釈するよう主張する
時効(請求できる期限):公訴時効は5年(刑事訴訟法250条2項5号、長期10年未満の拘禁刑に当たる罪)で、犯罪行為が終わった時から進行する。職場離脱は「三日を過ぎた」時点で成立するので、離脱の翌日から数えて三日間が、刑事罰を避けられるかどうかの時間的な分水嶺になる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
限定解釈論:第2項の煽動処罰は表現の自由(憲法21条)との緊張を抱えるため、抽象的な意見表明は含まず、具体的な違法行為の実行に向けた煽動に限って処罰対象とすべきだとする見解。
独立処罰の範囲をめぐる議論:共謀・教唆・煽動は実行行為がなくても処罰されうる独立共犯の形式をとるが、刑法の共犯従属性原則との関係から、どこまで独立に処罰できるかについて解釈が分かれている。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一部改正に伴い、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年)施行 改正:刑法等の一部改正に伴い、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた。
- 自衛隊法 第78条命令による治安出動、本条の発動要件
- 自衛隊法 第81条都道府県知事の要請による治安出動
- 自衛隊法 第64条隊員の団結・争議行為等の禁止
- 自衛隊法 第119条平時等の同種行為の処罰(より軽い刑)
- 自衛隊法 第122条防衛出動時の加重処罰規定
- 刑法 第61条教唆犯の一般原則、独立教唆との対比
- 刑法 第62条幇助犯の一般原則との対比
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