自衛隊法 第79条(治安出動待機命令)
クイックジャンプ
- 防衛大臣は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による治安出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。
- 2.前項の場合においては、防衛大臣は、国家公安委員会と緊密な連絡を保つものとする。
この条文の基本情報
治安出動待機命令とは何ですか?
定義治安出動待機命令とは、自衛隊法第79条に定められた規定で、「防衛大臣は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による治安出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 自衛隊法第79条(治安出動待機命令)は、日本の自衛隊法に含まれる条文です。
- 自衛隊法第79条の条文原文は「防衛大臣は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による治安出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の…」で始まります。
- 自衛隊法第79条は第六章 自衛隊の行動に置かれています。
- 自衛隊法の公布日は昭和29年6月9日です。
- 自衛隊法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 自衛隊法第79条の前の条は自衛隊法第78条です。
- 自衛隊法第79条の次の条は自衛隊法第79条の2です。
- 自衛隊法第79条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第79条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000165 - 本サイト収録
自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第79条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/329AC0000000165/79
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点自衛隊法79条は、治安出動命令が予測される緊迫事態で、防衛大臣が首相の承認を得て部隊に出動待機命令を発せると定める。国会承認は不要で、国家公安委員会との緊密な連絡が求められる。
Q · 自衛隊に「出動待機命令」が出たら、もう自衛隊が街で権限を使えるの?
使えない。権限が生じるのは治安出動命令が出た後
自衛隊法79条の出動待機命令は、治安出動命令が予測される段階で、防衛大臣が内閣総理大臣の承認を得て部隊に準備態勢を取らせるものです。国会の承認は不要ですが、この段階の自衛官には、警察官職務執行法の準用(89条)や武器使用(90条)の権限はありません。これらの権限が生じるのは、内閣総理大臣が78条の治安出動命令を発した後であり、その場合は20日以内の国会付議が必要になります。
解説
自衛隊が治安維持のために街へ出るまでには、法律上いくつもの関門がある。その一つ手前にあるのが本条の「出動待機命令」だ。事態が緊迫し、内閣総理大臣による治安出動命令(78条)が出されそうだと見込まれる段階で、防衛大臣は首相の承認を得て、部隊に「いつでも動ける状態で待て」と命じることができる。押さえておくべき点は二つある。第一に、待機命令には国会の承認が要らない。第二に、待機中の部隊は、治安出動時に認められる権限(89条による警察官職務執行法の準用、つまり質問や立入りなどの警察的な権限)をまだ持っていない。したがって、待機命令のニュースが流れても、その時点では自衛官があなたに職務質問をしたり集会を解散させたりする法的根拠は生まれていない。さらに2項は、防衛大臣に国家公安委員会との緊密な連絡を義務づけている。治安を守る主役はあくまで警察であり、自衛隊は一般の警察力では足りない場合の最後の手段である。条文にはこの順番が刻まれている。
法的な位置づけ
出動待機命令(自衛隊法79条)とは、事態が緊迫し治安出動命令の発令が予測される場合に、防衛大臣が内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動に備えた待機を命じる命令である。発令に国会の承認は要せず、防衛大臣には国家公安委員会との緊密な連絡が求められる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.治安出動命令の有無を確認する 「待機命令」の報道に接したら、まず内閣総理大臣による治安出動命令(78条)がすでに出ているかを首相官邸・防衛省の公式発表で確認する。出ていなければ、自衛官に警察的権限は生じていない
- 2.段階を切り分けて情報を整理する 警察による対処、出動待機命令(79条)、治安出動命令(78条)のどの段階にあるかを整理する。SNS上の流言と公式発表を区別し、日時と出典をメモしておく
- 3.国会での統制状況を追う 治安出動命令が出た場合、20日以内に国会付議が行われる(78条2項)。衆議院・参議院の審議状況や会議録で、承認手続と首相承認の経緯に関する質疑を確認する
- 4.権限行使で損害を受けたら記録して相談する 治安出動後の権限行使で損害を受けた場合は、日時・場所・部隊・状況を写真やメモで記録し、国家賠償法1条に基づく請求や弁護士会への人権救済申立てを弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1治安出動待機命令とは?
治安出動命令が予測される緊迫事態で、防衛大臣が首相の承認を得て部隊に出動への備えを命じるものです。自衛隊法79条が根拠です。
Q2出動待機命令は誰が発令する?
防衛大臣です。ただし内閣総理大臣の承認が必要です。治安出動命令そのものを出すのは内閣総理大臣(78条)で、命令権者が段階ごとに分かれています。
Q3出動待機命令に国会の承認は必要?
不要です。79条は首相の承認のみを要件としています。国会の関与は、治安出動命令が出た後の20日以内の付議(78条2項)から始まります。
Q4治安出動 国会付議 いつまで?
内閣総理大臣は、治安出動を命じた日から20日以内に国会に付議し、承認を求めなければなりません(自衛隊法78条2項)。
Q5治安出動は過去に発令された?
制度ができて以来、治安出動は一度も発令されていません。1960年の安保闘争の際に政府内で検討されたと伝えられていますが、見送られました。
Q6待機中の自衛官は職務質問できる?
できません。警察官職務執行法を準用する権限(89条)が認められるのは治安出動時だけで、待機命令の段階では市民に対する法的権限はありません。
Q7出動待機命令に期間の定めはある?
79条に待機期間の定めはありません。期限の規定があるのは治安出動命令後の国会付議(20日以内)で、待機そのものは期限なく続く可能性があります。
Q8自衛官が待機命令に従わないとどうなる?
待機命令は上官の職務上の命令にあたり、隊員には服従義務があります(57条)。正当な理由なく従わなければ、懲戒処分(46条)の対象になり得ます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1待機命令が出たら、もう戒厳令みたいな状態なんですか?
違う。日本国憲法には戒厳の規定がなく、自衛官が警察的な権限(89条)や武器使用の権限(90条)を持つのは、78条の治安出動命令が出た後に限られる。待機命令は部隊内部の準備にとどまる。実務のポイント:治安出動は制度ができて以来一度も発令されていない。1960年の安保闘争時に検討されたと伝えられるが、見送られている
Q2なんで防衛大臣が国家公安委員会と連絡を取らないといけないの?
治安維持の第一の責任者は警察であり、治安出動の前提は「一般の警察力では治安を維持できない」場合(78条)だからである。指揮が二重になったり現場で衝突したりするのを防ぐため、2項で連絡を義務づけている。実務のポイント:条文上は「連絡」であって「同意」ではないため、公安委員会に拒否権はない。一方、79条の2の情報収集では「協議」が求められており、言葉の差がそのまま権限の差になっている(現行規定は要確認)
間違えやすい点 AI による整理
- 「待機命令が出た=戒厳令のような状態に入った」と受け取る人が多いが、実際は違う。日本国憲法には戒厳についての規定がそもそもない。待機命令は部隊の内部的な準備態勢を指示するものにすぎず、市民に対して強制力を行使する根拠にはならない
- 市民から見れば「待機」は単なる準備に見える。しかし隊員とその家族にとっては、即座に生活が拘束される命令である。運用上、休暇の取り止めや招集がかかることがあり、正当な理由なく応じなければ懲戒の対象になり得る。この温度差を知らないと、自衛官の家族が直面する現実は見えてこない
- 「結局、誰が自衛隊を街に出すのか」という問いの立て方自体がずれている。待機を命じるのは防衛大臣(首相の承認が必要)、出動を命じるのは内閣総理大臣、出動後に承認を与えるのは国会である。権限を三つの段階に分けていることこそが、文民統制(軍事を選挙で選ばれた政治がコントロールする仕組み)の設計そのものである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 命令の内容 | 79条:治安出動に備えた出動待機命令 | 78条:命令による治安出動 77条:防衛出動に備えた出動待機命令 |
| 命令権者 | 防衛大臣(内閣総理大臣の承認が必要) | 内閣総理大臣 防衛大臣(内閣総理大臣の承認が必要) |
| 国会の関与 | なし | 出動を命じた日から20日以内に国会付議 待機命令自体への国会承認の規定なし |
| 市民に対する権限 | なし(89条・90条の権限は未発生) | 89条(警職法準用)・90条(武器使用)の権限が生じる 治安維持目的の権限なし(対外防衛の準備) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では軍による国内治安維持の発動を戒厳の枠組みで規律しており、日本のような「待機命令」を独立させた段階的な規定は確認できない
韓国では大統領の戒厳宣布によって軍が国内治安維持に関与する。国会には戒厳解除を要求する権限がある
ドイツでは国内での軍の出動を基本法で厳格に限定しており、連邦議会または連邦参議院の要求があれば出動を中止しなければならない
米国では Posse Comitatus Act が軍の国内法執行を原則禁止し、Insurrection Act がその例外として大統領による軍の国内展開を認めている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 大規模な暴動が続く中、ニュースに「防衛大臣が出動待機命令」と流れたとする。翌朝の通勤中に、自衛官から所持品検査を求められることはあるのか? 待機の段階では、その権限はない。89条の権限が生まれるのは、内閣総理大臣の治安出動命令が出た後である
- あなたは陸上自衛官で、週末に帰省する予定だった。ところが部隊に出動待機命令が伝えられ、48時間以内に装備を整えて待機せよと指示された。隊員には上官の職務上の命令に従う義務(57条)があり、個人の予定より命令が優先される。まず家族への連絡手段を確保し、自分の任務の範囲を指揮系統で確認することが先決である
- ゼミで「待機命令に国会の承認は要るか」と聞かれた。答えは不要。国会の出番は、治安出動命令が出てから20日以内の付議で初めて回ってくる
取るべき行動
被害を受けた側:一般市民の場合。1. 待機命令の段階では、自衛官に質問や立入りといった法的権限はない。何かを求められても応じるかどうかは任意であることを落ち着いて確認する2. 治安出動後に権限行使によって損害を受けた場合は、日時・場所・部隊・状況を写真やメモで記録し、国家賠償法1条に基づいて国に賠償を請求する3. 違法な取扱いを受けたときは、弁護士会への人権救済申立ても選択肢になる
訴えられた側:命令を受けた隊員の場合。1. 待機命令は上官の職務上の命令(57条)であり、正当な理由なく従わなければ懲戒処分(46条)の対象になり得る2. 待機中は89条の権限がないため、市民への質問や制止を独自の判断で行わない。権限を超えた行為は個人責任を問われるおそれがある3. 任務の範囲に疑問があれば、指揮系統を通じて確認し、記録を残しておく
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。待機命令そのものにも期間の定めはない。治安出動命令が出された場合、内閣総理大臣は出動を命じた日から20日以内に国会に付議しなければならない(78条2項)。国家賠償の請求は国家賠償法4条により民法724条が適用され、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年)、不法行為の時から20年で消滅する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
警察補完性の理解:治安出動は「一般の警察力をもつては治安を維持することができない」場合に限られる(78条)。このため治安出動とその待機は警察力を補うための例外的手段と位置づけられ、79条2項の国家公安委員会との連絡もこの趣旨を反映していると理解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成18年(2006年)公布、平成19年(2007年)施行 防衛庁の省移行に伴い、命令権者の表記が「防衛庁長官」から「防衛大臣」に改められた(改正)。その他の改正履歴は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和29年(1954年) 新設:自衛隊法の制定に伴い、治安出動に先立つ出動待機命令の規定として設けられた。当初の命令権者は防衛庁長官
- 2.平成18年(2006年)公布、平成19年(2007年)施行 改正:防衛庁の省移行に伴い、命令権者の表記が「防衛庁長官」から「防衛大臣」に改められた
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める