売春防止法 第16条(刑の執行猶予の特例)
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第五条の罪を犯した者に対し、その罪のみについて拘禁刑の言渡しをするときは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十五条第二項ただし書の規定を適用しない。同法第五十四条第一項の規定により第五条の罪の刑によつて拘禁刑の言渡しをするときも、同様とする。
この条文の基本情報
刑の執行猶予の特例とは何ですか?
定義刑の執行猶予の特例とは、売春防止法第16条に定められた規定で、「第五条の罪を犯した者に対し、その罪のみについて拘禁刑の言渡しをするときは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十五条第二項ただし書の規定を適用しない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 売春防止法第16条(刑の執行猶予の特例)は、日本の売春防止法に含まれる条文です。
- 売春防止法第16条の条文原文は「第五条の罪を犯した者に対し、その罪のみについて拘禁刑の言渡しをするときは、刑法(明治四十年法律第四十五号)第二十五条第二項ただし書の規定を適用しない。」で始まります。
- 売春防止法第16条は第二章 刑事処分に置かれています。
- 売春防止法の公布日は昭和31年5月24日です。
- 売春防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 売春防止法第16条の前の条は売春防止法第15条です。
- 売春防止法第16条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第16条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000118 - 本サイト収録
売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第16条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/331AC0000000118/16
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点売春防止法16条は、5条の勧誘等罪のみで拘禁刑を言い渡す場合に、保護観察中の再犯への再度の執行猶予を禁じる刑法25条2項ただし書を適用しないと定める特例である。
Q · 保護観察付きの執行猶予中に客待ちでまた捕まったら、必ず実刑になるの?
5条の罪だけなら、再度の猶予の余地がある
通常、保護観察付き執行猶予の期間内に再び罪を犯した者には、刑法25条2項ただし書により再度の執行猶予は認められません。しかし売春防止法16条は、5条の勧誘等罪のみについて拘禁刑を言い渡す場合に、このただし書を適用しないと定めています。ただし猶予は裁判官の裁量であり、「情状に特に酌量すべきもの」を示す必要があります。他の罪と併合されれば特例は使えません。
解説
執行猶予には「二度目の壁」がある。保護観察付きの執行猶予期間中に再び罪を犯すと、原則として再度の執行猶予は受けられない(刑法25条2項ただし書)。売春防止法16条は、この壁を一つの罪についてだけ外している。路上や公園で客を誘う勧誘等罪(同法5条)である。保護観察中の人が客待ちで再び捕まっても、裁判官は再度の猶予を言い渡すことができる。こうした特例が置かれたのは、勧誘をする側を刑務所に送るより、保護と更生につなげる方を優先したからだ。勧誘する人の多くは、借金、DV、ホストへの依存、住まいの喪失などで追い詰められている。拘禁刑で社会から切り離せば、立ち直るための足場をさらに失う。ただし落とし穴が二つある。第一に、特例が効くのは5条の罪「のみ」で拘禁刑を言い渡す場合(観念的競合などで5条の刑が適用される場合を含む)に限られる。窃盗や薬物の罪と併合されれば、通常のルールに戻る。第二に、条文は猶予を「できる」と定めているだけで、必ず猶予されるわけではない。情状を立証できなければ、実刑になることは十分ありうる。
法的な位置づけ
売春防止法16条は、同法5条の勧誘等罪を犯した者に対し、その罪のみについて拘禁刑を言い渡す場合、保護観察付執行猶予の期間内に更に罪を犯した者への再度の執行猶予を禁じる刑法25条2項ただし書を適用しないと定める執行猶予の特例規定である。刑法54条1項により5条の罪の刑で処断する場合にも同様に適用される。
よくある質問 AI による整理
Q1売春防止法16条とは?
5条の勧誘等罪のみで拘禁刑を言い渡す場合に、保護観察中の再犯でも再度の執行猶予を可能にする特例です。刑法25条2項ただし書の適用を外します。
Q2執行猶予中に再犯したら必ず実刑ですか?
必ずではありません。保護観察付き猶予中の再犯は原則として再度の猶予が認められませんが、売春防止法5条の罪のみなら16条により例外が認められます。
Q3再度の執行猶予の条件は?
刑法25条2項により、一定以下の拘禁刑の言渡しであること、情状に特に酌量すべきものがあることが必要です。保護観察中の再犯は原則除外されます。
Q4売春防止法5条の罰則はどのくらい?
公衆の目に触れる方法での勧誘や客待ちなどが対象で、6月以下の拘禁刑又は1万円以下の罰金です。罰金で終わる事案もあります。
Q5立ちんぼで逮捕されたら前科はつく?
起訴されて有罪判決(罰金・執行猶予を含む)が確定すれば前科になります。不起訴で終われば前科はつきません。早期の弁護人選任が重要です。
Q6売春防止法違反と窃盗で起訴されたら特例は使える?
使えません。16条は5条の罪「のみ」について拘禁刑を言い渡す場合に限られます。他の罪と併合罪で処断されれば通常の猶予ルールに戻ります。
Q7売春防止法16条は今も有効?
現行条文として存置されています。2024年に補導処分は廃止されましたが、本条は拘禁刑への文言改正を経て残っています(最新の改正状況は e-Gov で要確認)。
Q8再度の執行猶予が認められやすい情状とは?
支援団体の受入れ確約、住まいの確保、借金整理の着手、家族の身元引受など、再犯を防ぐ具体的な環境が整っていることを示す第三者資料が重視されます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1保護観察中に客待ちで捕まりました。本当に刑務所に行かずに済む可能性があるんですか?
あります。通常は保護観察中の再犯について再度の猶予は認められませんが(刑法25条2項ただし書)、5条の罪だけで拘禁刑を言い渡す場合は、16条によってこの制限が外れます。ただし「情状に特に酌量すべきもの」が必要です(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:判決を分けるのは本人の反省の言葉よりも、支援団体の受入れ確約のような第三者の書面です
Q2一緒に客を紹介してた知人も捕まりました。その人にも同じ特例はありますか?
ありません。客を紹介する行為は周旋(6条)にあたり、16条の対象は5条の勧誘等罪に限られます。周旋は2年以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金で、通常の猶予ルールが適用されます。実務のポイント:取調べで「自分も紹介を手伝った」と話してしまうと、周旋罪が加わって特例が使えなくなるおそれがあります。供述は弁護人と相談してから行うべきです
Q3婦人補導院がなくなったのに、この条文はまだ意味があるんですか?
あります。補導処分は困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行(2024年4月)によって廃止されましたが、16条は残っており、刑法25条2項ただし書の適用を外す効果は維持されています(現行効力を要確認)。実務のポイント:補導処分が担っていた役割は、現在では女性相談支援センターなどの支援につなぐ形に置き換わっています。弁護人がそこにつながりを作れるかどうかで、量刑の結果が変わります
間違えやすい点 AI による整理
- 「猶予中にまた捕まったら、もう必ず実刑」と思われがちだが、5条の勧誘等罪だけなら、保護観察中であっても再度の執行猶予を言い渡す余地がある(16条)。家族があきらめて支援を打ち切ることこそが、実刑への最短ルートになる
- 特例があることは知っていても、その範囲がどれほど狭いかは知られていない。5条以外の罪(周旋の6条、場所提供の11条など)には適用されず、他の罪と併合して刑を言い渡される場合も対象外になる。売春防止法違反でありさえすれば甘くなる、という話ではない
- 「売る側を守る規定なのだから、売春そのものは合法だ」という理解は前提から誤っている。売春は3条で禁止されている。罰則がないだけである。16条は、禁止された行為に追い込まれた人を刑務所ではなく更生へ向かわせるための調整弁であり、行為を容認する規定ではない
- 猶予の要件は令和4年(2022年)の刑法改正で見直され、再度の猶予を言い渡せる刑の上限も変更された(最新の改正状況をご確認ください)。古い解説書の「1年以下」という記述を前提に判断すると、見通しを誤る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の性質 | 16条:刑法25条2項ただし書を外す執行猶予の特例 | 5条:勧誘等罪(6月以下の拘禁刑又は1万円以下の罰金) 6条:周旋等罪(2年以下の拘禁刑又は5万円以下の罰金) |
| 保護観察中の再犯への再度の猶予 | 5条の罪のみで拘禁刑を言い渡すなら可能(裁量) | 16条の特例の対象 特例の対象外、刑法25条2項ただし書が適用される |
| 他罪との関係 | 刑法54条1項で5条の刑により処断する場合も適用、併合罪は対象外 | 単独起訴かどうかが特例適用の分かれ目 5条と併せて起訴されれば特例は使えない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は性交易を行政罰(秩序罰)で扱い、自治体が専区を設ければ専区内は処罰しない枠組み。刑罰の執行猶予特例という発想ではなく、そもそも刑事罰の対象外としている点が日本と異なる
ドイツでは売春自体は合法で、禁止区域での反復的な売春のみを処罰する。猶予の一般規定(§ 56)で足り、個別の特例は置かれていない
フランスは2016年に勧誘(racolage)罪を廃止し、買春側を処罰する方式へ転換。売る側には離脱支援プログラムを用意しており、日本の16条が目指す保護優先をより徹底した形といえる
米国は州ごとに売春を犯罪とするが、多くの都市で diversion court(処遇裁判所)による刑罰回避と支援接続が運用されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 保護観察付き執行猶予中の20代女性が、大久保公園周辺で客待ちをして現行犯逮捕された。本人も家族も「猶予中の再犯だから今度こそ刑務所だ」と思い込んでいる。しかし5条の罪だけであれば、16条によって再度の猶予の道が残っている
- もし勧誘で捕まった日に、所持品から他人名義のカードが見つかり、窃盗や詐欺でも起訴されたらどうなるか? 5条の罪「のみ」についての言渡しではなくなるため、16条の特例は使えない。どの罪で起訴されるかが、刑務所に行くかどうかの分かれ目になる
- あなたは国選弁護人として選任され、第一回公判まで残り10日しかない。被告人は保護観察中である。16条で法律上の障害は外れるが、「情状に特に酌量すべきもの」がなければ再度の猶予にはならない。支援団体の受入れ確約書、住まいの確保、借金整理の着手。この三つを10日で揃えられるかどうかに懸かっている
- SNS で「立ちんぼは何度捕まっても執行猶予」と書かれた投稿を見た。誤りである。特例は猶予の可能性を残すだけだ
取るべき行動
被害を受けた側:本条の罪では典型的な被害者は想定されていないため、ここでは家族や支援者の立場で整理する。1. 逮捕後すぐに当番弁護士を呼び、被疑事実が5条だけかどうかを確認する2. 女性相談支援センターや民間支援団体に連絡し、釈放後の住まいと生活支援を確保する3. 身元引受書、支援計画書、借金整理の着手を示す資料を弁護人に渡す4. 本人を責めずに面会を続ける。家族の関わりそのものが情状になる
訴えられた側:1. 取調べでは弁護人と相談するまで黙秘権を使い、別罪につながりうる供述を避ける2. 起訴罪名が5条だけかどうかを弁護人に確認してもらう3. 保護観察中であっても16条によって再度の猶予を受ける余地があることを前提に、支援機関とのつながりを具体的に作る4. 判決に不服がある場合は14日以内に控訴する
時効(請求できる期限):勧誘等罪(5条、6月以下の拘禁刑又は1万円以下の罰金)の公訴時効は、行為の時から3年(刑事訴訟法250条2項6号)。判決に対する控訴の申立期間は判決宣告日の翌日から14日(刑事訴訟法373条)
改正沿革 AI による整理
- 昭和33年(1958年)頃 補導処分制度の導入にあわせて執行猶予の特例が設けられたとみられるが、新設時期と経緯は人による検証が必要
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正による懲役・禁錮の統合に伴い、「懲役」の文言が「拘禁刑」に改正された
- 令和6年(2024年4月1日)施行 困難な問題を抱える女性への支援に関する法律により補導処分(第3章)が廃止されたが、本条は存置された(要確認)
改正の年表
- 1.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部改正に伴う関係法律の整理により、「懲役」の文言が「拘禁刑」に改められた(令和7年6月1日施行)
- 2.令和6年(2024年) 改正:困難な問題を抱える女性への支援に関する法律の施行に伴い、補導処分に関する規定が廃止されたが、本条は存置された
- 売春防止法 第5条特例の対象となる勧誘等罪
- 売春防止法 第3条売春禁止の宣言規定(罰則なし)
- 売春防止法 第1条保護更生を掲げる目的規定
- 売春防止法 第6条周旋罪、本特例の対象外
- 刑法 第25条再度の執行猶予の制限を本条が排除
- 刑法 第54条観念的競合・牽連犯への特例の拡張
- 刑法 第26条猶予の必要的取消との関係(現行効力を要確認)
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