売春防止法 第9条(前貸等)
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売春をさせる目的で、前貸その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与した者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
この条文の基本情報
前貸等とは何ですか?
定義前貸等とは、売春防止法第9条に定められた規定で、「売春をさせる目的で、前貸その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与した者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 売春防止法第9条(前貸等)は、日本の売春防止法に含まれる条文です。
- 売春防止法第9条の条文原文は「売春をさせる目的で、前貸その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与した者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 売春防止法第9条は第二章 刑事処分に置かれています。
- 売春防止法の公布日は昭和31年5月24日です。
- 売春防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 売春防止法第9条の前の条は売春防止法第8条です。
- 売春防止法第9条の次の条は売春防止法第10条です。
- 売春防止法第9条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第9条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000118 - 本サイト収録
売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第9条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/331AC0000000118/9
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点売春防止法9条は、売春をさせる目的で前貸などにより人に金品等の財産上の利益を供与した者を、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処すると定める。
Q · 売春させるつもりでお金を貸しただけでも、本当に犯罪になるの?
はい。売春目的の前貸しは供与した時点で犯罪が成立します
売春防止法9条は、売春をさせる目的で前貸その他の方法により金品その他の財産上の利益を供与した者を、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処します。相手が実際に売春したかどうかは要件ではなく、目的を伴う供与があれば成立します。お金を受け取った側は本条では処罰されません。また、売春と一体になった前借金契約は民法90条により無効とされうると判断した最高裁判例があります。
解説
「借金は店で働いて返せばいい」。そう言って現金を渡した時点で、渡した側はすでに犯罪の成立ラインを越えている。売春防止法9条が処罰するのは、売春をさせる目的で、前貸(働き始める前にお金を貸し付けること)などの方法により金品その他の財産上の利益を与える行為そのものだ。相手が実際に売春したかどうかは問われない。お金が動き、その目的が売春にあれば、それだけで三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金の対象になる。お金を受け取った側は、本条では処罰されない。もう一つ、民事の側面も押さえておきたい。売春をさせることと一体になった前借金契約について、最高裁は公序良俗違反(民法90条、社会の基本的な秩序や道徳に反する契約は無効とする規定)として無効とし、貸した側は不法原因給付(民法708条、違法な目的で渡したお金は取り戻せないという規定)を理由に返還を請求できないと判断した(最判昭和30.10.7)。結論は事案ごとの判断になるが、「返せ」と迫られている借金が、法的には返す必要のないものである可能性がある。
法的な位置づけ
売春防止法9条は、前貸等の罪を定める規定であり、売春をさせる目的で、前貸その他の方法により人に金品その他の財産上の利益を供与する行為を処罰する。売春の強要や管理に先立つ段階の行為を独立に処罰の対象とするもので、法定刑は三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金である。
よくある質問 AI による整理
Q1売春防止法9条とは?
売春をさせる目的で、前貸などの方法により人にお金や財産上の利益を与える行為を処罰する規定です。法定刑は三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金です。
Q2前貸とはどういう意味ですか?
働き始める前に、将来の稼ぎで返済させる前提でお金を貸し付けることです。9条は前貸に限らず「その他の方法」による利益供与も対象にしています。
Q3売春防止法9条の罰則はどのくらい?
三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金です。2025年6月1日の刑法改正施行に伴い、「懲役」の表記が「拘禁刑」に改められました。
Q4売春防止法9条の時効は何年?
公訴時効は3年です(刑事訴訟法250条2項6号)。起算点は金品等の供与行為が終わった時とされます(同法253条1項)。
Q5お金を受け取った女性も売春防止法で罰せられる?
9条で処罰されるのは利益を供与した側だけで、受け取った側は本条の処罰対象ではありません。本条はむしろ受け取った人を守るための規定です。
Q6借用書があれば売春目的の貸付でも合法?
合法にはなりません。目的は借用書の文言ではなく、前後のメッセージ、紹介先の店の実態、返済方法の指定など客観的な事情から認定されます。
Q7借金を体で返せと言われたらどこに相談する?
弁護士、法テラス、各都道府県の女性相談支援センター、警察が相談先です。相手とのメッセージや送金記録を保存してから相談すると話が早く進みます。
Q8性交のない風俗店への紹介目的の貸付も9条違反?
9条の「売春」は対償を受けて不特定の相手方と性交することを指すため、原則として対象外です。職業安定法63条や風営法など別の法律が問題になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1前借りしたお金って、店を辞めても返さなきゃいけないんですか?
売春をさせることと一体になった前借金は、民法90条により無効とされ、貸した側は708条を理由に返還を請求できないとした最高裁判例があります(最判昭和30.10.7)。結論は事案ごとの判断です。実務のポイント:この主張は「まだ返していない分」でこそ力を発揮します。焦って少しずつ返し始める前に、相談するのが鉄則です
Q2お金を貸しただけで、相手はまだ一回も働いてないのに逮捕されるんですか?
されえます。9条は売春をさせる目的で金品を供与した時点で成立する犯罪で、実際に売春が行われたことは要件ではありません。実務のポイント:捜査では借用書の体裁より、貸付前後の LINE、紹介先の店の実態、「どこで返すか」の指定が目的を示す材料として重視されます。書類だけ整えても防御にはなりにくいのが実情です
Q3ホストの売掛を返すために店を紹介されたんですが、これも9条ですか?
金品の立替や寮費の負担などの利益供与があり、紹介先が性交を伴う売春の場であれば9条が問題になりえます。ただし売掛そのものが本条の「供与」に当たるかは事案次第で、実務では周旋(6条)、売春をさせる契約(10条)、改正風営法などで処理されることも多いです(最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:「どの条文か」は警察と弁護士が考えることです。あなたがやるべきは証拠の保存です
間違えやすい点 AI による整理
- 「風俗で働けと言われた=売春の強要だから9条違反」という問いの立て方そのものがずれている。売春防止法2条の「売春」は、対償を受けて不特定の相手方と性交することを指す。性交を伴わない性風俗店での勤務を求めた場合は、本条ではなく職業安定法63条や風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律など、別の法律で争うことになる。どの条文で攻めるかを最初に見誤ると、警察への相談も空振りに終わる
- 「お金を貸すのは自由」という感覚は正しい。見落とされているのは、その自由が目的一つで刑事事件に変わるという深刻さだ。貸付の時点で「売春をさせる目的」があったかどうかは、借用書の文言ではなく、前後のやり取り、紹介先の店の実態、返済方法の指定から認定される。「普通の貸し借り」と書面を整えても、LINE の一文で目的は透けて見える
- 受け取った側は「自分もお金を受け取ったのだから同罪だ」と考え、警察に行けずにいる。法律の見方は正反対で、本条が守ろうとしているのはまさにその受け取った人であり、本条で処罰される立場にはない。本人の罪悪感と法的評価のこのズレが、被害を何年も長引かせている
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 売防法9条:売春をさせる目的での前貸等による金品等の供与 | 売防法10条:人に売春をさせることを内容とする契約の締結 売防法12条:指定場所に居住させて売春をさせることを業とする(管理売春) |
| 法定刑 | 三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金 | 三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金 十年以下の拘禁刑及び三十万円以下の罰金 |
| 搾取のどの段階か | 入口段階(お金を渡して縛る) | 約束段階(売春させる契約をする) 最終段階(継続的に管理して利益を得る) |
| 実際の売春は必要か | 不要。目的を伴う供与で成立 | 不要。契約の締結で成立 必要。売春をさせることを業とする実態が要る |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は「債務約束」を利用して人を性交易に従事させる行為を人身取引の一類型として処罰する。日本のように前貸行為そのものを独立の罪とする構造とは異なる
韓国は性売買をさせる者が取得した債権を法律上無効と明文で定め、民事上の無効を判例ではなく立法で確保している
ドイツは売春自体を合法としつつ、経済的困窮等につけ込んで売春に引き込む行為を強制売春として処罰する
米国連邦法は債務による拘束(debt bondage)を人身取引・ペオネージの文脈で重く処罰する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- ホストクラブで売掛が300万円に膨らんだ。担当から「この子の店なら月100万いける、紹介料は俺が立て替えとく」と言われ、寮の敷金と当面の生活費20万円を渡された。お金を受け取ったあなたは処罰対象ではない。立て替えた担当の側が、売春をさせる目的での利益の供与として9条の射程に入りうる
- あなたはスカウトとして、地方から上京する女性の新幹線代と家具代30万円を「前借り」の形で出した。勤務先は本番行為が常態化している店。本人がまだ一日も出勤していなくても、目的が売春であれば供与した時点で犯罪は成立する。「まだ何もさせていない」は弁解にならない
- もし友人が「借金は体で返せばいい」と言われ、すでに50万円を受け取ってしまっていたら、どうなる? 友人を罰する条文は本条にはない。罰の矛先は貸した側に向く。そして、その50万円の返済義務自体が民法90条で否定される余地がある
- 返済期日まであと3日。払えなければ指定の店で働けと LINE で言われている。そのトーク画面が、相手の「目的」を立証する最有力の証拠になる。消す前にスクショとバックアップを取ること
- 海外から呼び寄せた女性の渡航費と宿泊費を立て替え、「店で働いて返済」という約束をさせた。目的が売春であれば9条の問題になり、さらに職業安定法や入管法上の問題とも絡み合う
取るべき行動
被害を受けた側:1. 相手からのメッセージ、借用書、送金記録、店の名前と所在地をすべて保存する。消される前にスクショとクラウドに二重保存2. 返済は一旦止め、弁護士、法テラス、各都道府県の女性相談支援センターに相談する3. 警察には「売春をさせる目的で前貸を受けた」と、日時と金額を時系列で整理して伝える4. 返還を請求されたら、民法90条・708条に基づく無効と返還拒否を、書面で弁護士を通じて主張する
訴えられた側:1. 取調べの前に弁護人を選任し、供述は弁護人と相談してから行う2. 争点は「売春をさせる目的」の有無。貸付の経緯、紹介先の実態、返済方法の指定について、客観資料に基づき事実関係を整理する3. 目的が否定できない事案では、相手方への債権放棄の意思表示と被害回復が処分や量刑の情状として重要になる4. 職業安定法違反、管理売春(12条)など、より重い罪への切り替えの可能性も弁護人と事前に検討する
時効(請求できる期限):9条の罪の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号、長期5年未満の拘禁刑にあたる罪)。起算点は金品等の供与行為が終わった時(同法253条1項)。相手が民事で前貸金の返還を求めてくる場合、一般の債権の消滅時効(民法166条、知った時から5年または行使できる時から10年)が問題になる
学説
一般的理解:本条は売春の強要や管理といった実害に先立ち、債務による拘束の入口となる利益供与を独立に処罰する前段階処罰規定と理解される。処罰範囲は「売春をさせる目的」という主観要件によって限定される
改正沿革 AI による整理
- 昭和31年(1956年)制定 売春防止法の制定により、前貸等による売春への誘引を処罰する規定として設けられた(罰則規定の施行は昭和33年)
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法改正に伴う関係法律の整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた
改正の年表
- 1.昭和31年(1956年) 新設:売春防止法の制定により、売春をさせる目的での前貸等による利益供与を処罰する規定として設けられた(罰則規定の施行は昭和33年)
- 2.令和4年(2022年) 改正:刑法改正に伴う関係法律の整理により、法定刑の「懲役」が「拘禁刑」に改められた(2025年6月1日施行)
- 売春防止法 第2条「売春」の定義、本条の目的要件の基礎
- 売春防止法 第7条困惑等による売春、強要段階の処罰
- 売春防止法 第10条売春をさせる契約、契約段階の処罰
- 売春防止法 第12条管理売春、搾取の最終段階の重罰
- 労働基準法 第17条前借金と賃金の相殺禁止、同根の規制
- 職業安定法 第63条有害業務目的の職業紹介等の処罰
- 民法 第90条前借金契約の公序良俗違反による無効
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