売春防止法 第7条(困惑等による売春)
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- 人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。
- 2.人を脅迫し、又は人に暴行を加えてこれに売春をさせた者は、三年以下の拘禁刑又は三年以下の拘禁刑及び十万円以下の罰金に処する。
- 3.前二項の未遂罪は、罰する。
この条文の基本情報
困惑等による売春とは何ですか?
定義困惑等による売春とは、売春防止法第7条に定められた規定で、「人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 売春防止法第7条(困惑等による売春)は、日本の売春防止法に含まれる条文です。
- 売春防止法第7条の条文原文は「人を欺き、若しくは困惑させてこれに売春をさせ、又は親族関係による影響力を利用して人に売春をさせた者は、三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処する。」で始まります。
- 売春防止法第7条は第二章 刑事処分に置かれています。
- 売春防止法の公布日は昭和31年5月24日です。
- 売春防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年4月5日時点では廃止情報はありません。
- 売春防止法第7条の前の条は売春防止法第6条です。
- 売春防止法第7条の次の条は売春防止法第8条です。
- 売春防止法第7条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第7条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/331AC0000000118 - 本サイト収録
売春防止法(昭和三十一年法律第百十八号)第7条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年4月5日)https://lawplayer.com/jp/article/331AC0000000118/7
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点売春防止法7条は、だまし・困惑・親族の影響力で人に売春をさせた者を三年以下の拘禁刑等に処す。暴行・脅迫なら罰金のみは不可で、未遂も罰する。
Q · だまされたり借金で追い詰められたりして売春をさせられた場合、罰されるのは誰?
罰されるのは売春をさせた側で、売春をした本人ではない
売春防止法3条は売春を禁止していますが、売春をした本人への罰則はありません。7条1項は、人を欺き、困惑させ、又は親族関係による影響力を利用して売春をさせた者を三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金に処します。暴行・脅迫を用いた場合は2項により罰金だけで済む選択肢がなくなり、3項により未遂も処罰されます。
解説
売春防止法3条は売春を禁止しているが、売春をした本人を罰する規定は置いていない。刑罰が向かう先は、人を売春へ追い込んだ側である。7条はその中心の規定で、手段を三つ挙げている。一つ目は欺くこと(「高収入のラウンジ接客」と偽って連れてくるなど)。二つ目は困惑させること(借金や住む場所を失う不安で追い詰め、自由に判断できない状態にする)。三つ目は親族関係による影響力を利用すること(親や配偶者という断りにくい立場を使う)。この1項の法定刑は三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金である。暴行や脅迫まで使えば2項となり、罰金だけで済ませる選択肢がなくなる。さらに3項は未遂も罰するので、実際に売春が行われたかどうかで結論は決まらない。「最後は本人も納得していた」という言い訳も、その納得がだましや追い詰めによって作られたものなら通用しない。「自分にも落ち度があるから誰にも言えない」と黙っているなら、法律の考え方はむしろ逆だと知っておいてほしい。
法的な位置づけ
売春防止法第7条は困惑等による売春の罪を定める刑罰規定である。欺罔、困惑、親族関係による影響力の利用により人に売春をさせる行為を1項で、暴行又は脅迫により売春をさせる行為を2項で処罰し、3項で両者の未遂を処罰する。処罰対象は売春をした者ではなく、売春をさせた者である。
よくある質問 AI による整理
Q1困惑等による売春とは何ですか?
人をだまし、困惑させ、又は親族関係の影響力を使って売春をさせる犯罪です。売春防止法7条が定め、暴行・脅迫による場合も含みます。
Q2売春防止法7条の刑罰は何年ですか?
1項は三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金です。2項(暴行・脅迫)は三年以下の拘禁刑、又は拘禁刑と罰金の併科で、罰金のみはありません。
Q3売春が実際に行われなくても罪になりますか?
なります。7条3項が1項・2項の未遂を罰するため、売春をさせようと手段に着手した段階で処罰の対象になりえます。
Q4「困惑させる」とはどんな状態ですか?
借金や住居を失う不安などで追い詰め、自由に判断できない心理状態にすることを指します。殴る・脅すまでいかなくても該当しえます。
Q5恋人に頼まれて応じた場合も7条の対象?
単なるお願いなら直ちには該当しません。ただし別れ話や暴力をにおわせて断れなくした場合は困惑や脅迫に当たり、7条の対象になりえます。
Q6売春防止法7条の罪の時効はいつまで?
公訴時効は犯罪行為の終了から3年です(刑訴法250条2項6号)。対償の収受を伴い8条1項が成立すれば5年になります。
Q7性交のない風俗店勤務の強要も7条違反?
7条の「売春」は対償を受けて不特定の相手と性交することに限られます。性交を伴わない勤務の強要は強要罪や職業安定法など別の規定で争います。
Q8売春をさせられた被害はどこに相談できる?
警察相談専用電話 #9110、各都道府県の女性相談支援センター、法テラスなどです。18歳未満なら児童相談所(189)にも連絡できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1借金を返すために自分から風俗に行ったことにされてるんですけど、私も罪になるんですか?
売春防止法は3条で売春を禁止しているが、売春をした本人への罰則はない。ただし、人目につく場所で客待ちや勧誘をすると5条(勧誘等)で処罰されうるので、そこは区別が要る。追い込んだ側の行為は7条で処罰される。実務のポイント:捜査機関は「自発的だったか」を、本人の言葉よりも借金の経緯や連絡の記録で判断する。本人が「自分で決めた」と言い張るほど、加害者が得をする
Q2ホストの売掛って、払わなくていいケースもあるんですか?
売掛金は基本的に飲食代金の請求なので、当然に無効になるわけではない。ただし、売春をさせることを前提に組まれた貸付は、9条(前貸等)や10条(売春をさせる契約)の問題になり、民法90条の公序良俗違反で無効とされる余地がある。どこまで無効になるかは実務上、解釈が分かれている。実務のポイント:前借金と売春をさせる契約が一体になっている場合に、返還請求を認めなかった最判昭和30.10.7がある。返済を始める前に相談するのが鉄則
Q3親に頼まれて断れなかった場合でも、親が処罰されるんですか?
親族関係による影響力を利用して売春をさせた場合は、暴行や脅迫がなくても7条1項の対象になる。親族には配偶者も含まれる(民法725条)。子が18歳未満なら、児童福祉法34条1項6号の「児童に淫行をさせる行為」として、さらに重い刑が問題になる。実務のポイント:家族間の事件では被害者が告訴をためらいがちだが、7条は親告罪ではない。警察が事実を把握すれば、告訴がなくても捜査は進みうる
間違えやすい点 AI による整理
- 「最後は自分で同意したのだから、自分は被害者ではない」という考え方は、問いの立て方そのものがずれている。7条は、表向きは本人が応じた形をとっていても成立する犯罪である。問題にすべきなのは同意したかどうかではない。同意するまでの過程に、だましや追い詰めがあったかどうかである
- ホストに風俗店で働かされたら、すべて7条で処罰されると思われがちだが、そうではない。2条の「売春」は「対償を受け、又は受ける約束で、不特定の相手方と性交すること」に限られる。性交を伴わない性風俗店での勤務は7条の対象外で、風営法、職業安定法、刑法の強要罪など別の規定で争うことになる
- 暴行や脅迫が加わると罪が重くなることは知られていても、どこまで重くなるかはあまり知られていない。2項の上限は1項と同じ三年だが、罰金だけで済む道はない。さらに売春の対償(客が支払う代金)を受け取ったり要求したりしていれば、8条1項で五年以下の拘禁刑及び二十万円以下の罰金になる。相手が18歳未満なら児童福祉法の問題となり、十年以下の拘禁刑まで視野に入る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 処罰される行為 | 売春防止法7条:欺罔・困惑・親族の影響力・暴行・脅迫により人に売春をさせる | 売春防止法8条1項:7条1項・2項の罪を犯し、売春の対償を収受・要求・約束する 売春防止法12条:自己が管理する場所等に居住させて売春をさせることを業とする(管理売春) |
| 法定刑 | 1項:三年以下の拘禁刑又は十万円以下の罰金/2項:三年以下の拘禁刑(罰金併科あり、罰金単独なし) | 五年以下の拘禁刑及び二十万円以下の罰金(必要的併科) 十年以下の拘禁刑及び三十万円以下の罰金 |
| 処罰の焦点 | 意思決定をゆがめる手段の悪質さ(未遂も処罰) | 手段に加えて売春の対価から利益を得ること 生活の場を支配した継続的・業態的な搾取 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は営利目的での引誘・媒介(231条)と、強暴・脅迫等による場合(231条の1)を段階的に処罰する。売春者本人の処罰は社会秩序維護法の問題として別に扱われる
韓国は強要・あっせん者を重く処罰しつつ、強要された者を「성매매피해자」として処罰対象から外す。売買春そのものも処罰対象とする点で日本と異なる
ドイツは売春自体を合法としたうえで、困窮や無力さに乗じた売春の強制を Zwangsprostitution として処罰する。弱い立場の利用を処罰根拠とする点で日本の「困惑」と近い
連邦法は force, fraud, or coercion による商業的性行為の強制を人身取引として重く処罰する。未成年が対象の場合は手段を問わない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 職場の先輩に「時給の高いラウンジ」と紹介された店で、初日に「客と寝るのが仕事」と告げられた。寮費と交通費の借りを理由に帰してもらえない。こうなったらどうなるのか。偽りの紹介は「欺く」に当たりうる。借りを使った縛りは「困惑させる」に当たりうる。7条1項に当たる手段が二つ重なっている
- 交際相手の借金を一緒に返すつもりで、「少しの間だけ客を取ってほしい」と頼んだとする。相手が断れないと分かっていながら、別れ話や暴力をにおわせたなら、それはもう頼み事ではない。7条2項の脅迫に近づいている。結局一人も客がつかなかったとしても、3項の未遂罪は残る
- 20歳の娘が、母親から「家計のため」と夜の仕事で客を取るよう迫られている。殴られていなくても、親族関係による影響力の利用として7条1項に当たりうる。
- ホストクラブの担当から「月末までに売掛300万円。無理なら紹介する店で働け」と LINE が届いた。月末まであと5日しかない。返済を一円でも始める前に、トーク履歴を消さずに保存し、警察相談専用電話 #9110か女性相談支援センターに連絡してほしい。そのスクショが、追い詰められた経緯を示すほぼ唯一の証拠になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. LINE・DM・借用書・店の求人画面など、だまされた経緯や借金で縛られた経緯が分かる記録を消さずに保存する2. 警察相談専用電話 #9110に相談する。女性であれば各都道府県の女性相談支援センターにも相談でき、住む場所の確保も含めて支援を受けられる3. 借金を盾にされているなら返済を止め、法テラスか弁護士に前借金の無効(民法90条)を相談する4. 18歳未満なら児童相談所(189)にも連絡できる
訴えられた側:1. 取調べの前に弁護人を依頼する。当番弁護士は初回無料で呼べる2. 「本人が自分で選んだ」という主張は、借金の経緯、連絡の内容、お金の流れによって崩されやすい。対償を受け取っていたかどうかで8条1項が適用されるかが分かれるので、事実を正確に弁護人に伝える3. 被害者に直接連絡したり口止めしたりすると、証拠隠滅とみられて身柄拘束が長引く。示談交渉は必ず弁護人を通す
時効(請求できる期限):7条の罪は法定刑の上限が拘禁刑3年なので、公訴時効は犯罪行為が終わった時から3年(刑事訴訟法250条2項6号)。8条1項(上限5年)が成立すれば5年(同項5号)。民事の損害賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体を害する場合は5年)、行為の時から20年で消滅する(民法724条、724条の2)
学説
保護法益をめぐる議論:売春防止法の罪の保護法益を、社会の善良な性風俗とみる社会的法益説と、売春をさせられる者の性的自由・人格の尊厳とみる個人的法益説が対立する。7条は手段による意思決定のゆがみを要件とするため、個人的法益の保護を重視する読み方と親和的である。
改正沿革 AI による整理
- 令和4年(2022年)公布、令和7年(2025年6月1日)施行 刑法等の一部改正に伴い、1項・2項の「懲役」が「拘禁刑」に改められた。罰金額の過去の改正経緯は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和31年(1956年) 新設:売春防止法(昭和31年法律第118号)の制定により、困惑等による売春の罪として新設
- 2.令和4年(2022年) 改正:刑法等の一部を改正する法律に伴い、1項・2項の「懲役」を「拘禁刑」に改正(令和7年6月1日施行)
- 売春防止法 第2条売春の定義、性交への限定
- 売春防止法 第3条売春の禁止宣言、本人への罰則なし
- 売春防止法 第8条対償収受による加重処罰
- 売春防止法 第10条売春をさせる契約の処罰
- 売春防止法 第12条管理売春、より重い業態型処罰
- 児童福祉法 第34条18歳未満への淫行させる行為の禁止
- 刑法 第226条の2人身売買罪、より重い別類型
- 職業安定法 第63条有害業務目的の職業紹介等の処罰
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