国民健康保険法 第75条の3
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都道府県は、広域的又は医療に関する専門的な見地から、当該都道府県内の市町村による保険給付の適正な実施を確保し、国民健康保険保険給付費等交付金を適正に交付するため、厚生労働省令で定めるところにより、当該都道府県内の市町村に対し、保険医療機関等が第四十五条第四項(第五十二条第六項、第五十二条の二第三項及び第五十三条第三項において準用する場合を含む。)の規定により行つた請求及び指定訪問看護事業者が第五十四条の二第九項の規定により行つた請求その他の当該市町村による保険給付の審査及び支払に係る情報(当該市町村が、その保険給付に関する事務を国民健康保険団体連合会又は支払基金に委託した場合(次条において「事務委託の場合」という。)にあつては、当該委託された事務に関し、国民健康保険団体連合会又は支払基金が保有する情報を含む。)の提供を求めることができる。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 国民健康保険法第75条の3は、日本の国民健康保険法に含まれる条文です。
- 国民健康保険法第75条の3の条文原文は「都道府県は、広域的又は医療に関する専門的な見地から、当該都道府県内の市町村による保険給付の適正な実施を確保し、国民健康保険保険給付費等交付金を適正に交付するため…」で始まります。
- 国民健康保険法第75条の3は第五章に置かれています。
- 国民健康保険法の公布日は昭和33年12月27日です。
- 国民健康保険法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月5日時点では廃止情報はありません。
- 国民健康保険法第75条の3の前の条は国民健康保険法第75条の2です。
- 国民健康保険法第75条の3の次の条は国民健康保険法第75条の4です。
- 国民健康保険法第75条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第75条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/333AC0000000192 - 本サイト収録
国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第75条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月5日)https://lawplayer.com/jp/article/333AC0000000192/75_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点国民健康保険法75条の3は、都道府県が市町村に対し保険給付の審査及び支払に係る情報の提供を求められると定める。市町村が国保連や支払基金に委託した場合、委託先の保有情報も対象となる。
Q · 自分の診療記録(レセプト)は、市役所から都道府県にも渡っているんですか?
渡ります。本人の同意は要件ではありません
国民健康保険法75条の3により、都道府県は市町村に対し、保険医療機関等が行った診療報酬請求や保険給付の審査・支払に係る情報の提供を求めることができます。市町村が国民健康保険団体連合会や支払基金に審査支払事務を委託している場合、その委託先が保有する情報も対象です。目的は条文上、市町村の保険給付の適正な実施の確保と、国民健康保険保険給付費等交付金の適正な交付の二つに限定されています。被保険者の同意は要件とされていません。
解説
国民健康保険は市役所の窓口で完結するものだと、多くの人は今もそう思っている。だが2018年4月、財政運営の責任主体は都道府県に移った。75条の3が都道府県に与えたのは、市町村に対して「保険医療機関が出した診療報酬請求(レセプト)と、その審査・支払に関する情報を出せ」と求める権限である。しかも市町村が審査支払を国民健康保険団体連合会や支払基金に委託している場合、その委託先が保有する情報まで射程に入ると条文自身が明記している。つまり、あなたがどのクリニックで何の検査を受け、いくら請求されたかという記録は、市役所の中で止まっていない。条文が挙げる目的は二つ、市町村の保険給付が適正かの確認と、国民健康保険保険給付費等交付金の適正な交付である。そしてその同じデータ基盤の上に、市町村ごとの医療費水準を織り込んだ納付金と標準保険料率の設計が乗っている。あなたの通院履歴は、統計の一粒として来年度のあなたの負担額に返ってくる。
法的な位置づけ
国民健康保険法75条の3は、都道府県による情報提供の求めを定める規定である。都道府県は、市町村の保険給付の適正な実施の確保と国民健康保険保険給付費等交付金の適正な交付のため、厚生労働省令で定めるところにより、市町村に対し保険給付の審査及び支払に係る情報の提供を求めることができる。事務委託の場合は委託先が保有する情報も対象となる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.医療費のお知らせを捨てずに照合する 届いた医療費のお知らせを保管し、通院日・医療機関名・金額を手帳やカード明細と突き合わせる。覚えのない診療があればその行に印をつける
- 2.保険者にレセプト開示請求を出す 市町村の国保担当窓口で、個人情報の保護に関する法律76条に基づく本人分の開示請求書を提出する。対象期間と医療機関を特定すると処理が早い。手数料と処理期間は自治体の定めによる
- 3.「国保連にあるから出せない」への切り返し 窓口で委託先を理由に断られた場合、75条の3が事務委託の場合における国民健康保険団体連合会・支払基金の保有情報も対象に含めている旨を示し、保有主体と開示手続の所管を明確にしてもらう
- 4.開示結果を検証し、不服なら審査請求 開示されたレセプトの傷病名・実施内容・通院日を自分の記憶と照合する。不正使用や請求誤りが疑われれば保険者に申告。開示決定等に不服があれば、処分を知った日の翌日から3か月以内に審査請求を行う(行政不服審査法18条)
よくある質問 AI による整理
Q1国民健康保険法75条の3とは何ですか?
都道府県が市町村に対し、保険給付の審査・支払に係る情報の提供を求められると定める規定です。市町村の給付の適正な実施確保と、保険給付費等交付金の適正な交付が目的です。
Q2レセプト開示請求はどこに出しますか?
保険者である市町村(国保)の窓口に、個人情報の保護に関する法律76条に基づく開示請求を出します。本人分は原則開示で、手数料は自治体の定めによります。
Q3国保のレセプトはいつまで保存されていますか?
保険医療機関側は診療録5年、その他の帳簿書類は完結の日から3年です(保険医療機関及び保険医療養担当規則9条)。保険者側の保存期間は自治体の文書管理規程によります。
Q4国保の医療費は都道府県に見られていますか?
審査・支払に係る情報として都道府県が市町村に提供を求めることができます。2018年4月から都道府県が財政運営の責任主体となったことが背景です。
Q5国民健康保険団体連合会とは何をする組織ですか?
市町村から委託を受けて診療報酬請求の審査と支払を行う団体です。75条の3は、この委託先が保有する情報も都道府県の求めの対象に含めています。
Q6身に覚えのない診療が医療費のお知らせに載っていたらどうする?
まず通院日・医療機関名を自分の記録と照合し、市町村の国保担当にレセプト開示請求を出します。保険証の不正使用が疑われる場合は再交付相談と警察相談を同時に行います。
Q7国民健康保険保険給付費等交付金とは何ですか?
都道府県が市町村の保険給付費等に充てるために交付する交付金です。75条の3の情報提供の求めは、この交付金を適正に交付することを目的の一つとしています。
Q8国保料が市町村ごとに違うのはなぜですか?
都道府県が市町村ごとの医療費水準等を踏まえて納付金と標準保険料率を設計するためです。その基礎データの一つが本条の情報の流れにあたります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1自分のレセプトって、見せてもらえるものなんですか?
見せてもらえる。保険者である市町村・都道府県に対し、個人情報の保護に関する法律76条の開示請求ができ、本人分は原則開示である。実務のポイント:病院にカルテ開示を求めると数千円から数万円と時間がかかるが、レセプトなら傷病名・実施内容・通院日が一覧で出てくる。医療事件の当たりを付ける下調べにこれを使う弁護士は多いが、患者側に先に教える者は少ない
Q2県に医療情報を渡すのを、本人が拒否することはできますか?
できない。75条の3の求めは市町村と委託先に向けられ、被保険者の同意は要件になっていない。ただし目的は条文に限定列挙されており、取得後の目的外利用・提供は個人情報の保護に関する法律69条で制約される。実務のポイント:拒否の道は閉じているが、開示請求で自分の記録の中身を確認し、開示決定に不服なら審査請求まで持ち込む道は開いている。制度を止めるのではなく、中を覗く側に回る
Q3レセプトの病名を大まかに書いておくと、後で何か言われますか?
言われる可能性がある。レセプト病名と実施内容の不整合は返戻・査定の入口であり、傾向として続けば指導対象の選定材料になり得る。指導・監査の権限自体は地方厚生局側にあるが、保険者側の情報が端緒になる構造は75条の3で強まった。実務のポイント:帳簿書類の保存義務は3年、診療録は5年(保険医療機関及び保険医療養担当規則9条)。返還を求められる場面で自院の記録が先に消えていると、反論の材料がゼロになる
間違えやすい点 AI による整理
- 「県に自分の医療情報を渡されるのを拒否できないか」という問いの立て方がそもそも噛み合っていない。75条の3の求めは市町村(および委託先)に向けられており、被保険者の同意を要件としていない。あなたが実際に動かせるのは提供の可否ではなく、渡っている自分の記録の中身を開示請求で確認する側の入口である
- レセプトが保険者に見られていること自体は、知っている人も多い。読めていないのは深刻度だ。レセプトに並ぶのは傷病名、投薬、検査、通院日である。精神科の通院も、不妊治療も、依存症の治療も、そこに書かれる。統計に丸められる前の状態で組織の間を移動している
- 市町村が審査支払を国保連に委託しているのだから市町村の手元にデータはない、だから県にも渡らない、という理解は条文に負ける。75条の3は括弧書きで委託先の保有情報を明示的に取り込んだ。委託は情報の壁にならない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 求める相手 | 75条の3:都道府県 → 市町村(委託先の保有情報も対象) | 75条の4:事務委託の場合に委託先へ直接求める 64条:第三者行為求償のための資料把握 |
| 目的 | 市町村の保険給付の適正な実施の確保+交付金の適正な交付 | 同じ目的を委託先ルートで実現 損害賠償請求権の代位行使の金額根拠 |
| 本人同意 | 要件とされていない | 要件とされていない 要件とされていない |
| 本人が動かせる入口 | 個人情報保護法76条の開示請求で内容を確認 | 保有主体を特定してから開示手続へ 求償額の根拠となる診療内容の確認 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は単一保険者(衛生福利部中央健康保険署)が全国のレセプトを直接保有する。日本のような保険者間の情報提供の求めという構造自体が不要になっている点が対照的
韓国も単一保険者(국민건강보험공단)制で、公団が医療機関等に直接資料提供を求める構造。本人同意を要件としない点は日本と共通
ドイツは疾病金庫が社会データを処理できる目的を法定列挙する方式。目的限定という手法は日本の75条の3と発想が近いが、列挙がより細密
米国は Medicaid につき州が連邦へ給付データを提出する構造。加えて HIPAA が医療情報の利用・提供を横断的に規律する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、届いた医療費のお知らせに行ったことのないクリニックの名前が並んでいたら? 保険証の不正使用か請求側の入力ミスかを分けるには、保険者に対する自分のレセプト開示請求が要る。急ぐ理由もある。保険医療機関の帳簿書類の保存義務は完結の日から3年、診療録は5年(保険医療機関及び保険医療養担当規則9条)で、放置すれば照合相手の記録から先に消えていく
- あなたがクリニックの医事を任されていて、ある月から国保の返戻と査定が急に増えた。国保連の審査結果だけを眺めていると原因が読めない。都道府県が市町村を横断して同じ情報を集められる立場になったという構図を先に知っていれば、個別の返戻に反論する前に、レセプト病名と実施内容の整合を診療科ごとに洗い直す方が早いと判断できる
- 市役所の国保窓口で「詳しいデータはうちにはない、国保連の話だ」と言われて引き返す。75条の3は委託先が保有する情報も求めの対象に含めている。窓口の一言が制度の限界ではないと分かるだけで、次の一手が変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 医療費のお知らせを捨てずに保管し、通院日・医療機関名・金額を自分の記録と照合する2. 覚えのない診療があれば、市町村の国保担当に自分のレセプトの開示請求(個人情報の保護に関する法律76条)を出す。本人分は原則開示で、手数料は自治体の定めによる3. 保険証の不正使用の疑いがあれば、再交付・記号番号変更の相談と警察への相談を同時に4. 窓口で「国保連にあるから出せない」と言われたら、75条の3が委託先の保有情報も対象にしている点を示す
訴えられた側:1. 返戻・査定・返還の話が来たら、まず根拠データの期間と対象項目を特定させる。争点を絞ってから反論する2. 自院のレセプト控えと診療録を突き合わせ、レセプト病名と実施内容の整合を確認3. 保存義務は診療録5年、その他の帳簿書類3年(保険医療機関及び保険医療養担当規則9条)。争点になり得る症例は期間経過後も保管4. 個別指導の通知が来たら、保険診療の指導・監査の経験がある弁護士に帯同を相談する
時効(請求できる期限):75条の3自体に期限の定めはない。実務で効く期間は別条にある。保険料等を徴収する権利および保険給付を受ける権利の時効は2年(国民健康保険法110条)、保険医療機関の帳簿書類の保存は完結の日から3年・診療録は5年(保険医療機関及び保険医療養担当規則9条)、開示決定等への審査請求は処分を知った日の翌日から3か月(行政不服審査法18条)。起算点はいずれも「知った日」ではなく各条の定めに従う(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
- 平成27年(2015年)国民健康保険法等改正、平成30年(2018年)4月施行 都道府県を国民健康保険の財政運営の責任主体とする制度改革に伴い新設された条文と解される。都道府県が交付金を適正に交付し、市町村の保険給付の適正な実施を確保するための情報収集権として位置付けられた。なお条文中の支払基金への言及が当初からのものか後の改正で追加されたものかは、官報および改正附則による人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成27年(2015年)成立・平成30年(2018年)4月施行 新設:都道府県を国民健康保険の財政運営の責任主体とする制度改革に伴い新設された条文と解される。条文中の支払基金への言及が当初からのものか後の改正によるものかは、官報及び改正附則による検証が必要
- 国民健康保険法 第3条都道府県と市町村が保険者となる基本構造
- 国民健康保険法 第45条本条が対象とする診療報酬請求の根拠規定
- 国民健康保険法 第54条の2指定訪問看護事業者の請求の根拠規定
- 国民健康保険法 第75条の2本条の目的である交付金の交付根拠
- 国民健康保険法 第75条の4事務委託の場合に委託先へ直接求める規定
- 国民健康保険法 第64条第三者行為に対する求償の資料基盤となる
- 個人情報の保護に関する法律 第69条取得後の目的外利用・提供を制限する一般法
- 高齢者の医療の確保に関する法律 第9条都道府県医療費適正化計画による並行的データ活用
- 社会保険診療報酬支払基金法 第1条情報保有主体である支払基金の設置根拠
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