特許法 第184条の7(日本語特許出願に係る条約第十九条に基づく補正)
クイックジャンプ
- 日本語特許出願の出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならない。
- 2.前項の規定により補正書の写しが提出されたときは、その補正書の写しにより、願書に添付した特許請求の範囲について第十七条の二第一項の規定による補正がされたものとみなす。ただし、条約第二十条の規定に基づき前項に規定する期間内に補正書が特許庁に送達されたときは、その補正書により、補正がされたものとみなす。
- 3.第一項に規定する期間内に日本語特許出願の出願人により同項に規定する手続がされなかつたときは、条約第十九条(1)の規定に基づく補正は、されなかつたものとみなす。ただし、前項ただし書に規定するときは、この限りでない。
この条文の基本情報
日本語特許出願に係る条約第十九条に基づく補正とは何ですか?
定義日本語特許出願に係る条約第十九条に基づく補正とは、特許法第184条の7に定められた規定で、「日本語特許出願の出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第184条の7(日本語特許出願に係る条約第十九条に基づく補正)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第184条の7の条文原文は「日本語特許出願の出願人は、条約第十九条(1)の規定に基づく補正をしたときは、国内処理基準時の属する日までに、同条(1)の規定に基づき提出された補正書の写しを特許…」で始まります。
- 特許法第184条の7は第九章に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第184条の7の前の条は特許法第184条の6です。
- 特許法第184条の7の次の条は特許法第184条の8です。
- 特許法第184条の7には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第184条の7 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第184条の7(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/184_7
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法184条の7は、PCT条約19条補正をした出願人に、国内処理基準時の属する日までに補正書の写しの特許庁提出を義務づける。怠れば補正はされなかったものとみなされる。
Q · PCTで条約19条の補正をしたら、日本でも自動でそのクレームで審査されるの?
違う。写しを国内処理基準時までに出さないと補正は消える
特許法184条の7により、日本語特許出願の出願人は条約19条補正をした場合、補正書の写しを国内処理基準時の属する日までに特許庁長官へ提出しなければなりません。提出があれば第17条の2の補正とみなされます(第2項)。期間内に提出がなければ、その補正はされなかったものとみなされ、追完もできません(第3項)。ただし条約20条により国際事務局から特許庁へ補正書が期間内に送達されていれば、自分で出さなくても補正は効きます(第2項ただし書)。
解説
PCT国際出願を出して、国際調査報告を見てから請求の範囲(クレーム)を条約第十九条に基づいて補正した。これで日本でも自動的に補正後のクレームで審査される、と思い込んでいないか。違う。日本語特許出願の場合、その補正書の写しを国内処理基準時の属する日までに自分から特許庁長官へ提出しなければ、その補正は日本では「されなかったもの」とみなされる(第三項)。国際段階で正しく補正していても、国内移行のときに写しの提出を忘れた瞬間、クレームは補正前の元の状態に戻る。元のクレームに先行技術との抵触があってわざわざ補正で逃げたのなら、その逃げ道が消えて拒絶理由が復活する。ただし救済もある。条約第二十条に基づき国際事務局からその期間内に補正書が特許庁へ送達されていれば、自分で出さなくても補正は効く(第二項ただし書)。この「自分で出す義務」と「自動で届く例外」の境目を知っているかどうかが、権利範囲を左右する。
法的な位置づけ
特許法184条の7は、PCT国際出願における条約第19条(1)の補正の国内的取扱いを定める規定である。日本語特許出願の出願人は、国内処理基準時の属する日までに当該補正書の写しを特許庁長官に提出しなければならず、提出があれば第17条の2第1項の補正とみなされる。期間内に提出がなければ、当該補正はされなかったものとみなされる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.国内処理基準時の属する日を最初に特定 国内移行を決めたら、まず国内処理基準時の属する日を特定してカレンダーに固定する。原則は国内書面提出期間の満了時、その期間内に審査請求するときはその請求の時。これが補正書の写しの提出期限となる
- 2.条約19条補正の有無と内容を確認 国際調査報告を受けて条約19条(1)に基づくクレーム補正をしたかを確認する。補正しているなら、国際段階で提出した補正書の写しを準備する
- 3.補正書の写しを特許庁長官へ提出 国内処理基準時の属する日までに、条約19条(1)に基づき提出した補正書の写しを特許庁長官へ提出する(第1項)。提出があれば第17条の2第1項の補正とみなされる(第2項)
- 4.条約20条の送達到達も並行確認 国際事務局から特許庁へ条約20条に基づき補正書が期間内に送達されているかも確認する。届いていれば自分で写しを出さなくても補正は効く(第2項ただし書)が、送達の確実性に頼らず自分で提出するのが事故防止の鉄則
- 5.34条補正がある場合は184条の8も同時処理 国際予備審査段階で条約34条補正をしている場合は、184条の8に基づく写し提出も同時に行う。19条だけ気にして34条を忘れると予備審査での補正が日本で消える
- 6.期限に間に合わないなら17条の2の自発補正へ切替 写しの提出が国内処理基準時に間に合わないと判断したら、184条の7のみなし規定に固執せず、第17条の2の自発補正で同じ内容を国内手続として打ち直す方が確実な場面がある
よくある質問 AI による整理
Q1国内処理基準時とは何ですか?
PCT出願の国内移行手続で補正等の期限を画する基準時です。原則は国内書面提出期間の満了時ですが、その期間内に出願審査請求をするときはその請求の時とされます。
Q2PCTの国内移行で条約19条補正はいつまでに出す?
国内処理基準時の属する日までです(184条の7第1項)。この日を過ぎると補正はされなかったものとみなされ、追完できません(第3項)。
Q3条約19条補正の写しを提出しないとどうなりますか?
その補正はされなかったものとみなされます(第3項)。出願自体は生きますが、審査は補正前の元のクレームで進み、回避したはずの先行技術に再びぶつかる恐れがあります。
Q4特許法184条の7と184条の8の違いは何ですか?
184条の7は条約19条補正(国際調査報告後)、184条の8は条約34条補正(国際予備審査段階)の写し提出を定めます。二つは別ルートで別々に管理が必要です。
Q5PCT国際出願を日本へ移行する手続の流れは?
国内書面の提出、翻訳文の提出、手数料納付、審査請求などを行い、19条・34条補正があればその写しも国内処理基準時の属する日までに提出します。
Q6条約20条の送達とは何ですか?
国際事務局から指定官庁(特許庁)へ書類が送られる制度です。19条補正書がこれで期間内に特許庁へ届けば、出願人が自分で写しを出さなくても補正は効きます(184条の7第2項ただし書)。
Q719条補正の写し提出を忘れたら追完できますか?
184条の7のルートでは追完できません(第3項)。ただし出願は生きているので、通常の国内手続で第17条の2の自発補正として同じ内容を打ち直せる場面が多くあります。
Q8国際特許出願でクレーム補正の写しを出し忘れたら出願は無効?
無効にはなりません。消えるのは19条補正だけで、補正前のクレームで審査は続きます。守るべきは出願ではなく補正で獲得したクレームの形です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1PCT出願で十九条補正したのに、また日本で写しを出さないといけないんですか?二度手間では?
二度手間に見えても必要です。百八十四条の七第一項は、日本語特許出願の出願人に対し、国内処理基準時の属する日までに補正書の写しを特許庁長官へ提出する義務を課しています。出さなければ第三項で補正はされなかったものとみなされます。実務のポイント:例外として条約二十条で国際事務局から特許庁へ補正書が期間内に送達されれば自動で効きますが(第二項ただし書)、その送達が期間内に確実に届く保証はありません。実務では『二十条送達に頼らず自分で写しを出す』のが事故を防ぐ鉄則です
Q2写しの提出を忘れて期限を過ぎたら、もう補正は復活できないんですか?
百八十四条の七のルートでは復活できません。第三項で十九条補正はされなかったものとみなされ、追完もできません。ただし出願自体は生きており、補正前のクレームで審査は続きます。実務のポイント:失った補正内容は、通常の国内審査手続の中で十七条の二の自発補正として打ち直せる場面が多いのです。『十九条補正のみなし』という便利な経路を失うだけで、補正そのものができなくなるわけではない。期限徒過に気付いたら、パニックにならず国内補正の打てるタイミングを代理人と確認するのが正解です
間違えやすい点 AI による整理
- 「PCTで一度補正すれば全指定国に自動で効く」と思いがちだが、日本では指定官庁への写しの提出という能動的行為が別途必要になる。出さなければ国内では補正なしとして扱われ、補正前のクレームで審査が進む
- 百八十四条の七の存在は知っていても、その『期限を一日でも過ぎたら追完不可(第三項)』という厳しさを軽く見ている人が多い。翻訳文や手数料の不備のように後から直せると誤解していると、クレームが元に戻ったまま審査が進行する
- 「写しを出し忘れたら出願自体が無効になるのでは」と心配する人がいるが、問いの立て方が違う。出願は生きている。死ぬのは十九条補正だけで、補正前のクレームで審査は続く。本当に守るべきは出願ではなく『補正で獲得したクレームの形』である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる補正 | 184条の7:条約19条補正(国際調査報告後のクレーム補正) | 184条の8:条約34条補正(国際予備審査段階の補正) 17条の2:国内手続における自発補正・応答補正 |
| 提出期限 | 国内処理基準時の属する日まで | 国内処理基準時の属する日まで(同構造) 審査手続の所定の時期(拒絶理由通知への応答期間等) |
| 怠った場合の効果 | 補正はされなかったものとみなす(追完不可・第3項) | 補正はされなかったものとみなす(追完不可) 所定期間内なら打ち直し可能な場面が多い |
| 自動救済 | 条約20条の送達が期間内に届けば効く(第2項ただし書) | 条約36条等の送達による対応規定あり 自動救済の枠組みなし(自ら手続) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は特許協力条約の締約国ではないため、条約19条補正の国内的取扱いに直接対応する規定は存在しない。台湾への出願はパリ条約優先権を用いた個別出願で行われる
韓国もPCT締約国として国際特許出願の国内段階進入と条約19条補正の取扱いを国内法で定めており、翻訳文・補正書の提出を国内段階で要求する構造は日本と類似する
ドイツはPCTおよび欧州特許条約(EPC)の枠組みで国際出願を処理する。EPO経由の欧州段階と各国段階が併存し、日本の単一官庁構造とは制度設計が異なる
米国はPCT国内移行を35 U.S.C. §371で規律し、条約19条・34条補正の取扱いを連邦規則で定める。国内移行期限(優先日から30か月)の管理が実務上の要点となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 国際調査報告で先行技術を指摘され、条約十九条でクレームを限定補正した。これで安心していないか。国内移行手続で補正書の写しを国内処理基準時の属する日までに出さなければ、日本の審査官が見るのは補正前の広いクレームだ。せっかく回避したはずの先行技術にぶつかって拒絶される
- 国内移行の準備中、国内処理基準時の属する日まで残りわずか。十九条補正の写しがまだ出ていない。この日を過ぎれば補正は『されなかったもの』とみなされ、後からの追完はできない。今日中に提出するか、別途十七条の二の自発補正を打つかの二択を今夜迫られている
- 競合他社のPCT出願を国内移行段階で監視している。十九条補正の写し提出が漏れていれば、登録されるのは補正前の弱いクレームだ。相手の権利範囲を読み切る突破口になる。
取るべき行動
被害を受けた側:1. 国内移行を決めたら最初に国内処理基準時の属する日を特定し、その日を提出期限としてカレンダーに固定2. 十九条補正をしているなら、条約十九条に基づき提出した補正書の写しをその日までに特許庁長官へ提出(第一項) 3. 並行して条約二十条の送達が国際事務局から特許庁に届いているかも確認、届いていれば自分の提出がなくても補正は効く(第二項ただし書) 4. 三十四条補正がある場合は百八十四条の八の写し提出も同時に処理する
訴えられた側:1. 国内処理基準時を過ぎてしまったら十九条補正は『されなかったもの』とみなされる(第三項)、ただし条約二十条の送達が期間内に届いていなかったかを即確認2. 補正が消えても出願自体は有効、補正前のクレームで審査は継続する3. 失われた補正内容は通常の国内手続の中で十七条の二の自発補正として打ち直せる場面が多い、拒絶理由通知への応答期間などを活用4. 再発防止に移行手続のダブルチェック体制を組む
時効(請求できる期限):提出期限は国内処理基準時の属する日まで(第一項)。国内処理基準時は原則として国内書面提出期間が満了する時、ただしその期間内に出願審査の請求をするときはその請求の時(百八十四条の四関連、最新の改正状況をご確認ください)。この日を過ぎると追完はできず、補正はされなかったものとみなされる(第三項)
学説
通説:184条の7の写し提出義務は、国際事務局からの送達(条約20条)が確実に届く保証がないことを前提に、国内審査の対象クレームを確定させるための手続要件と解される。期間徒過による『されなかったものとみなす』効果は厳格で追完を認めないが、出願自体は失効せず補正前クレームで審査が継続する点に争いはない。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和53年(1978年) 新設:日本の特許協力条約(PCT)加入に伴い、国際特許出願の国内実施規定(184条の3以下)の一環として、条約19条補正の写し提出に関する本条が整備された。
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