要点特許法87条は、特許庁長官が不実施の裁定をしたとき裁定の謄本を当事者らに送達すべきことを定める。当事者に謄本が送達されると、裁定の内容どおり協議が成立したものとみなされる。
Q · 特許庁から裁定の謄本が届いたら、もうライセンスを拒否できないの?
同意がなくても、謄本の送達で協議成立とみなされます
特許法87条2項により、当事者に通常実施権設定の裁定謄本が送達された時点で、裁定で定めた内容どおり当事者間に協議が成立したものとみなされます。あなたのサインや同意の意思表示は不要です。ライセンスの存在そのものは争えず、争えるのは対価の額であり、しかも送達日から6か月以内に訴えを起こす必要があります(特許法183条・184条)。
あなたの会社が長年使わずに塩漬けにしてきた特許がある。ある日、競合がその特許を「3年以上使われていない」として特許庁長官に裁定を請求し、長官が通常実施権を設定する裁定(役所が下す行政上の決定)を出した。87条は、その裁定の謄本(正式な写し)が誰にどう届くかを定める地味な条文に見える。だが本当の爆発力は2項にある。当事者に謄本が送達された瞬間、裁定で定めた内容どおりに「当事者間で協議が成立したものとみなす」のだ。つまり、あなたが一度も合意した覚えのないライセンス契約が、書類が届いた事実だけで成立扱いになる。さらにこの送達日が、対価の額に不服を申し立てる出訴期間6か月(特許法184条)の起算点になる。郵便受けに入った一通の謄本が、あなたの特許の運命と、反論できる残り時間の両方を同時に動かし始める。
特許法87条は、特許庁長官が不実施を理由とする通常実施権設定の裁定をした際の、裁定謄本の送達手続と、その送達による協議成立の擬制を定める規定である。第1項は当事者・登録権利者・意見を述べた通常実施権者への送達を、第2項は送達による当事者間の協議成立の擬制を規律する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
原則拒否できません。特許法87条2項により、謄本が送達された時点で裁定の内容どおり協議が成立したものとみなされ、同意の意思表示は不要だからです。
特許権者が実施を拒む場合などに、第三者が特許庁長官の裁定により通常実施権の設定を受けられる制度です。特許法83条以下が根拠で、87条が送達と成立擬制を定めます。
裁定謄本の送達日から6か月以内に、対価の額の増減を求める訴えを提起できます(特許法183条・184条)。期間を過ぎると金額を争えなくなります。
裁定で通常実施権の設定を受けた者は、特許法88条により対価を支払うか供託しなければ実施できません。裁定で定めた期限までの履行が必要です。
3年以上適当に実施されていない特許は裁定請求の対象になり得ます(特許法83条)。ただし実務上、不実施を理由に裁定が下された例は日本でほぼありません。
当事者のほか、その特許に関し登録した権利を有する者(質権者など)、特許法84条の2により意見を述べた通常実施権者にも送達されます(87条1項)。
送達日が協議成立擬制の発生時点であり、同時に対価の額を争う出訴期間6か月の起算点になります(87条・184条)。すべての時計の起点です。
手続違反や要件欠缺があれば行政事件訴訟による取消しを検討できます。ただし対価の額は特許法183条の専用の訴えで争う仕組みです。
原則として拒否できません。特許法87条2項により、当事者に謄本が送達された時点で、裁定で定めた内容どおり当事者間に協議が成立したものとみなされます。あなたの同意は要件ではありません。争えるのはライセンスの存在ではなく対価の額です。業界裏話ヒント:拒否を考えるより、対価の額の訴え(183条、184条)の6か月の期限を真っ先にカレンダーに入れること。多くの権利者は「不当だ」と憤って動かないまま6か月を空費し、是正の道を自分で閉じてしまう
理論上はそうです。3年以上適当に実施されていない特許は、実施希望者が協議を求め、不調なら特許庁長官の裁定を請求できます(特許法83条)。ただし実務上、不実施を理由とする裁定が実際に下された例は日本でほぼありません。業界裏話ヒント:制度は抜き身の刀というより抑止力として機能しています。相手がこの制度を持ち出してきても直ちに焦る必要はなく、まず協議でどこまで妥協を引き出せるかが本当の勝負どころ。発動の威嚇と実際の発動は別物だと知っているだけで、交渉での冷静さが違う
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 87条:裁定謄本の送達と協議成立の擬制 | — |
| 作動する場面 | 裁定が下され、謄本が送達された時点 | — |
| 主な効果 | 送達により協議成立を擬制、時計が起動 | — |
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