特許法 第86条(裁定の方式)
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- 第八十三条第二項の裁定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。
- 2.通常実施権を設定すべき旨の裁定においては、次に掲げる事項を定めなければならない。
- 一通常実施権を設定すべき範囲
- 二対価の額並びにその支払の方法及び時期
この条文の基本情報
裁定の方式とは何ですか?
定義裁定の方式とは、特許法第86条に定められた規定で、「第八十三条第二項の裁定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第86条(裁定の方式)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第86条の条文原文は「第八十三条第二項の裁定は、文書をもつて行い、かつ、理由を附さなければならない。」で始まります。
- 特許法第86条は第一節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第86条の前の条は特許法第85条です。
- 特許法第86条の次の条は特許法第87条です。
- 特許法第86条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第86条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第86条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/86
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法86条は、不実施特許の裁定を文書かつ理由付きで行うことを求め、通常実施権を設定する裁定では実施権の範囲・対価の額・支払方法及び時期を明記しなければならないと定める。
Q · 特許の裁定って、どんな形で出されるの?内容に文句は言える?
文書で理由を付け、範囲・対価・支払方法を明記して出されます
特許法86条により、第83条2項の裁定は文書で行い、必ず理由を附さなければなりません。通常実施権を設定する裁定では、実施できる範囲、対価の額、その支払の方法と時期を明記します。理由のない裁定や範囲が曖昧な裁定は、後に争える穴を抱えます。対価の額に不服があれば、実施権の設定は維持したまま対価部分だけを訴訟で争えます(特許法183条)。
解説
あなたの会社が事業化したい技術がある。だがその基本特許を握る大企業は、3年以上それを一切製品化せず、ライセンス交渉にも『売る気はない』の一点張り。八方塞がりに見えるが、日本の特許制度には風穴がある。特許法83条は、不実施が続く特許について経済産業大臣に『裁定』を申し立て、強制的に通常実施権を設定してもらう道を用意している。そして86条は、その裁定という許可証の書式を定める条文だ。裁定は必ず文書で行い、理由を付さなければならない。さらに、実施できる範囲、対価の額、その支払方法と時期まで明記される。なぜこれが効くのか。理由のない裁定、範囲が曖昧な裁定は、後で争える穴を抱えているからだ。特許権者にとっても申立人にとっても、この一条が勝負の土俵を決める。
法的な位置づけ
特許法86条は、第83条2項の裁定(不実施特許に対する通常実施権設定の裁定)の方式を定める規定である。裁定は文書により行い、かつ理由を附すことを要する。通常実施権を設定すべき裁定においては、その範囲、対価の額並びに支払の方法及び時期を定めなければならない。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.対象特許が3年以上不実施かを確認 特許公報や製品調査から、対象特許が継続して3年以上、日本国内で正当な理由なく実施されていないかを確認する。実施の事実がある場合は裁定請求が難しくなるため、まずこの前提を固める
- 2.特許権者に協議を書面で申し入れ、不成立を記録化 特許権者に対し通常実施権の許諾について協議を書面で正式に申し入れ、その拒否や不成立を証拠として残す(特許法83条)。決裂したまさにその瞬間を記録化しておくほど、裁定段階で有利に立てる
- 3.経済産業大臣に裁定を請求 協議不成立後、経済産業大臣に裁定を請求する。希望する通常実施権の範囲と対価案を明記し、不実施の事実と協議経過を疎明する資料を添付する
- 4.裁定書を受領し86条2項の要件を点検、対価不服なら183条を検討 裁定の謄本(87条により送達)を受け取ったら、理由の記載・実施権の範囲・対価の額・支払方法及び時期の4点が揃っているかを点検する。対価に不服があれば、実施権の設定は維持したまま対価部分のみを訴え(特許法183条)で争う
よくある質問 AI による整理
Q1特許の裁定とは何ですか?
不実施などを理由に経済産業大臣が通常実施権を強制的に設定する行政処分です。特許法83条が根拠で、その方式を86条が定めます。
Q2特許法86条は何を定めていますか?
裁定を文書かつ理由付きで行うこと、通常実施権を設定する裁定では実施権の範囲・対価の額・支払方法及び時期を明記することを定めています。
Q3裁定書に理由が書かれていないとどうなりますか?
86条1項は理由の附記を義務付けます。理由不備の裁定は取消しを求める行政訴訟の足場になり、手続のやり直しを迫れます。
Q4特許の不実施は何年で裁定を申し立てられますか?
特許法83条により、原則として継続して3年以上実施されていない場合に、協議不成立を経て裁定を請求できます。
Q5裁定で決まった対価を払わないとどうなりますか?
対価の供託(88条)や、不払いによる裁定の失効(89条)の手続が進みます。単なる紙ではなく執行可能な決定です。
Q6裁定書はいつ当事者に届きますか?
裁定は謄本が当事者に送達されます(特許法87条)。送達を受けた日が対価不服の訴えの出訴期間の起算点になります。
Q7特許の強制実施権はどうやって申し立てますか?
まず83条の協議を書面で申し入れ、不成立を記録化した上で、経済産業大臣に希望する範囲と対価案を明記して裁定を請求します。
Q8行政手続法の理由提示と特許法86条はどう違いますか?
行政手続法14条が不利益処分の理由提示の一般法で、特許法86条はその特則として裁定特有の記載事項を上乗せします。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許を持ってるだけで使ってないと、本当に他人に勝手に使われちゃうんですか?
『勝手に』ではありません。3年以上の不実施があり、協議が不成立で、経済産業大臣の裁定が下りて初めて通常実施権が設定されます(特許法83条、86条)。対価も支払われます。実務のポイント:実は日本でこの裁定が実際に下りた例は極めて少なく、ほとんどは申立てをちらつかせること自体が交渉カードとして機能します。制度の存在を知っているだけで、ライセンス交渉のテーブルの空気が変わる
Q2裁定で決まった対価が安すぎる場合、もう泣き寝入りですか?
いいえ。対価の額に不服がある者は、裁定による実施権の設定そのものは維持したまま、対価の部分だけを訴訟で争えます(特許法183条)。裁判所が相当な額を定め直します。実務のポイント:実施権の設定と対価は切り離して争えるのが肝です。全部不服だから全面戦争、ではなく、確定させる部分と争う部分を分ける方が時間も費用も節約できる。この分離発想を知らないと、無駄に総力戦を仕掛けてしまう
間違えやすい点 AI による整理
- 『特許を持っていれば、使うか使わないかは完全に自分の自由』と思っている特許権者は多い。だが問いの立て方が間違っている。日本の特許制度は発明の実施による産業の発達を目的としており、長期の不実施は他人があなたの独占を崩す正当事由になりうる。持つ自由はあっても、無条件に塩漬けにする自由ではない
- 裁定で通常実施権が設定されることは知っていても、その重さを見落としている人がいる。対価は86条2項で文書化され、不払いなら供託(88条)や裁定の失効(89条)の手続が動く。単なる紙ではなく、金銭債権と実施権を生む執行可能な決定である
- 『裁定が出たら丸ごと従うしかない』と思われがちだが、対価の額に不服があれば、その部分だけを訴訟で争える(特許法183条)。実施権の設定自体は受け入れつつ、金額だけ裁判所で争い直すという分離戦略が可能だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 86条:裁定の方式(文書性・理由・記載事項) | 83条:裁定の根拠(不実施への通常実施権設定) 183条:対価の額に不服がある者の訴え |
| 当事者が確認する点 | 文書性・理由の記載・実施権の範囲・対価の額と支払方法及び時期 | 3年以上の不実施・協議不成立という請求要件 裁定で定められた対価の額への不服の有無 |
| 争い方 | 形式・理由不備を突いて裁定の取消しを争う(行政訴訟) | 答弁書(84条)で実施の事実や正当理由を主張 実施権の設定は維持し対価部分のみを訴訟で争う |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も不実施等を理由に主務官庁が強制授權を認める制度を持ち、補償金の定めがある点で日本の裁定・対価と機能的に近い
韓国も特許庁長による재정(裁定)で通常実施権を設定する制度を有し、対価の定めを含む点で日本と類似
ドイツは連邦特許裁判所の判決による強制実施権付与制度をとり、行政庁の裁定型ではなく司法型である点が日本と異なる
米国は一般的な不実施を理由とする強制実施権を持たず、連邦資金による発明への march-in 等の限定的制度にとどまる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたのスタートアップが、ある製造技術を製品化したい。だが基本特許を握る大手は5年間その技術を一切事業化せず、ライセンス交渉も門前払い。ここで83条の裁定申立てが武器になる。裁定が下りれば、86条により実施範囲と対価が文書で確定し、あなたは合法的にその技術を使える
- あなたが特許権者で、他社から裁定の申立てを受けた。経済産業大臣から届いた裁定書に理由が書かれていない、あるいは対価の算定根拠が示されていない。これは86条1項違反であり、裁定の取消しを争う足場になる
- もし裁定書が届いて、決められた対価の額に納得できなかったら? 対価だけを争う訴えは別ルート(特許法183条)に乗る。出訴期間内に動かなければ、不満を抱えたまま金額が確定する
取るべき行動
被害を受けた側:1. 対象特許が継続して3年以上不実施かを公開情報や製品調査で確認2. 特許権者に書面で通常実施権の協議を申し入れ、拒否や不成立を記録化(83条) 3. 協議不成立後、経済産業大臣に裁定を請求し、希望する実施範囲と対価案を明記4. 裁定書受領後、86条2項の範囲・対価・支払条件を点検し、対価に不服なら183条の訴えを検討する
訴えられた側:1. 裁定請求を受けたら答弁書(84条)で実施の事実や不実施の正当理由を主張2. 裁定書が届いたら86条1項の形式要件、文書性と理由附記を点検し、不備があれば取消事由として確保3. 対価が低すぎると考えるなら183条で対価部分のみを争う4. 設定された実施権の範囲が請求を超えていないか確認し、超過なら争点化する
時効(請求できる期限):裁定で定められた対価の額に不服がある場合は、裁定の謄本の送達後、所定の出訴期間内に訴えを提起する必要がある(特許法183条)。形式不備等を理由とする裁定の取消しを求める場合は行政事件訴訟法の出訴期間(原則として処分があったことを知った日から6か月)に服する。(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:86条の理由附記と記載事項の要求は、行政手続法14条の不利益処分の理由提示の特則と位置づけられる。特許権という財産権を強制的に制約する処分の正当性と予測可能性を、形式の厳格さによって担保する趣旨と解される。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行特許法(昭和34年法律第121号)の制定により、不実施の場合の裁定制度の一環として、裁定の方式(文書性・理由附記・記載事項)が定められた。
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