要点特許法 85 条は、特許庁長官が不実施を理由とする裁定をする前に審議会等の意見を聴くべきことと、特許権者に正当な理由があれば裁定できないことを定める規定である。
Q · 使ってない特許を『こっちに使わせろ』と国に申し立てたら、本当に通るの?
制度はあるが、正当な理由の壁でほぼ認められない
特許法 83 条は不実施を理由とする裁定(国の判断で通常実施権を設定する制度)を用意していますが、85 条が二重の鍵をかけています。1 項で特許庁長官は裁定前に政令で定める審議会等の意見を聴く義務を負い、2 項で特許権者に実施が適当にされていない正当な理由があれば裁定をできません。研究開発の継続、市場の未成熟、輸入による需要充足などはすべて正当な理由になりえます。結果として、日本で不実施を理由に強制実施権が認められた例はほぼ存在しません。
競合他社が押さえた特許が、あなたの新製品の前に立ちふさがっている。調べてみると、その特許は登録から何年も眠ったまま、誰も使っていない。「使ってないなら、こっちに使わせろと国に申し立てられるはずだ」。特許法83条はたしかにその道(裁定実施権、つまり国の裁定で強制的に通常実施権を得る制度)を用意している。だが85条が、その道に二重の鍵をかけている。第一の鍵は、特許庁長官が裁定を下す前に、政令で定める審議会の意見を必ず聴かなければならないこと(1項)。第二の鍵は、特許権者に「使っていないことの正当な理由」があれば、長官は裁定を下せないこと(2項)。研究開発の継続中、市場の未成熟、輸入で需要を満たしている、これらはすべて正当な理由になりうる。結果として、日本で不実施を理由に強制実施権が認められた例は、ほぼ存在しない。条文があること、と、使えること、はまるで別の話だ。
特許法 85 条は、不実施を理由とする裁定実施権(同法 83 条)の手続的・実体的制約を定める規定である。特許庁長官は裁定をする前に政令で定める審議会等の意見を聴く義務を負い、また特許権者に実施が適当にされていないことの正当な理由があるときは裁定をすることができない。前者は手続のブレーキ、後者は実体のブレーキとして機能する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
特許権者の意思に反し、国の判断で通常実施権を設定する制度です。特許法 83 条が不実施を理由とする裁定を用意していますが、85 条の制約で実際にはほぼ認められません。
国家行政組織法 8 条に規定する機関で、政令で指定されたものです。特許庁長官は不実施を理由とする裁定をする前に、この審議会等の意見を必ず聴かなければなりません。
研究開発の継続中、市場の未成熟、輸入で需要を満たしているなど、実施していないことを正当化する事由です。これがあると特許庁長官は裁定をできません(85 条 2 項)。
まず特許権者と協議し(協議前置)、不調のとき特許庁長官に裁定を請求します(83 条)。継続 3 年以上の国内不実施かつ出願から 4 年経過が前提です。
制度上は可能ですが、85 条 2 項の正当な理由の壁が高く、日本で不実施を理由に強制実施が認められた例はほぼありません。現実には交渉の梃子にとどまります。
不実施(83 条)を理由とする裁定が実際に認められた例は、これまでほぼ確認されていません。制度が条文にあることと、実際に使えることは別問題です。
83 条は不実施を理由とする裁定、93 条は公共の利益のための裁定で、入口が異なります。救済を求めるとき窓口を間違えると何年も無駄にします。
特許発明が継続して 3 年以上日本国内で適当に実施されておらず、かつ出願から 4 年を経過した後でなければ裁定を請求できません(83 条)。
制度としては可能です。特許法83条が、継続3年以上の不実施を理由に裁定(国の判断で通常実施権を設定する制度)を請求する道を用意しています。ただし85条2項で、特許権者に正当な理由があれば長官は裁定を下せず、85条1項で審議会の意見聴取も必須です。業界裏話ヒント:日本でこの不実施裁定が実際に認められた例は、これまでほぼ確認されていません。弁護士や弁理士は「制度はあるが事実上動かない」と知っているので、最初から設計回避や通常交渉を勧めます。条文だけ読んで突っ込むと時間とお金を溶かします。
断れる可能性が高いです。85条2項により、不実施に正当な理由があれば特許庁長官は裁定をできません。研究開発の継続中、市場の成熟待ち、輸入で需要を満たしているなどは正当な理由になりえます(84条の答弁書で主張)。業界裏話ヒント:ポイントは「請求が来てから理由を作る」のではなく、平時から事業化ロードマップや研究記録を残しておくことです。85条1項の審議会は、こうした一貫した記録を重視します。慌てて後付けした理由は、かえって心証を悪くします。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 裁定の理由 | 85 条:83 条(不実施)裁定の手続・実体的制約 | — |
| 手続の関門 | 審議会等の意見聴取が必須(85 条 1 項) | — |
| 権利者側の防御 | 正当な理由があれば裁定不可(85 条 2 項) | — |
| 現実の運用 | 正当理由の壁で不実施裁定はほぼ認められない | — |
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