特許法 第85条(審議会の意見の聴取等)
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- 特許庁長官は、第八十三条第二項の裁定をしようとするときは、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。)で政令で定めるものの意見を聴かなければならない。
- 2.特許庁長官は、その特許発明の実施が適当にされていないことについて正当な理由があるときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定をすることができない。
この条文の基本情報
審議会の意見の聴取等とは何ですか?
定義審議会の意見の聴取等とは、特許法第85条に定められた規定で、「特許庁長官は、第八十三条第二項の裁定をしようとするときは、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 特許法第85条(審議会の意見の聴取等)は、日本の特許法に含まれる条文です。
- 特許法第85条の条文原文は「特許庁長官は、第八十三条第二項の裁定をしようとするときは、審議会等(国家行政組織法(昭和二十三年法律第百二十号)第八条に規定する機関をいう。」で始まります。
- 特許法第85条は第一節に置かれています。
- 特許法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 特許法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 特許法第85条の前の条は特許法第84条の2です。
- 特許法第85条の次の条は特許法第86条です。
- 特許法第85条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第85条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000121 - 本サイト収録
特許法(昭和三十四年法律第百二十一号)第85条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000121/85
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点特許法85条は、特許庁長官が不実施を理由とする裁定をする前に審議会等の意見を聴くべきことと、特許権者に正当な理由があれば裁定できないことを定める規定である。
Q · 使ってない特許を『こっちに使わせろ』と国に申し立てたら、本当に通るの?
制度はあるが、正当な理由の壁でほぼ認められない
特許法83条は不実施を理由とする裁定(国の判断で通常実施権を設定する制度)を用意していますが、85条が二重の鍵をかけています。1項で特許庁長官は裁定前に政令で定める審議会等の意見を聴く義務を負い、2項で特許権者に実施が適当にされていない正当な理由があれば裁定をできません。研究開発の継続、市場の未成熟、輸入による需要充足などはすべて正当な理由になりえます。結果として、日本で不実施を理由に強制実施権が認められた例はほぼ存在しません。
解説
競合他社が押さえた特許が、あなたの新製品の前に立ちふさがっている。調べてみると、その特許は登録から何年も眠ったまま、誰も使っていない。「使ってないなら、こっちに使わせろと国に申し立てられるはずだ」。特許法83条はたしかにその道(裁定実施権、つまり国の裁定で強制的に通常実施権を得る制度)を用意している。だが85条が、その道に二重の鍵をかけている。第一の鍵は、特許庁長官が裁定を下す前に、政令で定める審議会の意見を必ず聴かなければならないこと(1項)。第二の鍵は、特許権者に「使っていないことの正当な理由」があれば、長官は裁定を下せないこと(2項)。研究開発の継続中、市場の未成熟、輸入で需要を満たしている、これらはすべて正当な理由になりうる。結果として、日本で不実施を理由に強制実施権が認められた例は、ほぼ存在しない。条文があること、と、使えること、はまるで別の話だ。
法的な位置づけ
特許法85条は、不実施を理由とする裁定実施権(同法83条)の手続的・実体的制約を定める規定である。特許庁長官は裁定をする前に政令で定める審議会等の意見を聴く義務を負い、また特許権者に実施が適当にされていないことの正当な理由があるときは裁定をすることができない。前者は手続のブレーキ、後者は実体のブレーキとして機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.83条の請求要件を先に確認 裁定請求の前に、継続3年以上の国内不実施かつ出願から4年経過という83条の要件を満たすかを確認する。要件を欠けば請求自体が不適法になる
- 2.協議前置を履践 裁定請求の前に、まず特許権者と通常実施権の許諾について協議する(83条1項の協議前置)。この協議を飛ばすと請求自体が不適法になる
- 3.相手の『正当な理由』の有無を調査 85条2項の壁を見据え、相手の不実施に正当な理由(研究開発の形跡、事業化準備、輸入実績など)がないかを事前調査する。理由が濃厚なら裁定は通らない前提で戦略を組む
- 4.裁定請求は交渉の梃子として位置づけ、並行策を走らせる 現実には不実施裁定がほぼ認められないことを踏まえ、裁定請求は交渉カードと位置づける。同時に通常のライセンス交渉と設計回避(侵害しない代替設計)を並行で進める
よくある質問 AI による整理
Q1特許の強制実施権とは何ですか?
特許権者の意思に反し、国の判断で通常実施権を設定する制度です。特許法83条が不実施を理由とする裁定を用意していますが、85条の制約で実際にはほぼ認められません。
Q2特許法85条の審議会等とは何ですか?
国家行政組織法8条に規定する機関で、政令で指定されたものです。特許庁長官は不実施を理由とする裁定をする前に、この審議会等の意見を必ず聴かなければなりません。
Q3不実施の正当な理由とは何ですか?
研究開発の継続中、市場の未成熟、輸入で需要を満たしているなど、実施していないことを正当化する事由です。これがあると特許庁長官は裁定をできません(85条2項)。
Q4裁定実施権はどうやって請求しますか?
まず特許権者と協議し(協議前置)、不調のとき特許庁長官に裁定を請求します(83条)。継続3年以上の国内不実施かつ出願から4年経過が前提です。
Q5特許 使ってない 使わせる できますか?
制度上は可能ですが、85条2項の正当な理由の壁が高く、日本で不実施を理由に強制実施が認められた例はほぼありません。現実には交渉の梃子にとどまります。
Q6強制実施権が日本で認められた実例はありますか?
不実施(83条)を理由とする裁定が実際に認められた例は、これまでほぼ確認されていません。制度が条文にあることと、実際に使えることは別問題です。
Q783条の裁定と93条の裁定の違いは何ですか?
83条は不実施を理由とする裁定、93条は公共の利益のための裁定で、入口が異なります。救済を求めるとき窓口を間違えると何年も無駄にします。
Q8特許の不実施は何年で裁定請求できますか?
特許発明が継続して3年以上日本国内で適当に実施されておらず、かつ出願から4年を経過した後でなければ裁定を請求できません(83条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1特許を取っただけで使ってない会社、けっこうありますよね。あれ、強制的に使わせることはできないんですか?
制度としては可能です。特許法83条が、継続3年以上の不実施を理由に裁定(国の判断で通常実施権を設定する制度)を請求する道を用意しています。ただし85条2項で、特許権者に正当な理由があれば長官は裁定を下せず、85条1項で審議会の意見聴取も必須です。実務のポイント:日本でこの不実施裁定が実際に認められた例は、これまでほぼ確認されていません。弁護士や弁理士は「制度はあるが事実上動かない」と知っているので、最初から設計回避や通常交渉を勧めます。条文だけ読んで突っ込むと時間とお金を溶かします。
Q2うちの特許、まだ製品化してないんですが、競合に『使わせろ』と言われたら断れないんですか?
断れる可能性が高いです。85条2項により、不実施に正当な理由があれば特許庁長官は裁定をできません。研究開発の継続中、市場の成熟待ち、輸入で需要を満たしているなどは正当な理由になりえます(84条の答弁書で主張)。実務のポイント:ポイントは「請求が来てから理由を作る」のではなく、平時から事業化ロードマップや研究記録を残しておくことです。85条1項の審議会は、こうした一貫した記録を重視します。慌てて後付けした理由は、かえって心証を悪くします。
間違えやすい点 AI による整理
- 「特許を使っていないなら強制的に使わせられる」という問いの立て方そのものが、すでに半分外れている。83条は手続を用意しているが、85条2項の正当な理由という壁があり、研究開発中・市場待ち・輸入対応はすべて正当な理由になりうる。問うべきは「使えるか」ではなく「相手に言い訳の余地があるか」だ
- 強制実施権の制度があることは知っていても、その制度が日本で不実施を理由にほぼ一度も発動していないという深刻さを知らない人が多い。条文があること、イコール、実際に使えること、ではない。制度は存在するが、扉は事実上閉じている
- あなたから見れば「眠っている特許」でも、特許権者から見れば「いつか使うために確保した戦略資産」だ。法律はこの後者の立場に、正当な理由という広い余地を与えている。この落差を知らずに裁定請求すれば、費用だけ払って手ぶらで終わる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 裁定の理由 | 85条:83条(不実施)裁定の手続・実体的制約 | 83条:継続3年以上の不実施を理由とする裁定 93条:公共の利益のための裁定 |
| 手続の関門 | 審議会等の意見聴取が必須(85条1項) | 協議前置 + 裁定請求(83条) 審議会等の意見聴取が必須(93条も準用) |
| 権利者側の防御 | 正当な理由があれば裁定不可(85条2項) | 84条の答弁書で反論 公共の利益要件を争う |
| 現実の運用 | 正当理由の壁で不実施裁定はほぼ認められない | 認容例はほぼ確認されていない 医薬等で議論はあるが発動例は極めて限定的 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も強制授権に発動事由と審査手続を置くが、実際の発動例は限定的で、運用抑制の傾向は日本と共通する
韓国は재정(裁定)による通常実施権を定めるが、不実施を理由とする発動は実務上ほぼ用いられない点で日本に近い
ドイツは連邦特許裁判所が強制ライセンスを判断し、公益要件を重視。不実施のみを理由とする発動は例外的で、判例上も極めて限定的
米国は不実施を理由とする一般的強制実施制度を持たず、28 U.S.C. § 1498の政府使用や独禁法・eBay 判決後の差止制限で機能的に代替する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたのスタートアップの基幹技術が、大企業が10年前に取得して放置している特許に抵触していたら? 83条で裁定を請求できる気がする。だが85条2項を読むと、相手が「まだ事業化のタイミングを計っている」と言えば、それだけで正当な理由になりうる。眠っているように見えても、相手には言い訳の余地が広く残されている
- あなたの会社が防衛目的で大量の特許を保有し、その多くを実際には実施していない。競合が「不実施だから使わせろ」と裁定請求してきた。慌てる必要はない。85条2項の正当な理由を立証する書面(84条の答弁書)を出せば、85条1項の審議会の段階で請求はほぼ通らない
- ライセンス交渉が決裂した。相手は「国の裁定に持ち込むぞ」と脅してくる。だが日本でその脅しが現実に裁定として実った例は、ほぼ確認されていない
- 裁定請求の通知(84条)が届いてから、答弁書の提出期限まで残りわずか。この書面で「正当な理由」を主張し損ねると、審議会に示す判断材料を相手側のストーリーに握られる。今すぐ不実施の合理性を示す証拠を集める必要がある
取るべき行動
被害を受けた側:1. 本当に83条の要件(継続して3年以上の国内不実施、かつ出願から4年経過)を満たすか確認2. 裁定請求の前に、まず特許権者と協議する(83条1項の協議前置)、これを飛ばすと請求自体が不適法になる3. 相手の不実施に「正当な理由」がないことを示す材料を集める、研究開発の形跡や輸入実績の有無を調査4. 現実には不実施裁定が認められた例がほぼないことを踏まえ、裁定請求はあくまで交渉の梃子と位置づけ、通常のライセンス交渉や設計回避(侵害しない代替設計)を並行で進める
訴えられた側:1. 裁定請求の通知(84条)が来たら、指定された提出期限内に答弁書で「正当な理由」を主張する2. 研究開発の継続、事業化準備、輸入による需要充足、ライセンス交渉中などの事実を文書で立証3. 85条1項の審議会の意見聴取手続で、不実施の合理性を丁寧に説明する4. そもそも一部でも実施していれば「適当に実施されていない」という認定自体を争える、実施の事実を整理して提出する
時効(請求できる期限):83条の裁定請求は、特許発明が継続して3年以上日本国内で適当に実施されておらず、かつ出願から4年を経過した後でなければできない。裁定請求の通知(84条)を受けた特許権者の答弁書提出期限は、特許庁長官が指定する相当の期間内(最新の運用状況をご確認ください)
学説
通説:85条は83条の不実施裁定に対する二重の抑制装置と解される。1項の審議会意見聴取は手続保障、2項の正当理由は実体要件であり、研究開発の継続・市場未成熟・輸入対応などを広く正当理由に含める運用の結果、不実施裁定は事実上ほぼ機能していないと理解されている。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:特許法(昭和34年法律第121号)の制定により、不実施を理由とする裁定に関する審議会意見聴取と正当理由の制約が置かれた。
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