通常実施権の設定を受けようとする者が第八十三条第二項の裁定で定める支払の時期までに対価(対価を定期に又は分割して支払うべきときは、その最初に支払うべき分)の支払又は供託をしないときは、通常実施権を設定すべき旨の裁定は、その効力を失う。
要点特許法 89 条は、通常実施権の裁定を受けた者が支払の時期までに対価の支払又は供託をしないと、その裁定が効力を失うと定める。分割払いなら初回の遅延だけで失効する。
Q · 休眠特許の裁定を勝ち取ったのに、対価の支払いが遅れたらどうなるの?
裁定が効力を失い、権利は振り出しに戻る
特許法 89 条により、通常実施権の設定を受けようとする者が第 83 条第 2 項の裁定で定める支払の時期までに対価を支払わず、供託もしないと、通常実施権を設定すべき旨の裁定はその効力を失います。分割・定期払いの場合は最初に支払うべき分の遅延だけで裁定全体が失効します。相手が受領を拒む場合は供託(88 条)で失効を回避できますが、期限を徒過すれば苦労して得た裁定は消え、再度の申立てか任意交渉が必要になります。
他社が眠らせたまま使わない特許がある。あなたはその技術で事業を起こしたい。特許法には、3年以上実施されていない特許について、特許庁に「使わせてほしい」と裁定を申し立てる道がある(83条)。そして長い手続の末、ついに「通常実施権を設定すべし」という裁定が下りる。ここであなたは安堵する。だが89条は、その安堵の足元に落とし穴を掘っている。裁定書には対価の金額と支払期限が書かれている。その期限までに対価を支払うか、相手が受け取りを拒んだ場合は供託(法務局に金を預けて支払ったのと同じ効果を得る手続)をしなければ、苦労して勝ち取った裁定そのものが効力を失う。分割払いの約定があるなら、最初の一回分の遅延でアウトだ。つまりこの制度は「許可が下りた」時点では完成していない。対価を払い切って初めて、あなたは合法的にその特許を使える側の人間になる。期限の数字を読み飛ばした瞬間、すべてが振り出しに戻る。
特許法 89 条は裁定実施権の失効を定める規定であり、通常実施権の設定を受けようとする者が第 83 条第 2 項の裁定で定める支払の時期までに対価の支払又は供託をしない場合に、通常実施権を設定すべき旨の裁定が当然にその効力を失う旨を規定する。対価を定期又は分割で支払うべきときは、最初に支払うべき分の履行時期が起算点となる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
特許の通常実施権を認める裁定が、対価の不払いによって当然に効力を失うことです。特許法 89 条が根拠で、支払又は供託がなければ裁定は消滅します。
第 83 条第 2 項の裁定で定める支払の時期までです。分割・定期払いなら最初に支払うべき分の時期が起算点で、これを過ぎ供託もしないと失効します。
通常実施権を設定すべき旨の裁定が効力を失います。減額や猶予ではなく裁定全体が消えるため、その特許を実施する権原を失います。
できます。特許権者が受領を拒むなどの場合、88 条の供託により支払ったのと同じ効果が生じ、89 条の失効を回避できます。
再度 83 条の裁定を申し立てるか、特許権者と任意交渉する道が残ります。ただし手続をやり直すため、数か月単位の時間を失います。
裁定で定期又は分割の定めがあれば分割できます。ただし最初に支払うべき分を遅延すると 89 条で即失効するため、初回管理が最重要です。
3 年以上実施されていない特許について、特許庁長官に通常実施権設定の裁定を申し立てます(83 条)。裁定確定後の対価履行が 89 条で問われます。
強制ライセンスの許可が下りても、対価を期限内に払うか供託しなければ許可そのものが消える、という「見えないヒューズ」を定めた条文です。
失いません。供託(88条)を使えば解決します。相手が受領を拒否したり受領できない場合、法務局に対価を預けることで、支払ったのと同じ法的効果が生じ、89条の失効を回避できます。業界裏話ヒント:相手が意図的に受領を引き延ばして裁定を失効させようと狙ってくるケースは実際にあります。受領拒否の兆候を感じたら、期限を待たずに早めに供託へ動くのが鉄則。供託書という客観的証拠が残れば、後で「払わなかった」と争われる余地もなくなります
89条が失効と直結させているのは、最初に支払うべき分の遅延です。初回さえ期限内に履行すれば、その時点で裁定の効力は維持されます。ただし二回目以降の不払いは、別途90条による裁定の取消事由となりうるため、安心はできません。業界裏話ヒント:実務では「初回だけ通れば後は緩い」という誤解が危険です。初回は89条で即失効、二回目以降は90条で取消請求の対象という二段構えになっており、結局すべての回をきちんと払い続ける必要がある、というのが本当のところです
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 89 条:対価の不払い・不供託による裁定の当然失効 | — |
| 効力喪失の契機 | 支払の時期の徒過+供託もなし | — |
| 手続の主体 | 当然失効(処分不要) | — |
| 分割払いとの関係 | 最初に支払うべき分の遅延で全体失効 | — |
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