実用新案法 第17条(他人の登録実用新案等との関係)
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実用新案権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録実用新案がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の登録実用新案、特許発明若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその実用新案権がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその登録実用新案の実施をすることができない。
この条文の基本情報
他人の登録実用新案等との関係とは何ですか?
定義他人の登録実用新案等との関係とは、実用新案法第17条に定められた規定で、「実用新案権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録実用新案がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の登録実用新案、特許発明若しくは登録意匠若しくはこれに…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 実用新案法第17条(他人の登録実用新案等との関係)は、日本の実用新案法に含まれる条文です。
- 実用新案法第17条の条文原文は「実用新案権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録実用新案がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の登録実用新案、特許発明若しくは登録意匠若しくはこれに…」で始まります。
- 実用新案法第17条は第一節 実用新案権に置かれています。
- 実用新案法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 実用新案法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 実用新案法第17条の前の条は実用新案法第16条です。
- 実用新案法第17条の次の条は実用新案法第17条の2です。
- 実用新案法第17条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第17条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000123 - 本サイト収録
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第17条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000123/17
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点実用新案法17条は、登録実用新案が出願日前の他人の特許・意匠を利用し、又は先願の意匠権・商標権と抵触するとき、実用新案権者でも業として実施できないと定める。登録は排他権で、実施の自由まで保証しない。
Q · 実用新案を登録したのに、なんで自分で作って売れないことがあるの?
他人の先願特許や意匠を利用・抵触していると17条で実施が止まるから
実用新案権は『他人を排除する排他権』であって『自分が実施してよい許可』ではありません。あなたの登録考案が出願日前の他人の特許発明・登録意匠を利用していたり、先願の意匠権・商標権と抵触していると、実用新案法17条によりあなた自身も業として実施できなくなります。あなたの権利も相手の権利も両方有効なまま、あなたの『実施という行為』だけが止まる構図です。しかも実用新案は無審査登録のため、先願との衝突に気づかず量産に入る危険が特許より高くなります。
解説
特許庁から実用新案登録証が届いた瞬間、あなたは「これで自由に作って売れる」と信じる。実用新案法17条は、その確信を真正面から崩す。あなたの登録考案が、あなたより前に出願された他人の特許発明や登録意匠を「利用」している、つまりあなたの製品の中に他人の先願技術がまるごと取り込まれているとき、あなたは業としてその登録実用新案を実施できない。他人の先願に係る意匠権や商標権と「抵触」する場合も同じだ。登録証が保証するのは『他人に真似させない力』であって、『自分が作って売ってよい許可』ではない。両者はまったく別の鍵である。しかも実用新案は1994年以降、中身を審査されないまま登録される無審査制度だ。先願権利とぶつかる地雷を踏んだまま量産に突入する危険は、特許よりはるかに高い。あなたの手元の紙は、攻めの盾であって、前進の通行手形ではない。
法的な位置づけ
実用新案法17条は、登録実用新案の利用・抵触関係を定める規定であり、登録実用新案が出願日前の他人の特許発明・登録実用新案・登録意匠(類似意匠を含む)を利用し、又は先願の意匠権・商標権と抵触するときは、実用新案権者・専用実施権者・通常実施権者が業として当該登録実用新案を実施できない旨を規定する。排他権としての登録と、実施の自由とを分離する規律として機能する。
手順
- 1.量産前に J-PlatPat で先願調査 金型を切る前・試作段階のうちに、J-PlatPat で出願日前の他人の特許・実用新案・意匠・商標を検索し、自分の登録考案が利用・抵触の関係に立たないかを確認する。登録証が届いた安心感に流されず、ここで一手打つことが最大のてこになる
- 2.利用・抵触が判明したら設計回避を検討 先願権利の権利範囲(クレーム・意匠)を技術者と精査し、その範囲外へ構造を作り替えるデザインアラウンドが可能か検討する。ライン構築前なら回避コストは桁違いに安い
- 3.回避困難ならクロスライセンス協議を先手で申入れ 相手から警告書が来る前に、自分から実用新案法22条に基づく通常実施権設定の協議を申し入れる。先手なら対等な条件交渉ができるが、撃たれてから動くと差止めと損害賠償の二正面で守勢に回る
- 4.権利行使の前に実用新案技術評価書を取得 逆に自分が先願権利者側で他人の実用新案登録品を止めたい、あるいは自分の実用新案権を行使したい場合は、特許庁に実用新案技術評価書を請求し、提示して警告する。評価書なしの強気な警告は、後で権利が無効になると逆に損害賠償リスクを負う
よくある質問 AI による整理
Q1実用新案の利用関係とは何ですか?
あなたの登録考案の中に、出願日前の他人の特許発明や登録意匠がまるごと取り込まれている状態です。利用関係に立つと実用新案法17条であなた自身の実施が止まります。
Q2実用新案と特許の違いは何ですか?
特許は実体審査を経て登録されますが、実用新案は1994年以降、中身を審査せず登録される無審査制度です。そのため先願との利用・抵触の地雷を踏む確率は特許より高くなります。
Q3実用新案登録済なのに売れないのはなぜですか?
実用新案権は排他権であって実施許可ではないからです。他人の先願特許・意匠を利用・抵触していれば、17条であなた自身の業としての実施が封じられます。
Q4実用新案技術評価書とは何ですか?
特許庁が登録実用新案の有効性を評価した書面です。無審査の実用新案権を行使するには、事前に評価書を提示して警告する必要があります(実用新案法29条の2)。
Q5実用新案でも先使用権は使えますか?
使えます。他人の権利の出願前から実施または準備をしていれば、先使用による通常実施権(実用新案法16条)を主張でき、抵触していても実施を続けられる余地があります。
Q6デザインアラウンドとは何ですか?
他人の権利範囲を回避するよう自社製品の構造を設計し直すことです。金型を切る前の試作段階なら安く効きますが、量産ライン構築後だと回避コストが桁違いに上がります。
Q7実用新案が他人の意匠権と抵触するとどうなりますか?
先願の登録意匠やその類似意匠と抵触すると、17条により業としての実施が禁じられます。意匠権者からは登録の有無に関係なく差止請求を受ける可能性があります。
Q8実用新案法22条の裁定とはどんな制度ですか?
利用・抵触関係にあるとき、相手に通常実施権の設定を協議で求め、協議が不成立なら特許庁長官の裁定でクロスライセンスを得られる制度です。17条で止まった実施を動かし直す安全弁です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ちゃんと登録されたのに、なんで他人の特許に止められるんですか?
登録実用新案権は『他人を排除する権利』であって『自分が実施してよい権利』ではないからです。あなたの考案が先願の他人の特許発明を丸ごと取り込んでいる利用関係なら、17条であなたの実施が止まります。あなたの権利自体は有効なまま生きています。実務のポイント:弁理士は出願前に必ず先行技術調査をしますが、コスト削減で省く依頼者も多い。無審査の実用新案ほどこの調査の有無が後の運命を分けます
Q2無審査で登録されるって本当ですか? じゃあ登録する意味あるんですか?
本当です。1994年から実用新案は実体審査なしで登録されます。意味はありますが、権利を行使するには事前に特許庁の実用新案技術評価書を提示して警告する義務があります(実用新案法29条の2)。実務のポイント:評価書で『新規性なし』の評価が出た権利を無理に行使し、後で権利が無効になると、相手から逆に損害賠償を請求されるリスクがある。評価書を取らずに強気の警告を出すのは自爆行為です
Q3警告書が来たら、すぐ生産を止めないとダメですか?
即停止が常に正解とは限りません。相手の権利の出願日が本当に先か、あなたの製品が本当に権利範囲に入るか、無効事由はないかをまず検証すべきです。出願日前から実施していれば先使用権(実用新案法16条)も主張できます。実務のポイント:警告書は相手の交渉カードで、内容が誇張されていることも多い。慌てて生産を止めた事実が、後の交渉で『相手も非を認めた』証拠として不利に使われることがある。止める前に専門家へ
Q4クロスライセンスってどうやって持ちかけるんですか?
利用・抵触の関係にある場合、実用新案法22条に基づき相手に通常実施権の設定について協議を求められます。協議がまとまらなければ特許庁長官の裁定を申請できます。実務のポイント:裁定まで行く案件は稀で、実務の大半は当事者間の和解で決着します。相手に先願調査の結果を示して『こちらは構図を正確に把握している』と伝えるだけで、相手の交渉姿勢は強硬から和解へ振れることが多い
間違えやすい点 AI による整理
- 「登録されたのだから自由に使える」と思い込むが、実用新案権は排他権、つまり他人を止める権利でしかない。自分が実施してよいかは別問題で、先願の他人の権利を利用・抵触していれば17条で実施が封じられる。登録は出口の許可ではなく、入口の門番にすぎない
- 「自分の権利が他人の権利に負けるのか」と問う人が多いが、その問いの立て方そのものが誤っている。これは勝ち負けではない。あなたの実用新案権も相手の特許権も両方とも有効なまま生き続け、ただあなたの『実施という行為』だけが止まる。権利の優劣ではなく、行為の可否の問題だと捉え直さないと、無効審判という的外れな攻め手に時間を浪費する
- 「無審査でも登録は登録、効力は同じ」と考えがちだが、危険度の桁が違う。特許は審査を通って先願との重複が事前にふるい落とされるのに対し、実用新案は中身を見られずに登録される。だからこそ17条の利用・抵触は実用新案で頻発し、あなたが知らずに踏む確率は特許の比ではない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 17条:利用・抵触により自己の実施を止める | 16条:先使用権により抵触下でも実施を守る 22条:協議・裁定で実施を動かし直す |
| 立場 | 後願の実用新案権者(実施が封じられる側) | 出願前から実施していた先使用者 利用・抵触の当事者双方 |
| 効果 | 業としての実施ができない | 通常実施権を取得し実施継続可 通常実施権の設定(クロスライセンス) |
| 発動の前提 | 他人の先願権利の利用または抵触 | 出願前からの実施または実施の準備 協議の不成立+特許庁長官の裁定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も新型専利を形式審査中心で登録する点が日本の無審査実用新案に近く、先願権利との利用・抵触や強制授権の規律を持つ
韓国は実用新案について特許法98条の利用・抵触規定を準用し、日本と同型の規律を採る
実用新案制度の母国ドイツでは Gebrauchsmuster も無審査登録で、依存関係は依存特許・強制実施権(Zwangslizenz)の法理で処理される
米国に実用新案制度はなく、改良特許と基本特許の相互ブロッキング(blocking patents)の法理で同種の問題を扱う
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが個人発明家として日用品の改良を実用新案登録し、OEM 工場に発注して5,000個を量産。出荷直前、ある大手から「その構造は当社の先願特許の利用にあたる」と警告書が届く。登録証は壁にあるのに、業として売れない。在庫の山と返金リスクを抱えて、あなたは初めて17条の存在を知る
- もし、あなたのスタートアップがクラウドファンディングで「実用新案登録済」を売り文句に資金を集めた製品が、製造段階で先願の登録意匠と抵触していたら? 支援者への発送義務と、意匠権者からの差止請求が同時に襲ってくる。集めた資金は製造に消え、返金原資はない
- あなたは先願の特許権者の側だ。展示会で、自社特許の核心構造をそっくり含んだ他社製品が「実用新案登録済」として並んでいた。相手に登録があっても、あなたの差止請求は通る。17条が相手の実施を止める根拠になる
- ネット通販で「実用新案登録済」と堂々と表示して売っている競合。あと数日でその商品が月間ランキング上位に乗る。あなたの先願意匠を踏んでいるなら、登録の有無に関係なく販売差止めを打てる。動くなら相手が量を伸ばし切る前だ
- 町工場を継いだあなたが、亡き父の代に取った実用新案で再起をかける。だが父の出願日より前に、同業大手が同じ機構を特許出願していた。あなたの権利は有効なまま、実施だけが封じられる。勝ち負けではなく、両方生きたまま身動きが取れない構図に立たされる
取るべき行動
被害を受けた側:あなたが先願の特許権者・意匠権者・商標権者で、他人の実用新案登録品が自分の権利を利用・抵触している場合:1. 相手の登録実用新案の出願日と自分の権利の出願日を J-PlatPat で照合、自分が先願だと確定させる2. 相手製品が自分の権利範囲(クレーム・意匠・指定商品)に入るか専門家と精査3. 入るなら、登録の有無に関係なく差止請求(実用新案権侵害ではなく自分の権利に基づく差止め)と損害賠償を準備4. 警告書で出願日と権利範囲を明示し、相手にクロスライセンス協議か撤退かを迫る
訴えられた側:あなたが警告を受けた実用新案権者の場合:1. すぐ生産を止める前に、相手の権利の出願日が本当に自分より前か、権利範囲に自分の製品が本当に入るかを冷静に検証、無効事由がないかも確認2. 自分が出願日前から実施していたなら先使用権(実用新案法16条)を主張3. 利用・抵触が事実なら、実用新案法22条の協議・裁定でクロスライセンス(通常実施権の設定)を狙う4. 並行して設計回避(デザインアラウンド)を技術者と検討、止血と再設計を同時に走らせる
時効(請求できる期限):差止請求は相手の権利が存続する限り時期的制限なく可能。損害賠償(民法709条)は損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年。実用新案権者が自ら権利を行使するには、事前に実用新案技術評価書を提示して警告する必要がある(実用新案法29条の2、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:17条の利用・抵触は権利の優劣を決めるものではなく、後願権利者の『実施という行為』のみを禁じる規律と解する。後願の実用新案権も先願の特許権・意匠権も両方有効に存続し、衝突は22条の協議・裁定で調整される、とするのが一般的理解。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 改正:実用新案法の全部改正(昭和34年法律第123号)。利用・抵触により実用新案権者の実施を制限する規律を整備
- 2.平成5年(1993年) 改正:実体審査を廃止する無審査登録制度を導入(平成6年・1994年施行)。先願との利用・抵触が事前にふるい落とされなくなり、17条が実務上いっそう重要に
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