実用新案権者、専用実施権者又は通常実施権者は、その登録実用新案がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の登録実用新案、特許発明若しくは登録意匠若しくはこれに類似する意匠を利用するものであるとき、又はその実用新案権がその実用新案登録出願の日前の出願に係る他人の意匠権若しくは商標権と抵触するときは、業としてその登録実用新案の実施をすることができない。
要点実用新案法 17 条は、登録実用新案が出願日前の他人の特許・意匠を利用し、又は先願の意匠権・商標権と抵触するとき、実用新案権者でも業として実施できないと定める。登録は排他権で、実施の自由まで保証しない。
Q · 実用新案を登録したのに、なんで自分で作って売れないことがあるの?
他人の先願特許や意匠を利用・抵触していると 17 条で実施が止まるから
実用新案権は『他人を排除する排他権』であって『自分が実施してよい許可』ではありません。あなたの登録考案が出願日前の他人の特許発明・登録意匠を利用していたり、先願の意匠権・商標権と抵触していると、実用新案法 17 条によりあなた自身も業として実施できなくなります。あなたの権利も相手の権利も両方有効なまま、あなたの『実施という行為』だけが止まる構図です。しかも実用新案は無審査登録のため、先願との衝突に気づかず量産に入る危険が特許より高くなります。
特許庁から実用新案登録証が届いた瞬間、あなたは「これで自由に作って売れる」と信じる。実用新案法 17 条は、その確信を真正面から崩す。あなたの登録考案が、あなたより前に出願された他人の特許発明や登録意匠を「利用」している、つまりあなたの製品の中に他人の先願技術がまるごと取り込まれているとき、あなたは業としてその登録実用新案を実施できない。他人の先願に係る意匠権や商標権と「抵触」する場合も同じだ。登録証が保証するのは『他人に真似させない力』であって、『自分が作って売ってよい許可』ではない。両者はまったく別の鍵である。しかも実用新案は 1994 年以降、中身を審査されないまま登録される無審査制度だ。先願権利とぶつかる地雷を踏んだまま量産に突入する危険は、特許よりはるかに高い。あなたの手元の紙は、攻めの盾であって、前進の通行手形ではない。
実用新案法 17 条は、登録実用新案の利用・抵触関係を定める規定であり、登録実用新案が出願日前の他人の特許発明・登録実用新案・登録意匠(類似意匠を含む)を利用し、又は先願の意匠権・商標権と抵触するときは、実用新案権者・専用実施権者・通常実施権者が業として当該登録実用新案を実施できない旨を規定する。排他権としての登録と、実施の自由とを分離する規律として機能する。
あなたの登録考案の中に、出願日前の他人の特許発明や登録意匠がまるごと取り込まれている状態です。利用関係に立つと実用新案法 17 条であなた自身の実施が止まります。
特許は実体審査を経て登録されますが、実用新案は 1994 年以降、中身を審査せず登録される無審査制度です。そのため先願との利用・抵触の地雷を踏む確率は特許より高くなります。
実用新案権は排他権であって実施許可ではないからです。他人の先願特許・意匠を利用・抵触していれば、17 条であなた自身の業としての実施が封じられます。
特許庁が登録実用新案の有効性を評価した書面です。無審査の実用新案権を行使するには、事前に評価書を提示して警告する必要があります(実用新案法 29 条の 2)。
使えます。他人の権利の出願前から実施または準備をしていれば、先使用による通常実施権(実用新案法 16 条)を主張でき、抵触していても実施を続けられる余地があります。
他人の権利範囲を回避するよう自社製品の構造を設計し直すことです。金型を切る前の試作段階なら安く効きますが、量産ライン構築後だと回避コストが桁違いに上がります。
先願の登録意匠やその類似意匠と抵触すると、17 条により業としての実施が禁じられます。意匠権者からは登録の有無に関係なく差止請求を受ける可能性があります。
利用・抵触関係にあるとき、相手に通常実施権の設定を協議で求め、協議が不成立なら特許庁長官の裁定でクロスライセンスを得られる制度です。17 条で止まった実施を動かし直す安全弁です。
登録実用新案権は『他人を排除する権利』であって『自分が実施してよい権利』ではないからです。あなたの考案が先願の他人の特許発明を丸ごと取り込んでいる利用関係なら、17 条であなたの実施が止まります。あなたの権利自体は有効なまま生きています。業界裏話ヒント:弁理士は出願前に必ず先行技術調査をしますが、コスト削減で省く依頼者も多い。無審査の実用新案ほどこの調査の有無が後の運命を分けます
本当です。1994 年から実用新案は実体審査なしで登録されます。意味はありますが、権利を行使するには事前に特許庁の実用新案技術評価書を提示して警告する義務があります(実用新案法 29 条の 2)。業界裏話ヒント:評価書で『新規性なし』の評価が出た権利を無理に行使し、後で権利が無効になると、相手から逆に損害賠償を請求されるリスクがある。評価書を取らずに強気の警告を出すのは自爆行為です
即停止が常に正解とは限りません。相手の権利の出願日が本当に先か、あなたの製品が本当に権利範囲に入るか、無効事由はないかをまず検証すべきです。出願日前から実施していれば先使用権(実用新案法 16 条)も主張できます。業界裏話ヒント:警告書は相手の交渉カードで、内容が誇張されていることも多い。慌てて生産を止めた事実が、後の交渉で『相手も非を認めた』証拠として不利に使われることがある。止める前に専門家へ
利用・抵触の関係にある場合、実用新案法 22 条に基づき相手に通常実施権の設定について協議を求められます。協議がまとまらなければ特許庁長官の裁定を申請できます。業界裏話ヒント:裁定まで行く案件は稀で、実務の大半は当事者間の和解で決着します。相手に先願調査の結果を示して『こちらは構図を正確に把握している』と伝えるだけで、相手の交渉姿勢は強硬から和解へ振れることが多い
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 条文の役割 | 17 条:利用・抵触により自己の実施を止める | — |
| 立場 | 後願の実用新案権者(実施が封じられる側) | — |
| 効果 | 業としての実施ができない | — |
| 発動の前提 | 他人の先願権利の利用または抵触 | — |
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