実用新案法 第16条(実用新案権の効力)
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実用新案権者は、業として登録実用新案の実施をする権利を専有する。ただし、その実用新案権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録実用新案の実施をする権利を専有する範囲については、この限りでない。
この条文の基本情報
実用新案権の効力とは何ですか?
定義実用新案権の効力とは、実用新案法第16条に定められた規定で、「実用新案権者は、業として登録実用新案の実施をする権利を専有する。ただし、その実用新案権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録実用新案の実施を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 実用新案法第16条(実用新案権の効力)は、日本の実用新案法に含まれる条文です。
- 実用新案法第16条の条文原文は「実用新案権者は、業として登録実用新案の実施をする権利を専有する。ただし、その実用新案権について専用実施権を設定したときは、専用実施権者がその登録実用新案の実施を…」で始まります。
- 実用新案法第16条は第一節 実用新案権に置かれています。
- 実用新案法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 実用新案法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 実用新案法第16条の前の条は実用新案法第15条です。
- 実用新案法第16条の次の条は実用新案法第17条です。
- 実用新案法第16条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第16条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000123 - 本サイト収録
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第16条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000123/16
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点実用新案法16条は、実用新案権者が業として登録実用新案を独占的に実施できると定める。ただし専用実施権を設定した範囲では権利者自身も実施できず、行使には技術評価書の提示を要する。
Q · 実用新案を登録したら、特許みたいに『真似するな』ってすぐ言えるの?
言えるが、まず技術評価書の提示が必要
実用新案法16条により、権利者は業として登録実用新案を独占的に実施できます。ただし実用新案は無審査で登録されるため、他人に権利を行使するには『実用新案技術評価書』を提示するのが前提です(29条の2)。評価書なしで警告し、後に権利が無効と判明すれば、逆に相手の損害を賠償する責任を負います(29条の3)。また専用実施権を設定した範囲では、16条ただし書により権利者自身も実施できなくなる点に注意が必要です。
解説
あなたが思いついた便利な道具の構造を、実用新案として登録すれば、業として独占的に使える権利が手に入る。それが実用新案法16条の与える「専有権」だ。だが、ここに一般人が知らない罠がある。実用新案は特許と違い、中身を審査せずに登録される。新しくない考案でも形式さえ整えば権利は付与されるのだ。だから16条の独占権は、紙の上では強力でも、実際に他人へ「使うな」と言うには、別途「実用新案技術評価書」を取って相手に提示しなければならない(29条の2)。しかも、権利を振りかざして相手を止めた後にその権利が無効と判明すれば、今度はあなたが相手の損害を賠償する側に回る(29条の3)。専有権は与えられる。だが安全装置を外さずに引き金を引けば、暴発するのはあなた自身だ。
法的な位置づけ
実用新案法16条は実用新案権の効力を定める規定であり、実用新案権者が業として登録実用新案の実施をする権利を専有することを規律する。ただし専用実施権を設定した範囲については、専用実施権者がその実施権を専有し、本条本文による権利者の専有はその範囲で及ばない。無審査登録制度の下で付与される独占権の基本規定である。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.模倣品の証拠を確保する 侵害が疑われる商品の現物・販売ページ・販売数量などの証拠を確保する。いきなり警告せず、まず事実を固めることが後の差止・賠償請求の前提になる
- 2.特許庁に実用新案技術評価書を請求する 権利を行使する前に、特許庁へ実用新案技術評価書を請求する。無審査登録のため、評価書なしでは行使要件(29条の2)を欠く。評価書は誰でも請求できる
- 3.評価内容が肯定的か確認する 交付された評価書の評価が肯定的(新規性・進歩性あり)かを精査する。否定的評価のまま権利を振りかざすと、後に無効となった場合29条の3で逆に賠償責任を負う
- 4.評価書を提示して警告する 評価が肯定的であることを確認したうえで、技術評価書を提示して相手方に警告する。順序を守ることが行使要件(29条の2)の充足と濫用リスク回避の鍵となる
- 5.止まらなければ差止・損害賠償を請求する 相手が侵害を止めなければ、差止請求(27条)および損害賠償(29条、民法709条)へ進む。提訴の前に技術的範囲と相手の無効主張の余地を弁理士・弁護士と精査する
よくある質問 AI による整理
Q1実用新案権の効力とは何ですか?
実用新案権者が業として登録実用新案を独占的に実施できる効力です(実用新案法16条)。第三者の無断実施を排除でき、差止・損害賠償の根拠となりますが、行使には技術評価書の提示が必要です。
Q2実用新案技術評価書とは何ですか?
登録実用新案の新規性・進歩性などを特許庁が評価した書面です。実用新案は無審査登録のため、権利行使(警告)には原則この評価書の提示が必要です(29条の2)。誰でも請求できます。
Q3実用新案権はいつまで有効ですか?
存続期間は出願日から10年です。満了後は権利が消滅し、誰でも自由に実施できるようになります。特許(出願から20年)より短い点が特徴です(最新の改正状況をご確認ください)。
Q4実用新案を侵害されたらどうすればいい?
まず証拠を確保し、特許庁に技術評価書を請求します。評価が肯定的であることを確認してから評価書を提示して警告し、止まらなければ差止請求(27条)・損害賠償(29条)へ進みます。
Q5実用新案権の効力はどこまで及びますか?
『業として』の実施に及びます。個人的・家庭内の使用には及びません。また登録請求の範囲(考案の技術的範囲)に入る実施に限られ、範囲外の類似品には及びません。
Q6実用新案登録は無効にできますか?
できます。新規性・進歩性を欠くなどの無効理由があれば、無効審判(実用新案法37条)を請求できます。無審査登録のため、本来無効な考案が登録されている例も少なくありません。
Q7個人の発明でも実用新案は取れますか?
取れます。物品の形状・構造・組合せに係る考案であれば個人でも出願・登録でき、業として実施する独占権を得られます。費用も特許より安く、ライフサイクルの短い商品に向きます。
Q8実用新案と意匠はどう違いますか?
実用新案は物品の構造・機能(技術的アイデア)を、意匠は物品の見た目(デザイン)を保護します。同じ製品でも、仕組みは実用新案、外観は意匠と、両方で守ることも可能です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1実用新案って、特許とどう違うんですか?
特許は実体審査を経て登録されますが、実用新案は方式審査のみで登録されます(無審査登録)。16条で専有権は同じように与えられますが、行使には技術評価書の提示が必須です(29条の2)。実務のポイント:弁理士が「その発明なら特許で出した方がいい」と勧めるのは、実用新案権は無効リスクが高く、いざ訴訟で振りかざしても評価書次第で空振りしやすいから。ライフサイクルの短い商品でなければ特許が無難です
Q2登録番号があれば、相手に「侵害だ」と警告していいんですか?
番号だけでは不十分です。29条の2で、警告には実用新案技術評価書の提示が求められます。評価書なしの警告で相手に損害を与え、後に権利が無効になれば29条の3で賠償責任を負います。実務のポイント:実務では、相手から警告が来たらまず「評価書を出してください」と返すのが定石。出せない相手は、そもそも行使要件を満たしていないことが多い
Q3専用実施権を設定したら、自分でもその製品を作れなくなるって本当ですか?
本当です。16条ただし書により、専用実施権を設定した範囲では専用実施権者が独占し、権利者自身も実施できなくなります(18条)。自社利用を残したいなら、独占を渡さない通常実施権(19条)にすべきです。実務のポイント:契約書で安易に「専用実施権を許諾」と書くと自社の製造ラインまで止まる。ライセンス実務では『通常実施権+独占的許諾』という折衷型を使うことが多く、これなら登録不要で柔軟に設計できる
間違えやすい点 AI による整理
- 「登録さえされれば特許と同じく強い権利だ」と思われているが、実用新案は無審査登録ゆえ、新規性のない考案でも登録されている。16条の専有権は、その考案が有効であることを国が保証したものではない。中身の強さは、登録された後に技術評価書で初めて測られる
- 「専用実施権を設定すると相手が使える」ことは知っていても、その深刻さを知らない人が多い。18条で専用実施権を設定した範囲では、16条ただし書により権利者自身ですら実施できなくなる。自社の製造ラインまで止まりうるのだ。自社利用を残したいなら、独占を渡さない通常実施権(19条)を選ぶべきだった
- あなたから見れば「登録した=守られている」だが、裁判所から見れば「評価書も出さずに警告した権利者=濫用リスクのある側」。この落差が、攻めたつもりが賠償を負う逆転(29条の3)を生む。視点を権利者から裁判所へ移した瞬間、危ういのは侵害者ではなく自分だと分かる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 実施権を専有する主体 | 16条本文:実用新案権者本人 | 18条:専用実施権者(設定範囲は権利者も実施不可) 19条:通常実施権者(独占ではなく実施可能なだけ) |
| 権利者自身の実施 | 原則可能(業としての独占実施) | 設定範囲では不可(16条ただし書) 可能(自社利用を残せる) |
| 登録の要否・第三者対抗 | 権利登録により発生 | 設定登録が効力発生要件 登録不要で柔軟に許諾可能 |
| 向いている使い方 | 自社で独占実施したい | 特定の相手に完全独占を与える 自社利用を残しつつ他社にも使わせる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の新型専利も登録に実体審査を経ず、権利行使には新型専利技術報告の提示が事実上必要とされる点で日本と類似する
韓国も実用新案権の効力を独占的実施権として規定。かつて無審査制を採ったが現在は審査制を採用しており、行使の前提に日本ほどの評価書要件はない
実用新案制度の発祥国。ドイツも無審査登録だが、効力規定は独占的実施権を定め、無効性は侵害訴訟の抗弁・取消手続で争われる
米国に実用新案制度はなく、最も近いのは実体審査を経る utility patent。短期・低コストの小発明保護という日本の実用新案の機能に直接対応する制度は存在しない
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが開発した収納グッズの構造を、競合がそっくり真似してネット販売を始めたら? 16条の専有権で差止めできる。ただし、いきなり警告するのではなく、技術評価書(29条の2)を添えるのが先決。順序を守れば相手は止まり、外せばこちらが反撃を食らう
- ある日、見覚えのない会社から「当社の実用新案権を侵害している」と警告状が届いた。だが評価書は同封されていない。それは法的には半分空砲だ。
- あなたが実用新案権者で、ある販売代理店に専用実施権を設定した。その後、自分でも同じ製品を作って売ろうとしたら、できない。16条ただし書により、設定した範囲では権利者自身の実施権が消えるからだ。自社利用を残すなら通常実施権にすべきだった
- 競合の模倣品が出回り始め、在庫が積み上がっていく。差止めを急ぎたいが、評価書の請求から交付まで数か月かかることもある。あと数週間でクリスマス商戦、その前に動かないと一年分の売上を失う
- 友人が「実用新案を取ったから、もう誰も真似できない」と自慢してきた。あなたは無審査制度を知っているので、「評価書がないと振りかざせないよ」と一言で現実を教えられる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 模倣品の証拠(商品現物・販売ページ・販売数)を確保2. いきなり警告せず、まず特許庁に実用新案技術評価書を請求(誰でも請求可) 3. 評価が肯定的(新規性・進歩性あり)であることを確認してから、評価書を提示して警告する(29条の2) 4. 相手が止めなければ差止請求(27条)・損害賠償(29条、民法709条)へ。評価書を出さずに警告して後に権利が無効になると、逆に29条の3で賠償責任を負う点に注意
訴えられた側:1. 警告状に実用新案技術評価書が添付されているか確認、なければ行使要件(29条の2)を欠く可能性が高い2. 評価書があっても、その評価内容が肯定的か否定的かを精査3. 自社製品が本当に登録実用新案の技術的範囲に入るか、また考案に新規性がなければ無効審判(実用新案法37条)を検討4. 慌てて販売を止めず、弁理士に技術的範囲と無効理由を相談してから対応を決める
時効(請求できる期限):差止請求権(27条)自体に特定の消滅時効はないが、損害賠償請求は民法724条により損害および加害者を知った時から3年(または不法行為時から20年)。なお実用新案権の存続期間は出願日から10年で、満了後は権利が消滅する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:16条の専有権は、無審査登録制度の下で形式的に付与される独占権であり、権利の有効性を保証しない。第三者保護のため、行使には技術評価書の提示(29条の2)が前提とされ、無効時の賠償責任(29条の3)と一体で理解すべきとされる。
改正沿革 AI による整理
- 平成5年(1993年)実用新案法大改正 実体審査を廃止し無審査登録制度へ移行。これに伴い、専有権を定める本条の独占は維持しつつ、権利行使に技術評価書の提示を求める29条の2、無効時の賠償責任を定める29条の3が新設され、16条の専有権の意味が「行使に条件の付く独占」へと実質的に再定義された
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行実用新案法の制定により、実用新案権者が業として登録実用新案を専有する旨を定める効力規定が置かれた
- 2.平成5年(1993年) 改正:実体審査を廃止し無審査登録制度へ移行。本条の専有権は維持しつつ、権利行使に技術評価書の提示を求める29条の2、無効時の賠償責任を定める29条の3が新設され、16条の専有権が『行使に条件の付く独占』へと実質的に再定義された
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