実用新案法 第3条の2
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実用新案登録出願に係る考案が当該実用新案登録出願の日前の他の実用新案登録出願又は特許出願であつて当該実用新案登録出願後に第十四条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した実用新案公報(以下「実用新案掲載公報」という。)の発行又は特許法第六十六条第三項の規定により同項各号に掲げる事項を掲載した特許公報の発行若しくは出願公開がされたものの願書に最初に添付した明細書、実用新案登録請求の範囲若しくは特許請求の範囲又は図面(同法第三十六条の二第二項の外国語書面出願にあつては、同条第一項の外国語書面)に記載された考案又は発明(その考案又は発明をした者が当該実用新案登録出願に係る考案の考案者と同一の者である場合におけるその考案又は発明を除く。)と同一であるときは、その考案については、前条第一項の規定にかかわらず、実用新案登録を受けることができない。ただし、当該実用新案登録出願の時にその出願人と当該他の実用新案登録出願又は特許出願の出願人とが同一の者であるときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 実用新案法第3条の2は、日本の実用新案法に含まれる条文です。
- 実用新案法第3条の2の条文原文は「実用新案登録出願に係る考案が当該実用新案登録出願の日前の他の実用新案登録出願又は特許出願であつて当該実用新案登録出願後に第十四条第三項の規定により同項各号に掲げ…」で始まります。
- 実用新案法第3条の2は第二章 実用新案登録及び実用新案登録出願に置かれています。
- 実用新案法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 実用新案法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 実用新案法第3条の2の前の条は実用新案法第3条です。
- 実用新案法第3条の2の次の条は実用新案法第4条です。
- 実用新案法第3条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
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- 正式書式
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第3条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000123 - 本サイト収録
実用新案法(昭和三十四年法律第百二十三号)第3条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000123/3_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点実用新案法3条の2は、先に出願され後に公開された他人の出願の明細書や図面に記載された考案と同一の後願は、相手が権利化していなくても登録を受けられないと定める。
Q · 相手が請求項にしていない、明細書に書いただけのアイデアで、自分の実用新案は登録できなくなるの?
相手が権利化していなくても、明細書に書いてあれば登録できません
実用新案法3条の2(拡大先願)により、あなたの出願日より前に出願され、その後に公開された他人の実用新案・特許出願の「願書に最初に添付した明細書・請求の範囲・図面」に同一の考案が記載されていれば、相手がそれを請求項として権利化していなくても、あなたの実用新案は登録を受けられません。判断基準は「権利化したか」ではなく「最初の願書に記載があったか」です。ただし、その考案の考案者があなたと同一の場合、または出願時に出願人が同一の場合は例外として適用されません。
解説
あなたが工場で改良した小さな治具のアイデアを実用新案として出願した。新規性も先願もクリアした、もう登録は確実だと思っている。ところが半年後、あなたより前に出願されていた他社の特許出願が公開され、その明細書の片隅、請求項にすらしていない図面の説明部分に、あなたの治具とそっくりの構造が描かれていた。実用新案法3条の2は、まさにこの瞬間にあなたの登録を撃ち落とす条文だ。ポイントは二つ。第一に、相手はその構造を「権利として請求」していなくてよい。最初の願書に添付した明細書か実用新案登録請求の範囲か特許請求の範囲か図面のどこかに「書いてあれば」足りる。これを拡大先願、または準公知と呼ぶ。第二に、出願時点では相手の出願はまだ非公開でよい。あなたが知りようがなかった内容で、あなたの権利が消える。ただし救済もある。その考案をしたのが同一人物なら、また出願時に出願人が同一なら、この刃は当たらない。
法的な位置づけ
実用新案法3条の2は拡大先願(準公知)を定める規定であり、出願前に他人が出願しその後に公開された先願の願書に最初に添付された明細書・実用新案登録請求の範囲・特許請求の範囲・図面に記載された考案または発明と同一の考案は、その先願者が権利化していなくても実用新案登録を受けられない旨を規定する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自社の関連先願を出願前に棚卸しする 後願を出す前に、自社の関連する特許・実用新案の先願を洗い出し、その明細書・図面に今回の考案と同一の記載がないかを確認する。あれば考案者・出願人の同一性で例外が使えるかを検証する
- 2.考案者・出願人の名義を同一に揃える 例外(括弧書き・ただし書き)を使うには、考案者または出願時の出願人が同一である必要がある。子会社・事業部別法人に名義が分かれていると自爆するため、出願「前」に名義を統一する。出願後の名義変更ではこの例外は救えない
- 3.他社の公開特許・実用新案公報でクリアランス調査 自社出願日より前に出願され後に公開された他社出願の明細書・図面に、同一考案の記載がないかを J-PlatPat で調査する。請求項だけでなく明細書・図面の隅々まで読み込む
- 4.権利行使前に実用新案技術評価書を取得する 登録証だけで警告書を送らない。実用新案技術評価書(12条)を請求し、3条の2を含む評価を確認する。低評価のまま権利行使すると、後で無効となった際に相手への賠償責任(29条の3)を負いかねない
よくある質問 AI による整理
Q1拡大先願とは何ですか?
先願の願書に最初に添付された明細書・図面等の記載全体を基準に、それと同一の後願を排除する制度です。相手が請求項にしていなくても、書いてあれば後願は登録を受けられません。実用新案法3条の2が根拠です。
Q2拡大先願と新規性の違いは何ですか?
新規性(3条1項)は出願時点で既に公知の技術しか潰せませんが、拡大先願は出願時にまだ非公開だった先願の内容まで遡って後願を排除します。射程が新規性より深いのが特徴です。
Q3準公知とはどういう意味ですか?
拡大先願の別名です。先願が出願時点では未公開でも、後から公報発行されると、その明細書等の記載が「公知に準じる」ものとして後願排除効を持つことを指します。
Q4実用新案3条の2の例外はどんな場合ですか?
先願に記載された考案の考案者が後願の考案者と同一の場合(括弧書き)、または後願の出願時に両出願の出願人が同一の場合(ただし書き)は適用されません。自分の先願で自分の後願は潰れません。
Q5拡大先願と特許法29条の2の違いは?
内容はほぼ同一構造の並行規定です。実用新案の後願には特許出願も先願として効き、特許の後願には実用新案出願も先願として効く相互関係にあります。
Q6先願の明細書に書かれただけで後願は拒絶されますか?
はい。願書に最初に添付した明細書・請求の範囲・図面のいずれかに同一考案が記載されていれば、請求項でなくても後願排除の根拠になります。図面の説明部分でも足ります。
Q7実用新案技術評価書で3条の2は問題になりますか?
なります。実用新案は無審査登録なので3条の2違反は登録段階では止まらず、技術評価書(12条)で低評価として、または無効審判(37条)で顕在化します。
Q8拡大先願はいつの時点で判断されますか?
先願は後願の「出願日前」に出願され、かつ後願より「後」に公報発行された必要があります。この前後二条件を満たす先願だけが引例になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手は請求項にしていないのに、なんで自分の出願がダメになるんですか?
3条の2が見るのは相手が「何を権利化したか」ではなく「最初の願書の明細書・実用新案登録請求の範囲・特許請求の範囲・図面に何を書いたか」だからです。書いてあれば、権利化していなくても後願を排除します。理由は、既に出願で開示された技術に重ねて独占権を与えても、新たな技術の公開という社会への貢献がないからです。実務のポイント:だからこそ自社出願の明細書は、権利化しない実施例や変形例まで厚く書くほど、他社の後追い出願を封じる盾が広がる。明細書の厚みは、書いた本人が思う以上に攻撃的な意味を持つ
Q2実用新案って審査なしで登録されるのに、この条文っていつ問題になるんですか?
登録時ではなく、後から効いてきます。実用新案は無審査登録なので3条の2違反があっても一旦は登録されますが、無効審判(実用新案法37条)や、権利行使に必要な実用新案技術評価書(同12条)の場面で表面化します。実務のポイント:実用新案権は技術評価書を提示して警告しないと、後で権利が無効になったとき相手への賠償責任を負いかねない(同29条の3)。登録証が届いても安心して警告書を送ると、評価書が低評価だった瞬間に立場が逆転する。まず評価書、それから行使、が鉄則
Q3自分が前にも特許を出していて、今回その改良を実用新案で出す場合も引っかかりますか?
考案者・発明者が同一であれば括弧書きの例外で除外され、また出願時に出願人が同一であればただし書きの例外で除外されるので、自分の先願で自分の後願が潰れることは原則ありません。問題が起きるのは名義がずれているときです。実務のポイント:研究者個人が考案者でも、出願人を親会社・子会社・事業部別法人に振り分けていると、出願時の出願人同一の要件を外して自爆することがある。グループ企業の出願は、誰の名義で出すかを出願「前」に統一しておくこと、出願後の名義変更ではこの例外は救えない
間違えやすい点 AI による整理
- 「相手が請求項にしていない、つまり権利化していないなら、こっちが取れる」と思い込みがちだが、3条の2は逆。相手が権利を主張していない、明細書や図面に書いただけの記載でも、あなたの後願を排除する。権利化の有無ではなく、最初の願書への記載の有無が基準だ
- 新規性(3条1項)を知っている人でも、その射程の限界を知らない。新規性は出願時点で公知になっている技術しか潰せない。だが3条の2は、あなたの出願時にはまだ公開されていなかった先願の中身まで遡って効かせる。新規性の網をすり抜けたつもりの考案が、拡大先願の網で捕まる、その深刻度を見落としている
- 「無審査で登録されたのだから権利は有効だ」という前提そのものが誤っている。実用新案は実体審査なしで登録される。3条の2違反は登録の段階では止められず、無効審判(実用新案法37条)や実用新案技術評価書(同12条)の場面で初めて表面化する。登録証を持っていることと、権利が生きていることは別の話だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 排除の基準 | 3条の2:先願の願書に最初に添付した明細書・請求の範囲・図面の記載全体 | 3条1項:出願時に公知・公用・刊行物記載の技術 7条:先願と後願の請求項(登録を受けようとする考案)どうし |
| 先願の公開時期 | 出願時は非公開でよい(後で公報発行されれば足りる) | 出願時に既に公知であることが必要 公開の有無を問わず先後関係で判断 |
| 権利化の要否 | 先願者の権利化は不要(明細書等に記載があれば足りる) | 権利化の概念なし(技術が公知かどうか) 双方が登録を受けようとする考案であることが前提 |
| 主な例外 | 考案者同一(括弧書き)・出願人同一(ただし書き) | 新規性喪失の例外(11条・特許法30条相当) 協議・くじによる先願者の決定 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は『擬制喪失新規性』として、先申請の明細書・請求項・図面に記載された内容で後申請を排除する。新型(実用新案)にも準用され、日本の3条の2と機能が近い
韓国も『확대된 선원』として先願全内容主義を採用。実用新案は日本同様に無審査登録制で、技術評価の場面で顕在化する点も類似する
ドイツ・欧州特許条約は先願全内容主義(whole contents approach)を新規性判断に組み込む。ただし進歩性判断には用いない点は日本と共通
米国は AIA 施行後、先に出願され後に公開された出願を先行技術として扱う。共同研究例外(§102(b)(2)(C))など免責構造がある点は日本の例外規定と趣旨が近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 自社の研究者が独自に思いついた機構を実用新案出願した。ところが、その数か月前にライバル企業が出した特許出願が後から公開され、明細書の実施例にほぼ同じ構造が記載されていた。ライバルはそこを請求項にしていない。それでも3条の2により、あなたの実用新案は登録を受けられない、あるいは登録後でも無効審判で潰される
- もし、あなたが先に出願した側だったらどうなる? 自分の明細書に書いておいた、まだ権利化していないアイデアが、他人の後願をブロックする盾になる。請求項に書き忘れたつもりの記載が、ライバルの後追い出願を封じる武器に変わる。明細書をどこまで厚く書くかが、ここで効いてくる
- 研究チームで一人が特許出願、別の場面で同じ人が改良版を実用新案出願した。出願人が別法人になっていたら3条の2で後願が落ちかねない。だが考案者・発明者が同一人物であれば、ただし書きと括弧書きの例外が働き、自分の先願で自分の後願を殺さずに済む。誰の名義で、誰が考案者か、この一点が生死を分ける
- 実用新案は無審査で登録される。あなたは何のチェックもなく登録証を手にし、安心して相手に警告書を送った。相手の代理人が実用新案技術評価書を取り寄せたら、評価は最低ランク。理由は3条の2。あと一歩で、あなたが逆に権利濫用で訴えられる立場に回る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自社の実用新案に3条の2の問題を指摘されたら、まず引用された先願の出願日と公開日、そして自社出願日の前後関係を確認、相手の出願が自社出願日「前」で公開が「後」という二条件を満たすか検証2. 引用先願の願書に最初に添付された明細書・請求の範囲・図面に、本当に自社考案と「同一」の記載があるか精査、進歩性レベルの差異があれば3条の2は当たらない3. 考案者または出願時の出願人が同一であれば、括弧書き・ただし書きの例外を主張4. 該当する場合は弁理士と無効リスクを評価し、補正や訂正、権利行使の停止を検討(最新の改正状況をご確認ください)
訴えられた側:1. 相手の実用新案を排除したいなら、相手の出願日より前に出願され後に公開された特許・実用新案出願を調査、その明細書・図面に同一考案の記載を探す2. 見つかれば3条の2を理由に無効審判(実用新案法37条)を請求、または実用新案技術評価書で低評価を引き出す3. 相手から警告を受けている段階なら、この拒絶・無効の根拠を提示して交渉、評価書なしの権利行使はリスクが高いことを相手に認識させる4. 自社が先願側なら、明細書の記載を盾に相手の後願を排除する立場に立つ
時効(請求できる期限):実用新案登録の無効審判(実用新案法37条)に基づく3条の2違反の主張は、原則として権利存続期間中いつでも可能で特定の出訴期間はない。ただし実用新案権の存続期間は出願日から10年(同15条)であり、それを過ぎれば権利自体が消滅する。権利行使には実用新案技術評価書の提示が事実上前提となる点に注意(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:3条の2の趣旨は、既に先願で社会に開示された技術と同一の後願には新たな技術開示という公開代償がなく、独占権を重ねて付与する理由がない点にある。対象を当初明細書等の記載に限り、考案者同一・出願人同一の例外を置くことで、自己衝突と酷な不意打ちを回避する二段構えの調整を図る。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和45年(1970年) 新設:特許法29条の2とともに拡大先願(準公知)制度を新設。先願の願書に最初に添付した明細書・請求の範囲・図面の記載を後願排除の基準とした
- 2.平成5年(1993年) 改正:実用新案の無審査登録制度を導入。3条の2違反は登録時に審査されず、実用新案技術評価書(12条)・無効審判(37条)の場面で顕在化する構造となった
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