要点実用新案法 8 条は、自己の先の出願から一年以内に国内優先権を主張すれば、先の出願に記載済みの考案を先の出願日にしたものとみなす制度を定める。新たに加えた改良部分は後の出願日が基準となる。
Q · 実用新案を出願したあとで改良を思いついたら、もう手遅れですか?
一年以内なら国内優先権で改良を束ね直せます
実用新案法 8 条の国内優先権により、先の出願日から一年以内であれば、その出願を基礎にして改良を加えた新たな出願ができます。先の出願に既に記載されていた考案は先の出願日にしたものとみなされ(2 項)、新規性などの判断で時間的に保護されます。ただし遡及するのは先の出願に書かれていた範囲のみで、新しく加えた改良部分は後の出願日が基準です。基礎とした先の出願は一定期間経過後に取り下げたものとみなされる点にも注意が必要です。
町工場で新しい棚受け金具を考案し、競合に先を越される前にと急いで実用新案登録を出願したとする。その三か月後、さらに使い勝手のいい改良型を思いつく。ここで多くの個人発明家や中小メーカーは「もう出願してしまったから、改良分はまた一から出し直すしかない」と諦め、新しい着想をメモ帳の隅に書き留めて終わる。実用新案法 8 条はそう言っていない。先の出願の日から一年以内なら、その出願を土台にして改良分を上乗せした新しい出願ができ、しかも最初に書いてあった部分は先の出願の日に出したものとして扱われる(2 項のみなし規定)。これが国内優先権だ。先願主義の世界では一日でも早く出すことが鉄則だが、それは未完成のまま出せという残酷な要求でもある。本条は、その矛盾を埋める一年の猶予をあなたに与えている。
実用新案法 8 条は国内優先権を定める規定であり、実用新案登録を受けようとする者が、自己の先にした実用新案登録出願または特許出願に記載された考案を基礎として、先の出願日から一年以内に優先権を主張した新たな出願をすることを認める。基礎とされた先の出願に記載された考案は、先の出願の時にされたものとみなされる。
AI 輔助整理,以條文原文為準
自己の先の出願を基礎に、一年以内に改良を加えた新たな出願をまとめ直せる制度です。実用新案法 8 条が根拠で、先の出願に記載済みの考案は先の出願日にしたものとみなされます。
先の出願の日から一年以内です(8 条 1 項)。一日でも過ぎると原則として主張できませんが、故意でない徒過は経済産業省令で定める期間内の手続で救済される余地があります。
一年以内に新たな出願をし、優先権を主張する旨と先の出願の表示を記載した書面を、経済産業省令で定める期間内に特許庁長官へ提出します(8 条 4 項)。この書面を忘れると優先権が認められません。
新たな出願自体の出願料が必要です。先の出願は一定期間後に取り下げたものとみなされるため、二重に権利を維持する費用はかかりませんが、基礎出願の費用は実質的に新出願へ集約されます。
一年の期間を故意に徒過したのでないと認められ、かつ経済産業省令で定める期間内に所定の手続をすれば救済の余地があります(8 条 1 項、令和 3 年改正、最新の施行状況は要確認)。
特許庁長官に提出します(8 条 4 項)。優先権を主張する旨と先の出願の表示を記載した書面を、経済産業省令で定める期間内に提出する必要があります。
先の出願が分割・変更に係る出願のとき、既に放棄・取下げ・却下されているとき、査定・審決が確定しているとき、設定登録がされているとき等は主張できません(8 条 1 項各号)。
実用新案法 8 条は実用新案の国内優先権、特許法 41 条は特許の国内優先権で、対をなす並行規定です。実用新案登録出願は特許出願を基礎にすることもでき、相互の乗り換えも設計できます。
土台にする出願が国内か国外かが決定的に違います。本条 8 条の国内優先権は、自分が日本でした先の出願を基礎にして、一年以内に改良を加えた国内出願をまとめ直す制度です。パリ条約ルートの優先権(特許法 43 条の準用)は外国出願を基礎にします。業界裏話ヒント:両者は併存でき、外国の基礎出願を起点に日本で国内優先権を重ねる多段構成も実務で組まれます。期間の起算点がどの出願かで全部ずれるので、最初の一日を取り違えると後段がまるごと崩れます
放置できません。優先権の基礎に使われた先の出願は、一定期間の経過後に取り下げたものとみなされます(実用新案法 8 条の 2、現行効力を要確認)。つまり最初の権利は自動的に消える前提で制度が組まれています。業界裏話ヒント:これを知らずに「二件とも権利を持てる」と勘違いする出願人が多い。狙うべきは束ね直した後の一本に内容を集約すること。先の出願単独で残したい要素があるなら、優先権の基礎にするかどうかを最初に設計し直す必要があります
いいえ、そこが一番の誤解です。先の出願日に遡って判断されるのは、先の出願の書類に既に記載されていた考案だけ(2 項)。新たに加筆した改良部分は、後の出願日が基準になります。業界裏話ヒント:無効を争う側の弁理士は、まさにこの境界を狙います。明細書のどの記載が先の出願に「書いてあった」と言えるかで、基準日が部分ごとに割れる。出願人側は、先の出願の明細書をできるだけ厚く書いておくことが、一年後の優先権の効き目を決めます
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 8 条 国内優先権:先の出願日を維持しつつ改良を束ね直す | — |
| 出願日の扱い | 先の出願記載分は先の出願日にみなし、改良分は後の出願日 | — |
| 期間制限 | 先の出願日から一年以内(救済の余地あり) | — |
| 基礎出願の運命 | 一定期間経過後に取り下げたものとみなされる | — |
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