意匠法 第44条の3(回復した意匠権の効力の制限)
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- 前条第二項の規定により意匠権が回復したときは、その意匠権の効力は、第四十四条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後意匠権の回復の登録前に、輸入をし、若しくは日本国内において製造若しくは取得をした当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る物品若しくは画像記録媒体等、日本国内において建築若しくは取得をした当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る建築物又は日本国内において作成若しくは取得をした当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像には、及ばない。
- 2.前条第二項の規定により回復した意匠権の効力は、第四十四条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後意匠権の回復の登録前における次に掲げる行為には、及ばない。
- 一当該意匠又はこれに類似する意匠の実施
- 二当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品の製造に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について行つた次のいずれかに該当する行為
- 一当該製造に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をした行為
- 二当該製造に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をした行為
- 三当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る物品を譲渡、貸渡し又は輸出のために所持した行為
- 四当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物の建築に用いる物品又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について行つた次のいずれかに該当する行為
- 一当該建築に用いる物品又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をした行為
- 二当該建築に用いるプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をした行為
- 五当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る建築物を譲渡又は貸渡しのために所有した行為
- 六当該登録意匠又はこれに類似する意匠に係る画像の作成に用いる物品若しくは画像若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等若しくはプログラム等記録媒体等について行つた次のいずれかに該当する行為
- 一当該作成に用いる物品若しくは一般画像記録媒体等又はプログラム等記録媒体等の製造、譲渡、貸渡し若しくは輸入又は譲渡若しくは貸渡しの申出をした行為
- 二当該作成に用いる画像又はプログラム等の作成又は電気通信回線を通じた提供若しくはその申出をした行為
- 七当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像を電気通信回線を通じた提供のために保有した行為又は当該登録意匠若しくはこれに類似する意匠に係る画像記録媒体等を譲渡、貸渡し若しくは輸出のために所持した行為
この条文の基本情報
回復した意匠権の効力の制限とは何ですか?
定義回復した意匠権の効力の制限とは、意匠法第44条の3に定められた規定で、「前条第二項の規定により意匠権が回復したときは、その意匠権の効力は、第四十四条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後意匠権の回復の登録前に、輸…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第44条の3(回復した意匠権の効力の制限)は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第44条の3の条文原文は「前条第二項の規定により意匠権が回復したときは、その意匠権の効力は、第四十四条第一項の規定により登録料を追納することができる期間の経過後意匠権の回復の登録前に、輸…」で始まります。
- 意匠法第44条の3は第三節に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第44条の3の前の条は意匠法第44条の2です。
- 意匠法第44条の3の次の条は意匠法第45条です。
- 意匠法第44条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第44条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第44条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/44_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法44条の3は、回復した意匠権の効力が、追納期間経過後から回復登録前までに善意の第三者が製造・取得した物品・建築物・画像等に及ばないことを定める。
Q · 消えていた意匠権が後で復活したら、その間に作った製品は全部アウトになるの?
回復登録前に作った製品は保護され、効力は及びません
意匠法44条の3により、登録料の追納期間が過ぎてから回復登録の前までに、日本国内で製造・取得した物品や建築物、作成した画像には、回復した意匠権の効力が及びません。権利が消滅していると信じて動いた善意の第三者を保護する趣旨です。ただし保護されるのは回復登録前の行為に限られ、回復登録日以降も同じデザインで製造・販売を続ければ通常どおり侵害となります。境界線は回復登録の日付です。
解説
意匠の世界には、死んだはずの権利が生き返るという現象がある。意匠権者が登録料を払い忘れて権利が消滅した、ところが正当な理由があれば追納して権利を回復できる(44条の2)。問題はその空白期間だ。権利が消えている間に、あなたが同じデザインの製品を輸入・製造・販売していたら? 権利が回復した瞬間、過去にさかのぼって侵害者にされるのか。44条の3の答えは「及ばない」。回復した意匠権の効力は、追納期間が過ぎてから回復登録の前までに、あなたが日本国内で製造・取得した物品、建築した建築物、作成した画像には届かない。あなたは権利が死んでいると信じて動いた善意の第三者だ。法はその信頼を保護する。2019年改正で建築物・画像も対象に加わったので、内装デザインやアプリ画面を扱う事業者にも直結する条文になった。
法的な位置づけ
意匠法44条の3は、44条の2により回復した意匠権について、その効力の及ばない範囲を定める規定である。登録料の追納期間の経過後から回復登録前までに、日本国内で製造・取得された物品・建築物・画像等、および法が列挙する特定の実施行為には、回復意匠権の効力が及ばない。いわゆる中用権に類する善意者保護の仕組みである。
よくある質問 AI による整理
Q1中用権とは何ですか?
権利が消滅した後に善意で実施を始めた第三者が、権利回復後も一定範囲で実施を続けられる保護の総称です。意匠法44条の3はこれに類する効力制限を定めます。
Q2意匠権の回復制度(44条の2)とは?
登録料を追納期間内に払えず権利が消滅しても、正当な理由があれば一定期間内の追納で意匠権を回復できる制度です。44条の3はその回復の効力を制限します。
Q3意匠法44条の3で守られる行為の範囲は?
追納期間経過後から回復登録前までの製造・取得・輸入等、条文が列挙する行為に限られます。回復登録後の実施は含まれません。
Q4回復した意匠権の効力の起算点はいつですか?
境界は「回復登録の日」です。これより前の善意の行為には効力が及ばず、これ以降の実施は通常どおり侵害となりえます。
Q5特許法112条の3とは何が違いますか?
特許権が回復した場合の効力制限を定める並行規定です。趣旨・構造は意匠法44条の3とほぼ同じで、対象が特許発明である点が異なります。
Q6登録料の追納期間はどのくらいですか?
納付期限を過ぎても一定の追納期間内であれば割増料金で納付でき権利が維持されます。この期間の経過後が44条の3の効力制限の起算点になります。
Q7意匠権の消滅は登録原簿でどう確認しますか?
特許庁の登録原簿・J-PlatPatで登録料の納付状況や存続状態を確認できます。事業開始前の確認が後の防御証拠になります。
Q8権利回復後に製造した製品はどうなりますか?
44条の3が守るのは回復登録前の行為だけです。回復登録日以降に同じデザインで製造すれば、通常の侵害になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1他社の意匠権が登録料未納で消えていたので安心して製品を作ったのに、急に復活したと言われました。今ある在庫はどうなりますか?
回復した意匠権の効力は、追納期間が過ぎてから回復登録の前までに日本国内で製造・取得した物品には及びません(44条の3第1項)。つまり回復登録前に作った在庫は守られます。実務のポイント:在庫が守られるかは「いつ製造・取得したか」の一点で決まるので、製造日を示す客観証拠(製造記録、入庫伝票)を必ず保全すること。回復後に作り足した分は別物として侵害になるので、復活を知った日以降の生産は止めるのが鉄則です
Q2意匠権って一度払い忘れたら本当に復活するんですか? どんな場合に復活するんですか?
登録料の納付期限を過ぎても追納期間内に払えば維持され、その追納期間も過ぎて消滅した場合でも「正当な理由」があれば一定期間内の追納で回復します(44条の2第2項)。実務のポイント:回復要件は2021年改正で「その責めに帰することができない理由」から「正当な理由」へ緩和され、以前より回復が認められやすくなりました。つまり「消えた意匠権はもう復活しない」という前提で事業を組むのは、昔より危険になっています(最新の改正状況をご確認ください)
Q3アプリの画面デザインや建物のデザインでも、この回復の話は関係ありますか?
関係あります。2019年改正で建築物の意匠と画像意匠が意匠制度に加わり、44条の3も建築物・画像・画像記録媒体等を明示的に保護対象に含めています。あなたがUI画面や内装・建築デザインを扱うなら直結します。実務のポイント:画像意匠は比較的新しい制度で、登録料の管理が甘く失効しているケースも実務では珍しくありません。逆に言えば、失効中に開発した画面は44条の3で守られる余地がある。開発時点の意匠権の生死を登録原簿で確認しておくと、後の防御材料になります
間違えやすい点 AI による整理
- 「消滅した意匠権は二度と復活しない」と思っている人が多いが、正当な理由があれば追納で回復する(44条の2)。あなたが「もう死んだ権利だ」と安心して事業を組み立てると、回復した瞬間に前提が崩れる
- 「回復したのなら、消滅期間中の自分の行為も全部アウトだろう」という問いの立て方そのものが誤っている。44条の3は回復の効力を過去にさかのぼらせない。あなたが恐れるべきは過去ではなく、回復登録日以降に続けた行為だけだ
- 44条の3が空白期間の行為を守ること自体は知られていても、その射程の狭さが見落とされやすい。守られるのは「回復前に製造・取得した物」と「列挙された特定の行為」だけ。回復後にその在庫を売る行為まで全部許されるわけではない。条文の列挙を一字一句確認しないと、守られる範囲を読み違える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 44条の3:回復した意匠権の効力が及ばない範囲を定める(善意者保護) | 44条の2:消滅した意匠権を追納で回復させる制度 特許法112条の3:回復した特許権の効力制限(並行規定) |
| 保護される時間帯 | 追納期間経過後から回復登録前までの行為 | 回復そのもの(過去への遡及ではなく将来効を復活) 追納期間経過後から回復登録前まで(意匠と同旨) |
| 対象 | 物品・建築物・画像・画像記録媒体等+列挙された実施行為 | 意匠権そのものの存続 特許発明の実施行為 |
| 境界線 | 回復登録の日(前は保護、後は侵害になりうる) | 正当な理由の有無と追納期間内の納付 回復登録の日(意匠と同じ) |
他国ではどう定めているか 2 か国
ドイツは回復(原状回復)後に善意で開始した実施につき継続使用権を認める発想を持ち、日本の効力制限と機能的に近い。
米国は失効・回復した特許について intervening rights により善意の中間実施者を保護する。意匠特許にも準用的に議論される。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたが家具メーカーで、ある椅子のデザインに似た製品を生産・販売していた。実はそのデザインは意匠登録されていたが、権利者が登録料を払わず消滅していた。半年後、権利者が追納して権利を回復。だが回復登録の前にあなたが製造した在庫には、回復した意匠権は及ばない。投じた金型も在庫も、無価値にはならない
- もし、権利が回復した後に作った製品はどうなる? 44条の3が守るのは回復登録前の行為だけだ。回復後に同じデザインで作り続ければ、それは普通に侵害になる。境界線はただ一つ、回復登録の日である
- あなたはアプリの画面デザインを開発した。元にした画像意匠は当時すでに消滅していた。後で回復しても、その時作った画像には権利が及ばない
- 取引先から「あのデザイン、意匠権が復活したから在庫を全部回収しろ」と通告が来た。出荷停止まであと数日。だが回復登録前に製造・取得した分なら44条の3で守られる。回収を決める前に、製造日と回復登録日を今夜中に照合せよ
取るべき行動
被害を受けた側:1. 回復した意匠権で過去をすべて取り戻せると考えないこと。44条の3により、追納期間経過後から回復登録前までに第三者が製造・取得した物品・建築物・画像、および列挙された行為には権利が及ばない2. 回復登録日を起点に、それ以降の相手の実施行為だけを特定し、そこにのみ差止・損害賠償を組む3. 二度と空白期間を作らないため、登録料の納付期限を管理し、自動引落や代理人による期限管理を設定する
訴えられた側:1. まず相手の意匠権が「回復」されたものか登録原簿で確認し、回復登録日を特定する2. 自分の製造・輸入・取得・建築・作成の日付を証拠で固める(発注書、納品書、製造記録、ソースコードのコミット履歴等) 3. 回復登録前の行為であれば44条の3で効力が及ばないと主張、内容証明で反論する4. 回復登録後も同じ実施を続けているなら、それは保護されないので、継続の可否を弁理士・弁護士と検討する
時効(請求できる期限):44条の3自体に期限はないが、保護の境界は「回復登録の日」。これより前の行為は保護され、後の行為は侵害になりうる。意匠権侵害の差止請求に時効はないが、損害賠償請求権は被害者が損害および加害者を知った時から3年(民法724条)。製造・取得日と回復登録日の前後関係が、すべての分水嶺になる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:44条の3は、意匠権の回復による権利者保護と、権利が消滅したと信頼して実施を開始した善意の第三者の取引安全との調整規定であり、回復の効力を空白期間の行為に遡及させない点に趣旨があるとされる。
改正沿革 AI による整理
- 令和元年(2019年)改正 建築物の意匠・画像意匠の保護導入に伴い、効力制限の対象に建築物・画像・画像記録媒体等を追加。物品中心だった条文がデジタル・建築デザインにまで拡張された
- 令和3年(2021年)改正 前提となる回復制度(44条の2)の回復要件が「その責めに帰することができない理由」から「正当な理由」へ緩和され、回復が認められやすくなったことで本条の適用場面も実務上拡大した(改正経緯の全件は人的検証が必要)
改正の年表
- 1.令和元年(2019年) 改正:建築物の意匠・画像意匠の保護導入に伴い、効力制限の対象に建築物・画像・画像記録媒体等を追加。物品中心だった条文がデジタル・建築デザインにまで拡張された。
- 2.令和3年(2021年) 改正:前提となる回復制度(44条の2)の回復要件が『その責めに帰することができない理由』から『正当な理由』へ緩和され、回復が認められやすくなったことで本条の適用場面も実務上拡大した(改正経緯の全件は人的検証が必要)。
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