意匠法 第60条の10(パリ条約等による優先権主張の手続の特例)
クイックジャンプ
- 国際意匠登録出願については、第十五条第一項において読み替えて準用する特許法第四十三条(同項において準用する同法第四十三条の二第二項(第十五条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)並びに第十五条第一項において準用する同法第四十三条の二第一項(第十五条第一項において準用する同法第四十三条の三第三項において準用する場合を含む。)及び第四十三条の三第二項の規定は、適用しない。
- 2.特許法第四十三条第二項から第九項までの規定は、ジュネーブ改正協定第六条(1)(a)の規定による優先権の主張をした者に準用する。この場合において、同法第四十三条第二項中「次の各号に掲げる日のうち最先の日から一年四月以内」とあるのは、「経済産業省令で定める期間内」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
パリ条約等による優先権主張の手続の特例とは何ですか?
定義パリ条約等による優先権主張の手続の特例とは、意匠法第60条の10に定められた規定で、「国際意匠登録出願については、第十五条第一項において読み替えて準用する特許法第四十三条(同項において準用する同法第四十三条の二第二項(第十五条第一項において準用す…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 意匠法第60条の10(パリ条約等による優先権主張の手続の特例)は、日本の意匠法に含まれる条文です。
- 意匠法第60条の10の条文原文は「国際意匠登録出願については、第十五条第一項において読み替えて準用する特許法第四十三条(同項において準用する同法第四十三条の二第二項(第十五条第一項において準用す…」で始まります。
- 意匠法第60条の10は第二節に置かれています。
- 意匠法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 意匠法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 意匠法第60条の10の前の条は意匠法第60条の9です。
- 意匠法第60条の10の次の条は意匠法第60条の11です。
- 意匠法第60条の10には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第60条の10 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000125 - 本サイト収録
意匠法(昭和三十四年法律第百二十五号)第60条の10(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000125/60_10
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点意匠法60条の10は、国際意匠登録出願について優先権証明書類の提出規定を適用除外し、優先権主張の期間を経済産業省令で定める期間に読み替える特例規定である。
Q · ハーグ制度で意匠を海外出願したら、優先権の書類は日本の特許庁に出さなくていいの?
国際意匠登録出願では優先権証明書の提出は不要です
意匠法60条の10第1項により、国際意匠登録出願については国内出願で必要な優先権証明書類の提出規定(15条で準用する特許法43条系)が適用除外されます。優先権は国際登録の願書段階で主張しておく必要があり、後から国内の感覚で書類を追完しても受け皿がありません。さらに第2項で、優先権主張の期間が「1年4月以内」から経済産業省令で定める期間に読み替えられます。意匠の優先権はパリ条約で6か月と短いため、起算日の数え間違いが権利消失に直結します。
解説
海外でヒット商品のデザインを守りたい。WIPO のハーグ制度を使えば、一度の手続で複数国に意匠を出願できる。便利だ。だがここで多くの出願人が国内出願の感覚を持ち込んで足をすくわれる。国際意匠登録出願(WIPO の国際登録を経由して日本を指定した意匠出願)では、国内出願なら当然行う優先権証明書類の提出ルール(意匠法15条で準用する特許法43条系)が、第1項によってまるごと適用除外される。さらに第2項では、優先権主張の期間が「1年4月以内」ではなく「経済産業省令で定める期間内」に置き換わる。意匠の優先権はそもそもパリ条約で6か月(特許の12か月ではない)。この短さに、国際手続特有の期間ルールが重なる。優先日を1日でも落とせば、その間に出た他社の類似デザインや自社の先行公開で、せっかくの意匠登録が無効になりうる。あなたが守っているのは図面ではない、優先日という時間の旗だ。
法的な位置づけ
意匠法60条の10は、国際意匠登録出願に係る優先権主張の特例を定める規定である。第1項は国内出願で必要となる優先権証明書類の提出規定の適用を除外し、第2項は優先権主張の手続期間を「1年4月以内」から経済産業省令で定める期間に読み替える。ハーグ協定ジュネーブ改正協定に基づく国際手続との調和を図る特則として機能する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の出願が国際意匠登録出願か確認する WIPO の国際事務局経由で日本を指定した出願かを確認する。該当するなら、国内出願で行う優先権証明書類の提出手順(15条準用特許法43条系)は60条の10第1項で適用除外されるため、一旦その感覚を切り離す
- 2.優先権主張を国際登録の願書段階で組み込む 基礎出願の番号・日付・国を、国際登録の願書の優先権欄に正しく記載する。ここで確定させれば安定するが、出願後に国内感覚で追完しようとしても受け皿がなく手遅れになりやすい
- 3.意匠6か月+省令期間の二重カレンダーを作る パリ条約による意匠の優先権6か月と、第2項で読み替わる経済産業省令の期間の両方を最先の基礎出願日から起算してカレンダー化する。起算日の当日/翌日を代理人と二重確認する
- 4.国際登録簿で優先権記載の不備を点検する WIPO の国際登録簿で優先権主張が正しく記録されているか確認する。不備があれば省令期間内に弁理士へ相談し、追完可否を判断する。期間経過後は優先日が二度と戻らない
よくある質問 AI による整理
Q1国際意匠登録出願とは何ですか?
WIPO の国際事務局を経由し、ハーグ協定に基づいて日本を指定して行う意匠出願です。一度の手続で複数国に意匠を出願でき、日本国内では意匠登録出願とみなして審査されます。
Q2ハーグ協定のジュネーブ改正協定とは何ですか?
意匠の国際登録制度を定めるハーグ協定の1999年改正版です。日本は2015年に加入し発効しました。優先権主張は同協定6条(1)(a)に基づいて行われます。
Q3意匠の国際出願で優先権はどの段階で主張しますか?
国際登録の願書段階で主張します。意匠法60条の10第1項が国内型の証明書類提出を適用除外しているため、後から国内の感覚で書類を追完しても受け付けられないことがあります。
Q4国際意匠登録出願で読み替えられる期間は誰が定めますか?
第2項により、特許法43条2項の「1年4月以内」が「経済産業省令で定める期間内」に読み替えられます。具体的な日数は意匠法施行規則で定まります。
Q5国際意匠登録出願はどの官庁に手続しますか?
原則として WIPO の国際事務局を通じて手続します。日本の特許庁は国際登録を経由して指定官庁として審査を行う立場になり、国内出願とは窓口が異なります。
Q6国際意匠登録出願と通常の国内意匠出願はどう違いますか?
優先権証明書類の提出ルール(60条の10第1項で適用除外)と主張期間の定め方(第2項で省令に読み替え)が異なります。国内の感覚をそのまま持ち込むと手続を取り違えます。
Q7優先権主張の起算日はどう特定しますか?
最先の基礎出願日から起算します。意匠はパリ条約4条 C(1)で6か月であり、当日から数えるか翌日から数えるかで締切が1日ずれる事故が実在します。
Q8他社の国際意匠権に優先権の面から反論できますか?
相手の優先権主張がジュネーブ改正協定6条(1)(a)に基づき期間内に正しくなされたかを崩せば、優先日より前の公知資料が新規性喪失の証拠になり、無効審判(意匠法48条)につなげられます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1ハーグ制度で国際出願すれば、優先権の書類は日本の特許庁に出さなくていいんですか?
出さなくてよい場合が多いです。第1項が、国内出願で必要な優先権証明書類の提出規定(意匠法15条で準用する特許法43条系)を国際意匠登録出願について適用除外しているからです。実務のポイント:「適用除外=何もしなくていい」ではありません。国際登録の願書段階で優先権を正しく主張しておく必要があり、後から国内と同じ感覚で書類を追完しようとしても受け付けられないことがある。入口の主張がすべてです。
Q2意匠の優先権って、特許と同じで1年あるんですよね?
違います。意匠の優先権はパリ条約4条 C(1)で6か月、特許の12か月より短いです。さらに国際意匠登録出願では、第2項により期間が「経済産業省令で定める期間内」に読み替えられます。実務のポイント:6か月を「最初の出願日当日から」数えるか「翌日から」数えるかで締切が1日ずれ、それで優先権を落とす事故が実在します。期間計算は必ず代理人と二重確認を。最新の改正状況をご確認ください。
間違えやすい点 AI による整理
- 「ハーグ制度なら国内と同じ書類を特許庁に出せばいい」という前提そのものが誤っている。第1項は、国内出願で必要な優先権証明書類の提出規定を国際意匠登録出願については適用除外している。出すべき書類を出さなくてよく、その代わり国際登録の願書段階での主張がすべてを決める。問いの立て方が「いつ書類を出すか」では、最初から道を間違えている
- 意匠の優先権を「特許と同じで1年ある」と思い込んでいる人が多いが、パリ条約4条 C(1)で意匠は6か月。この半分という事実の深刻さを軽く見ると、まだ余裕があると思っている間に期限が過ぎている。国際出願では第2項で期間がさらに施行規則に読み替わる
- 出願人から見れば「ただの手続上の期間」だが、法から見れば優先日は他社の権利と自社の新規性の境界線そのもの。この落差を埋めないまま数日を浪費すると、手続の遅れが権利の消失に直結する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 優先権証明書類の提出 | 60条の10第1項:適用除外(提出不要) | 意匠法15条:特許法43条系を準用し提出が必要 特許法43条:国内出願で証明書類の提出義務 |
| 優先権主張の期間 | 第2項:経済産業省令で定める期間内に読み替え | 意匠法15条:特許法43条2項の「1年4月以内」 特許法43条2項:最先の日から1年4月以内 |
| 手続の窓口 | WIPO 国際事務局経由(日本は指定官庁) | 日本国特許庁へ直接 日本国特許庁へ直接 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾はハーグ非加盟のため国際登録制度がなく、各国別に設計専利を出願し国内優先権制度で対応する必要がある
韓国もハーグ加盟国として国際デザイン登録出願の特例を整備。優先権主張の枠組みは日本と同様に国際手続に合わせて調整されている
ドイツは EU 加盟国として EU 経由・ハーグ経由の双方で意匠保護が可能。優先権はパリ条約に依拠する点は共通
米国は2015年にハーグに加入。国際意匠登録出願を国内出願として扱う規定を整備し、優先権主張の取扱いを定める
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- WIPO 経由でスマホアクセサリーの意匠を国際出願した。国内出願のつもりで優先権証明書を特許庁に郵送しようとしたら、窓口で「国際出願では不要です」と言われた。では優先権はどこで確保されるのか。第1項の適用除外と国際事務局経由の扱いを理解していないと、出すべき手続と出さなくていい手続を取り違える
- 最初の本国出願から優先権主張の期間が迫る。意匠は6か月、しかも国際出願では施行規則の期間が重なる。残り日数の数え方を一か所間違えれば、優先日は二度と戻らない
- 競合他社が国際意匠登録出願で取った意匠権で、あなたの製品が侵害だと警告してきた。反撃の一手は、その意匠の優先権主張がジュネーブ改正協定6条(1)(a)に基づき期間内に正しくなされたかを崩すこと。優先権が無効なら、あなたの先行販売が逆に新規性破壊の証拠に変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の出願が「国際意匠登録出願」に当たるか確認。当たるなら国内出願の優先権書類提出の手順は一旦忘れる2. 優先権の基礎出願日を特定し、意匠の6か月期限と施行規則の期間の両方をカレンダー化3. 国際登録の願書段階で優先権主張が正しく記載されているか、WIPO の国際登録簿で確認4. 不備に気付いたら期限前に弁理士へ。追完できるか否かは手続段階で大きく変わる
訴えられた側:1. 相手の国際意匠登録出願の優先権主張が、ジュネーブ改正協定6条(1)(a)に基づき期間内に正しくなされたか登録簿で精査2. 主張期間(施行規則の期間)の超過や基礎出願の不一致があれば、優先日を崩せる3. 優先日が崩れれば、その日より前のあなたの製品販売・公開が新規性喪失の根拠になり、意匠登録無効審判(意匠法48条)につながる4. 警告書には回答期限を確認しつつ、優先権の弱点調査を最優先で進める
時効(請求できる期限):パリ条約による意匠の優先権主張は最初の出願から6か月(パリ条約4条 C(1)、意匠は特許の12か月と異なる)。国際意匠登録出願では、第2項により手続期間が経済産業省令(意匠法施行規則)で定める期間に読み替えられる。起算は最先の基礎出願日。最新の改正状況をご確認ください。
改正沿革 AI による整理
- 平成26年(2014年)新設 日本のジュネーブ改正協定(ハーグ協定)加入に伴い、国際意匠登録出願に係る特例として新設。平成27年(2015年)5月13日の同協定の日本国における発効に合わせて施行され、優先権主張の手続を国際出願の実情に合わせて調整した
改正の年表
- 1.平成26年(2014年) 新設:日本のハーグ協定ジュネーブ改正協定への加入に伴い、国際意匠登録出願に係る特例として新設。平成27年(2015年)5月13日の同協定発効に合わせて施行され、優先権主張の手続を国際出願の実情に合わせて調整した
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める