要点意匠法60条の11は、ハーグ協定経由の国際意匠登録出願について、意匠登録を受ける権利の承継の届出先を特許庁長官からWIPO国際事務局に読み替える特例を定める。
Q · ハーグ経由で出した意匠の権利を売るとき、届出先は特許庁でいいの?
国際(ハーグ)出願の権利移転は特許庁ではなくWIPO国際事務局に届け出る
意匠法60条の11により、国際意匠登録出願では、意匠登録を受ける権利の承継の届出先が、特許法34条4項の「特許庁長官」から意匠法60条の7第2項に定めるWIPO国際事務局に読み替えられます。国内出願の感覚で特許庁に移転届を出しても対抗要件を満たしません。加えて、同日二重譲渡の優先ルール(特許法34条5項・6項)は国際出願には適用されないため、登録前の権利移転はWIPO国際事務局への記録で一意に管理する必要があります。
自社プロダクトのデザインを海外まとめて守ろうとハーグ制度(国際意匠登録出願)を使ったとする。その後、事業売却や共同開発で「意匠登録を受ける権利」を他社へ譲る場面が来る。ここであなたが日本の常識のまま特許庁長官に譲渡を届け出ても、第三者に対抗できない。意匠法60条の11は、国内出願なら特許庁が担う届出の受付窓口を、国際出願ではジュネーブのWIPO国際事務局に置き換えると定めている。さらに、同じ権利が同日に二重譲渡されたときの優先ルール(特許法34条5項・6項)は、国際出願では丸ごと適用されない。窓口を取り違えると、登録前に権利を二重に売られても気付かず、あなたの投資が宙に浮く。たった一つの読替え条文が、グローバル展開する企業の権利移転の生死を分けている。
意匠法60条の11は、国際意匠登録出願に関する読替え特例を定める規定である。意匠登録を受ける権利の承継について、国内出願では特許庁長官が担う届出の受付を、国際出願ではWIPO国際事務局に置き換える。加えて、同日二重譲渡の優先順位を定める特許法34条5項・6項の準用を国際出願について適用除外する。
ハーグ協定ジュネーブ改正協定に基づき、WIPO国際事務局を通じて複数国に一括して意匠登録を出願できる制度です。日本では意匠法60条の3以下が規律します。
意匠の国際登録に関するハーグ協定のこと。一つの出願で複数の締約国に意匠を出願できます。日本は2015年に加盟し、意匠法にその特例が置かれています。
できます。登録前でも譲渡・承継が可能ですが、対抗要件を備える窓口が国内出願(特許庁)と国際出願(WIPO国際事務局)で異なる点に注意が必要です。
世界知的所有権機関(WIPO)の国際事務局。ハーグ制度の国際登録簿を一元管理し、意匠の名義変更などの記録を担います。意匠法60条の7第2項が定義します。
特許庁への届出ではなく、WIPO国際事務局への名義変更記録が対抗要件になります。特許庁に届け出ても第三者に対抗できません。
意匠法15条2項が準用する特許法34条4項の「特許庁長官」を、国際出願では意匠法60条の11によりWIPO国際事務局に読み替える技術的な規定です。
WIPO国際事務局に対して名義変更を記録します。国内出願の特許庁届出とは系統が分かれるため、混在するポートフォリオは二系統で管理します。
国際出願では特許法34条5項・6項の同日二重届出の優先ルールが適用されないため、国内的な救済が効かず、WIPO記録の一意性管理が重要になります。
それが落とし穴です。意匠法60条の11により、国際意匠登録出願では特許法34条4項の「特許庁長官」が「WIPO国際事務局」に読み替えられ、特許庁に届け出ても対抗要件を満たしません。業界裏話ヒント:国内出願と国際出願を同じ感覚で処理すると、ベテラン担当者でも窓口を取り違えます。ポートフォリオを国内・国際で物理的に分けた管理表を作るのが、事故を防ぐ実務の知恵です。
国内出願ならその発想は概ね正しいですが、国際出願では違います。意匠法60条の11第2項が、同日二重届出の優先ルール(特許法34条5項・6項)を国際出願に適用除外しているからです。業界裏話ヒント:このため国際出願の権利移転は「先に届け出た者勝ち」の国内的救済が効かず、WIPO記録の一意性管理がより重要になります。譲り受ける側は、記録完了まで対価の一部を留保する条項で身を守るのが賢明です。
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 権利承継の届出先 | 国際出願(本条):WIPO国際事務局(意匠法60条の7第2項) | — |
| 同日二重譲渡の優先ルール | 国際出願:適用除外(特許法34条5項・6項不適用) | — |
| 対抗要件を備える場所 | 国際出願:WIPO国際事務局への記録 | — |
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