要点意匠法60条の18は、国際登録を基礎とした意匠権の放棄を定める。本条2項により、通常必要な専用実施権者・質権者の承諾なしに権利者が単独で放棄できる特例である。
Q · 国際登録ベースの意匠権は、ライセンス相手の承諾なしに放棄できるんですか?
承諾不要で単独放棄できます(本条2項の特例)
意匠法60条の18により、国際登録を基礎とした意匠権は権利者が単独で放棄できます。通常の意匠権では専用実施権者や質権者の承諾が必要ですが(意匠法36条が準用する特許法97条1項)、本条2項がこの承諾要件の適用を除外しています。したがってライセンスを受けた側や担保に取った債権者は、放棄を止める法律上の承諾権を持ちません。守るには、契約で放棄前の事前通知義務を定めておく必要があります。
あなたの会社が、ハーグ協定に基づく国際登録を経て日本で取得した意匠権を持っているとする。デザインの方向性が変わり、もう使わないから手放したい。通常の意匠権なら、専用実施権者(独占的にそのデザインを使う許諾を得た相手)や質権者(その権利を担保に取った債権者)がいる場合、その承諾なしに放棄はできない(意匠法36条が準用する特許法97条1項)。ところが国際登録を基礎とした意匠権では、その承諾要件が外れる。本条2項が特許法97条1項の適用を明示的に排除しているからだ。つまり、ライセンスを与えた相手や、その権利を担保に取った債権者の同意を取らずに、権利者は単独で放棄に踏み切れる。逆に言えば、あなたが国際登録ベースの意匠権をライセンスされた側、あるいは質権者だった場合、相手が予告なく権利を手放しても、通常の意匠権で得られるはずの承諾という歯止めが効かない。国際登録という土台の上に立つ権利は、国内で一から取った権利とは放棄のルールそのものが違う。
意匠法60条の18は、国際登録を基礎とした意匠権の放棄に関する特例を定める規定である。第1項で権利者による放棄を認め、第2項で承諾要件を定める特許法97条1項(意匠法36条が準用)の適用を除外し、専用実施権者および質権者の承諾を放棄の要件から外している。
所定の様式で特許庁に放棄の届出を行い、登録することで効力が生じます(意匠法36条が準用する特許法98条)。国際登録ベースの権利では承諾は不要です。
必要です。放棄は登録しなければ効力を生じません(意匠法36条が準用する特許法98条)。届出だけで自動的に消えるわけではありません。
放棄が登録されれば以後の登録料(更新料)は発生しません。使わない権利のコスト削減には、納付期限前の放棄判断が実益になります。
国際登録を基礎とした意匠権は国際登録に依存するため、国際登録が消滅すれば日本の意匠権も連動して消滅します(意匠法60条の17)。
質権を設定して担保にできます。ただし国際登録ベースの意匠権は債務者が承諾なしに放棄でき、担保価値が消える可能性がある点に注意が必要です。
放棄が登録され効力が生じると、権利は消滅し原則として復活しません。放棄は不可逆的な処分であるため、判断は慎重に行う必要があります。
本条2項により権利者が承諾なく放棄でき、担保が一夜で消える恐れがあります。デューデリジェンスで権利の出自確認と契約上の事前通知義務が不可欠です。
ハーグ協定の国際登録は一度の出願で複数の締約国に権利を広げられます。ただし放棄・存続のルールは国ごとに異なります。
効力は同じですが、放棄のルールが違います。本条2項により、放棄に専用実施権者や質権者の承諾が要りません(通常は意匠法36条が準用する特許法97条1項で承諾が必要)。業界裏話ヒント:弁理士でも国内意匠の感覚で承諾交渉を進めてしまうことがあるが、国際登録ベースなら法律上その承諾は不要。ライセンス側は逆に、承諾権が最初から無い前提で契約を組む必要がある
法律上の承諾権はありませんが、契約で守れます。ライセンスや質権設定の契約に、放棄前の事前通知義務や違約金条項を入れておけば、権利者が無断で放棄しても債務不履行(民法415条)で責任を問えます。業界裏話ヒント:国際登録ベースの意匠権のライセンス契約書は国内意匠用のひな型を流用していることが多く、放棄制限条項が抜けがち。契約段階でこの一文を足せるかどうかが、権利が消えたときの明暗を分ける
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 放棄の承諾要件 | 本条2項により専用実施権者・質権者の承諾は不要 | — |
| 権利の基礎 | ハーグ協定に基づく国際登録 | — |
| 利害関係人の保護 | 法律上の承諾権はなく、契約による自衛が必要 | — |
| 放棄の効力発生 | 登録により効力発生(意匠法36条が準用する特許法98条) | — |
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