要点商標法 13 条の 2 は、出願人が警告した後・設定登録前の他人の商標使用について、業務上の損失相当額の金銭を請求できると定める。行使は商標権の登録後に限られる。
Q · 商標を出願中に他社が同じ名前を使い始めたら、お金を取れるの?
差止めは不可。警告書を送れば登録後に金銭請求できる
商標法 13 条の 2 により、出願内容を記載した書面で警告をすれば、その警告後・設定登録前に当該商標を使った相手に対し、使用により生じた業務上の損失相当額を請求できます。ただし請求権は商標権の設定登録後でなければ行使できず(2 項)、出願が拒絶・取下げ・無効になれば初めから無かったものとみなされます(4 項)。請求できるのは特許の実施料相当額ではなく実際の営業上の損失で、立証のハードルは高めです。
商標を特許庁に出願した。だが登録通知が来るまで半年から一年かかる。その間に別の会社が同じ名前で商品を売り始めたら、出願人は手も足も出ないのか。多くの事業者は「出願中だから何も言えない」と諦める。それは半分正しく、半分間違いだ。商標法13条の2は、出願後に出願内容を記載した書面、つまり警告書を相手に提示すれば、その警告以降の相手の使用について、業務上の損失に相当する金銭を請求できると定める。ただし条件が三重にかかる。第一に、この請求権は商標権の設定登録後でなければ行使できない(2項)。第二に、出願が拒絶・取下げ・無効になれば、請求権は初めから無かったものとみなされる(4項)。第三に、請求できるのは特許の実施料相当額ではなく「業務上の損失」、つまり実際の営業上の損害であり、立証のハードルが高い。出願から登録までの無防備な空白を、警告書一通が金銭債権に変える仕組みだ。
商標法 13 条の 2 が定める金銭的請求権とは、商標登録出願人が出願内容を記載した書面で警告した後、設定登録前にその商標を指定商品・指定役務について使用した者に対し、使用により生じた業務上の損失相当額を請求できる権利をいう。行使は商標権の設定登録後に限られ、出願が確定的に成立しない場合は遡って消滅する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
商標登録出願人が警告した後、設定登録前に他人が当該商標を使った場合、その業務上の損失相当額を請求できる権利です。商標法 13 条の 2 が根拠で、行使は登録後に限られます。
出願番号・指定商品役務・出願内容を記載した書面を、内容証明郵便で送るのが実務です。警告日が金銭請求の起算点になるため、配達記録を証拠として残すことが重要です。
特許の実施料相当額と違い、相手の使用による実際の営業上の損害を立証する必要があります。混同による売上減や信用毀損、相手の売上規模などから算定し、立証のハードルは高めです。
消滅時効は民法 724 条を準用し、損害および加害者を知った時から 3 年、不法行為時から 20 年です。登録前に使用の事実と使用者を知っていた場合、起算点は設定登録の日と読み替えられます。
出願が放棄・取下げ・却下、または拒絶査定や無効審決が確定すると、金銭的請求権は初めから生じなかったものとみなされます(4 項)。登録という最終条件が外れると債権ごと消えます。
止められません。差止請求権は設定登録で発生する商標権の効力(25 条)に基づくものです。登録前にできるのは警告と登録後の金銭請求だけで、使用そのものを禁止する力はありません。
警告書を送れば、警告後・登録後に業務上の損失相当額を請求できます。出品ページや売上の証拠を保全し、相手の使用規模が拡大する前に警告日を確定させると回収できる範囲が広がります。
できません。金銭的請求権の対象は警告後の使用分に限られます。警告をしていない期間の使用は、原則としてこの請求の対象になりません。早く警告するほど対象期間が前に広がります。
差止めはできない。商標権の効力は設定登録で初めて発生するため(商標法25条)、出願中は差止請求も損害賠償もできず、できるのは13条の2の警告と登録後の金銭請求だけだ。業界裏話ヒント:警告しても相手が使用をやめなければ、その分だけ後で請求できる金額が積み上がる。だから「すぐやめさせる」ことより「警告日を早く確定させる」ことの方が、金銭回収の観点では有利に働く場面がある
無視は危険だ。請求権は相手の登録後にしか行使できないが(2項)、警告日以降の使用が請求対象になるため、無視して使い続けるほど後の請求額が膨らむ。業界裏話ヒント:まず相手の出願が登録に至るかを見極めること。J-PlatPat で出願経過を確認し、拒絶理由通知が出ていれば登録されない可能性が高い。拒絶・無効が確定すれば、その請求権は初めから無かったことになる(4項)
違う。特許法65条は「実施料相当額」を請求できるが、商標法13条の2は「業務上の損失に相当する額」であり、実際の営業損害を立証する必要があってハードルが高い。業界裏話ヒント:商標は出所表示と信用が本質のため、混同による具体的な売上減や信用毀損を示すことが要る。逆に言えば、相手が大規模に売って市場を奪った事案ほど、損失が見えやすく請求が通りやすい
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 発生時点 | 13 条の 2:出願後の警告で発生(行使は登録後) | — |
| 請求できる内容 | 業務上の損失相当額(実損の立証が必要) | — |
| 差止めの可否 | 不可(金銭請求のみ) | — |
| 消滅条件 | 出願が拒絶・取下げ・無効で遡って消滅(4 項) | — |
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