商標法 第13条の2(設定の登録前の金銭的請求権等)
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- 商標登録出願人は、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指定役務について当該出願に係る商標の使用をした者に対し、当該使用により生じた業務上の損失に相当する額の金銭の支払を請求することができる。
- 2.前項の規定による請求権は、商標権の設定の登録があつた後でなければ、行使することができない。
- 3.第一項の規定による請求権の行使は、商標権の行使を妨げない。
- 4.商標登録出願が放棄され、取り下げられ、若しくは却下されたとき、商標登録出願について拒絶をすべき旨の査定若しくは審決が確定したとき、第四十三条の三第二項の取消決定が確定したとき、又は第四十六条の二第一項ただし書の場合を除き商標登録を無効にすべき旨の審決が確定したときは、第一項の請求権は、初めから生じなかつたものとみなす。
- 5.第二十七条、第三十七条、第三十九条において準用する特許法第百四条の三第一項及び第二項、第百五条、第百五条の二の十二、第百五条の四から第百五条の六まで及び第百六条、第五十六条第一項において準用する同法第百六十八条第三項から第六項まで並びに民法(明治二十九年法律第八十九号)第七百十九条及び第七百二十四条(不法行為)の規定は、第一項の規定による請求権を行使する場合に準用する。この場合において、当該請求権を有する者が商標権の設定の登録前に当該商標登録出願に係る商標の使用の事実及びその使用をした者を知つたときは、同条第一号中「被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時」とあるのは、「商標権の設定の登録の日」と読み替えるものとする。
この条文の基本情報
設定の登録前の金銭的請求権等とは何ですか?
定義設定の登録前の金銭的請求権等とは、商標法第13条の2に定められた規定で、「商標登録出願人は、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第13条の2(設定の登録前の金銭的請求権等)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第13条の2の条文原文は「商標登録出願人は、商標登録出願をした後に当該出願に係る内容を記載した書面を提示して警告をしたときは、その警告後商標権の設定の登録前に当該出願に係る指定商品又は指…」で始まります。
- 商標法第13条の2は第二章 商標登録及び商標登録出願に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第13条の2の前の条は商標法第13条です。
- 商標法第13条の2の次の条は商標法第14条です。
- 商標法第13条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第13条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第13条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/13_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法13条の2は、出願人が警告した後・設定登録前の他人の商標使用について、業務上の損失相当額の金銭を請求できると定める。行使は商標権の登録後に限られる。
Q · 商標を出願中に他社が同じ名前を使い始めたら、お金を取れるの?
差止めは不可。警告書を送れば登録後に金銭請求できる
商標法13条の2により、出願内容を記載した書面で警告をすれば、その警告後・設定登録前に当該商標を使った相手に対し、使用により生じた業務上の損失相当額を請求できます。ただし請求権は商標権の設定登録後でなければ行使できず(2項)、出願が拒絶・取下げ・無効になれば初めから無かったものとみなされます(4項)。請求できるのは特許の実施料相当額ではなく実際の営業上の損失で、立証のハードルは高めです。
解説
商標を特許庁に出願した。だが登録通知が来るまで半年から一年かかる。その間に別の会社が同じ名前で商品を売り始めたら、出願人は手も足も出ないのか。多くの事業者は「出願中だから何も言えない」と諦める。それは半分正しく、半分間違いだ。商標法13条の2は、出願後に出願内容を記載した書面、つまり警告書を相手に提示すれば、その警告以降の相手の使用について、業務上の損失に相当する金銭を請求できると定める。ただし条件が三重にかかる。第一に、この請求権は商標権の設定登録後でなければ行使できない(2項)。第二に、出願が拒絶・取下げ・無効になれば、請求権は初めから無かったものとみなされる(4項)。第三に、請求できるのは特許の実施料相当額ではなく「業務上の損失」、つまり実際の営業上の損害であり、立証のハードルが高い。出願から登録までの無防備な空白を、警告書一通が金銭債権に変える仕組みだ。
法的な位置づけ
商標法13条の2が定める金銭的請求権とは、商標登録出願人が出願内容を記載した書面で警告した後、設定登録前にその商標を指定商品・指定役務について使用した者に対し、使用により生じた業務上の損失相当額を請求できる権利をいう。行使は商標権の設定登録後に限られ、出願が確定的に成立しない場合は遡って消滅する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.出願後すぐ模倣者を監視し証拠を保全 出願したら J-PlatPat や検索で同一・類似名称の使用を定期的に監視する。模倣を発見したら、出品ページ・販売チャネル・期間・売上推計をスクリーンショットや記録で保全する。警告前の証拠が後の損失立証の土台になる
- 2.出願内容を記載した警告書を内容証明で送付 出願番号・指定商品役務・出願に係る商標を明記した書面を作成し、内容証明郵便で相手に送る。警告日が金銭請求の起算点になるため、配達記録を必ず残す。相手が油断している段階で早く届くほど対象期間が前に広がる
- 3.登録までの使用継続と損失を記録し続ける 請求権は設定登録後でなければ行使できない(2項)。登録を待つ間も相手の使用継続・販売規模を記録し続ける。出願が拒絶・無効になれば請求権は遡って消滅するため、自社出願の経過も J-PlatPat で確認しておく
- 4.設定登録後に業務上の損失額を算定し請求 設定登録が完了したら、業務上の損失相当額を算定して請求する。立証が重いので、相手の売上資料の開示を求める手続も検討する。任意交渉で支払いに応じなければ訴訟・損害賠償(25条以下)と併せて検討する
よくある質問 AI による整理
Q1商標の金銭的請求権とは何ですか?
商標登録出願人が警告した後、設定登録前に他人が当該商標を使った場合、その業務上の損失相当額を請求できる権利です。商標法13条の2が根拠で、行使は登録後に限られます。
Q2警告書はどうやって送ればいいですか?
出願番号・指定商品役務・出願内容を記載した書面を、内容証明郵便で送るのが実務です。警告日が金銭請求の起算点になるため、配達記録を証拠として残すことが重要です。
Q3業務上の損失はどう計算しますか?
特許の実施料相当額と違い、相手の使用による実際の営業上の損害を立証する必要があります。混同による売上減や信用毀損、相手の売上規模などから算定し、立証のハードルは高めです。
Q4金銭的請求権はいつまでに行使できますか?
消滅時効は民法724条を準用し、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年です。登録前に使用の事実と使用者を知っていた場合、起算点は設定登録の日と読み替えられます。
Q5出願が拒絶されたら請求権はどうなりますか?
出願が放棄・取下げ・却下、または拒絶査定や無効審決が確定すると、金銭的請求権は初めから生じなかったものとみなされます(4項)。登録という最終条件が外れると債権ごと消えます。
Q6金銭的請求権があれば使用を止めさせられますか?
止められません。差止請求権は設定登録で発生する商標権の効力(25条)に基づくものです。登録前にできるのは警告と登録後の金銭請求だけで、使用そのものを禁止する力はありません。
Q7EC サイトで出願中の商標を無断使用されたら請求できますか?
警告書を送れば、警告後・登録後に業務上の損失相当額を請求できます。出品ページや売上の証拠を保全し、相手の使用規模が拡大する前に警告日を確定させると回収できる範囲が広がります。
Q8警告せずに登録後にまとめて過去分を請求できますか?
できません。金銭的請求権の対象は警告後の使用分に限られます。警告をしていない期間の使用は、原則としてこの請求の対象になりません。早く警告するほど対象期間が前に広がります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1商標を出願中なんですが、似た名前を使ってる会社を今すぐ止められますか?
差止めはできない。商標権の効力は設定登録で初めて発生するため(商標法25条)、出願中は差止請求も損害賠償もできず、できるのは13条の2の警告と登録後の金銭請求だけだ。実務のポイント:警告しても相手が使用をやめなければ、その分だけ後で請求できる金額が積み上がる。だから「すぐやめさせる」ことより「警告日を早く確定させる」ことの方が、金銭回収の観点では有利に働く場面がある
Q2登録される前に送られてきた警告書、無視していいですか?
無視は危険だ。請求権は相手の登録後にしか行使できないが(2項)、警告日以降の使用が請求対象になるため、無視して使い続けるほど後の請求額が膨らむ。実務のポイント:まず相手の出願が登録に至るかを見極めること。J-PlatPat で出願経過を確認し、拒絶理由通知が出ていれば登録されない可能性が高い。拒絶・無効が確定すれば、その請求権は初めから無かったことになる(4項)
Q3特許だと実施料相当額をもらえると聞きました。商標も同じですか?
違う。特許法65条は「実施料相当額」を請求できるが、商標法13条の2は「業務上の損失に相当する額」であり、実際の営業損害を立証する必要があってハードルが高い。実務のポイント:商標は出所表示と信用が本質のため、混同による具体的な売上減や信用毀損を示すことが要る。逆に言えば、相手が大規模に売って市場を奪った事案ほど、損失が見えやすく請求が通りやすい
間違えやすい点 AI による整理
- 「商標は出願すれば守られる」と知っているつもりの人は多いが、出願から登録までの空白期間に他人が使っても、警告書を出さなければ一円も取れないという深刻さを知らない。守られるのは登録された瞬間からであり、空白を埋めるには自分から警告という一手を打つ必要がある
- 「登録されたら、出願時点までさかのぼって過去の使用分を全部請求できる」と思い込んでいるが、請求できるのは警告後の使用分だけ。しかも特許の実施料相当額と違い「業務上の損失」の立証が要り、ハードルは一段重い
- 警告書を送れば即座にお金が取れると考えがちだが、請求権は相手の商標権設定登録後でないと行使できない(2項)。さらに自分の出願が拒絶・無効になれば、請求権は初めから無かったことになる(4項)。手にしたつもりの債権が、出願の運命次第で消える
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 発生時点 | 13条の2:出願後の警告で発生(行使は登録後) | 25条:商標権は設定登録で発生 特許法65条:出願公開後の補償金請求権 |
| 請求できる内容 | 業務上の損失相当額(実損の立証が必要) | 差止請求・損害賠償(登録後の侵害) 実施料相当額(立証が比較的容易) |
| 差止めの可否 | 不可(金銭請求のみ) | 可(商標権の効力として差止め可) 不可(金銭請求のみ) |
| 消滅条件 | 出願が拒絶・取下げ・無効で遡って消滅(4項) | 商標権の存続期間満了・無効審決 特許出願の拒絶・無効で遡って消滅 |
他国ではどう定めているか 2 か国
EU 商標規則では、公開後・登録前の行為について『合理的補償(reasonable compensation)』を請求できる。実際の営業損失を要件とする日本と射程はやや異なる
米国は登録により出願日へ遡る擬制的使用日(constructive use)を認めるが、出願段階の金銭請求は intent-to-use 制度と別枠で、日本のような出願後の損失請求とは構造が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 新ブランド名を出願した直後、同業他社が同じ名前でECサイトを立ち上げたら、あなたに何ができるか? 設定登録前なので差止めはできないが、警告書を送れば、登録後にその間の業務上の損失を請求できる。送るのが早いほど、回収できる金額の窓が前へ広がる
- あなたの会社がリリースした新サービス名に、見知らぬ会社から「当社の出願商標だ」と警告書が届いた。あと数週間で大型広告キャンペーンが始まる。このまま進めれば、相手の登録後に、広告で拡大した売上分まで請求される可能性がある。今週中に、名称変更か相手の出願の登録可能性を調べるかの判断を迫られる
- 個人で始めたハンドメイドブランド。Instagram で火がついた頃、警告書が届く。その名前、半年前に他人が出願していた
- 知人がカフェの屋号を商標出願したと喜んでいる。だが近所に同じ屋号の新店ができた。出願しただけでは止められないと知っているあなたは、警告書という次の一手まで助言できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 出願後、模倣者を発見したら内容証明郵便で警告書を送る。出願番号・指定商品役務・出願内容を明記し、警告日を証拠化する(警告日が金銭請求の起算点) 2. 相手の使用の事実と規模を記録、売上推計・販売チャネル・期間を証拠保全3. 請求権は登録後でないと行使できない(2項)ため、登録を待ちつつ相手の使用継続を記録し続ける4. 登録後、業務上の損失額を算定して請求。立証が重いので、相手の売上資料の開示を求める手続も検討する
訴えられた側:1. 警告書が来ても即座に支払う必要はない。請求権は相手の登録後でないと行使できない(2項) 2. 相手の出願が拒絶・無効になる見込みを調査。拒絶査定や無効審決が確定すれば請求権は初めから無かったことになる(4項)。先行する自社使用や類似先行商標があれば不登録・無効事由を主張する3. リスクが高ければ警告後の使用を止めるか名称変更を検討し、損失の蓄積を止める4. 登録後に請求が来たら、業務上の損失の立証が不十分な点を争う
時効(請求できる期限):請求権は商標権の設定登録後でなければ行使できない(2項)。消滅時効は民法724条を準用し、損害および加害者を知った時から3年、不法行為時から20年。ただし登録前に使用の事実とその使用者を知っていた場合、起算点は「商標権の設定の登録の日」と読み替えられる(5項)(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:金銭的請求権は不法行為に基づく損害賠償請求権に類する性質を持ち、特許法65条の補償金請求権と並ぶ出願段階の暫定的保護制度と理解される。行使には設定登録という条件が付され、出願が確定的に成立しない限り遡及的に消滅する点に特徴がある。
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