商標法 第34条の2(商標権の放棄)
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商標権者は、専用使用権者、質権者又は通常使用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その商標権を放棄することができる。
この条文の基本情報
商標権の放棄とは何ですか?
定義商標権の放棄とは、商標法第34条の2に定められた規定で、「商標権者は、専用使用権者、質権者又は通常使用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その商標権を放棄することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第34条の2(商標権の放棄)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第34条の2の条文原文は「商標権者は、専用使用権者、質権者又は通常使用権者があるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り、その商標権を放棄することができる。」で始まります。
- 商標法第34条の2は第一節 商標権に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第34条の2の前の条は商標法第34条です。
- 商標法第34条の2の次の条は商標法第35条です。
- 商標法第34条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第34条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第34条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/34_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法第34条の2は、専用使用権者・質権者・通常使用権者がいる場合、その承諾を得たときに限り商標権を放棄できると定める規定である。
Q · 本部やライセンス元は、私が使っている商標を勝手に放棄できるの?
原則できません。あなたの承諾が必要です
商標法第34条の2により、商標権者は専用使用権者・質権者・通常使用権者がいるときは、これらの者の承諾を得た場合に限り商標権を放棄できます。あなたが通常使用権者であれば、あなたの承諾がない限り、本部や権利者は一方的にその商標を消せません。承諾は義務ではなく権利なので、移行期間や補償金と引き換えに交渉できます。なお放棄の効力は特許庁の登録で発生します(第35条が準用する特許法98条)。
解説
フランチャイズに加盟し、本部の有名な商標を使って店を出して三年、ようやく客がついた。そこへ本部から「このブランドを畳む」と通知が届く。商標が消えれば、あなたが使っていた通常使用権は宙に浮く。だが商標法第34条の2が、その放棄を一度止める。商標権者は、専用使用権者、質権者、通常使用権者がいるとき、これらの者の承諾を得た場合に限り、商標権を放棄できる。つまりあなたの承諾がなければ、権利者は一方的にその商標を消せない。背後にあるのは、商標権は権利者だけのものではなく、ライセンスを受けて稼ぐ者や、それを担保に金を貸した者の経済的基盤を支える土台だという発想である。さらに知っておくべきは、放棄の効力は特許庁の登録で初めて発生する点だ。書面の承諾と登録、この二つの関門を理解していれば、ある朝突然看板を失う悪夢は防げる。
法的な位置づけ
商標法第34条の2は、商標権の放棄に関する制限規定である。商標権者は、専用使用権者、質権者又は通常使用権者が存在する場合、これらの利害関係人全員の承諾を得たときに限り、その商標権を放棄することができる。放棄の効力は特許庁における登録によって発生する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自分の権利を特許庁の登録原簿で確認 専用使用権・通常使用権・質権のいずれを持つかを特許庁の商標登録原簿で確認する。未登録なら、権利者の放棄届が把握されないまま通る危険があるため、直ちに登録申請を検討する
- 2.通常使用権・質権を登録して存在を可視化 通常使用権または質権を特許庁に登録する。登録があれば、権利者が放棄届を出しても特許庁が利害関係人の存在を把握し、承諾の確認なしには放棄手続が進まない
- 3.承諾を求められたら拒否権を交渉材料にする 権利者から放棄の承諾を求められたら、安易に押印せず書面で保留する。承諾と引き換えに移行期間・代替ブランド切替費用・補償金を一括交渉する。承諾は義務ではなく権利である
- 4.無断放棄の登録は承諾不存在を理由に争う 権利者が承諾なく放棄登録を進めた形跡があれば、承諾の不存在を理由にその放棄の効力を争う。放棄の効力は登録時に発生するため、登録を知った後できるだけ早く行動する
よくある質問 AI による整理
Q1商標権の放棄とは?
商標権者が自らの意思で商標権を消滅させることです。ただし専用使用権者・質権者・通常使用権者がいる場合は、その承諾がなければ放棄できません(商標法34条の2)。
Q2商標権を放棄する手続きは?
特許庁に商標権放棄の登録申請を行います。利害関係人がいる場合は全員の承諾書を添付しなければ受理されず、登録によって放棄の効力が発生します。
Q3商標権の放棄はいつ効力が発生する?
特許庁における登録の時に効力が発生します(商標法35条が準用する特許法98条)。承諾書を出していても、登録前であれば効力は生じていません。
Q4商標の通常使用権は登録できる?
登録できます。通常使用権を特許庁に登録しておくと、権利者が放棄届を出しても特許庁が存在を把握し、承諾の確認なしに手続が進みません。
Q5フランチャイズ本部が事業をやめたら商標はどうなる?
本部が商標権を放棄するには加盟店(通常使用権者)の承諾が必要です。承諾なしに看板商標を一方的に消すことはできず、撤退交渉の材料になります。
Q6商標権の放棄と更新しないことの違いは?
放棄は能動的に権利を消す行為で利害関係人の承諾が必要です。更新しないのは存続期間満了による自然消滅で、承諾は不要ですが時期を選べません。
Q7商標を担保にできる?
できます。商標権には質権を設定でき、登録すれば第三者に対抗できます。債務者が勝手に放棄しても質権者の承諾がなければ効力は生じません。
Q8商標権の放棄を後から取り消せる?
登録前であれば承諾の有無を争えますが、登録により放棄の効力が確定すると原則として復活しません。無断登録は承諾不存在を理由に争います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1通常使用権を登録してないんですが、それでも放棄を止められますか?
条文上、第34条の2は「通常使用権者があるとき」と定めるだけで、承諾権の発生自体に登録は要求していません。理屈の上では未登録でも承諾権はあります。ただし特許庁はあなたの存在を原簿でしか把握できないため、未登録だと権利者の放棄届がそのまま通ってしまう危険がある。実務のポイント:実務では「承諾権はあるが、登録していないと事実上守れない」が常識。ライセンスを受けたら通常使用権を登録しておくのが、看板を守る最も確実な一手
Q2本部が承諾を求めてきたら、ただ印を押すしかないんですか?
いいえ、承諾は義務ではなく権利です。第34条の2はあなたに拒否権を与えている。承諾と引き換えに、移行期間、別ブランドへの切替費用、補償金などを交渉できます。実務のポイント:承諾を求められた時点で、相手はあなたの同意なしには前に進めない状態にある。これは数少ない交渉カードなので、安易に押さず、ライセンス契約全体の見直しと一括で条件を詰めるのが定石
Q3担保に取った商標、債務者が放棄したら担保が消えませんか?
消えません。第34条の2は質権者の承諾を放棄の要件としており、あなたの承諾なしの放棄は効力を生じません。効力発生には特許法第98条準用で登録も必要です。実務のポイント:商標を担保に融資するなら、質権設定登録を必ず済ませること。登録していれば特許庁が放棄届の段階で質権者の存在を把握し、承諾の確認なしに処理が進まない。無登録の口約束だけの担保が一番危ない
Q4専用使用権者と通常使用権者、両方いる場合は全員の承諾が必要ですか?
はい。第34条の2は専用使用権者、質権者、通常使用権者を並列で挙げており、存在する全員の承諾が必要です。一人でも欠ければ放棄はできません。実務のポイント:権利関係が複雑な商標ほど放棄のハードルは上がる。逆に言えば、ライセンシーや質権者が複数いる商標は、権利者が単独で勝手に整理できない塩漬けになりにくい資産。M&Aの評価でもこの点は見られる
間違えやすい点 AI による整理
- 「商標は権利者のものだから、いつでも自由に放棄できる」と思い込まれている。だが第34条の2は、専用使用権者、質権者、通常使用権者がいる場合、その全員の承諾がなければ放棄できないと定める。権利者の自由は、利害関係人がいる時点で条件付きに変わる
- 通常使用権者に承諾権があること自体は知っていても、その権利の「弱点」を知らない人が多い。承諾権は条文上は登録なしでも発生するが、特許庁はあなたの存在を原簿でしか把握しない。未登録のままだと、承諾権があっても権利者の放棄届がそのまま通ってしまう。承諾権の有無ではなく、それを事実上守れるかが分水嶺だ
- 「商標が放棄されたら自分のライセンスも消える、もう打つ手はない」と問いを立ててしまう。だがその問いは前提から誤っている。あなたが承諾していない放棄は、登録されても効力を生じない。守るべきは「消えた後の救済」ではなく「そもそも消させないこと」だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権利消滅の原因 | 権利者の自発的放棄(第34条の2) | 存続期間満了で更新せず(第19条・第20条) 不使用取消審判による取消(第50条) |
| 第三者の承諾 | 専用使用権者・質権者・通常使用権者の承諾が必要 | 不要(権利者の不作為で消滅) 不要(第三者からの審判請求) |
| 効力発生時点 | 特許庁の登録時(第35条準用・特許法98条) | 存続期間の満了時 取消審決の確定時 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾商標法も、授権登記または質権登記がある場合、被授権者・質権者の同意を得なければ商標権を放棄できないと定め、日本法とほぼ同一の構造をとる
ドイツ商標法も、登録された権利(ライセンス・質権等)がある場合、その権利者の同意がなければ放棄の登録ができないとし、利害関係人保護の発想を共有する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 本部の有名ブランドで加盟店を出して三年、客もついた頃、本部から「このブランドを畳む」と通知が来た。商標が放棄されれば、あなたの通常使用権は土台を失う。だが第34条の2により、あなたの承諾なしにその放棄は通らない。承諾を求められたその瞬間が、移行期間や補償金を交渉する最大の機会になる
- もし、あなたが融資の担保として相手企業の商標に質権を設定していたら? 債務者が返済を逃れようとその商標権を放棄しても、質権者であるあなたの承諾がない限り効力は生じない。担保が勝手に蒸発することはない
- あなたが商標権者の側で、使わなくなった登録商標の更新料を払い続けるのが惜しい。放棄届を出せば年間コストが消える。だが過去にライセンスを一件でも出していれば、相手の承諾書を添えない限り特許庁は放棄を受理しない。コスト削減のつもりが手続で止まる
- M&Aのデューデリジェンス、買収対象の主力商標。残り三日で、その商標に専用使用権、通常使用権、質権の登録がないかを原簿で洗い出さないとクロージングに間に合わない。第三者の承諾権を見落とせば、買った後に商標を整理できない
- ライセンス契約が円満に終了した後も、相手が登録抹消に協力してくれない。あなたが商標権者なら、相手の通常使用権が消滅した事実を立証できれば、その承諾なしに放棄や整理を進められる。終わった契約の後始末こそ書面が物を言う
取るべき行動
被害を受けた側:1. まず自分の権利、専用使用権か通常使用権か質権かを特許庁の登録原簿で確認、未登録なら直ちに登録申請を検討2. 権利者から放棄や商標整理の打診があれば、安易に承諾せず書面で保留する3. 承諾と引き換えに移行期間、補償金、代替ブランドへの切替費用を交渉、第34条の2の拒否権を交渉カードにする4. 権利者が無断で放棄登録を進めた形跡があれば、承諾の不存在を理由にその放棄の効力を争う
訴えられた側:1. 放棄したい商標に専用使用権、通常使用権、質権が設定されていないか、登録原簿と過去の契約履歴で総点検する2. 一件でもあれば、放棄届には全員の承諾書を添付しなければ特許庁は受理しない3. 承諾が得られない場合は、ライセンス契約の終了や合意解除を先に整理してから放棄手続へ進む4. コスト削減が目的なら、放棄ではなく更新を見送る選択肢や、第三者への譲渡も比較検討する
時効(請求できる期限):放棄の承諾権そのものに特定の時効はない。ただし放棄の効力は特許庁の登録時に発生するため(商標法第35条による特許法第98条準用)、登録される前であれば承諾の有無を争える。無断で登録された放棄を争う場合は、登録を知った後できるだけ早く行動する必要がある
学説
通説:第34条の2の趣旨は、商標権の上に経済的利害を有する専用使用権者・質権者・通常使用権者を保護する点にあり、権利者の処分の自由を利害関係人の承諾という条件で制約するものと解されている。特許法第97条と同趣旨の規定である。
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