商標法 第31条(通常使用権)
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- 商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。
- 2.通常使用権者は、設定行為で定めた範囲内において、指定商品又は指定役務について登録商標の使用をする権利を有する。
- 3.通常使用権は、商標権者(専用使用権についての通常使用権にあつては、商標権者及び専用使用権者)の承諾を得た場合及び相続その他の一般承継の場合に限り、移転することができる。
- 4.通常使用権は、その登録をしたときは、その商標権若しくは専用使用権又はその商標権についての専用使用権をその後に取得した者に対しても、その効力を生ずる。
- 5.通常使用権の移転、変更、消滅又は処分の制限は、登録しなければ、第三者に対抗することができない。
- 6.特許法第七十三条第一項(共有)、第九十四条第二項(質権の設定)及び第九十七条第三項(放棄)の規定は、通常使用権に準用する。
この条文の基本情報
通常使用権とは何ですか?
定義通常使用権とは、商標法第31条に定められた規定で、「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第31条(通常使用権)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第31条の条文原文は「商標権者は、その商標権について他人に通常使用権を許諾することができる。」で始まります。
- 商標法第31条は第一節 商標権に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第31条の前の条は商標法第30条です。
- 商標法第31条の次の条は商標法第31条の2です。
- 商標法第31条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第31条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第31条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/31
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法31条は、商標権者が他人に通常使用権を許諾できると定める。通常使用権は登録しなければ、後に商標権を取得した第三者に対抗できない。
Q · フランチャイズで商標を使う契約をしたのに、本部が商標を売ったら使えなくなるって本当?
登録していなければ新オーナーに対抗できず使えなくなる
商標法31条により、通常使用権は登録しなければ、後から商標権や専用使用権を取得した第三者に対抗できません(4項・5項)。契約は商標権者との間でのみ効力を持つため、商標が転売された瞬間、未登録の使用権は新しい権利者に無視されうります。特許法は2011年改正で登録不要の当然対抗(特許法99条)に移行しましたが、商標法は登録主義のままです。フランチャイズ加盟店などブランド使用に事業が乗っている場合、登録が命綱になります。
解説
カフェチェーンとフランチャイズ契約を結び、本部のロゴを掲げて店を出す。コンビニ加盟店が看板を背負う。これが通常使用権だ。商標法31条は、商標権者が他人に「自分の登録商標を使ってよい」と許諾できると定め、許諾を受けた側は設定行為で決めた範囲(指定商品、指定役務、地域、期間)内で登録商標を使う権利を得る。ここに大半の事業者が見落とす落とし穴がある。この使用権は、登録しなければ第三者に対抗できない(4項、5項)。つまり商標権者がその商標を別の会社に売却した瞬間、登録していないあなたの使用権は新オーナーに無視されうる。看板を下ろせと言われても反論の足場がない。特許の世界は2011年改正で「登録しなくても守られる」当然対抗制度(特許法99条)に切り替わったが、商標の世界はいまだに登録主義のまま取り残されている。あなたが結んだライセンス契約書の効力は、相手の経営判断ひとつで紙くずになりうる構造だ。
法的な位置づけ
通常使用権とは、商標権者の許諾により、設定行為で定めた範囲(指定商品・指定役務・地域・期間)内で登録商標を使用できる非独占的な権利をいう。専用使用権と異なり独占性はなく、登録しなければ第三者に対抗できない(商標法31条4項・5項)。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.契約締結前に登録協力条項を入れる ライセンス契約の交渉段階で「商標権者は通常使用権の設定登録手続に協力する」条項を盛り込む。登録は共同申請が原則のため、相手の協力義務を契約で固めないと後から一方的には進められない
- 2.使用権が登録済みか原簿で確認する 自分の通常使用権が登録済みか、契約書と商標登録原簿で照合する。未登録なら最優先で登録に着手し、設定範囲(指定商品・役務・地域・期間)が契約どおりか確認する
- 3.特許庁に設定登録を申請する 商標権者との共同申請で特許庁に通常使用権の設定登録を申請する。協力条項があれば援用し、なければ商標権者に協力を要請する。専用使用権についての通常使用権は専用使用権者の承諾も得る
- 4.相手の異変を察知したら登録を急ぐ 商標権者の資金繰り悪化や事業売却の兆候を察知したら、商標権が差押え・移転される前に登録を完了させる。登記簿上で他人の権利が先に立つと対抗力を失うため、数日の差が勝敗を分ける
よくある質問 AI による整理
Q1通常使用権とは?
商標権者の許諾により、設定範囲内で登録商標を使用できる非独占的な権利です。商標法31条が根拠で、複数人に重ねて許諾できます。
Q2通常使用権と専用使用権の違いは?
専用使用権(30条)は独占的で他人を排除できますが、通常使用権(31条)は非独占で同じ商標を複数人が並行して使えます。
Q3通常使用権は登録しないとどうなる?
契約相手以外には対抗できません。商標が第三者へ売却・差押えされると、未登録の使用権者は新権利者から使用停止を求められても反論できません。
Q4商標の通常使用権の登録方法は?
原則として商標権者と使用権者の共同申請で特許庁に登録します。契約に協力義務条項がないと一方的には進められない点に注意が必要です。
Q5フランチャイズで商標が使えなくなることはある?
あります。本部が商標を売却・倒産し、加盟店の通常使用権が未登録なら、新しい商標権者からロゴの使用停止を求められても対抗できません。
Q6先使用権と通常使用権の違いは?
先使用権(32条)は許諾なしに法律上当然発生する法定の権利、通常使用権(31条)は商標権者との合意で発生する約定の権利です。
Q7商標権が第三者に売却されたら通常使用権はどうなる?
登録済みなら新しい商標権者にも効力が及びます(4項)。未登録なら新権利者に対抗できず、使用権を失うおそれがあります。
Q8通常使用権に質権を設定できる?
できます。商標法31条6項が特許法の規定を準用し、質権設定が認められます。ただし設定には商標権者の承諾と登録が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1契約書に「商標を使ってよい」と書いてあれば、それで十分じゃないんですか?
契約相手(商標権者)との関係では十分ですが、それだけでは第三者に対抗できません。商標法31条4項・5項により、登録しないと、後から商標権や専用使用権を取得した人にはあなたの使用権を主張できないのです。実務のポイント:弁理士やライセンス専門の弁護士は、契約締結より先に登録の段取りを詰めます。なぜなら契約書は当事者間の約束に過ぎず、商標が売られた瞬間に効力の射程外になることを知っているからです。契約書の文言交渉に満足して登録を忘れる依頼者が、後で最も痛い目に遭う
Q2特許のライセンスは登録しなくても守られると聞きました。商標も同じですか?
違います。特許法は2011年改正で当然対抗制度(特許法99条)になり、通常実施権は登録なしでも後の特許権取得者に対抗できます。しかし商標法31条はこの改正に追随せず、登録主義のままです。実務のポイント:この食い違いは知財実務でも見落とされがちで、「特許で大丈夫だったから商標も大丈夫」と思い込んで登録を怠るケースが後を絶ちません。同じ知的財産でもライセンシーの防御策は正反対。商標だけは今も登録が命綱だと覚えておく
Q3通常使用権を他の会社に譲りたいのですが、自由にできますか?
自由にはできません。商標法31条3項により、通常使用権の移転は、商標権者(専用使用権についての通常使用権なら商標権者と専用使用権者)の承諾を得た場合か、相続その他の一般承継の場合に限られます。実務のポイント:事業譲渡でライセンスごと相手に渡そうとして、商標権者の承諾を取り忘れ、譲渡が無効になる事故が実際にあります。さらに移転を登録しないと第三者に対抗できない(5項)。承諾書の取得と移転登録、この二段構えを最初から段取りに組み込む
間違えやすい点 AI による整理
- 「契約書にサインしてお金も払ったのだから、商標が誰の手に渡ろうと使い続けられる」と思い込んでいる人が大半だ。実は通常使用権は登録しなければ第三者に対抗できない(4項、5項)。契約は商標権者との間でしか効かず、商標が転売されれば新オーナーには通用しない。契約の有効性と、第三者への対抗力は、まったく別の話である
- 通常使用権の登録は手間だが任意だと軽く見られている。だが登録しないことの深刻度を知る人は少ない。未登録の使用権は、商標権者の倒産による差押え、商標権の譲渡、二重ライセンスのいずれが起きても、あなたを守らない。平時は何の問題もないが、相手に異変が起きた瞬間にだけ牙をむく時限装置だ
- 「特許のライセンスは登録不要で守られると聞いた、商標も同じだろう」という前提そのものが誤っている。特許法は2011年改正で当然対抗(特許法99条)に移行し登録不要になったが、商標法31条はその改正に追随せず登録主義を維持した。同じ知的財産でも、ライセンシーが取るべき防御策は正反対である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 独占性 | 通常使用権(31条):非独占。同一範囲で複数人に許諾可 | 専用使用権(30条):独占。商標権者も使用不可になりうる 先使用権(32条):許諾不要で法律上当然に発生 |
| 発生原因 | 商標権者との設定行為(合意) | 商標権者との設定行為 + 設定登録(効力要件) 出願前からの善意・継続使用という事実 |
| 第三者対抗 | 登録しなければ対抗できない(4項・5項) | 設定登録が効力発生要件 登録不要で当然に対抗できる |
| 移転 | 商標権者の承諾 + 一般承継に限り可、登録で対抗 | 商標権者の承諾で移転可 事業とともにのみ移転 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も商標の使用許諾を認め、登録(登記)しなければ第三者に対抗できないとする点で日本と同じ登録対抗の構造をとる
韓国も通常使用権を認め、登録により第三者対抗力を生じさせる。日本法と類似した登録主義を採用
ドイツは商標ライセンス(独占・非独占)を認め、ライセンシーは一定の場合に侵害訴訟に参加できる。登録は対抗の絶対要件ではない点が日本と異なる
米国は関連会社による使用を商標権者の使用とみなす。ライセンスには品質管理(quality control)が要求され、naked license は権利放棄とみなされうる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 脱サラして人気ベーカリーのフランチャイズに加盟、本部のブランド名で三年かけて常連客をつけた。ある日、本部が経営不振でその商標を競合チェーンに売却。あなたの通常使用権を登録していなければ、新しい商標権者から「その名前はもう使うな」と言われて対抗できない。育てた店名を一夜で失う
- もし、あなたがライセンスを許諾する商標権者側だったら? 一社に通常使用権を与えた後、別の有力企業から「同じ商標を独占的に使いたい、専用使用権をくれ」と打診される。先に与えた通常使用権が登録されていると、後発の取得者にも効力が及び(4項)、独占を約束できない。誰に何を、いつ与えたかの記録が、自分の手足を縛る
- あなたが使用権を譲り受けようとしている。通常使用権は商標権者(専用使用権者がいればその者も)の承諾を得た場合か、相続その他の一般承継の場合しか移転できない(3項)。元の使用権者と話がついても、商標権者の承諾印がなければ譲渡は無効。「当事者間の合意」だけでは一歩も動かない
- 事業承継で親の会社を相続したら、会社が持っていた商標の通常使用権も一般承継で引き継げる(3項)。だが移転を登録しなければ第三者に対抗できない(5項)。相続後すぐに登録名義の書換えをしないと、商標権が処分されたときに使用権を主張できない。相続から放置できる時間は、相手の動き次第で残り少ない
- あなたの会社をM&Aで売るとき、買い手のデューデリ担当が真っ先に確認するのが「保有する商標ライセンスは登録されているか」だ。未登録なら、売主側の都合で消える脆弱な権利と評価され、買収価格が値切られる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自分の通常使用権が登録済みか、契約書と登録原簿(商標登録原簿)で確認する。未登録なら最優先で登録に動く2. 登録は商標権者との共同申請が原則。契約に協力条項があれば援用、なければ商標権者に協力を求める3. 商標権者が商標を第三者に売却した、倒産したなどの兆候があれば、移転登記が完了する前に自分の使用権登録を急ぐ4. 既に商標が移転され未登録で対抗できない場合は、元の商標権者に対する契約違反(債務不履行、民法415条)として損害賠償を検討する
訴えられた側:1. 商標権者・ライセンサー側なら、誰にどの範囲の通常使用権を、登録付きで与えたかを台帳で一元管理する2. 後発の専用使用権や独占的ライセンスを与える前に、既存の登録済み通常使用権が後発取得者に対抗できる点(4項)を踏まえ、二重許諾のトラブルを避ける3. 通常使用権の移転には自分(専用使用権者がいればその者も)の承諾が必要(3項)。承諾の可否は書面で明確にする4. M&Aで商標を取得する側なら、対象商標に登録済みの通常使用権が付いていないか登録原簿で必ず確認する
時効(請求できる期限):登録自体に法定の期限はないが、商標権が第三者に移転される前に登録を完了しなければ対抗できない(4項、5項)。実務上は相手の異変を察知してからの数日が勝負になる。ライセンス契約上の債権(使用料請求等)は特定の時効がなく、一般消滅時効(民法166条、権利を行使できると知った時から5年または行使できる時から10年)が適用される(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:通常使用権は商標権者との合意で発生するが、第三者に対する効力は登録を要する(4項・5項)。特許法99条の当然対抗とは異なり、商標法は取引安全を重視して登録対抗主義を維持しているとするのが通説である。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行商標法の制定により通常使用権の規定を整備。商標権者による使用許諾と、登録を対抗要件とする枠組みを定めた
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