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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 8 分8 分8 分

商標法 第32条(先使用による商標の使用をする権利)

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  1. 他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又はこれに類似する商標の使用をしていた結果、その商標登録出願の際(第九条の四の規定により、又は第十七条の二第一項若しくは第五十五条の二第三項(第六十条の二第二項において準用する場合を含む。)において準用する意匠法第十七条の三第一項の規定により、その商標登録出願が手続補正書を提出した時にしたものとみなされたときは、もとの商標登録出願の際又は手続補正書を提出した際)現にその商標が自己の業務に係る商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されているときは、その者は、継続してその商品又は役務についてその商標の使用をする場合は、その商品又は役務についてその商標の使用をする権利を有する。当該業務を承継した者についても、同様とする。
  2. 2.当該商標権者又は専用使用権者は、前項の規定により商標の使用をする権利を有する者に対し、その者の業務に係る商品又は役務と自己の業務に係る商品又は役務との混同を防ぐのに適当な表示を付すべきことを請求することができる。

この条文の基本情報

先使用による商標の使用をする権利とは何ですか?

定義先使用による商標の使用をする権利とは、商標法第32条に定められた規定で、「他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 商標法第32条(先使用による商標の使用をする権利)は、日本の商標法に含まれる条文です。
  2. 商標法第32条の条文原文は「他人の商標登録出願前から日本国内において不正競争の目的でなくその商標登録出願に係る指定商品若しくは指定役務又はこれらに類似する商品若しくは役務についてその商標又…」で始まります。
  3. 商標法第32条は第一節 商標権に置かれています。
  4. 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
  5. 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 商標法第32条の前の条は商標法第31条の2です。
  7. 商標法第32条の次の条は商標法第32条の2です。
  8. 商標法第32条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第32条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127
  • 本サイト収録商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第32条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/32

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点商標法32条は、出願前から不正競争の目的なく使用し出願時に需要者の間で周知だった商標について、先行使用者に登録なしの継続使用権(先使用権)を認める規定である。

Q · 十年使ってきた店名を他人に商標登録された。もう名前を捨てるしかないの?

出願前から周知だった証拠があれば登録なしで使い続けられる

商標法32条1項により、他人の商標登録出願前から不正競争の目的なくその商標を使用し、出願時点で自己の商品・役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた(周知)場合、登録なしで継続使用する先使用権が認められます。鍵は『周知性』という高い壁で、出願前の使用と知名度を示す物証が必要です。ただし相手は2項で混同を防ぐ表示を付すよう請求でき、名前は守れても区別の一手間が要ります。

解説

脱サラして始めたカフェ。地元で十年かけて常連を増やし、SNSでも店名が知られてきた。ある日、見知らぬ会社から内容証明が届く。「弊社は同じ店名を商標登録した。即刻使用を中止せよ、損害も賠償せよ」。多くの人はここで店名を捨て、看板を作り直し、客との縁を切る。だが商標法32条を知っていれば、その必要はないかもしれない。あなたが相手の出願より前から、不正競争の目的なく、その名前を使い続けていて、しかも出願時点で「需要者の間に広く認識されている」状態だったなら、あなたには登録なしで使い続ける権利がある。これを先使用権と呼ぶ。ただし鍵は「広く認識されている」という周知性の壁で、ここが実務上の最大の争点になる。さらに相手は2項で「混同を防ぐ表示を付けろ」と請求できる。つまり名前は守れても、相手と区別する一手間が要る。先に使っていた事実だけでは足りない、その事実を証明できる証拠を持っているかが分水嶺だ。

法的な位置づけ

商標法32条の先使用権とは、他人の商標登録出願前から不正競争の目的なく商標を使用し、その出願時点で自己の商品又は役務を表示するものとして需要者の間に広く認識されていた先行使用者に対し、登録なしで当該商標を継続使用する権利を認める制度をいう。登録主義の例外として機能し、相手の商標権そのものを消滅させるものではない。

手順・フロー

AI による整理。効力は条文原文が基準です

手順

  1. 1.相手の出願日を J-PlatPat で確認 警告書が届いたら、まず特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で相手の商標の『出願日』を確認し、自分の使用開始日と突き合わせる。出願日より自分の使用開始が先かが先使用権成立の前提
  2. 2.出願前の使用を示す物証を総ざらい 出願日より前の使用を裏付ける証拠を時系列で収集する。領収書、納品書、チラシ、看板や包装の写真、地元紙等の報道、SNS投稿の日付、ウェブアーカイブを集め、使用開始時期を客観的に示す
  3. 3.周知性を示す証拠を別途収集 出願時点で需要者の間に広く認識されていたことを示す売上規模、販売地域、広告量、客数、レビュー数などの資料を整える。周知性は実務上の最大の壁であり、ここが立証の本丸
  4. 4.弁理士・知財弁護士に成否を診断してもらう 相手と直接やり取りする前に、専門家に先使用権の成否を診断してもらう。周知性に自信があるか、争点はどこかを把握してから交渉戦略を立てる
  5. 5.交渉で先使用権を主張し共存を提案 周知性に自信があれば、安易に使用中止に応じず交渉で先使用権を主張する。相手が差止請求を通せないと察すれば、混同防止表示での棲み分け(共存)に振れる余地が生まれる

よくある質問 AI による整理

Q1商標の先使用権とは何ですか?

他人の商標登録出願前から不正競争の目的なく使用し、出願時点で周知だった先行使用者が、登録なしで継続使用できる権利です(商標法32条1項)。

Q2商標の周知性はどの範囲で必要ですか?

全国規模を要するのか地域的周知で足りるのかは事案によります。地域限定営業なら、その営業圏での知名度を示す証拠で先使用権が認められる可能性があります。

Q3商標の先使用権を証明する証拠は何ですか?

出願日より前の領収書・納品書・チラシ・看板写真・報道記事・SNS投稿の日付・ウェブアーカイブなど、使用開始時期と周知性を裏付ける物証です。

Q4商標登録の警告書が届いたらどうすればいいですか?

まず J-PlatPat で相手の出願日を確認し、自分の使用開始日と比較します。出願前の使用と周知性の物証を総ざらいし、弁理士・知財弁護士に相談してください。

Q5先使用権はいつまで主張できますか?

固有の期限はありませんが、出願時点での周知性が要件のため証拠保全が事実上の時間圧です。侵害訴訟では抗弁として主張します。

Q6商標の先使用権と中用権の違いは何ですか?

32条の先使用権は出願前からの使用が要件、33条の中用権は無効審判請求登録前の使用が要件です。成立の基準時が異なります。

Q7ネットショップのブランド名を商標登録されたら違法ですか?

登録者の権利が及ぶため侵害と警告される余地があります。ただし出願前から販売実績で周知だったなら、32条の先使用権が盾になります。

Q8先使用権が認められると費用はかかりますか?

相手は2項で混同防止表示の請求ができ、注記等を自費で加える義務を負いうるため、完全な無傷ではなく共存の代償が生じます。

この条文についての質問 AI による整理

Q1先使用権って、ちょっと使ってただけでも認められるんですか?

認められません。32条の要件は『需要者の間に広く認識されている』周知性で、これが実務上の最大の壁です。単に先に使っていただけでは不十分で、相当の販売実績・宣伝・知名度が必要です。実務のポイント:周知性が全国規模を要するのか地域的な周知で足りるのかは事案によります。地域限定で営業してきた店なら、その地域での周知を立証できれば先使用権が通る可能性がある。『全国で有名でないから無理』と諦める前に、自分の営業圏での知名度を示す証拠を集めるべきです

Q2先使用権が認められたら、相手の商標登録は無効になるんですか?

なりません。先使用権は相手の登録を消す制度ではなく、あなたが『自分の範囲で使い続けられる』だけの権利です(32条1項)。相手の商標権はそのまま有効に残ります。実務のポイント:本当に相手の登録自体を潰したいなら、先使用権とは別ルートの『無効審判』(商標法46条)や『不使用取消審判』(同50条)を検討します。先使用権は防御、登録の無効化は攻撃で、戦う土俵が違う。状況によって両方を組み合わせる戦略もある

Q3先使用権が認められても、相手から何か要求されることはありますか?

あります。32条2項で、商標権者または専用使用権者は『混同を防ぐのに適当な表示を付けろ』と請求できます。あなたの商品と相手の商品が市場で混同されないよう、注記などを加える義務を負いうるということです。実務のポイント:この混同防止表示の請求は、実は棲み分けの落としどころにもなる。完全な使用中止を求められるより、表示を加えて共存する方が双方にとって現実的なことが多い。交渉では『使用中止は飲めないが混同防止表示には応じる』というカードが有効です

Q4これから起業するんですが、先に名前を使ってる人がいたらどうすればいいですか?

その人がまだ無名(周知でない)うちに、あなたが先に商標出願すれば、後からその人が有名になっても先使用権は『出願時点で周知』が要件なので成立しません(32条1項)。逆に相手が既に周知なら、出願しても先使用権で居座られます。実務のポイント:起業前のJ-PlatPatでの先行調査と、似た名前の先使用者がいないかのネット調査はワンセットでやるべき。出願のタイミングを一日早めるだけで将来の紛争リスクが消える。名前が決まったら、有名になる前に出願するのが鉄則です

間違えやすい点 AI による整理

  • 「先に使っていたのだから当然勝てる」と思いがちだが、32条は単なる先使用では足りない。出願時点で『需要者の間に広く認識されている』周知性が要件で、ここが圧倒的に高い壁。実務では先使用権の主張が周知性不足で退けられるケースが多数。先に使った事実は入口にすぎず、周知性の立証こそが本丸だ
  • 先使用権があれば「相手の商標登録を無かったことにできる」と誤解されがちだが、違う。先使用権は相手の登録を消さない。相手の権利はそのまま残り、あなたは『自分の範囲で使い続けられる』だけ。事業を全国に拡大したり、新商品に名前を広げたりする自由は制限される。守れるのは今ある城だけで、領土の拡張は相手に握られている
  • 「先使用権が認められれば、こちらは何も負担しない」と思っている人が多いが、相手は2項で『混同を防ぐ適当な表示を付けろ』と請求できる。つまり名前は残せても、相手の商品と区別するための注記や表示を自分の費用で加える義務を負いうる。完全な無傷ではなく、共存のための代償がある
比較の観点この条文ほかの条文
成立の基準時32条 先使用権:他人の商標登録『出願前』からの使用33条 中用権:無効審判請求の『登録前』からの使用
4条:登録阻却(他人の周知商標を理由とする拒絶事由)
周知性の要否出願時点で需要者の間に広く認識(周知)が必要無効理由を知らずに使用し、結果として周知である必要
4条1項10号は他人の周知商標を保護し登録を拒絶
効果登録なしで自己の範囲で継続使用する権利無効後も従前の範囲で継続使用する権利
登録自体を認めない(権利不発生)
相手の負担請求権2項:商標権者は混同防止表示を請求できる中用権者にも混同防止表示請求が及びうる
該当なし(登録段階の問題)

他国ではどう定めているか 4 か国

台湾
商標法第36条第1項第3款(善意先使用)

台湾は『他人の出願前から善意で同一・類似商標を同一・類似商品に使用』を要件とする善意先使用を定める。日本の周知性要件に比べ周知の明示を要しない点で枠組みが異なる。

韓国
상표법 제99조

韓国も先使用による継続使用権を認め、出願前からの使用と一定の認識度を要件とする点で日本に近い。

ドイツ
MarkenG § 12・§ 4 Nr. 2

ドイツは使用により取引上の認知(Verkehrsgeltung)を得た非登録標識(Benutzungsmarke)に保護を与え、より古い権利として登録商標に対抗しうる。先使用の保護を実体的に取り込む構造。

アメリカ
Lanham Act § 33(b)(5)(15 U.S.C. § 1115)

米国はコモンロー上の先使用を重視し、連邦登録前から限定地域で善意に使用してきた者に limited area defense を認める。使用主義の伝統が強い。

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 地方で人気の和菓子店が、東京の業者に同名を商標登録された。警告書が来たが、創業以来の包装紙、地元紙の取材記事、開店当初からのレシートが全部残っている。これらが「出願前から使っていた」「周知だった」を裏付ける物証になる。証拠の厚みが、そのまま反論の強さに直結する
  • あなたがネットショップでオリジナルブランドを三年運用し、レビュー数も増えてきた頃、別の出品者が同じブランド名を商標登録。販売停止を求められた。先使用権を主張できるが、争点は「周知性」。全国規模で広く知られている必要があるのか、特定の地域・客層で足りるのか、ここで判例の理解が勝敗を分ける
  • もし、あなたの店名が相手の出願日より「後」から使い始めたものだとしたら? 一日でも遅ければ先使用権は成立しない。出願日と自分の使用開始日、どちらが先か。この一点を客観証拠で示せなければ、十年の常連も守れない
  • あなたは商標を登録した側で、ある地方の小さな店が同じ名前を使っているのを見つけた。差止めを請求したいが、相手が先使用権を主張してきた。あなたが取れる現実的な手は、使用中止ではなく「混同防止表示の請求」(2項)。相手の名前は消せなくても、客の誤認だけは防げる
  • 起業準備中のあなたに、あと七日で商標出願の締切が迫る。だが調べると、似た名前を先に使っている小規模事業者がいる。今出願しても、相手が周知性を立証すれば先使用権で居座られる。出願前に相手の使用実態を調べきれるか、それとも別名にするか。決断の時間は刻一刻と減っていく

取るべき行動

被害を受けた側:1. 警告書が届いたら、まず相手の商標の『出願日』を特許情報プラットフォーム(J-PlatPat)で確認、自分の使用開始日と比較2. 出願日より前の使用を示す物証を総ざらい:領収書、納品書、チラシ、看板の写真、報道記事、SNS投稿の日付、ウェブアーカイブ3. 『周知だった』を示す証拠も別途収集:売上規模、販売地域、広告量、客数4. 相手と直接やり取りする前に弁理士または知財に強い弁護士へ相談、先使用権の成否を診断してもらう5. 周知性に自信があれば、交渉で先使用権を主張し共存(混同防止表示での棲み分け)を提案、安易に使用中止に応じない

訴えられた側:1. あなたが商標権者の立場で相手が先使用権を主張してきたら、相手の『出願時点での周知性』が本当にあったか精査、周知性は高い壁なので立証不足を突ける場合が多い2. 相手の使用が本当に出願前からか、不正競争の目的がなかったかを検証3. 先使用権が認められそうなら、使用中止に固執せず2項の『混同防止表示の請求』に切り替え、客の誤認だけを防ぐ現実的な棲み分けを図る4. 自社のブランド拡大計画への影響を試算、全面対決の訴訟コストと共存の実益を比較

時効(請求できる期限):先使用権そのものに固有の期限はないが、出願時点で周知だったかが要件なので、証拠の保全が事実上の時間圧になる。相手が侵害訴訟を起こした場合、損害賠償請求権は被害者が損害・加害者を知った時から3年(民法724条)。差止請求への先使用権の抗弁は訴訟内で主張する。証拠(古い領収書、ウェブ記録)は時間とともに散逸するため、警告を受けたら即座に保全する(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説:32条の先使用権は、出願前からの不正競争目的なき使用と、出願時点での周知性を要件とする登録主義の例外。周知性は高い要件だが、取引実情に応じた地域的・需要者層的な広範な認識で足りうると解する見解が有力で、先行使用者の既得の信用保護を図る。

改正沿革 AI による整理

改正の年表

  1. 1.昭和34年(1959年) 新設:現行商標法(昭和34年法律第127号)の制定により、登録主義の例外として先行使用者の継続使用権を定める先使用権規定が置かれた。

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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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