商標法 第36条(差止請求権)
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- 商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。
- 2.商標権者又は専用使用権者は、前項の規定による請求をするに際し、侵害の行為を組成した物の廃棄、侵害の行為に供した設備の除却その他の侵害の予防に必要な行為を請求することができる。
この条文の基本情報
差止請求権とは何ですか?
定義差止請求権とは、商標法第36条に定められた規定で、「商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第36条(差止請求権)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第36条の条文原文は「商標権者又は専用使用権者は、自己の商標権又は専用使用権を侵害する者又は侵害するおそれがある者に対し、その侵害の停止又は予防を請求することができる。」で始まります。
- 商標法第36条は第二節 権利侵害に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第36条の前の条は商標法第35条です。
- 商標法第36条の次の条は商標法第37条です。
- 商標法第36条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第36条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第36条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/36
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法36条は、商標権者が侵害者に侵害の停止・予防(差止め)を請求できると定める。相手の故意・過失は不要で、第2項では侵害品の廃棄も請求できる。
Q · 商標を真似されたら、相手の販売をすぐ止められますか?
原則止められます。相手の故意・過失は不要です
商標法36条により、商標権者・専用使用権者は侵害者または侵害するおそれがある者に対し、侵害の停止・予防(差止め)を請求できます。損害賠償と違い相手の故意・過失は不要で、登録商標と紛らわしい標章を指定商品・役務の範囲で使っていれば、善意の相手でも使用を止められます。第2項では侵害品の廃棄や製造設備の除却まで請求でき、急ぐ場合は仮処分(民事保全法23条)で判決前に止める手もあります。
解説
メルカリで売れ筋になった自作雑貨に、見ず知らずの誰かがそっくりの名前とロゴを付けて売り始めた。あなたが先に商標登録を済ませていたなら、商標法36条があなたの手に「相手を今すぐ止める」という武器を握らせる。多くの人は「侵害されたら損害賠償だろう」と考える。だが損害賠償は過去の損を金で取り返す話で、相手が今この瞬間も売り続けることは止められない。36条の差止請求は違う。相手の販売そのものを未来に向けて停止させ、さらに第2項では侵害品の廃棄、製造設備の除却まで請求できる。決定的なのは、損害賠償と違って相手の故意も過失も要らないという点だ。「知らずに似たロゴを使っていた」相手でも、登録商標と紛らわしい以上、明日から使用禁止にできる。出血を止める止血帯を、あなたは持っている。
法的な位置づけ
商標法36条は商標権侵害に対する差止請求権を定める規定であり、商標権者または専用使用権者が、侵害者または侵害のおそれがある者に対して侵害の停止・予防を求め、加えて侵害品の廃棄・設備の除却を請求できる旨を規定する。損害賠償(民法709条)と異なり故意・過失を要件としない点に本質がある。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.自社の登録番号と指定商品・役務の範囲を確認 商標登録番号と「指定商品・指定役務」を確認し、相手の使用がその範囲内かを判定する。これが差止めの可否を決める最初の関門で、範囲外なら侵害は成立しない
- 2.侵害の証拠を保全 相手の商品ページ、出品画面、現物、販売数のスクリーンショットを日付入りで確保する。仮処分や本訴で侵害の事実を立証するための基礎資料となる
- 3.差止め・廃棄を明記した警告書を内容証明で送付 差止め(1項)と廃棄・除却(2項)を明記した警告書を内容証明郵便で送り、回答期限を切る。故意・過失を問わず差止めができる事実を示すと相手が和解に傾きやすい
- 4.緊急時は仮処分で判決前に差止め 相手が無視、または侵害品が一気に出回る恐れがある場合、本訴を待たず仮処分(民事保全法23条)で差止めの仮の地位を先取りする。担保金が必要だが時間を買える
よくある質問 AI による整理
Q1商標権の差止請求とは何ですか?
商標権者が侵害者に対し、商標の使用停止や侵害品の廃棄を未来に向けて請求できる権利です。商標法36条が根拠で、損害賠償とは別の武器です。
Q2商標の差止めと損害賠償の違いは何ですか?
差止めは相手の販売を止める権利で故意・過失が不要。損害賠償は過去の損を金で回収する請求で、相手の故意・過失と損害額の立証が必要です。
Q3専用使用権者も差止請求できますか?
できます。商標法36条は商標権者だけでなく専用使用権者にも差止請求権を認めています。自己の専用使用権を侵害する者に対して行使できます。
Q4「侵害するおそれ」だけで差止めできますか?
できます。36条1項は現に侵害する者だけでなく「侵害するおそれがある者」も対象とし、被害が出る前の準備段階で予防的に止められます。
Q5商標侵害の差止仮処分とは何ですか?
本案訴訟の判決を待たず、民事保全法23条により裁判所が仮に使用停止を命じる手続きです。担保金が必要ですが、セール直前など緊急時に有効です。
Q6商標の差止請求に時効はありますか?
差止請求権そのものに特定の消滅時効はなく、商標権が存続し侵害が続く限り行使できます。ただし商標権が更新されず満了すれば差止めもできなくなります。
Q7侵害品の廃棄も請求できますか?
できます。36条2項により、侵害行為を組成した物の廃棄や、侵害に供した設備の除却を、差止め(1項)に併せて請求できます。
Q8個人の商標でも差止めできますか?
できます。商標権は登録さえあれば個人でも法人と同じ差止権を持ちます。副業のキャラクターグッズ等でも、登録があれば類似品の販売を止められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1相手は「真似したつもりはない、たまたま似ただけ」と言っています。それでも止められますか?
止められます。商標法36条の差止請求は、損害賠償と違って相手の故意も過失も要件にしていません。登録商標と紛らわしい標章を、指定商品・役務の範囲で使っていれば、相手がどれだけ善意でも使用を停止させられます。実務のポイント:弁護士が侵害事件でまず差止めから攻めるのは、賠償より立証が軽く、相手の事業を直接止められるからです。賠償額の交渉に入る前に、まず差止めで相手の出血を止め、交渉の主導権を握るのが定石です
Q2判決で『使うな』が出れば、相手の倉庫の在庫も自動で処分されるんですよね?
されません。1項の差止め(使用の停止)と2項の廃棄・除却は別の請求で、2項を明示的に求めなければ侵害品の在庫はそのまま残ります。請求の段階で2項まで組み込んでおく必要があります。実務のポイント:差止めだけ取って2項を落とすと、相手が残った在庫を後でこっそり横流しする余地が残ります。訴状の段階で『侵害品の廃棄、製造設備の除却』まで一括で請求するかどうかで、決着の徹底度がまるで違ってきます
Q3セールまで時間がなくて、裁判の判決を待っていたら間に合いません。どうすれば?
本案訴訟の判決を待たず、仮処分(民事保全法23条)として差止めを申し立てる手があります。裁判所が認めれば、判決前でも相手の使用を仮に止められます。実務のポイント:商標侵害の差止仮処分では、権利の存在(登録)と侵害の事実が比較的明白なため、認められやすい類型です。担保金を積む必要はありますが、相手が最大の売り時を逃す打撃は、担保金をはるかに上回ることが多い。スピードこそが最大のレバレッジです
間違えやすい点 AI による整理
- 「侵害されたらまず損害賠償」と考える人が大半だが、損害賠償(民法709条)と差止請求(商標法36条)は別の武器であり、要件も効果も違う。賠償は相手の故意・過失と損害額の立証が要るうえ、払わせても販売は止まらない。一方36条の差止めは故意・過失不要で、相手の事業活動そのものを停止させる。狙うべきはまず差止め、賠償はその次だ
- 差止請求は「相手が悪いと証明できて初めて使える」と思われがちだが、ここが盲点だ。差止めに相手の主観(わざとか不注意か)は一切問われない。登録商標と紛らわしい標章を、指定商品・役務の範囲で使っていれば、相手がどれだけ善意でも止められる。逆に言えば、あなたが知らずに他人の登録商標を使っていた側なら、「知らなかった」は差止めには通用しない
- 「差止めの判決さえ取れば在庫も自動で処分される」と誤解している人が多い。実は1項の差止め(使用するな)と2項の廃棄・除却(モノを消せ)は別の請求であり、2項を明示的に求めなければ侵害品の山はそのまま残る。請求の組み立て方を一つ間違えると、勝訴しても倉庫の侵害品が生き残り、後で再流通する
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 請求の目的 | 36条:侵害の停止・予防(販売を未来に向けて止める) | 38条:損害賠償(過去の損を金で回収) 37条:みなし侵害行為への差止対象拡張 |
| 故意・過失の要否 | 不要(善意の相手でも止められる) | 必要(相手の故意・過失を立証) 差止めとして不要 |
| 立証の負担 | 登録の存在 + 紛らわしい使用 | 損害額の立証(38条で推定の手当てあり) 予備的・幇助的行為の該当性 |
| 在庫・設備への効果 | 2項で廃棄・除却まで請求可 | 金銭支払いのみ、在庫は残る 拡張された対象物にも及ぶ |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も排除侵害・防止侵害請求を認め、侵害物品の廃棄請求も規定する点で日本36条と近い構造
韓国も商標権者・専用使用権者に侵害金止請求権を認め、侵害物の廃棄等の附帯請求を規定する
ドイツは商標権侵害に Unterlassungsanspruch(差止請求)を認め、過失を要件としない物権類似の保護とする点で日本と共通
米国は衡平法上の injunction として裁判所裁量で差止めを認める。日本のような実体権としての差止請求権とは構成が異なる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- もし、あなたのブランド名とそっくりの店が同じ商品ジャンルで現れたら、損害が出る前に動けるか。36条1項は「侵害するおそれがある者」にも差止めを認める。相手がまだ大きく売る前、準備段階で止めれば、市場の混乱もあなたの信用毀損も最小で済む。被害が積み上がってからでは遅い
- あなたが OEM で仕入れた商品を自社ブランドとして販売していたら、ある日「それは当社の登録商標を侵害している」という警告書が届いた。あなたに真似する意図は一切なかった。それでも差止めは止まらない。差止請求に故意・過失は不要だからだ。あなたが今すべきは、登録の有無と指定商品の範囲を即確認すること
- 競合が倉庫に侵害品を1万個積んでいる。1項の差止めだけでは在庫がそのまま残り、判決後にこっそり横流しされる危険がある。2項の廃棄請求まで打ってはじめて、その1万個を物理的に消滅させられる。1項と2項はワンセットで初めて完結する
- あと数日で大手モールのセールが始まる。そこに侵害品が大量出品される情報を掴んだ。本訴を待っていては間に合わない。仮処分(民事保全法23条)で差止めの仮の地位を先に取れば、セール当日の出品を止められる。時間との勝負で、本案訴訟より先に保全が動く
- あなたが副業で作ったキャラクターグッズが人気化し、無断で類似グッズを売る業者が湧いた。あなたは「個人だから企業の真似には勝てない」と思い込んでいないか。商標権は登録さえあれば個人でも法人と同じ差止権を持つ。登録という一手を打っていたかどうかが、すべてを分ける
取るべき行動
被害を受けた側:1. 自社の商標登録番号と「指定商品・指定役務」の範囲を確認、相手の使用がその範囲内かを判定する。これが差止めの可否を決める最初の関門2. 侵害の証拠を保全:相手の商品ページ、出品画面、現物、販売数のスクショと日付を確保3. 差止め(1項)と廃棄・除却(2項)を明記した警告書を内容証明で送付、回答期限を切る4. 相手が無視、または侵害品が一気に出回る恐れがあるなら、本訴を待たず仮処分(民事保全法23条)で差止めの仮の地位を先取りする
訴えられた側:1. まず相手の登録商標の「指定商品・役務」を確認、あなたの商品ジャンルが本当にその範囲に重なるかを精査。範囲外なら侵害ではない2. 自分の使用開始が相手の登録より前なら、先使用権(商標法32条)を主張できる余地がある3. 相手の商標が普通名称化していたり不使用なら、登録の無効審判・不使用取消審判(商標法50条)で反撃する4. 差止めには故意・過失の抗弁が効かない点を踏まえ、争う実益と、名称変更してブランドを守るコストを冷静に天秤にかける
時効(請求できる期限):差止請求権そのものに特定の消滅時効はなく、商標権が存続し侵害状態が続く限り行使できる。ただし商標権は設定登録から10年で存続期間満了(更新可、商標法19条)、権利が消えれば差止めもできなくなる。過去分の損害賠償は別問題で、損害および加害者を知った時から3年で時効(民法724条、最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:商標法36条の差止請求権は商標権の物権類似の効力に基づく救済であり、相手の故意・過失を要件としない。一方で差止対象は「商標としての使用(商標的使用)」に限られ、商品の品質・産地等を普通に用いる表示等(26条)には及ばないとされる。
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和34年(1959年) 新設:現行商標法の全部制定により、特許法100条と同一構造の差止請求権を36条として規定。1項で侵害の停止・予防、2項で廃棄・除却を明文化
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