商標法 第68条の4(事後指定)
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国際登録の名義人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第三条の三に規定する領域指定(以下「領域指定」という。)であつて国際登録後のもの(以下「事後指定」という。)を特許庁長官にすることができる。
この条文の基本情報
事後指定とは何ですか?
定義事後指定とは、商標法第68条の4に定められた規定で、「国際登録の名義人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第三条の三に規定する領域指定(以下「領域指定」という。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 商標法第68条の4(事後指定)は、日本の商標法に含まれる条文です。
- 商標法第68条の4の条文原文は「国際登録の名義人は、経済産業省令で定めるところにより、議定書第三条の三に規定する領域指定(以下「領域指定」という。」で始まります。
- 商標法第68条の4は第一節に置かれています。
- 商標法の公布日は昭和34年4月13日です。
- 商標法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 商標法第68条の4の前の条は商標法第68条の3です。
- 商標法第68条の4の次の条は商標法第68条の5です。
- 商標法第68条の4には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第68条の4 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000127 - 本サイト収録
商標法(昭和三十四年法律第百二十七号)第68条の4(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/334AC0000000127/68_4
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点商標法68条の4は、国際登録の名義人が国際登録後に保護国を追加する事後指定を特許庁長官に行えると定める。効力発生日は事後指定の日が基準で、元の国際登録日には遡らない。
Q · 海外進出が決まるたびに、各国へ商標を出願し直さないといけないの?
既存の国際登録があれば事後指定で国を足すだけでよい
商標法68条の4により、国際登録の名義人は、国際登録後に保護国を追加する「事後指定」を特許庁長官に対して行えます。各国へ新規に出願し直す必要はなく、一つの手続・一本化された様式で保護領域を拡張できます。ただし効力発生日は元の国際登録日に遡らず、事後指定をした日が基準です。その国で先に同じ商標を出した第三者がいれば後れを取るため、進出が固まる前でも競合の動きが見えたら早く動くのが鉄則です。
解説
日本で商標を登録し、マドリッド協定の議定書を使って中国とアメリカに保護を広げた。一年後、ベトナム進出が決まる。ここで多くの中小企業の担当者は「またゼロから各国に出願し直しか」と見積もりを前に身構える。だが商標法68条の4を知っていれば、その必要はない。既に持っている国際登録に対して「事後指定」をすれば、新たな国を後から足せる。一件の手続で、しかも特許庁長官を窓口にできる。本国で積み上げた一つの土台を、進出のたびに増築していく発想だ。ただし落とし穴がある。事後指定の効力発生日は元の国際登録日に遡らず、事後指定をした日が基準になる。その国で先に同じ商標を出した者がいれば、あなたは確実に後れを取る。スピードがそのまま権利の優劣を決める世界に、あなたは立っている。
法的な位置づけ
事後指定とは、マドリッド協定議定書に基づく国際登録の名義人が、国際登録後に新たな締約国を保護対象として追加する領域指定をいう。商標法68条の4はこれを特許庁長官に対して行う手続として定める。新規の国際登録出願を要せず、既存の国際登録を基礎に保護領域を拡張する制度であり、効力発生日は事後指定の日を基準とする。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.既存の国際登録と未指定国を確認 自社がマドプロの国際登録を持っているか確認し、進出予定国がその登録に未指定であれば事後指定の対象になる。WIPOのMadrid Monitorで登録番号と現在の指定国を照合する
- 2.追加国と指定商品・役務を精査 事後指定する国を選び、指定商品・役務(ニース分類)を元の国際登録の範囲内で精査する。元の範囲を超える追加はできないため、当初の区分設計が制約になる
- 3.特許庁長官へ事後指定を申請 経済産業省令所定の様式で特許庁長官へ事後指定を申請する。効力発生日は申請日基準なので、競合や現地ブローカーの動きが見えたら一日でも早く出す
- 4.各指定国の暫定的拒絶に備える 各国特許庁からの暫定的拒絶通報に備え、現地代理人の手配と応答期限の管理を先に組む。複雑な区分や先願が絡む場合は弁理士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1事後指定とは何ですか?
国際登録後に保護を求める国を追加する領域指定です。商標法68条の4に基づき、特許庁長官に対して行います。新規の国際登録出願をやり直す必要はありません。
Q2事後指定はどこに申請しますか?
日本の国際登録を基礎とする場合、特許庁長官に対して経済産業省令所定の様式で申請します。特許庁が本国官庁としてWIPO国際事務局に通報します。
Q3事後指定の効力発生日はいつですか?
事後指定をした日が基準で、元の国際登録日には遡りません。そのため、その国で先に出願した第三者がいると先願の壁に阻まれます。
Q4事後指定の手数料はいくらですか?
WIPO国際事務局へスイスフラン建てで支払う基本手数料と、指定国ごとの個別手数料がかかります。国により大きく異なるため事前確認が必要です。
Q5事後指定でも拒絶されることはありますか?
あります。事後指定は各指定国への申請にすぎず、各国特許庁が先願・識別力欠如などを独自に審査し、暫定的拒絶を通報できます。
Q6マドプロとは何の略ですか?
マドリッド協定議定書(標章の国際登録に関するマドリッド協定の議定書)の略称です。一つの出願で複数国に商標保護を広げる仕組みです。
Q7事後指定で何か国でも追加できますか?
議定書の締約国であれば追加できます。ただし台湾など非締約国は事後指定の対象外で、個別の国内出願が必要です。
Q8国際登録は何年ごとに更新が必要ですか?
国際登録の存続期間は10年で、10年ごとにWIPOへ更新します。更新は事後指定で追加した国も含めて一括で管理できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1事後指定って、新しく各国に出願し直すのと何が違うんですか?
新規出願は進出国ごとに現地代理人を立て各国の言語で書類を作る。事後指定(商標法68条の4)なら特許庁長官を窓口に一つの手続で既存の国際登録へ国を追加でき、言語も様式も一本化される。実務のポイント:ただし効力発生日は元の国際登録日に遡らず事後指定の日が基準。「いつか出す」と寝かせるほど、その国で先に動いた第三者に権利を削られる。思い立った日に出すのが鉄則だ
Q2本国の登録が消えたら、海外に広げた分も全部消えるって本当ですか?
本当だ。国際登録は出願から5年間、本国(日本)の基礎登録に従属する。この期間内に基礎登録が拒絶・取消・無効になると、それを土台にした事後指定分まで連鎖して失効する(セントラルアタック、議定書6条)。実務のポイント:ただし失効後、所定期間内に各指定国へ国内出願へ「転換」すれば元の日付を維持できる(商標法68条の32周辺)。諦める前に転換の窓口を必ず確認する
間違えやすい点 AI による整理
- 「事後指定すれば自動的にその国で商標権が取れる」と思いがちだが違う。事後指定はあくまで各指定国への「申請」であり、その国の特許庁が独自に審査し、先願や識別力欠如を理由に拒絶できる。指定したこと自体は権利取得を意味しない
- 事後指定の効力発生日が「事後指定の日」基準であることを知っていても、その深刻さを軽視しがちだ。元の国際登録日まで遡らないということは、その国で先に動いた第三者がいれば必ず後れを取るということ。日付の数日差が、ブランドを守れるか失うかを分ける
- 「国内の商標さえ無事なら海外の権利は独立して安全」という前提そのものが誤っている。国際登録は出願から5年間、本国の基礎登録に従属する。国内で登録が覆れば、海外へ広げた事後指定分まで連鎖して崩れる。問うべきは「海外」ではなく「足元」の安定だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 手続の起点 | 68条の4:既存の国際登録に国を追加する事後指定 | 68条の2:本国出願を基礎とする新規の国際登録出願 68条の32:国際登録取消し後の国内出願への転換 |
| 効力発生日の基準 | 事後指定の日(元の国際登録日に遡らない) | 国際登録日 原則として元の国際登録日を維持できる |
| 典型的な利用場面 | 進出国を後から増やす拡張局面 | 最初に国際保護を立ち上げる局面 セントラルアタックで国際登録が崩れた救済局面 |
他国ではどう定めているか 3 か国
韓国も議定書締約国として国際商標登録出願・事後指定の制度を国内法に置く。本国官庁を通じてWIPOへ通報する構造は日本と同様。
ドイツは国際登録の保護拡張(nachträgliche Schutzerstreckung)をMarkengesetzで規律。EU商標(EUTM)とマドプロが併存し、実務上の選択肢が広い。
米国は2003年に議定書加盟。事後指定は『request for extension of protection』として扱われ、USPTOが実体審査を行い、使用宣誓など米国独自の要件が加わる。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 海外展示会で自社ブランドが評判を取り、急遽タイ進出が決まった。現地の模倣業者が動き出す前に商標を押さえないと危ない。新規の各国出願では数か月かかるが、既存の国際登録があれば事後指定で一気にタイを追加できる。残された時間は、相手が先に出願するまでのわずかな猶予だ
- もし、競合他社があなたの国際登録と紛らわしい商標を、あなたが未指定の国で先に登録していたとしたら? その国へ事後指定をしても、先願の壁に阻まれて拒絶されうる。事後指定は万能の鍵ではなく、各国特許庁の独自審査をくぐらなければならない
- あなたの会社のマークと紛らわしい商標が、ある国で突然登録された。調べると、それは他社の事後指定だった。あなたはその国の異議申立て期限と戦うことになる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 既に国際登録を持っているか確認、進出予定国がその登録に未指定なら事後指定の対象になる2. 各指定国で使う区分(ニース分類)と指定商品・役務を、元の国際登録の範囲内で精査3. 経済産業省令所定の様式で特許庁長官へ事後指定を申請、効力発生日は申請日基準なので競合の動きが見えたら即動く4. 各国からの暫定的拒絶通報に備え、現地代理人の手配と応答期限の管理を先に組む。複雑な区分が絡むなら弁理士に相談
訴えられた側:1. 他社の事後指定があなたの商標と衝突した、または自社の事後指定が指定国で拒絶された場合、まずどの国のどの手続段階かを特定2. 暫定的拒絶なら、その国の定める応答期間内に意見書・補正で反論3. 他社の事後指定があなたの先行権利を侵すなら、当該国の異議申立て・無効審判の期限を確認して攻める4. 国内の基礎登録に対する異議・無効が、相手の国際登録全体を崩すセントラルアタックの材料にならないかも検討する
時効(請求できる期限):事後指定の申請自体に時効はないが、国際登録は出願から5年間、本国の基礎登録に従属する(議定書6条)。この期間内に基礎登録が消滅すると事後指定分も連鎖失効する(セントラルアタック)。また各指定国からの暫定的拒絶通報には、当該国の定める応答期間内に対応しなければならない(最新の各国運用をご確認ください)
学説
通説:事後指定は各指定国への保護拡張の「申請」であって権利取得そのものではなく、各国特許庁の独自審査に服する。指定したこと自体は当該国での商標権付与を意味しないと解されている。
改正沿革 AI による整理
- 平成11年(1999年)法律第41号 日本のマドリッド協定議定書加盟(平成12年/2000年3月14日発効)に伴い、第7章の2「マドリッド協定の議定書に基づく特例」が新設され、本条もその一環として事後指定の手続を国内法に組み込むため新設された。以後の細部改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.平成11年(1999年) 新設:日本のマドリッド協定議定書加盟(平成12年/2000年3月14日発効)に伴い、商標法に第7章の2「マドリッド協定の議定書に基づく特例」が新設され、本条が事後指定の国内手続として置かれた。
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