障害者の雇用の促進等に関する法律 第35条
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事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはならない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第35条は、日本の障害者の雇用の促進等に関する法律に含まれる条文です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第35条の条文原文は「事業主は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、労働者が障害者であることを理由として、障害者でない者と不当な差別的取扱いをしてはな…」で始まります。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第35条は第二章の二 障害者に対する差別の禁止等に置かれています。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律の公布日は昭和35年7月25日です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第35条の前の条は障害者の雇用の促進等に関する法律第34条です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第35条の次の条は障害者の雇用の促進等に関する法律第36条です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第35条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第35条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000123 - 本サイト収録
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第35条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/335AC0000000123/35
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点障害者雇用促進法35条は、賃金・教育訓練・福利厚生など採用後の待遇について、障害者であることを理由に不当な差別的取扱いをすることを事業主に禁じる規定。
Q · 障害を打ち明けたら昇給や研修で外されるようになった。これって違法じゃないの?
障害が理由なら違法の可能性。能力評価による差は別
障害者雇用促進法35条は、賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用その他の待遇について、障害者であることを理由とする不当な差別的取扱いを事業主に禁じています。昇給の見送りや研修からの除外が、業績や能力の評価ではなく障害そのものを理由にしているなら、本条違反に当たりえます。刑事罰はありませんが、労働局による助言・指導・勧告や調停の対象となり、民事上の損害賠償や解雇・降格の無効を争う根拠にもなります。
解説
障害者手帳を持っていなくても、本条の保護を受けられる。障害者雇用促進法2条でいう「障害者」は、身体障害・知的障害・精神障害(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があり、長期にわたって職業生活に相当の制限を受ける者を指す。手帳の有無で線は引かれていない。うつ病で休職から戻った人、ADHD の診断を受けた人、難病を抱える人も対象になりうる。本条が禁じるのは、賃金・教育訓練・福利厚生施設の利用・配置・昇進・降格・雇止め・解雇など、採用後のほぼすべての待遇で、障害を理由に不利に扱うことである。「障害者だから昇給の査定から外す」「障害者だから研修に呼ばない」「社員食堂の利用時間を分ける」は、どれも本条にぶつかる。一方で、障害者を有利に扱うことや、合理的配慮を提供した結果として扱いが違うこと、能力を適正に評価した結果として差がつくことは、差別に当たらない。保護が障害者の側にだけ働く「片面的」な規定である。この構造を知っていれば、会社側の「みんな同じに扱っているから問題ない」という説明が、実は答えになっていないと見抜ける。
法的な位置づけ
障害者の雇用の促進等に関する法律第35条は、採用後の待遇における障害者差別を禁止する規定である。対象となる待遇は賃金の決定、教育訓練の実施、福利厚生施設の利用のほか、配置、昇進、降格、雇止め、解雇等に及ぶ。障害者であることを理由とする不当な差別的取扱いを禁じる一方、障害者を有利に扱う措置や合理的配慮に基づく取扱いの差異は差別に当たらないとされる。
手順
- 1.不利な扱いの内容と日付を記録する 賃金、研修、配置、福利厚生施設の利用など、どの待遇で何がいつ起きたかを時系列で書き出し、同じ条件の同僚がどう扱われたかも併せて記録する
- 2.判断理由をメールで質問する 口頭で抗議する前に、評価基準と判断理由を人事・上司にメールで丁寧に尋ね、書面の回答を残す。回答が障害や病歴に触れていれば重要な証拠になる
- 3.社内の苦情処理窓口に申し出る 会社には自主的な解決に努める義務がある(74条の4)。社内窓口に記録と回答を添えて申し出て、対応経過を記録する
- 4.都道府県労働局に相談・調停を申し立てる 社内で解決しなければ、労働局の雇用環境・均等部(室)に相談し、労働局長の助言・指導・勧告や紛争調整委員会の調停(74条の7)を利用する。無料・非公開で行われる
- 5.必要に応じて弁護士に民事救済を相談する 損害が大きい場合や解雇・降格を受けた場合は、民法709条に基づく損害賠償や、解雇・降格の無効確認を弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1障害者雇用促進法35条とは?
採用後の賃金・教育訓練・福利厚生施設の利用など待遇全般で、障害者であることを理由とする不当な差別的取扱いを事業主に禁じる規定です。2016年4月に施行されました。
Q2職場の障害者差別はどこに相談できる?
都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)が窓口です。助言・指導・勧告のほか、無料・非公開の調停(74条の7)も利用できます。
Q3障害を理由に昇進させないのは違法?
能力や業績の評価ではなく、障害そのものを理由に昇進対象から外すなら、35条の「その他の待遇」での差別的取扱いに当たる可能性が高いです。
Q4障害を理由にした解雇は差別になる?
障害を理由とする解雇は、厚生労働省の差別禁止指針で本条の差別の例とされています。正当な理由の有無と、合理的配慮を尽くしたかが争点になります。
Q5障害者差別の証拠は何を集めればいい?
人事評価の記録、判断理由を尋ねたメールとその返信、同じ条件の同僚との扱いの比較資料、業務への影響を記した診断書などが有力な材料になります。
Q6契約社員やパートにも35条は適用される?
適用されます。本条は雇用形態で対象を区切っていません。障害を理由とする雇止めも、差別禁止指針で差別の例に挙げられています。
Q7障害者だからと研修を受けさせないのは違法?
教育訓練の実施は条文に明記された待遇です。障害を理由に一律で受講対象から外すことは本条に正面から抵触し、必要な配慮をしたうえで機会を与えるのが原則です。
Q8障害を会社に伝えていないと保護されない?
本条は障害を「理由として」不利に扱うことを禁じます。会社が障害を知らなければ理由性の認定は難しく、開示の有無と時期が実務上の分かれ目になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1手帳は持ってないけど、適応障害で通院してます。これでも差別って言えますか?
言える可能性がある。障害者雇用促進法2条の「障害者」は手帳の所持を条件にしておらず、精神障害などで長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける人を広く含む。本条(35条)の保護もこの定義に乗る。実務のポイント:労働局の相談窓口では、手帳の有無より、医師の診断書と業務への影響の実態が重く見られる。主治医に「業務上の制限」を具体的に書いてもらった診断書が、相談の場で最も効く一枚になる
Q2障害者雇用枠の給料が一般枠より安いのって、違法じゃないんですか?
枠が違うことだけで直ちに違法にはならない。職務内容・責任・勤務時間が違うなら、それに応じた賃金差は「能力等の適正な評価」の範囲に収まりうる。ただし、同じ仕事なのに障害者雇用枠だからという理由だけで低く設定しているなら、本条(35条)の賃金差別に当たる。実務のポイント:争点は枠の名前ではなく、職務記述書の中身である。一般枠の社員と同じ業務を担っている証拠(業務日報・指示メール)を集めておくと、会社の「職務が違う」という反論を崩せる
Q3会社が障害者を優遇したら、逆に健常者への差別になりませんか?
本条(35条)との関係ではならない。厚生労働省の障害者差別禁止指針は、障害者を有利に扱うこと(積極的差別是正措置)は差別に該当しないと明記している。本条は障害者の側だけを守る片面的な規定である。実務のポイント:社内で不公平だという声が出たときに会社がすべきなのは、優遇をやめることではなく、その措置の目的と根拠を周知することだ。説明の不足は、職場の人間関係の摩擦に直結する
間違えやすい点 AI による整理
- 「障害者手帳がない自分は対象外」と思い込んで声を上げない人が多い。だが法2条の障害者の定義は手帳の有無で区切られていない。精神障害、発達障害、難病などで長期にわたり職業生活に制限を受けていれば、手帳がなくても対象になりうる。会社側も、手帳がないことを理由に差別を正当化することはできない
- 会社が「全員を同じルールで扱っている」と言えば違反ではない、と考えるのは問いの立て方が誤っている。本条は障害者を有利に扱うことを禁じておらず、合理的配慮(36条の3)として扱いを変えることも求めている。問われるのは同じかどうかではない。障害を理由に不利にしたかどうかである
- 差別があっても罰則がないから会社は痛くない、と軽く見られがちである。たしかに本条違反に刑事罰はない。それでも厚生労働大臣による助言・指導・勧告(36条の6)の対象になり、民事では不法行為(民法709条)による損害賠償や、差別的な解雇・降格の無効を争う根拠にもなる。罰則がないことと、法的責任がないことは別の話だ
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する段階 | 35条:採用後の待遇(賃金・教育訓練・福利厚生・配置・昇進・解雇など) | 34条:募集・採用の段階 36条の3:採用後の合理的配慮の提供 |
| 事業主の義務の性質 | 障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止(してはならない) | 障害者でない者と均等な機会を与える義務 支障を改善する措置を講じる義務(過重な負担を除く) |
| 典型的な違反例 | 障害者雇用枠を一律に昇給査定や研修から外す | 障害者であることを理由に応募を受け付けない 本人の申出があっても通院時間の調整に一切応じない |
| 相互関係 | 合理的配慮の結果としての扱いの差は差別に当たらない | 採用段階にも合理的配慮(36条の2)が対応する 配慮の内容は本人との話し合い(36条の4)で決める |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は就業服務法で求職者・従業員に対する身心障礙を理由とする差別を禁じ、違反に過料を科す。行政指導中心の日本より制裁が直接的である
韓国は雇用を含む包括的な障害者差別禁止法を持ち、国家人権委員会による救済手続がある
ドイツは一般平等待遇法で障害を含む差別を禁じ、損害賠償・補償請求権を明文化している
米国は雇用全般の障害差別を禁じ、EEOCへの申立てと訴訟による救済が整備されている
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- メンタル不調での休職から復帰した翌年、同期全員が昇給したのにあなただけ据え置かれた。上司の説明は「まだ様子を見たい」の一言だけ。具体的な業績評価がないまま、病歴を理由に査定から外したのであれば、本条の「賃金の決定」での差別的取扱いに当たる可能性がある
- もし人事部の担当者が「障害者雇用枠の人は、全社のリーダー研修の対象外」という社内ルールをそのまま運用していたら、どうなる? 枠を理由に一律で教育訓練から外すことは、能力評価の結果ではない。本条違反として労働局から助言・指導を受けうる立場にいるのは、ルールを作った会社のほうである
- あなたは中小企業の総務担当。車いすの社員から「社員旅行の行程が自分だけ別メニューにされた」と苦情が来た。悪気はなく、安全への配慮のつもりだった。ただ、本人の意向を聞かずに一律に分けたのなら、配慮ではなく排除と受け取られる。本人と話し合って調整したかどうかが分かれ目になる
- 契約更新まで残り2週間。発達障害を開示したあと、「コミュニケーションに課題がある」という理由だけで雇止めを打診された。更新の判断理由を書面で求め、同じ評価基準で更新された他の社員との比較材料を今のうちに押さえる必要がある
- 社員食堂の利用時間が、障害者雇用枠の社員だけ混雑のない時間帯に指定されていた。三文で済む話だが、福利厚生施設の利用での別扱いとして、本条に正面からぶつかる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 不利な扱いの内容(賃金・研修・配置・食堂利用など)と日付を記録し、比較対象になる同僚の扱いも書き留める2. 判断理由をメールで質問し、書面での回答を残す3. 社内の苦情処理窓口に申し出る(74条の4で、会社には自主的な解決に努める義務がある) 4. 解決しなければ都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談し、労働局長による助言・指導・勧告(74条の6)や調停(74条の7)を利用する5. 損害が大きい場合は、弁護士に民法709条にもとづく損害賠償や、解雇・降格の無効確認を相談する
訴えられた側:1. 問題になった待遇の判断が、障害ではなく職務能力・業績にもとづくことを示す評価記録を整理する2. 合理的配慮として扱いを変えたのであれば、本人と協議した経緯(36条の4)を記録で示す3. 「障害者雇用枠は一律に〇〇対象外」といった社内規程がないか点検し、あれば速やかに改める4. 労働局から助言・指導が入ったら、反論より先に是正計画を示すほうが、紛争の長期化と評判リスクを抑えられる
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。差別的取扱いを理由とする損害賠償請求は、損害と加害者を知った時から3年、行為の時から20年(民法724条)。賃金請求として構成する場合、賃金請求権の時効は労働基準法115条により5年(当分の間3年、最新の改正状況をご確認ください)。労働局の援助・調停には法定の申立期限はないが、時間が経つほど証拠が散逸する
学説
行政解釈(障害者差別禁止指針):厚生労働省の差別禁止指針は、障害者であることを理由とする不利な取扱いを差別とし、積極的差別是正措置、合理的配慮の結果としての差異、能力の適正な評価による差は差別に当たらないとする。本条を片面的規定と位置づける解釈の根拠となっている。
改正沿革 AI による整理
- 平成25年(2013年)改正で新設、平成28年(2016年)4月1日施行 障害者権利条約の批准に向けた国内法整備として、雇用分野での障害者差別の禁止(34条、35条)と合理的配慮の提供義務(36条の2以下)を新たに設けた
改正の年表
- 1.平成25年(2013年) 新設:障害者権利条約の批准に向けた国内法整備として、募集・採用時の均等な機会の確保(34条)、待遇の差別禁止(35条)、合理的配慮の提供義務(36条の2以下)を新設。平成28年(2016年)4月1日施行
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第34条募集・採用段階の均等な機会の確保
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条差別禁止に関する指針の策定根拠
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の3採用後の合理的配慮の提供義務
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の6厚生労働大臣の助言・指導・勧告
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第74条の7紛争調整委員会による調停
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第13条雇用分野は本法の定めによると振り分け
- 労働基準法 第3条均等待遇の列挙に障害がなく本条が補完
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