障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の3
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事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、その雇用する障害者である労働者の障害の特性に配慮した職務の円滑な遂行に必要な施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。ただし、事業主に対して過重な負担を及ぼすこととなるときは、この限りでない。
この条文の基本情報
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の3は、日本の障害者の雇用の促進等に関する法律に含まれる条文です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の3の条文原文は「事業主は、障害者である労働者について、障害者でない労働者との均等な待遇の確保又は障害者である労働者の有する能力の有効な発揮の支障となつている事情を改善するため、…」で始まります。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の3は第二章の二 障害者に対する差別の禁止等に置かれています。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律の公布日は昭和35年7月25日です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の3の前の条は障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の2です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の3の次の条は障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の4です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第36条の3には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第36条の3 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000123 - 本サイト収録
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第36条の3(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/335AC0000000123/36_3
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点障害者雇用促進法36条の3は、事業主に、雇用する障害者への合理的配慮の提供を義務付ける規定。施設整備や援助者の配置などが対象で、過重な負担となる場合は例外とされる。
Q · 障害のある社員から配慮を求められたら、会社は応じないといけないの?
原則として義務。過重な負担に当たる場合だけ例外
障害者雇用促進法36条の3により、事業主は雇用する障害者である労働者に対し、障害の特性に配慮した施設の整備、援助者の配置、勤務時間の調整などの必要な措置(合理的配慮)を講じなければなりません。障害者手帳の所持は要件ではありません。断れるのは、企業規模、費用、業務への影響などから見て「過重な負担」に当たる場合に限られ、その場合も理由の説明と代わりの措置の検討が求められます。
解説
職場で「配慮してほしい」と頼むのは、遠慮して切り出すお願いではない。法律が事業主に課した義務の話である。2016年4月から、障害のある労働者が職場で力を発揮できない事情があれば、事業主はその事情を改善する措置を講じなければならない。対象は車椅子用のスロープのような設備だけではない。通院のための勤務時間の調整、指示を口頭ではなく文書で出すこと、こまめに休憩を取れるようにすることといった、仕事の進め方の変更も含まれる。見落とされがちなのは、障害者手帳の有無で線が引かれていない点だ。うつ病や発達障害などで、長期にわたり働くことに相当の制限を受けていれば対象になりうる。会社が断れるのは「過重な負担」(会社の規模、費用、業務への影響から見て無理がある場合)に当たるときだけであり、その場合も本人への理由の説明と、無理のない範囲での代わりの措置が求められる。黙って我慢し続けるか、具体的な配慮案を持って話し合いに臨むか。その差が、職場に残れるかどうかを分ける。
法的な位置づけ
障害者雇用促進法36条の3は、雇用後の合理的配慮の提供義務を定める規定である。事業主は、障害者である労働者と障害者でない労働者との均等な待遇の確保、または障害者である労働者の能力の有効な発揮の支障となっている事情を改善するため、障害の特性に配慮した施設の整備、援助を行う者の配置その他の必要な措置を講じなければならない。過重な負担となる場合は例外とされる。
手順
- 1.困りごとと希望する配慮を書き出す どの業務のどの場面で何に支障があるか、どんな措置があれば改善するかを A4一枚程度にまとめる。診断名の詳細より、具体的な場面と希望する措置を中心に書く
- 2.記録に残る形で会社に申し出る 上司や人事に対し、メールなど記録に残る方法で配慮を申し出る。公的助成金の情報を添えると、費用を理由とする拒否が通りにくくなる
- 3.会社と話し合い、回答を書面で受け取る 面談で措置の内容を話し合う。希望どおりにできない場合は、その理由と代わりの措置を書面で示すよう求める
- 4.解決しなければ外部機関を利用する 社内の相談窓口で解決しない場合、都道府県労働局やハローワークに相談し、紛争解決の援助や調停を申し立てる。解雇や降格が絡む場合は弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1合理的配慮とは何ですか?
障害のある労働者が障害のない労働者と同じように働けるよう、事業主が職場環境や働き方を個別に調整する措置です。障害者雇用促進法36条の2と36条の3が根拠です。
Q2合理的配慮の具体例は?
スロープや手すりの設置、通院のための勤務時間の調整、指示を文書で出すこと、休憩の取り方の工夫、会議への文字起こしの導入などがあります。
Q3合理的配慮 過重な負担とは?
事業活動への影響、実現の難しさ、費用、企業規模、財務状況、公的支援の有無などを総合して判断し、事業主に無理があると認められる場合を指します。
Q4合理的配慮 拒否 違法?
過重な負担に当たらないのに措置を講じなければ36条の3違反です。刑罰はありませんが、厚生労働大臣の助言・指導・勧告や労働局の調停の対象になります。
Q5合理的配慮 手帳なし でも受けられる?
受けられる可能性があります。法2条の「障害者」は手帳の有無ではなく、長期にわたり職業生活に相当の制限を受けるかどうかで判断されます。
Q6合理的配慮 中小企業 も義務?
義務です。法定雇用率と違い、本条は企業規模を問わず全事業主に適用されます。ただし規模や財務状況は過重な負担の判断で考慮されます。
Q7合理的配慮 いつから義務?
雇用分野での合理的配慮は2016年4月1日から事業主の法的義務です。2024年4月の障害者差別解消法改正とは別の制度です。
Q8合理的配慮 相談先 はどこ?
まず社内の相談窓口(36条の4で整備義務あり)、解決しなければ都道府県労働局やハローワークに相談し、紛争解決援助や調停を利用できます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1配慮をお願いするとき、病名まで全部会社に言わないとダメですか?
配慮は障害の特性に応じて決まるので、必要な範囲の情報は伝える必要がある。ただし診断名や経過をすべて話す義務まではなく、指針も事業主にプライバシーへの配慮を求めている(36条の5に基づく指針)。実務のポイント:診断名から入ると、相手は先入観で判断しがちだ。「午前中は集中力が落ちる」「口頭の指示だと抜けが出る」と場面で伝えると、具体的な措置の話にすぐ進む
Q2配慮を断られました。会社に罰則はないんですか?
本条違反に直接の刑罰や過料はない。厚生労働大臣による助言、指導、勧告(36条の6)と、都道府県労働局での紛争解決の援助や調停が用意されている。実務のポイント:罰則がないからといって軽く扱うのは危うい。後に解雇や損害賠償で争いになったとき、配慮を求められながら検討しなかった経緯は、会社に不利な事情として扱われうる。申出と回答の記録が勝負を分ける
Q3社員10人の小さい会社でも、この義務はあるんですか?
ある。法定雇用率による雇用義務(43条)とは違い、本条は規模を問わずすべての事業主に適用される。ただし過重な負担かどうかの判断では、企業規模や財務状況が考慮される。実務のポイント:小規模企業ほど「お金がない」で済ませがちだが、配慮の多くは指示の出し方や勤務時間の調整など費用ゼロの運用変更である。費用がかかる措置にも助成金があり、費用面での抗弁は思ったほど通らない
間違えやすい点 AI による整理
- 「障害者手帳を持っていないから自分には関係ない」という問いの立て方自体がずれている。本法の「障害者」は第2条第1号で、身体・知的・精神(発達障害を含む)その他の心身の機能の障害があり、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける者と定義されている。合理的配慮の場面では、手帳の所持は要件ではない
- 配慮は求めれば希望どおりに得られるもの、と考えていると話し合いでつまずく。指針は事業主と障害者の話し合いで措置を決めることを前提としており、本人の意向を尊重しつつ、効果のある措置が複数あれば、会社がより負担の少ない方を選ぶことも認めている。希望した方法がそのまま通らなくても、それだけで違反になるとは限らない
- 人事の目には「特別扱い」に映るが、法律から見れば、障害のない労働者と同じ土俵に立たせるための調整にすぎない。差別禁止指針も、合理的配慮を提供した結果として生じる取扱いの違いは差別に当たらないと整理している。この落差に気付かない管理職が、周囲への遠慮を理由に配慮を渋り、会社を紛争に巻き込む
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 対象となる場面 | 36条の3:雇用後(在職中)の労働者 | 36条の2:募集・採用時の応募者 35条:賃金その他の待遇 |
| 義務の内容 | 障害の特性に配慮した施設整備・援助者配置等の措置 | 障害者からの申出に応じた募集・採用時の措置 障害を理由とする不当な差別的取扱いの禁止 |
| 申出の要否 | 申出は要件とされていない(事業主側から把握・措置) | 障害者からの申出により措置 申出と無関係に禁止 |
| 例外 | 過重な負担となる場合 | 過重な負担となる場合 合理的配慮の結果としての取扱いの差は差別に当たらない |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は条約を国内法化する施行法を制定し、差別禁止規定と合わせて合理的調整を位置付ける。日本のように雇用分野に特化した独立の配慮義務条文があるかは要確認
韓国は差別禁止法の中で雇用における正当な便宜提供義務を定め、国家人権委員会による是正勧告の仕組みを持つ
ドイツは重度障害者に対し、能力に応じた就労や職場の整備を求める請求権を認める。使用者に期待不可能な場合は例外
米国は合理的配慮の不提供そのものを差別と定義し、undue hardship を例外とする。日本の過重な負担概念の原型にあたる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 適応障害で休職し、復職にあたって当面の時短勤務を希望したら、人事に「前例がない」と言われた。それで話は終わるのか? 前例の有無は過重な負担の判断材料ではない。会社の規模、費用、業務への影響を踏まえて判断すべきものであり、希望どおりの形が難しくても、無理のない範囲での代わりの措置を検討することが求められる
- あなたは従業員40名の会社の総務担当である。聴覚障害のある社員から、全社会議に文字起こしを付けてほしいと頼まれた。無料の音声認識ツールで足りるかもしれないのに「予算がない」の一言で返せば、配慮義務違反の種をあなた自身がまくことになる
- 上司の指示が口頭で次々と飛んでくる。発達障害のある社員は、それだけで業務が回らなくなる。指示をメールで一件ずつ出すことも、立派な合理的配慮である
- 人事評価の面談まであと2週間。持病の通院で月2回早退している事情を、評価で不利に扱われる前に伝えておきたい。口頭で済ませず、メールで伝えて記録を残す。その一通が、後で「配慮を求めていた」ことの証拠になる
- 同期が昼休みに、障害のことを会社に話したら居場所がなくなるのではと打ち明けてきた。配慮を受けるのに診断名を細かく話す必要はない。どの場面で何に困っているかを伝えるのが出発点だと、あなたは説明できる
取るべき行動
被害を受けた側:1. どの業務のどの場面で何に支障があるか、どんな措置があれば改善するかを具体的に書き出す2. メールなど記録に残る形で申し出る。診断名の詳細より、困りごとと希望する措置を中心にする3. 会社の回答と、断る場合はその理由を書面で求める4. 社内の相談窓口(36条の4で整備が義務付けられている)を使う5. 解決しなければ都道府県労働局やハローワークに相談し、紛争解決の援助や調停を検討する。解雇や降格が絡むなら弁護士に相談し、労働審判も視野に入れる
訴えられた側:1. 申出を放置せず、面談記録を残しながら本人と話し合う2. 業務への影響、実現の難しさ、費用、企業規模、財務状況、公的支援の有無で検討し、助成金を必ず確認する3. 希望どおりにできない場合は理由を説明し、負担の少ない代わりの措置を示す4. 障害に関する情報は必要な範囲で扱い、本人の同意なく社内に広めない5. 相談窓口の整備と周知を済ませておく
時効(請求できる期限):本条の義務違反そのものに特定の時効はなく、労働局の紛争解決援助や調停にも申立期限はない。配慮の不提供で損害を受けた場合、不法行為に基づく請求は損害および加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年、民法724条、724条の2)。安全配慮義務違反などの債務不履行に基づく請求は、権利を行使できると知った時から5年、行使できる時から10年(生命・身体の侵害は20年、民法166条、167条)
学説
通説(指針準拠):合理的配慮の内容は法律で固定されず、事業主と障害者の話し合いで個別に決まる。効果のある措置が複数あるときは、本人の意向を尊重しつつ事業主がより負担の少ない措置を選べる。過重な負担に当たる場合も理由説明と代替措置の検討が求められる
改正沿革 AI による整理
- 平成25年(2013年)公布、平成28年(2016年)4月1日施行 障害者の権利に関する条約の批准に向けた法改正で、第二章の二(障害者に対する差別の禁止等)とともに新設。雇用後の合理的配慮の提供を事業主の法的義務とし、但書で過重な負担による例外を定めた
改正の年表
- 1.昭和35年(1960年) 新設:身体障害者雇用促進法として制定(本条はまだ存在しない)
- 2.平成25年(2013年) 改正:障害者の権利に関する条約の批准に向けた改正で、第二章の二(障害者に対する差別の禁止等)とともに本条を新設。平成28年(2016年)4月1日施行
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の2募集・採用時の合理的配慮義務
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の4本人意向の尊重と相談体制整備義務
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の5合理的配慮指針の策定根拠
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の6厚生労働大臣の助言・指導・勧告
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第35条賃金等待遇における障害者差別の禁止
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第13条事業主としての措置は雇用促進法に委ねる
- 労働契約法 第5条安全配慮義務、配慮不提供の民事責任と交錯
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