障害者の雇用の促進等に関する法律 第34条(障害者に対する差別の禁止)
クイックジャンプ
事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。
この条文の基本情報
障害者に対する差別の禁止とは何ですか?
定義障害者に対する差別の禁止とは、障害者の雇用の促進等に関する法律第34条に定められた規定で、「事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第34条(障害者に対する差別の禁止)は、日本の障害者の雇用の促進等に関する法律に含まれる条文です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第34条の条文原文は「事業主は、労働者の募集及び採用について、障害者に対して、障害者でない者と均等な機会を与えなければならない。」で始まります。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第34条は第二章の二 障害者に対する差別の禁止等に置かれています。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律の公布日は昭和35年7月25日です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年10月2日時点では廃止情報はありません。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第34条の前の条は障害者の雇用の促進等に関する法律第33条です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第34条の次の条は障害者の雇用の促進等に関する法律第35条です。
- 障害者の雇用の促進等に関する法律第34条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第34条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/335AC0000000123 - 本サイト収録
障害者の雇用の促進等に関する法律(昭和三十五年法律第百二十三号)第34条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年10月2日)https://lawplayer.com/jp/article/335AC0000000123/34
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点障害者雇用促進法34条は、事業主に対し、募集・採用で障害者に障害者でない者と均等な機会を与えるよう義務付ける。手帳の有無や企業規模を問わず適用される。
Q · 障害があることを理由に不採用にするのは違法なの?
違法になりうる。障害を理由に選考から外すことは禁止
障害者雇用促進法34条は、事業主に対し、募集・採用で障害者に障害者でない者と均等な機会を与えるよう義務付けています。障害を理由に応募を受け付けない、障害者にだけ不利な条件を付ける、同じ評価なら障害のない者を優先する、といった扱いは本条違反となりえます。一方、能力・適性を公正に評価した結果の不採用は違法ではありません。違反に刑事罰はなく、労働局による助言・指導・勧告や調停で是正が図られます。
解説
求人票に「障害者不可」と書けば違法になる。ここまでは多くの人事担当者も知っている。しかし本条が本当に効くのは、もっと目立たない場面である。たとえば、書類選考の段階で障害の記載がある応募書類だけを先に除く。面接を通過した候補者が同じ評価なら、障害のない側を優先する。障害のある応募者にだけ「一人で通勤できること」といった追加条件を課す。障害者差別禁止指針(厚生労働省告示)は、こうした扱いを差別の典型例として挙げている。さらに見落とされやすいのが「障害者」の範囲である。本法2条は、障害者手帳の有無で線を引いていない。発達障害やうつ病などの精神障害で、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける人も含まれる。また、法定雇用率(2026年7月から民間企業は2.7%)の雇用義務は一定規模以上の企業に限られるが、本条の差別禁止は従業員1人の会社にも適用される。応募する側も採用する側も、「均等な機会」が具体的にどのプロセスを指すのかを知っているかどうかで、見える景色がまるで変わる。
法的な位置づけ
障害者雇用促進法34条は、募集・採用段階における障害者差別の禁止を定める規定であり、事業主に対し、障害者に障害者でない者と均等な機会を与える義務を課す。障害を理由とする募集・採用からの排除、障害者のみへの不利な条件の付加、同等評価時に障害者でない者を優先する取扱いが禁止される一方、障害者を有利に扱う積極的措置は違反とならない。
手順
- 1.選考の記録を保存する 求人票の画面、応募書類の控え、面接日時、面接官の発言、企業とのメールをすべて保存する。面接での発言は当日中にメモにしておく
- 2.合理的配慮の申出と回答を書面で残す 筆談・時間延長・オンライン面接など必要な配慮を求めた場合は、その申出内容と企業の回答をメールなど記録に残る形で残す(36条の2)
- 3.都道府県労働局に相談する 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)に相談し、労働局長による助言・指導・勧告(74条の6)を求める。相談は無料
- 4.調停または損害賠償を検討する 話合いで解決しない場合は紛争調整委員会の調停(74条の7)を申請する。精神的損害が大きい場合は、民法709条に基づく損害賠償を弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1障害者雇用促進法34条とは?
事業主に対し、労働者の募集・採用で障害者に障害者でない者と均等な機会を与えるよう義務付けた規定です。2013年改正で新設され、2016年4月から施行されています。
Q2障害者差別禁止指針で採用時に禁止されている例は?
障害者であることを理由に募集・採用の対象から外すこと、障害者にだけ不利な条件を付けること、同じ評価なら障害のない者を優先することなどが典型例として挙げられています。
Q3発達障害で手帳なしでも障害者差別禁止の対象になる?
対象になりえます。本法2条の障害者は手帳の有無で区別されず、長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける発達障害・精神障害の人も含まれます。
Q4障害者専用の求人枠は逆差別で違法?
違法ではありません。障害者を有利に扱う積極的な措置は差別に当たらないとされています。ただし専用枠を理由に一般枠から障害者を締め出す運用は問題になりえます。
Q5採用面接で障害について質問してもいい?
必要な配慮を確認する目的なら問題になりにくいですが、得た障害情報を合否の判断材料に使えば本条違反となりえます。確認目的と選考目的を分けて管理することが重要です。
Q6障害を理由とする内定取消しは違法?
採用過程での障害を理由とする排除として本条の問題になるうえ、内定取消しは解雇に準じて労働契約法16条の権利濫用審査も受けます。無効とされる可能性があります。
Q7障害者差別で損害賠償を請求できる?
事案によっては民法709条の不法行為として慰謝料などを請求できる余地があります。ただし採用そのものを強制する効力は一般に認められていません。
Q8求人票の必須条件が障害者差別になることはある?
障害者にだけ追加条件を課す場合は典型的な差別です。全員共通の条件でも、職務に不要な条件は不採用理由の説明が難しくなるため、業務上の必要性を文書化しておくべきです。
この条文についての質問 AI による整理
Q1面接で障害のことって言わなきゃダメなんですか?
法律上、開示する義務はない。ただし募集・採用時の合理的配慮は、障害者からの申出を受けて検討される仕組みになっている(36条の2)。言わなければ配慮も得られない。実務のポイント:開示するか迷う場合は、診断名ではなく「必要な配慮の中身」だけを伝える方法もある。企業側も対応すべき内容が明確になり、話が進みやすい
Q2不採用の理由を聞いたら教えてもらえますか?
企業に理由を開示する法的義務は一般にない。ただし本条違反が疑われる場合、労働局に相談すれば、労働局が企業から事情を聴いたうえで助言・指導をすることがある(36条の6、74条の6)。実務のポイント:応募者個人では引き出せない説明も、行政を通すと企業が文書で整理せざるを得なくなる。調停申請(74条の7)は費用がかからない
Q3違反しても罰金とかないんでしょ? うちみたいな小さい会社は関係ないよね?
本条違反に刑事罰はない。法律上の措置は、厚生労働大臣(実務上は労働局)による助言・指導・勧告である(36条の6)。とはいえ規模による適用除外はない。実務のポイント:本当に高くつくのは行政指導ではなく、民法709条による損害賠償請求と、SNS での拡散による採用ブランドの毀損である。小さな会社ほど、一件の炎上が次の採用に響く
間違えやすい点 AI による整理
- 「うちは障害者手帳を持つ人を雇っていないので関係ない」という発想は、問いの立て方から誤っている。本条の対象は手帳保持者に限られず、精神障害(発達障害を含む)などで長期にわたり職業生活に相当の制限を受ける人を広く含む(本法2条)。手帳の有無は主に法定雇用率の算定で問題になる話であり、差別禁止の範囲とは別物である
- 均等な機会とは、障害者を必ず採用しなければならないという意味ではない。業務遂行能力・適性を公正に評価した結果の不採用は違法ではない。違法になるのは障害を理由に評価の土俵から外すこと、障害者にだけ不利な条件を付けること、同じ評価なら障害のない者を優先することである。採用の結果ではなく、選考の過程が問われる
- 応募者から見れば、本条違反の不採用は「採用してもらえる権利」の侵害に映る。しかし法律上、本条違反から直ちに採用を強制する効力は生じないというのが一般的な理解である(三菱樹脂事件・最大判昭和48.12.12が示した企業の採用の自由との関係)。救済の中心は、労働局の助言・指導・勧告、調停、そして事案によっては不法行為(民法709条)に基づく損害賠償となる。私法上の効果の範囲は、実務上、解釈が分かれている。この落差を知らずに「訴えれば入社できる」と思い込むと、戦略を誤る
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する場面 | 34条:募集・採用 | 35条:採用後の賃金・教育訓練・福利厚生など待遇 36条の2:募集・採用時の合理的配慮 |
| 事業主の義務の性質 | 障害を理由とする不利な取扱いをしない(均等な機会の付与) | 障害を理由とする不当な差別的取扱いをしない 障害特性に応じた措置を講じる(積極的な作為義務) |
| 動き出すきっかけ | 申出不要、すべての募集・採用に及ぶ | 申出不要、雇用中の労働者全般に及ぶ 原則として障害者からの申出が起点 |
| 義務の限界 | 能力・適性に基づく不採用は違反でない | 合理的な理由のある区別は違反でない 事業主に過重な負担となる場合は除かれる |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾は就業歧視禁止事由に身心障礙を列挙し、違反には行政罰(罰鍰)を科す点で、刑事罰も行政罰もない日本より制裁が強い
韓国は包括的な障害者差別禁止法の中で雇用差別を禁じ、国家人権委員会による是正勧告の仕組みを持つ
ドイツは差別を受けた応募者に補償請求権(AGG § 15)を明文で認める一方、採用請求権は否定しており、日本の採用強制否定と共通する
米国は差別禁止と reasonable accommodation を一体で規律し、EEOC への申立てと訴訟による救済が中心となる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 書類選考で、職務経歴は申し分ないのに、備考欄に「ADHD の診断あり、手帳なし」と書いた途端に連絡が途絶えた。手帳がなくても本法2条の障害者に当たりうる。障害を理由に選考から外したのであれば、本条の射程に入る
- あなたはスタートアップの採用責任者で、エンジニア募集の最終候補が二人残った。評価は同点で、一人は車いすを使っている。「オフィスの段差が面倒だから」ともう一人を選ぶ。この判断こそ、指針が明示する「障害者でない者を優先して採用すること」に当たる
- 障害者専用の求人枠を新設したら「逆差別だ」と社内から声が上がった。これは本条違反にならないのか? 指針は、障害者を有利に扱う積極的な措置を差別に当たらないと明記している。むしろ問題は、専用枠をつくったことを理由に一般枠から障害者を締め出す運用のほうである
- 内定式まであと10日。健康状態の申告書で精神障害の通院歴が分かった応募者について、役員が「内定を取り消せ」と言い出した。採用過程での障害を理由とする排除は本条の問題になり、内定取消しそのものは労働契約法16条の解雇権濫用の審査にもかかる。今日中に法務へ止めの判断を求める必要がある
- 面接官が聴覚障害のある応募者に口頭だけで質問し、回答が遅いことを減点した。筆談などの配慮を求められていたのに応じていなかったなら、本条だけでなく、募集・採用時の合理的配慮を定めた36条の2の問題にもなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 求人票の画面、応募書類の控え、面接日時、面接官の発言、メールをすべて保存する。発言は当日中にメモする2. 合理的配慮を求めた場合は、その申出と企業の回答を書面で残す3. 都道府県労働局の雇用環境・均等部(室)へ相談する。労働局長による助言・指導・勧告(74条の6)や、紛争調整委員会の調停(74条の7)を無料で利用できる4. 精神的損害が大きい場合は、民法709条に基づく損害賠償を弁護士に相談する
訴えられた側:1. 指摘を受けた選考について、評価シート、面接記録、不採用理由を時系列で整理する2. 不採用理由が職務上の能力・適性に基づくことを、障害と切り離して説明できるか検証する3. 障害者差別禁止指針と合理的配慮指針に照らして、求人票の条件や選考フローを見直す4. 労働局から助言・指導を受けた段階で是正すれば、勧告への進展や紛争の長期化を避けやすい。相談・援助を求めた応募者や労働者への報復は禁止されている(74条の6第2項)
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。労働局への相談・調停の申請にも法定の期限はないが、証拠が散逸する前に動くべきである。不法行為に基づく損害賠償請求は、損害および加害者を知った時から3年、行為の時から20年で消滅する(民法724条)
学説
一般的理解:本条は公法上の義務を定めたもので、違反から直ちに採用を強制する効力は生じないと解されている。ただし違反が不法行為(民法709条)を構成しうるかなど、私法上の効果の範囲については解釈が分かれている
改正沿革 AI による整理
- 平成25年(2013年)改正、平成28年(2016年)4月1日施行 障害者の権利に関する条約の批准に向けた国内法整備として、第2章の2に障害者差別禁止と合理的配慮の規定が整備され、募集・採用における均等な機会の確保義務が定められた
改正の年表
- 1.平成25年(2013年) 新設:障害者の権利に関する条約の批准に向けた国内法整備として、第2章の2に障害者差別禁止と合理的配慮の規定が設けられ、募集・採用における均等な機会の確保義務が定められた。平成28年(2016年)4月1日施行
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第2条障害者の定義、手帳の有無を問わない
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第35条採用後の賃金・待遇面の差別禁止
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の2募集・採用時の合理的配慮義務
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第36条の6助言・指導・勧告による履行確保
- 障害者の雇用の促進等に関する法律 第74条の7紛争調整委員会による調停
- 障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律 第13条雇用分野は本法に委ねる調整規定
- 民法 第709条差別的取扱いへの損害賠償の根拠
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。