災害対策基本法 第79条(通信設備の優先使用権)
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災害が発生した場合において、その応急措置の実施に必要な通信のため緊急かつ特別の必要があるときは、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事若しくは市町村長は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、電気通信事業法第二条第五号に規定する電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備を優先的に利用し、又は有線電気通信法第三条第四項第四号に掲げる者が設置する有線電気通信設備若しくは無線設備を使用することができる。
この条文の基本情報
通信設備の優先使用権とは何ですか?
定義通信設備の優先使用権とは、災害対策基本法第79条に定められた規定で、「災害が発生した場合において、その応急措置の実施に必要な通信のため緊急かつ特別の必要があるときは、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事若し…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第79条(通信設備の優先使用権)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第79条の条文原文は「災害が発生した場合において、その応急措置の実施に必要な通信のため緊急かつ特別の必要があるときは、指定行政機関の長若しくは指定地方行政機関の長又は都道府県知事若し…」で始まります。
- 災害対策基本法第79条は第四節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第79条の前の条は災害対策基本法第78条の2です。
- 災害対策基本法第79条の次の条は災害対策基本法第80条です。
- 災害対策基本法第79条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第79条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第79条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/79
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法79条は、災害発生時に応急措置の通信のため緊急かつ特別の必要があるとき、首長等が通信事業者の設備を優先利用し、鉄道・電力等の設備を使用できると定める。
Q · 大災害で電話がつながらないとき、市役所は携帯会社や鉄道会社の回線を使えるの?
応急措置に必要な通信なら、首長等は使えます
災害対策基本法79条により、災害が発生し、応急措置の実施に必要な通信について緊急かつ特別の必要があるときは、指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、都道府県知事、市町村長は、電気通信事業者の設備を優先的に利用し、鉄道・電力など有線電気通信法3条4項4号に掲げる者の有線・無線設備を使用できます。ただし他の法律に特別の定めがあればそちらが優先し、個人の通信が優先されるわけではありません。
解説
大地震で市役所の回線が全滅した夜、市長が頼れるのは自前の無線だけではない。災害対策基本法79条は、災害が発生し、応急措置(被害拡大を食い止めるためにその場で打つ緊急対応)に必要な通信について「緊急かつ特別の必要」があるとき、指定行政機関の長・指定地方行政機関の長・都道府県知事・市町村長に二つの権限を与えている。第一に、電気通信事業者(NTT や携帯キャリアなど)の電気通信設備を優先的に利用する権限。第二に、鉄道・電力・警察・消防など、有線電気通信法3条4項4号に掲げる者が設置した有線設備や無線設備を使用する権限である。つまり平時には社内専用の鉄道電話や電力会社の保安回線も、非常時には行政の連絡網に組み込まれうる。ここで押さえておくべきなのは、この権限を持つのが「首長など」に限られ、あなた個人のスマホが優先されるわけではないという点だ。通信が途絶えた地域で「どこに情報が集まるか」を知っている人は、家族の安否確認や避難判断で、他人より一歩早く動ける。
法的な位置づけ
災害対策基本法79条は、災害発生時に応急措置の実施に必要な通信のため緊急かつ特別の必要があるとき、指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、都道府県知事または市町村長が、他の法律に特別の定めがある場合を除き、電気通信事業者の電気通信設備を優先的に利用し、または鉄道・電力事業者等の有線電気通信設備もしくは無線設備を使用できる旨を定める規定である。
よくある質問 AI による整理
Q1災害対策基本法79条とは?
災害発生時、応急措置に必要な通信のため緊急かつ特別の必要があるとき、首長等が通信事業者の設備を優先利用し、鉄道・電力等の通信設備を使用できると定めた規定です。
Q2災害時 通信設備 優先利用 できるのは誰?
指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、都道府県知事、市町村長に限られます。個人や民間企業が本条を根拠に優先利用することはできません。
Q3災害対策基本法79条 いつ使える?
災害が発生し、その応急措置の実施に必要な通信について「緊急かつ特別の必要」があるときに限られます。平時の訓練や復旧・復興段階の通信確保には使えません。
Q4鉄道会社の業務無線を行政が使うのは違法?
違法ではありません。本条は有線電気通信法3条4項4号に掲げる者(鉄道・電力事業者等)の有線・無線設備を首長等が使用できると明文で認めています。
Q5有線電気通信法3条4項4号に掲げる者とは?
自ら設置した有線電気通信設備を業務に使う鉄道・電力・警察・消防などの者を指します。本条ではこれらの設備が災害時の使用対象として位置づけられています。
Q6災害対策基本法79条と57条の違いは?
57条は警報の伝達や警告のための通信設備の優先利用、79条は発災後の応急措置の実施に必要な通信のための優先利用・使用です。目的と局面が異なります。
Q7「他の法律に特別の定めがある場合」とは?
電波法や電気通信事業法など、非常時の通信について別の手続や規律を定める法律がある場合です。その場合は本条ではなく当該法律の定めが優先されます。
Q8自治体は通信事業者と事前協定を結ぶべき?
法律上の義務ではありませんが、実務上は強く推奨されます。連絡窓口や接続手順を平時に決めておくことで、発災直後の通信確保を大きく早められます。
この条文についての質問 AI による整理
Q1災害のとき、役所って勝手に携帯会社の回線を使えるんですか?
災害が発生し、応急措置に必要な通信について緊急かつ特別の必要があるときに限り、首長等が電気通信事業者の設備を優先的に利用できる、というのが本条(災害対策基本法79条)の構造である。実務のポイント:実務では発災後に一から交渉するのではなく、自治体と事業者が平時に結んだ協定や連絡体制に沿って動くことが多い。協定の有無で、初動の速さに大きな差が出る
Q2うちの会社は鉄道会社です。業務用の無線を使わせろと言われたら断れないんですか?
本条は首長等に、有線電気通信法3条4項4号に掲げる者(鉄道事業者等)の設置する設備を「使用することができる」権限を与えている。ただし安全運行に不可欠な回線をどこまで提供するかは、要請者との具体的な調整事項になる(実務上、運用の詳細は解釈・協定次第)。実務のポイント:発災当日に法務部へ照会していては間に合わない。保安上の必須回線と提供可能回線の区分を、平時に社内で決めておく会社ほど混乱しない
間違えやすい点 AI による整理
- 「災害時優先電話」は本条で動いていると思われがちだが、問いの立て方が少しずれている。災害時優先電話は主に電気通信事業法8条の重要通信確保の枠組みで、事業者が事前に指定した回線を優先扱いする仕組みである。本条は、災害発生後に首長等が通信設備の優先利用や他者の設備の使用に踏み込む権限であり、発動の主体も場面も異なる
- 「自分のスマホも非常時には優先される」と期待する人がいるが、本条で優先利用・使用の権限を持つのは指定行政機関の長、知事、市町村長などに限られる。個人の通信は、むしろ行政通信の優先によって混雑の影響を受ける側に回りうる。家族との連絡は、災害用伝言ダイヤル(171)などの別ルートを前提に組み立てるべきである
- 鉄道会社や電力会社から見れば、自社の業務回線は安全運行・保安のための生命線である。しかし法律から見れば、それは災害時に行政が使用しうる公共的インフラの一部でもある。この視点の落差を平時に埋めておかないと、発災当日に現場が「誰の許可で使わせるのか」で揉め、貴重な時間を失う
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 目的 | 災害対策基本法79条:発災後の応急措置の実施に必要な通信 | 災害対策基本法57条:警報の伝達・警告等のための通信 電気通信事業法8条:非常時の重要通信の優先取扱い |
| 主体 | 指定行政機関の長、指定地方行政機関の長、都道府県知事、市町村長 | 主に都道府県知事・市町村長等 電気通信事業者(義務を負う側) |
| 対象設備 | 電気通信事業者の設備(優先利用)+鉄道・電力等の有線・無線設備(使用) | 電気通信事業者の設備等(放送事業者への要請も含む) 事業者自身の電気通信役務 |
| 発動局面 | 災害発生後、緊急かつ特別の必要があるとき | 災害発生のおそれ・発生時の警報伝達で緊急を要するとき 天災・事変その他の非常事態が発生し、またはそのおそれがあるとき |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾では災害応変中心の指揮官が民間の機具・車両等を徴用できる枠組みがあり、通信の確保は電信関連法令と組み合わせて運用される。日本のように通信設備に特化した条文構造ではない
ドイツは非常時の通信事業者の優先提供義務を独立の法律で定める。日本は災害対策の一般法の中に権限規定を置く点で構造が異なる
米国は大統領に戦時・国家非常時の通信優先権限を与える。日本の本条は首長等の災害応急措置に限定され、発動主体と要件がより限定的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 豪雨で集落が孤立し、携帯の基地局も停電で沈黙した。役場は町長名で、近くを走る鉄道会社の業務用通信設備の使用を求める。住民の安否情報が県に届くルートは、実はその線路沿いのケーブルだった
- もしあなたが電力会社の通信部門の担当者で、県知事の名前で「保安用無線を災害対応に使わせてほしい」と連絡が来たら、どうする? 社内規程に書いていないからと断る前に、本条という法的根拠があることを思い出す必要がある
- 地震発生から72時間。救助の生存率が急落すると言われるこの時間帯に、市の災害対策本部の電話がつながらない。本条で通信事業者の設備を優先利用できるかどうかが、救助隊の配置判断の速さを左右する
- 自治体の防災担当に異動した初日、上司から「79条の手順、ちゃんと協定に落としてある?」と聞かれた。答えられないまま次の台風シーズンが来る
取るべき行動
被害を受けた側:1. 被災地の住民であれば、本条は行政のための権限であり個人通信を優先する規定ではないと理解し、災害用伝言ダイヤル(171)や各社の災害用伝言板を家族で事前に決めておく2. 自治体の防災担当者であれば、本条を前提に通信事業者・鉄道・電力会社との連絡窓口と接続手順を平時に協定化し、首長名の要請文の雛形を用意する3. 発災時は「緊急かつ特別の必要」の判断根拠(被害状況、既存回線の途絶)を記録に残す
訴えられた側:1. 設備提供を求められた事業者側は、まず要請者が本条の権限者(指定行政機関の長、知事、市町村長等)か、応急措置のための通信かを確認する2. 自社の安全運行や保安に不可欠な部分と、提供可能な部分を切り分けて回答する3. 本条には「他の法律に特別の定めがある場合を除く」とあるため、電波法など他法の手続が優先する場面がないか確認する4. 提供範囲・期間・費用負担の扱いは書面で記録し、事後の精算協議に備える(補償の扱いは個別に確認が必要)
時効(請求できる期限):特定の時効はないが、一般消滅時効(民法166条、債権5年または10年)が適用される。権限行使の時間的範囲は、災害が発生し応急措置を実施する段階に限られ、平時や復旧・復興段階の通信確保には本条は使えない
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:伊勢湾台風(1959年)を契機に災害対策基本法が制定され、災害応急対策の一環として通信の確保に関する規定が整備された
- 災害対策基本法 第57条警報伝達のための通信設備優先利用
- 災害対策基本法 第50条災害応急対策の範囲を定める
- 災害対策基本法 第62条市町村長の応急措置実施義務
- 電気通信事業法 第8条非常時の重要通信の優先取扱義務
- 電波法 第52条非常通信を目的外使用の例外とする
- 有線電気通信法 第3条使用対象となる設備設置者の範囲
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