災害対策基本法 第57条(警報の伝達等のための通信設備の優先利用等)
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前二条の規定による通知、要請、伝達又は警告が緊急を要するものである場合において、その通信のため特別の必要があるときは、都道府県知事又は市町村長は、他の法律に特別の定めがある場合を除くほか、政令で定めるところにより、電気通信事業法(昭和五十九年法律第八十六号)第二条第五号に規定する電気通信事業者がその事業の用に供する電気通信設備を優先的に利用し、若しくは有線電気通信法(昭和二十八年法律第九十六号)第三条第四項第四号に掲げる者が設置する有線電気通信設備若しくは無線設備を使用し、又は放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第二条第二十三号に規定する基幹放送事業者に放送を行うことを求め、若しくはインターネットを利用した情報の提供に関する事業活動であつて政令で定めるものを行う者にインターネットを利用した情報の提供を行うことを求めることができる。
この条文の基本情報
警報の伝達等のための通信設備の優先利用等とは何ですか?
定義警報の伝達等のための通信設備の優先利用等とは、災害対策基本法第57条に定められた規定で、「前二条の規定による通知、要請、伝達又は警告が緊急を要するものである場合において、その通信のため特別の必要があるときは、都道府県知事又は市町村長は、他の法律に特別…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第57条(警報の伝達等のための通信設備の優先利用等)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第57条の条文原文は「前二条の規定による通知、要請、伝達又は警告が緊急を要するものである場合において、その通信のため特別の必要があるときは、都道府県知事又は市町村長は、他の法律に特別…」で始まります。
- 災害対策基本法第57条は第二節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第57条の前の条は災害対策基本法第56条です。
- 災害対策基本法第57条の次の条は災害対策基本法第58条です。
- 災害対策基本法第57条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第57条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第57条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/57
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法57条は、緊急の警報伝達に特別の必要があるとき、知事・市町村長が通信設備を優先利用し、放送局やネット事業者に放送・情報提供を求められると定める。
Q · 市長はテレビ局に災害の警報を放送させることができるの?
放送を「求める」ことはできるが、強制命令ではない
災害対策基本法57条により、55条・56条の通知や警告が緊急を要し、通信に特別の必要があるとき、都道府県知事又は市町村長は基幹放送事業者に放送を行うよう求めることができます。ただし条文は「求めることができる」であり、放送内容の最終判断は放送事業者に残ります。一方、放送局側には放送法108条により災害時に被害軽減に役立つ放送をする努力義務があり、実務では自治体と放送局の事前協定で運用が決まります。
解説
津波警報が出た瞬間、市町村長は携帯電話の回線にも、テレビ局の電波にも、ポータルサイトの通知枠にも直接「割り込める」。本条がその根拠である。前二条(55条・56条)による通知・警告が緊急で、しかも通信のために特別の必要があるとき、都道府県知事または市町村長は、電気通信事業者の設備を優先的に利用し、他の主体が設置する有線・無線設備を使用し、基幹放送事業者(地上波テレビ・ラジオ局など)に放送を求め、政令で定めるネット事業者に情報提供を求めることができる。押さえておくべき点は二つ。第一に、本条は「求めることができる」という要請の権限であり、放送局の編集権を奪う命令ではない。第二に、警報が届かなかったとき、その責任は通信会社ではなく、伝達の判断をした自治体の側に向かう。スマホの警報音は自然に鳴っているのではない。誰かが本条の権限を使うと決めた結果として鳴っている。
法的な位置づけ
災害対策基本法57条は、警報等の伝達における通信手段の確保を定める規定であり、同法55条・56条による通知、要請、伝達又は警告が緊急を要し、通信に特別の必要がある場合に、都道府県知事又は市町村長が電気通信設備の優先利用、有線・無線設備の使用、基幹放送事業者への放送要請及び政令で定めるインターネット事業者への情報提供要請を行う権限を定める。
よくある質問 AI による整理
Q1災害対策基本法57条とは?
警報や避難の警告を急いで伝える必要があるとき、知事・市町村長が通信設備を優先利用し、放送局やネット事業者に放送・情報提供を求められる規定です。
Q2緊急速報メールは誰が送っている?
気象警報は気象庁、避難指示などの避難情報は市町村が発信元となり、携帯電話会社の仕組みを通じて配信されます。発信元は文面で確認できます。
Q3災害時に電話がつながりにくいのはなぜ?
安否確認の通話が集中するうえ、電気通信事業法8条に基づき災害対応などの重要通信が優先して扱われるため、一般の通話は規制されやすくなります。
Q4通信設備の優先利用とは?
緊急の警報伝達のため、自治体が通信会社の回線を他の利用より先に使えることです。災害対策基本法57条が都道府県知事・市町村長にこの権限を与えています。
Q5防災行政無線が聞こえないときはどうする?
多くの自治体は電話での放送内容確認サービスやメール配信、アプリ通知を併用しています。地元ラジオ・テレビとあわせて複数の経路を事前に登録しておくのが確実です。
Q657条の「特別の必要」とはどんな場合?
通常の手段では警報等を間に合うように伝えられない場合を指すと解されます。豪雨で防災無線が聞こえない、回線が混雑しているといった状況が典型です。
Q757条の要請に放送局は応じなければ違法?
57条自体は要請にとどまり、拒否への罰則はありません。ただし放送法108条で災害時の放送に努める義務があり、実務上は事前協定に基づき応じるのが通例です。
Q8ネット事業者への情報提供要請はいつから?
インターネットによる情報提供を求める部分は後の改正で加わった規定です。対象となる事業活動は災害対策基本法施行令で定められるため、現行の施行令で確認が必要です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1市から放送してくれって言われたら、テレビ局は絶対に流さなきゃいけないんですか?
災害対策基本法57条は「放送を行うことを求めることができる」と定めるにとどまり、文言上は要請である。一方、基幹放送事業者には放送法108条で災害時に被害軽減に役立つ放送をする努力義務がある。実務のポイント:多くの自治体と放送局は事前に「災害時の放送要請に関する協定」を結んでおり、実際の運用は法律よりその協定の書式と窓口で決まる。協定の有無を確認すると、地域の備えの実力がわかる
Q2警報が届かなくて逃げ遅れたら、自治体を訴えられますか?
自治体の伝達判断に過失があれば、国家賠償法1条で請求する余地はある。ただし伝達の手段やタイミングには行政の裁量が広く認められやすく、因果関係の立証も重い。実務のポイント:勝負を分けるのは、発災直後にどこまで伝達記録を押さえられるかである。災害対策本部の時系列記録(クロノロジー)は、後から整理された報告書よりはるかに生々しく、判断の空白が見える
Q3ネットの防災アプリも、この条文と関係あるんですか?
関係する。57条はインターネットを利用した情報提供の事業活動のうち政令で定めるものを行う者に、情報提供を求めることができると定めている。どの事業活動が該当するかは災害対策基本法施行令で確認する必要がある。実務のポイント:アプリ運営側は、自社が政令の範囲に入るかを平時に確認し、自治体との連絡経路を作っておくと、緊急時に情報源として優先的に扱われやすくなる
間違えやすい点 AI による整理
- 緊急時なら自治体は放送局に何でも放送させられる、と思われがちである。だが本条の文言は「求めることができる」。放送内容の最終判断は放送事業者に残り、放送法上の放送の自律と表現の自由(憲法21条)が背後に控えている。強制ではなく要請であるという構造を外すと、平時の協定づくりの意味も見えなくなる
- 警報はテレビかスマホのどちらかで受け取れば十分、という感覚は危うい。本条が通信、有線・無線、放送、ネットの四系統を並べているのは、一系統だけでは必ず穴が出るという前提に立っているからである。停電で基地局が止まれば携帯は沈黙し、テレビも消える。受け手の側も複数の経路を確保しておかなければ、法が用意した冗長性はあなたの家の手前で途切れる
- 住民から見れば「警報が来なかった」という一つの出来事である。法的には、気象庁の発表、都道府県への通知、市町村長の伝達判断、通信事業者の処理と、何段階にも分かれた行為の連鎖になる。どの段階で止まったのかを特定できなければ、国家賠償を主張する入口にも立てない。その落差を知らないまま怒っても、責任の矛先は定まらない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 権限の主体 | 57条:都道府県知事・市町村長 | 56条:市町村長 79条:指定行政機関の長・都道府県知事・市町村長など |
| 発動場面 | 55条・56条の通知・警告等が緊急を要し、通信に特別の必要があるとき | 警報の伝達を受けたときや、災害発生のおそれを知ったとき 災害発生時、応急措置の実施に緊急かつ特別の必要があるとき |
| 内容 | 通信設備の優先利用・使用、放送局・ネット事業者への放送・情報提供の要請 | 住民等への警報伝達、必要な予防措置・避難準備の警告 応急措置のための通信設備の優先利用・使用 |
| 目的 | 警報を住民に届ける経路の確保 | 警報内容そのものの伝達と警告 救助・復旧などの応急措置の通信確保 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も災害時の警報伝達と通信の優先処理を法定するが、日本のように首長が放送局・ネット事業者へ要請する権限を一条で束ねる構造ではない
韓国は災害警報の発令とともに、放送事業者・通信事業者への伝達要請を規定しており、日本の57条と機能が近い
ドイツは連邦の民間防衛と州の災害対策が分かれ、Cell Broadcast による公衆警報を通信法側で整備している
米国は FCC 規則で放送局の緊急警報システム参加と携帯への無線緊急警報を制度化し、IPAWS で発信を統合している
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 深夜2時、川の水位が氾濫危険水位を超えた。防災行政無線は豪雨の音でかき消され、住民の半分は聞こえていない。市長に残された時間は30分。地元ラジオ局への放送要請とネット事業者への情報提供要請を同時にかけられるかどうかで、避難する世帯の数が変わる
- もし、自分の住む地区にだけ避難指示の通知が届かず、隣の地区の人は全員逃げていたとしたら、責任は誰が負う? 通信会社の不具合か、自治体の要請漏れか。伝達の経路を一つずつたどらないと、責任の所在は霧の中に消える
- 地方テレビ局の報道デスクとして、県から「この警告文をそのまま繰り返し流してほしい」と求められた。応じる義務はあるのか、文言を編集してよいのか。放送法108条の災害放送の努力義務と、放送の自律との間で判断を迫られる
- 防災アプリを運営するスタートアップに、ある日、市から情報提供の協力を求める連絡が来た。自社が政令の定める事業活動に該当するかどうかで、平時の体制整備の重みが変わる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 警報や避難情報が届かなかった、または遅れたと感じたら、受信端末の通知履歴と時刻をスクショで残す2. 同じ地区の住民の受信状況を聞き取り、記録しておく3. 市町村・都道府県に対し、伝達の記録(要請先、時刻、文面)の情報公開請求を行う4. 自治体の伝達判断に過失があり損害が生じた疑いがあれば、国家賠償法1条に基づく請求を弁護士と検討する。ただし伝達の判断には裁量が広く認められやすく、実務上ハードルは高い
訴えられた側:1. 放送局・通信事業者・ネット事業者として要請を受ける立場なら、平時に受付窓口と社内の判断手順を文書化しておく2. 要請を受けた時刻、内容、対応した措置をログで保存する3. 放送内容の編集判断は放送法上の自律の範囲で行い、その理由を記録に残す4. 自治体職員の立場なら、どの経路にいつ要請をかけたかを時系列で記録し、未送信の経路があればその理由も残す
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効や期限はない。伝達の失敗を理由とする国家賠償請求は、国家賠償法4条により民法の規定が適用され、損害および加害者を知った時から3年(生命・身体侵害は5年、民法724条、724条の2)、不法行為時から20年で消滅する(最新の改正状況をご確認ください)
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:災害対策基本法の制定により、警報等の伝達のための通信設備の優先利用等の規定として設けられた。その後の改正で放送要請・インターネット事業者への情報提供要請に関する文言が整備されている(改正年次は e-Gov の改正履歴で要確認)
- 災害対策基本法 第55条都道府県知事の通知等、本条の前提
- 災害対策基本法 第56条市町村長の警報伝達・警告、本条の前提
- 災害対策基本法 第79条応急措置時の通信設備優先利用
- 災害対策基本法 第60条市町村長の避難の指示
- 電気通信事業法 第8条非常時の重要通信の優先取扱い
- 放送法 第108条基幹放送事業者の災害放送努力義務
- 気象業務法 第15条気象庁による警報の通知経路
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