災害対策基本法 第56条(市町村長の警報の伝達及び警告)
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- 市町村長は、法令の規定により災害に関する予報若しくは警報の通知を受けたとき、自ら災害に関する予報若しくは警報を知つたとき、法令の規定により自ら災害に関する警報をしたとき、又は前条の通知を受けたときは、地域防災計画の定めるところにより、当該予報若しくは警報又は通知に係る事項を関係機関及び住民その他関係のある公私の団体に伝達しなければならない。この場合において、必要があると認めるときは、市町村長は、住民その他関係のある公私の団体に対し、予想される災害の事態及びこれに対してとるべき避難のための立退きの準備その他の措置について、必要な通知又は警告をすることができる。
- 2.市町村長は、前項の規定により必要な通知又は警告をするに当たつては、要配慮者に対して、その円滑かつ迅速な避難の確保が図られるよう必要な情報の提供その他の必要な配慮をするものとする。
この条文の基本情報
市町村長の警報の伝達及び警告とは何ですか?
定義市町村長の警報の伝達及び警告とは、災害対策基本法第56条に定められた規定で、「市町村長は、法令の規定により災害に関する予報若しくは警報の通知を受けたとき、自ら災害に関する予報若しくは警報を知つたとき、法令の規定により自ら災害に関する警報を…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第56条(市町村長の警報の伝達及び警告)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第56条の条文原文は「市町村長は、法令の規定により災害に関する予報若しくは警報の通知を受けたとき、自ら災害に関する予報若しくは警報を知つたとき、法令の規定により自ら災害に関する警報を…」で始まります。
- 災害対策基本法第56条は第二節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第56条の前の条は災害対策基本法第55条です。
- 災害対策基本法第56条の次の条は災害対策基本法第57条です。
- 災害対策基本法第56条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第56条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第56条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/56
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法56条は、市町村長に予報・警報を地域防災計画に従って住民や関係団体へ伝達する義務を課す。避難準備の通知・警告は市町村長の裁量で、要配慮者への配慮も求められる。
Q · 市町村は警報を住民に必ず知らせないといけないの?
伝達は義務、避難準備の警告は市町村長の裁量です
災害対策基本法56条1項前段により、市町村長は予報・警報の通知を受けたとき、地域防災計画に従って関係機関・住民・公私の団体へ伝達しなければなりません。一方、予想される事態や避難の立退き準備などに関する通知・警告は「できる」とされ、必要と認めるかどうかは市町村長の判断です。2項は、高齢者や障害のある人など要配慮者の円滑かつ迅速な避難のため、情報提供その他の配慮を求めています。
解説
避難指示より先に、もう一段階前の通知がある。災害対策基本法56条は、気象庁の警報などを受けた市町村長に、その内容を関係機関、住民、関係する公私の団体(会社、学校、介護施設、町内会など)へ伝える義務を課している。ここで二つのことを区別しておく必要がある。一つ目に、警報を伝えることは「しなければならない」と書かれた義務である。二つ目に、予想される事態や立退きの準備を住民に知らせる「通知又は警告」は「できる」と書かれた権限であり、出すかどうかは市町村長の判断に委ねられている。さらに2項は、高齢者や障害のある人などの要配慮者(避難に時間や支援が必要な人)に対して、情報提供その他の配慮をするよう求めている。内閣府の避難情報ガイドラインでは、警戒レベル3「高齢者等避難」がこの枠組みの中で運用されているとされる(最新のガイドラインをご確認ください)。つまりレベル3は「お年寄りだけの話」ではない。避難に時間がかかる人を支える側にとっての出発の合図である。逃げる時刻を決めるのは役所の発令ではなく、あなた自身の判断だ。
法的な位置づけ
災害対策基本法56条は、市町村長による予報・警報の伝達および警告を定める規定である。市町村長は法令に基づく予報・警報の通知等を受けたとき、地域防災計画に従い関係機関・住民・公私の団体へ伝達する義務を負い、必要と認めるときは避難の立退き準備等について通知・警告をすることができる。警告の際には要配慮者への必要な配慮が求められる。
手順
- 1.伝達ルートを地域防災計画で確認する 住んでいる市町村の地域防災計画を公式サイトで開き、警報や避難情報がどの手段(防災無線、緊急速報メール、登録制メール、町内会連絡網など)で伝わるかを確認する
- 2.家族全員分の受信手段を登録する 自分の住所だけでなく、離れて暮らす親の住所の防災メールにも登録する。スマホを持たない家族には、電話連絡を担当する人を決めておく
- 3.要配慮者の避難開始タイミングを決める 高齢者や障害のある家族、施設利用者について、警戒レベル3の時点で誰が迎えに行き、どこへ移動するかをあらかじめ決めておく。施設は避難確保計画の手順を確認する
- 4.受信した時刻と内容を記録する 警報や避難情報を受けたら、スクリーンショットや受信履歴を保存し、その後に取った行動を時系列でメモする。後の検証や責任の判断で重要な証拠になる
よくある質問 AI による整理
Q1災害対策基本法56条とは何ですか?
市町村長が受けた予報・警報を住民や関係機関に伝える義務と、避難準備などを呼びかける通知・警告の権限を定めた条文です。
Q2警報の伝達は誰の責任ですか?
住民への最終的な伝達は市町村長の責任です。気象庁から都道府県を経て市町村に届いた警報を、地域防災計画に従って住民へ伝えます。
Q3防災無線が聞こえない場合はどうすればいい?
自治体の登録制防災メール、緊急速報メール、防災アプリ、テレビのデータ放送など複数の手段を事前に確保しておくことが大切です。
Q4要配慮者とは誰のことですか?
高齢者、障害者、乳幼児その他の特に配慮を要する人を指します。56条2項は、こうした人の円滑・迅速な避難のための配慮を求めています。
Q5警戒レベル3で何をすればいい?
高齢者や障害のある人などは避難を始め、支援者は迎えや移動の準備に入ります。その他の人も避難準備を進め、危険な場所では自主避難を検討します。
Q6市町村が警告を出さなかったら違法?
警告は「できる」とされた裁量のため、出さなかっただけで直ちに違法とはなりません。違法と認められるのは裁量の逸脱が明らかな場合に限られます。
Q7地域防災計画はどこで見られますか?
多くの市町村が公式サイトで公開しています。見当たらない場合は防災担当課で閲覧するか、情報公開請求で入手できます。
Q8介護施設は警報を受けたら何をすべき?
浸水想定区域等の施設は避難確保計画を作る義務があり、伝達された情報を合図に計画どおり利用者の避難を開始します。
この条文についての質問 AI による整理
Q1レベル3が出たけど、元気な大人の自分も逃げなきゃいけないの?
レベル3は主に、避難に時間のかかる要配慮者とその支援者に向けた情報である(災対法56条2項の配慮の枠組み)。健康な大人でも、避難の準備を始め、危険な場所にいる人は自主的に避難する段階とされる。実務のポイント:レベル3の時点で家族や親族の要配慮者を迎えに行く人が多いほど、レベル4のときの渋滞と混乱が減る。支える側が動き出す合図として受け止めるとよい
Q2市が警報を伝えてくれなかったせいで被害に遭ったら、市を訴えられますか?
警報の伝達は56条1項の義務なので、怠った場合は国家賠償法1条の責任が問題になりうる。一方で、立退き準備などの警告は「できる」と書かれた裁量であり、出さなかったことが違法とされるのは限られた場合で、判断も分かれている。実務のポイント:勝敗を分けるのは、地域防災計画にどう書かれていたかと、当日の通信記録である。訴える前にまず情報公開請求で計画と記録を手に入れるのが定石だ
間違えやすい点 AI による整理
- 「避難指示が出るまでは動かなくていい」と考えがちだが、それでは前提がずれている。56条の通知・警告は、避難指示(60条)よりも手前の段階で出される情報だ。要配慮者やその支援者にとっては、レベル3の時点がすでに出発の合図である。指示を待つという発想のままでは間に合わない
- 警報の伝達が市町村長の義務であることは知られている。しかし、立退きの準備などの「通知又は警告」は法文上「できる」とされた裁量であり、出されなかったからといって直ちに違法になるわけではない。この点はあまり知られていない。役所が言ってくれるはずだという期待と、法律が実際に保障している範囲との間には、思った以上に大きな差がある
- 住民から見れば、警告は「行政の命令」に見える。だが法的に見ると、警告に強制力はなく、従わなくても罰則はない。強制力がないからこそ、逃げ遅れの結果はほぼすべて本人や家族、施設、雇用主の責任として扱われることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 主体と相手方 | 56条:市町村長 → 関係機関・住民・公私の団体 | 55条:都道府県知事 → 市町村長等 60条:市町村長 → 住民等(避難指示) |
| 法的性質 | 伝達は義務、通知・警告は裁量 | 通知の義務 避難の指示(強い呼びかけ) |
| 段階 | 避難指示より手前の情報提供・準備の呼びかけ | 市町村へ届くまでの中継段階 危険が迫った段階での立退きの指示 |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾も中央の警報を地方政府が住民へ伝達し、避難を勧告・指示する枠組みを持つ
ドイツでは住民への警報は連邦と州の分担で、災害保護は主に州法が規律する
米国は連邦の統合警報システムを通じ、州・地方政府が携帯電話や放送で警報を配信する
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 市の防災無線が大雨でかき消され、何を言っているのか分からなかった。そのとき、別の手段で伝わる仕組みはあったのか?伝達の方法は地域防災計画で決められているので、緊急速報メール、登録制メール、アプリのどれで届くかは事前に確認できる
- あなたは小規模なグループホームの施設長だ。夕方4時に警戒レベル3が出た。利用者9人を車いすで移動させるには2時間かかり、日没まで残りは90分しかない。避難確保計画に書いた手順を今すぐ動かすかどうか、判断するのはあなた自身である
- 実家の母が一人暮らしで、スマホを持っていない。警報は町内会や民生委員を経由して届くはずだが、その連絡網が誰につながっているのか、家族の誰も知らない
- 市の防災担当職員として、深夜2時に気象台から土砂災害警戒情報の通知を受けた。伝達は義務であり、避難準備を促す警告を出すかどうかは市長の判断に委ねられている。この先30分の記録と判断の過程が、後に検証の対象となる
- 会社の工場が浸水想定区域にある。市から警報の伝達を受けたのに夜勤シフトをそのまま続け、従業員が負傷した。行政から伝達を受けていたという事実は、会社の安全配慮義務の判断で不利な材料として使われうる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 警報や避難情報がいつ、どの手段で届いたか(あるいは届かなかったか)を、受信履歴、録画、近隣住民の証言で保存する2. 市の地域防災計画で定められた伝達方法と実際の運用を、情報公開請求で入手する3. 伝達義務が怠られたと考えられる場合は、国家賠償法1条に基づく請求を検討する。ただし、警告を出すかどうかは裁量なので、違法と認められるハードルは高い。この点は実務上も判断が分かれる4. 弁護士会の災害関連の相談窓口を利用する
訴えられた側:1. 市町村職員の場合は、警報を受けた時刻、伝達の手段と時刻、警告を出すかどうかの判断理由を時系列で記録に残す2. 地域防災計画どおりに伝達したかを確認する。計画に従っていたことは重要な防御材料になる3. 施設や企業の側として責任を問われた場合は、伝達を受けた後にどのような措置を取ったか、避難確保計画の実施記録をそろえる4. 早い段階で弁護士に相談し、記録の改変を疑われないよう原本を保全する
時効(請求できる期限):本条そのものに特定の期限は定められていない。国家賠償請求をする場合は国家賠償法4条により民法が適用され、損害と加害者を知った時から3年(生命・身体の侵害は5年、民法724条、724条の2)、不法行為の時から20年で請求できなくなる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:1項前段の伝達は「しなければならない」とされる義務、後段の通知・警告は「できる」とされる裁量と区別される。警告不行使の違法性は、規制権限不行使に関する一般的な国家賠償法上の枠組みで判断されると考えられる
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:伊勢湾台風を契機に災害対策基本法が制定され、市町村長による警報の伝達等の規定が設けられた
- 災害対策基本法 第55条都道府県知事から市町村長への通知
- 災害対策基本法 第54条異常現象の発見者による通報義務
- 災害対策基本法 第57条警報伝達のための通信設備の優先利用
- 災害対策基本法 第60条市町村長による避難の指示
- 災害対策基本法 第49条の10避難行動要支援者名簿の作成義務
- 気象業務法 第15条気象庁の警報を関係機関へ通知する経路
- 国家賠償法 第1条伝達を怠った場合の賠償責任
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