災害対策基本法 第62条(市町村の応急措置)
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- 市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、消防、水防、救助その他災害の発生を防禦し、又は災害の拡大を防止するために必要な応急措置(以下「応急措置」という。)をすみやかに実施しなければならない。
- 2.市町村の委員会又は委員、市町村の区域内の公共的団体及び防災上重要な施設の管理者その他法令の規定により応急措置の実施の責任を有する者は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、地域防災計画の定めるところにより、市町村長の所轄の下にその所掌事務若しくは所掌業務に係る応急措置を実施し、又は市町村長の実施する応急措置に協力しなければならない。
この条文の基本情報
市町村の応急措置とは何ですか?
定義市町村の応急措置とは、災害対策基本法第62条に定められた規定で、「市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、消防、水防、救助その他災害の発生…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第62条(市町村の応急措置)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第62条の条文原文は「市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしているときは、法令又は地域防災計画の定めるところにより、消防、水防、救助その他災害の発生…」で始まります。
- 災害対策基本法第62条は第四節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第62条の前の条は災害対策基本法第61条の8です。
- 災害対策基本法第62条の次の条は災害対策基本法第63条です。
- 災害対策基本法第62条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第62条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第62条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/62
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法62条は、災害が発生し又はまさに発生しようとしているとき、市町村長に消防・水防・救助などの応急措置を地域防災計画に基づき速やかに実施する義務を課す。
Q · 災害が起きそうなとき、避難所を開いたり救助を始めたりする法律上の責任者は誰?
第一の責任者は市町村長で、地域防災計画に沿って動く
災害対策基本法62条1項により、災害が発生し、又はまさに発生しようとしているとき、市町村長は消防・水防・救助などの応急措置をすみやかに実施しなければなりません。中身は法令と地域防災計画で決まります。同条2項により、教育委員会、公共的団体、防災上重要な施設の管理者なども、市町村長の所轄の下で応急措置を実施し、又は協力する義務を負います。都道府県や国は、応援要求などを通じて後から加わる立場です。
解説
大雨特別警報が出た夜、法律が名指しで「すぐ動け」と義務を課している相手は、首相でも知事でもない。あなたの住む市町村の長である。災害対策基本法62条1項は、災害が発生したとき、または「まさに発生しようとしている」段階で、市町村長に消防・水防・救助などの応急措置(被害を食い止め、広がりを防ぐためのその場の対応)を「すみやかに」実施するよう義務付けている。ポイントは二つある。第一に、義務が生じるのは被害が出た後ではなく、発生直前の段階からである。第二に、2項によって教育委員会、農協や社会福祉協議会などの公共的団体、地域防災計画に「防災上重要な施設」として書かれた病院や福祉施設の管理者まで、市町村長の指揮のもとで動く義務を負う。つまり、災害時に誰が何をするかの設計図は国の法律ではなく、市町村の「地域防災計画」に書かれている。その計画を一度でも開いたことがある住民はごく少ない。開いた人だけが、避難所がどこに開かれるのか、自分の勤め先が何を求められているのかを、災害が来る前に知っている。
法的な位置づけ
災害対策基本法62条は、市町村長の応急措置実施義務を定める規定である。災害が発生し、又はまさに発生しようとしている段階で、市町村長は法令又は地域防災計画に基づき、消防、水防、救助その他災害の発生防禦・拡大防止に必要な措置をすみやかに実施しなければならない。2項は市町村の委員会、公共的団体、防災上重要な施設の管理者等に、市町村長の所轄の下での実施・協力義務を課す。
手順
- 1.地域防災計画で自分の立場を確認 市町村の公式サイトで地域防災計画を開き、自分の施設・団体が「防災上重要な施設」や協力機関として記載されているか、担う応急措置の内容は何かを確認する
- 2.防災協定の有無と中身を点検 市町村と結んだ防災協定・福祉避難所協定があるかを確認する。受け入れ人数の上限、費用負担、連絡体制、職員の安全確保が書かれているかを見て、足りなければ平時に見直しを申し入れる
- 3.連絡体制と内部マニュアルを整備 市町村災害対策本部との連絡窓口、夜間・休日の連絡先、施設内の指揮命令系統を一覧にまとめる。地域防災計画の役割と内部マニュアルの記載を突き合わせ、食い違いをなくす
- 4.発災時は対応記録を残す 協力要請を受けた時刻、内容、対応できた範囲、できなかった理由を時系列で書面に残す。後に費用精算や責任の所在が問題になったときの根拠になる
よくある質問 AI による整理
Q1災害対策基本法62条とは?
市町村長に、災害の発生時や発生直前から、消防・水防・救助などの応急措置をすみやかに実施する義務を課す条文です。2項では関係機関の協力義務も定めています。
Q2応急措置とは何ですか?
災害の発生を防いだり、被害の拡大を食い止めたりするためにその場で行う対応です。消防、水防、救助などが典型例で、62条1項で定義されています。
Q3避難所は誰が開設するの?
原則として市町村が開設します。応急措置の第一責任者は市町村長で、どの施設をいつ開くかは地域防災計画と、災害救助法に基づく救助の枠組みで決まります。
Q4防災上重要な施設とは?
地域防災計画で指定された病院、福祉施設、学校などの施設を指します。その管理者は62条2項により、市町村長の所轄の下で応急措置を実施し、又は協力する義務を負います。
Q5市町村長の応急措置義務はいつから発生する?
災害が発生したときだけでなく、「まさに発生しようとしているとき」から発生します。被害が出る前の、差し迫った段階から動くことが求められています。
Q662条に違反した場合の罰則はある?
62条そのものに罰則規定は置かれていません。ただし対応の不備は、国家賠償法1条に基づく損害賠償請求の場面で違法かどうかが問われることがあります。
Q7地域防災計画はどこで見られる?
多くの市町村が公式サイトで公開しています。役所の防災担当課でも閲覧できます。指定避難所や要配慮者の支援体制を確かめるときの基本資料です。
Q8教育委員会も災害対応の義務がある?
あります。62条2項の「市町村の委員会」に教育委員会が含まれ、市町村長の所轄の下で、学校の避難所利用などの応急措置を実施し、又は協力する義務を負います。
この条文についての質問 AI による整理
Q1避難指示が遅れて家が浸水したら、役所に賠償を請求できますか?
国家賠償法1条に基づく請求の道はあるが、ハードルは高い。避難情報の発令(災害対策基本法60条)や応急措置(62条)には市町村長の広い裁量が認められ、判断が著しく合理性を欠いた場合でなければ違法とされにくい。実務のポイント:勝敗を分けるのは、市町村が事前にどんな情報を持っていたかという記録である。水位観測データや気象台との連絡記録は情報公開請求で入手できることがあり、訴訟の前にまずそこから始める
Q2うちの介護施設、町から避難者の受け入れを頼まれたら断れないんですか?
地域防災計画で「防災上重要な施設」とされていれば、62条2項により応急措置に協力する義務を負う。ただし本条には罰則がなく、協力の範囲は計画や防災協定の中身で決まる。実務のポイント:福祉避難所の協定には、受け入れ人数の上限や、費用を災害救助法の枠組みで精算する条項を入れる余地がある。協定書のひな型をそのまま使わず、施設の実情に合わせて書き換える交渉は平時にしかできない
Q3町長が被災して役場ごと機能しなくなったら、誰が指揮するんですか?
市町村がその全部または大部分の事務を行えなくなった場合、都道府県知事が市町村長に代わって一定の応急措置を実施する仕組みがある(災害対策基本法73条)。東日本大震災で役場庁舎そのものが被災した経験を踏まえて整えられた仕組みである。実務のポイント:多くの市町村は業務継続計画(BCP)で首長の職務代理の順位を定めている。自分の町の BCP に代理順位と代替庁舎が書かれているかで、発災直後の空白時間が変わる
間違えやすい点 AI による整理
- 「大災害なら国や自衛隊が助けに来る」と考えがちだが、法律の組み立ては逆である。最初の責任者は市町村長で、都道府県知事や自衛隊は応援要求(同法68条)や災害派遣要請を受けて加わる二番手、三番手である。最初の数時間から数日は、市町村の判断と体制がほぼすべてを決める
- 市町村長に応急措置の義務があることは知っていても、その義務の中身が「法令又は地域防災計画の定めるところにより」と計画に丸ごと委ねられていることを知る人は少ない。計画に書かれていない対応は、現場でも後回しになりやすい。計画の質が、そのまま住民の安全の上限になる
- 住民から見れば「役所がちゃんとやってくれなかった」で終わる話でも、法律の目線では、市町村長の対応が違法だったかどうかを国家賠償訴訟で争うとき、大きな裁量(その場の判断の幅)が認められる。「対応が遅かった」だけでは賠償に届かない。この落差を知らずに、事後の責任追及を頼みにして事前の自助を怠るのが、いちばん危ない
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する行為 | 62条:消防・水防・救助などの応急措置の実施 | 60条:住民への避難指示等の発令 73条:知事による応急措置の代行 |
| 主体 | 市町村長(2項で委員会・公共的団体・重要施設管理者等) | 市町村長 都道府県知事 |
| 発動のタイミング | 災害が発生し、又はまさに発生しようとしているとき | 災害が発生し、又は発生するおそれがある場合で、住民の生命・身体を保護する必要があるとき 市町村がその全部又は大部分の事務を行えなくなったとき |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も各級政府に災害応変措置の実施を義務付けるが、中央・直轄市・県市・郷鎮市の各層が権限に応じて実施する構造で、日本ほど市町村長への一次責任の集中は明示されていない
韓国も市長・郡守・区庁長に応急措置の実施義務を課し、基礎自治体を第一線とする点で日本と近い
ドイツでは災害対策は州の権限で、郡・郡独立市が下級災害対策官庁として現場対応を担う
米国は州・地方政府が一次対応し、連邦は大統領の災害宣言を経て支援する多層構造をとる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 線状降水帯の予報が出た午後、役場からはまだ何の放送もない。もし市町村長が「様子見」を続けて避難所の開設が遅れたら、その判断は誰がどう問えるのか? 62条は「まさに発生しようとしているとき」から義務が生じると定めている。発生してから動くのでは遅いと、法律の側は最初から想定している
- あなたは地域防災計画で「防災上重要な施設」に指定された特別養護老人ホームの施設長。台風接近で町から入所者の受け入れ協力を求められたが、職員が足りない。2項によって協力義務があるのはあなたの施設である。断る前に、計画にどう書かれているかを確かめる必要がある
- 残り3時間で川の水位が氾濫危険水位に届く。町内会長のあなたのもとに、高齢の一人暮らし世帯をどうするかという問い合わせが殺到している。町が作った要支援者名簿の共有範囲と、自主防災組織の役割分担を今すぐ確かめなければならない
- 地震で校舎が無事だった小学校が、翌朝には避難所になっていた。校長の判断ではない。教育委員会は「市町村の委員会」として、市町村長の所轄の下で応急措置に協力する義務を負っている
- 大型商業施設の店長が、豪雨の夜に帰宅困難者を何人まで受け入れるべきか迷っている。答えはその店と市町村が結んだ防災協定と地域防災計画の中にあり、本社のマニュアルにはない
取るべき行動
被害を受けた側:1. 平時のうちに、自分の市町村の地域防災計画とハザードマップで指定避難所・指定緊急避難場所・要配慮者支援の仕組みを確かめておく2. 被災後は、市町村が行った応急措置の時刻や内容(避難情報の発令時刻、避難所開設の時刻)を、防災無線、公式 SNS、防災メールの画面保存で記録する3. 対応の遅れで損害が出たと考えるなら、国家賠償法1条に基づく請求を弁護士と検討する。ただし市町村長の裁量は広く認められるので、記録の積み上げがすべてになる4. 生活再建の手続はり災証明書の申請から始まるため、被害箇所の写真を片付けの前に撮っておく
訴えられた側:1. 施設管理者や公共的団体の担当者なら、まず地域防災計画で自分の組織がどう位置付けられているかを確かめる2. 市町村との防災協定の有無と、その中身(受け入れ範囲、費用負担、連絡体制)を確かめ、ない場合は平時に締結を申し入れる3. 本条違反そのものに罰則規定は置かれていないが、協力を拒んだ経緯は、後の国家賠償や民事上の責任の議論で不利な事情になりうる。協力できない理由は書面で残す4. 水害や土砂災害の想定区域にある要配慮者利用施設なら、避難確保計画の作成と訓練の義務(水防法15条の3など)もあわせて点検する
時効(請求できる期限):本条自体に特定の時効はない。応急措置の不備を理由に国家賠償を請求する場合は、国家賠償法4条により民法が適用され、損害と加害者を知った時から3年(人の生命または身体を害した場合は5年、民法724条、724条の2)、不法行為の時から20年で請求権が消滅する
改正沿革 AI による整理
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:伊勢湾台風の被害を受けて災害対策基本法が制定され、市町村長の応急措置実施義務を定める本条が置かれた
- 災害対策基本法 第5条市町村の防災に関する責務の総則
- 災害対策基本法 第60条市町村長による避難の指示等
- 災害対策基本法 第63条警戒区域の設定と立入制限
- 災害対策基本法 第65条住民等を応急措置に従事させる権限
- 災害対策基本法 第73条知事による市町村長の応急措置の代行
- 消防組織法 第6条市町村の消防責任を定める個別法
- 水防法 第3条市町村の水防責任を定める個別法
- 国家賠償法 第1条応急措置の不備に対する賠償責任
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