災害対策基本法 第63条(市町村長の警戒区域設定権等)
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- 災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域への立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずることができる。
- 2.前項の場合において、市町村長若しくはその委任を受けて同項に規定する市町村長の職権を行なう市町村の職員が現場にいないとき、又はこれらの者から要求があつたときは、警察官又は海上保安官は、同項に規定する市町村長の職権を行なうことができる。この場合において、同項に規定する市町村長の職権を行なつたときは、警察官又は海上保安官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
- 3.第一項の規定は、市町村長その他同項に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、自衛隊法(昭和二十九年法律第百六十五号)第八十三条第二項の規定により派遣を命ぜられた同法第八条に規定する部隊等の自衛官(以下「災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官」という。)の職務の執行について準用する。この場合において、第一項に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
- 4.第六十一条の二の規定は、第一項の規定により警戒区域を設定しようとする場合について準用する。
この条文の基本情報
市町村長の警戒区域設定権等とは何ですか?
定義市町村長の警戒区域設定権等とは、災害対策基本法第63条に定められた規定で、「災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第63条(市町村長の警戒区域設定権等)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第63条の条文原文は「災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、人の生命又は身体に対する危険を防止するため特に必要があると認めるときは、市町村長は、警戒区域を設定し、…」で始まります。
- 災害対策基本法第63条は第四節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第63条の前の条は災害対策基本法第62条です。
- 災害対策基本法第63条の次の条は災害対策基本法第64条です。
- 災害対策基本法第63条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第63条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第63条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/63
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法63条は、災害の発生時またはその直前に、市町村長が警戒区域を設定し、応急対策従事者以外の者の立入りを制限・禁止し、退去を命じられると定める。違反は罰則の対象となる。
Q · 警戒区域になった自分の家に、所有者なら入ってもいいの?
入れません。所有者でも立入禁止に違反すれば罰則の対象です
災害対策基本法63条1項により、市町村長は警戒区域を設定し、「災害応急対策に従事する者以外の者」の立入りを制限・禁止し、退去を命ずることができます。対象に所有者・居住者の区別はありません。違反すると同法116条により10万円以下の罰金または拘留の対象になりえます。荷物やペットが残っている場合は、市町村の災害対策本部に一時立入りを申し出るのが正規ルートです。
解説
「避難指示」と「警戒区域」は、ニュースでは同じような言葉として流れる。だが法的にはまったくの別物である。災害対策基本法60条の避難指示に従わなくても、罰則はない。ところが本条で市町村長が警戒区域を設定すると、立入りの制限・禁止や退去命令(役所があなた個人に直接出す、従わなければ罰則がつく命令)が可能になる。従わない者には116条により10万円以下の罰金または拘留が科されうる(最新の改正状況をご確認ください)。しかも発動のタイミングは災害が「まさに発生しようとしている」段階から認められる。現場に市町村職員がいなければ、警察官や海上保安官が代わりに権限を行使できる。どちらもいない場合に限り、災害派遣された自衛官も行使できる。つまり、あなたの自宅の前にロープを張って「入るな」と言える人間は、思っているより多い。自分の家だから戻る権利がある、という感覚は、この区域の中では法的に通用しない
法的な位置づけ
災害対策基本法63条は、市町村長の警戒区域設定権を定める規定である。災害の発生時又は発生直前に、人の生命・身体への危険を防止するため特に必要がある場合、市町村長は警戒区域を設定し、災害応急対策従事者以外の者の立入制限・禁止及び退去命令を行うことができる。市町村長等が現場にいないときは警察官・海上保安官が、それも不在のときは災害派遣を命ぜられた自衛官が職権を行使し、市町村長へ直ちに通知する。
手順
- 1.出ている措置が避難指示か警戒区域かを確認 防災無線、自治体サイト、防災アプリで、発令されたのが60条の避難指示か、63条の警戒区域設定かを確認する。警戒区域なら立入り自体が罰則つきで禁止されうる
- 2.区域の告知・範囲図を保存 設定日時と範囲を示す自治体の公表資料をスクリーンショット等で保存し、自宅・店舗の位置との関係を記録する。後日の保険請求や支援金申請の証拠になる
- 3.一時立入りを災害対策本部へ申し出る 区域内にペット・薬・重要書類などが残っている場合、ロープを越えずに市町村の災害対策本部へ一時立入りを申し出る。目的・場所・必要時間を具体的に伝える
- 4.長期化した場合は回収ルートと不服申立てを検討 営業停止等が長引くときは、保険・自治体支援金・税の減免・災害融資を並行して申請する。設定が過大と考える場合は、処分性に争いがある点も含め弁護士に審査請求等の可否を相談する
よくある質問 AI による整理
Q1警戒区域とは何ですか?
災害対策基本法63条に基づき市町村長が設定する区域で、災害応急対策従事者以外の立入りを制限・禁止し、退去を命じることができます。
Q2警戒区域は誰が設定できますか?
原則は市町村長です。現場に市町村長や委任を受けた職員がいないときは警察官・海上保安官が、それも不在なら災害派遣の自衛官が職権を行使できます。
Q3警戒区域に入ったら罰金はいくら?
災害対策基本法116条により、10万円以下の罰金または拘留の対象になりえます。最新の改正状況は e-Gov 法令検索で確認してください。
Q4警戒区域はいつまで続きますか?
法律に期間の定めはなく、危険が去ったと市町村長が判断して解除するまで続きます。長期化した例として、原発事故や火山噴火の際の設定があります。
Q5警戒区域に報道陣は入れますか?
例外は「災害応急対策に従事する者」に限られるため、報道関係者であることだけでは立入りは認められません。取材は自治体の許可や同行の枠組みで行われます。
Q6警察官に退去を命じられたら従う必要はある?
あります。市町村長等が現場にいないときは、警察官は市町村長の職権そのものを代わりに行使できるため、市長の命令と同じ扱いになります(63条2項)。
Q7自衛隊が警戒区域を設定できるのはどんなとき?
災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、市町村長や警察官など職権を行える者がその場にいない場合に限り、本条の措置をとれます(63条3項)。
Q8警戒区域の一時立入りはどうすれば認められる?
市町村の災害対策本部に申し出るのが基本です。安全が確認された時間帯に、職員や警察の同行つきで短時間の立入りが認められることがあります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1警戒区域になった自分の家に、こっそり荷物だけ取りに行ったらどうなるんですか?
市町村長などが行う立入禁止に従わなかった者として、災害対策基本法116条により10万円以下の罰金または拘留の対象になりえます(最新の改正状況をご確認ください)。自宅の所有者であっても例外にはなりません。実務のポイント:同じ荷物でも、市町村の対策本部に申し出れば、安全が確認できた時間帯に職員や警察の同行つきで一時立入りが認められることがあります。突破するより、申請した方が早いことも多い
Q2避難指示が出ていたのに家に残ったら、罰金を取られますか?
避難指示(災害対策基本法60条)に従わなかったこと自体には、罰則はありません。罰則があるのは、本条63条の警戒区域内での立入禁止・退去命令に違反した場合です(116条)。実務のポイント:自治体が警戒区域の設定に慎重なのは、罰則つきの強い措置であるうえ、住民の生活への影響が大きいからです。逆に言えば、警戒区域が出たというのは、行政が「本当に危ない」と判断した強いシグナルです
Q3警戒区域のせいで何か月も店を開けられませんでした。市に損失を補償してもらえますか?
災害対策基本法82条は、64条の工作物の使用・収用などについて損失補償を定めていますが、63条の立入制限はその列挙に含まれていません。そのため、本条に基づく制限だけを理由に補償を受けるのは難しいのが実情です。実務のポイント:現実の回収ルートは、事業用の保険、自治体独自の支援金、税の減免や猶予、政府系金融機関の災害融資です。区域設定の期間を示す公的資料が、これらすべての申請で証拠になります
間違えやすい点 AI による整理
- 「避難指示も警戒区域も、要は同じ避難命令でしょう」と思われがちだが、法的な強さが一段違う。避難指示(60条)には罰則がない。警戒区域内での立入禁止・退去命令に違反すると、116条により10万円以下の罰金または拘留の対象になりうる。報道や防災無線でどちらの言葉が使われたかを聞き分けることが、最初の判断材料になる
- 所有者なのだから自分の家には戻れる、という前提自体が誤っている。本条は所有者・居住者を区別せず、「災害応急対策に従事する者以外の者」すべてを対象にしている。所有権(憲法29条)や居住・移転の自由(憲法22条)は、人命に対する危険を防ぐための制約に服する。区域内では、権利の持ち主かどうかではなく、応急対策に携わる者かどうかが問われる
- あなたから見れば、ロープの前に立つ警察官は「現場の判断で通せんぼしている人」に見える。しかし法律の上では、市町村長の職権そのものを代わりに行使している人だ(本条2項)。現場の警察官と押し問答をしても、市長と言い争っているのと法的には変わらない。この落差に気付かないまま強行突破すると、罰則のラインを踏み越えることになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 措置の内容 | 63条:警戒区域の設定、立入制限・禁止、退去命令 | 60条:避難指示(立退きの指示) 73条:市町村が機能しないときの知事による代行 |
| 権限者 | 市町村長(不在時は警察官・海上保安官、さらに不在なら災害派遣の自衛官) | 市町村長 都道府県知事 |
| 違反への罰則 | あり(116条、10万円以下の罰金または拘留) | なし 代行された措置の性質による |
| 所有者・居住者への効果 | 所有者でも応急対策従事者でなければ立入り不可 | 従うかは住民の判断に委ねられる 市町村長が行う場合と同様の効果 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾も各級政府が警戒区域を劃定し、立入制限・禁止や退去を命じられる。違反には罰鍰が科される点で日本と類似する。
韓国は「危険区域」の設定として市長・郡守・区庁長が立入制限・退去命令をでき、構造は日本法に近い。
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 台風が直撃する前夜、河川の堤防決壊が迫り、市が警戒区域を設定した。あなたは飼い猫を置いてきたことに気付く。区域の入口には警察官が立っている。ここで突破すれば、あなたは罰則の対象になる。猫の救出は、市役所に一時立入りを申し出るのが正規ルートだ
- 火山の噴火警戒レベルが上がり、登山口一帯が警戒区域になった。それでもあなたは「もう少し近くで撮りたい」と立入禁止のロープを越えた。報道関係者であっても、災害応急対策に従事する者でない限り例外にはならない
- もし土砂崩れの現場に市の職員が誰もおらず、警察官があなたに退去を命じたら、従う必要はあるのか? 本条2項により、警察官は市町村長の職権を代わりに行使できる。従わなければ、市長が直接命じた場合と同じ扱いになる
- 原発事故や大規模噴火で警戒区域が長期間続き、あなたの店舗は区域内にある。営業できない日が何か月も続く。あと数日で家賃の支払い期限が来るのに、区域の解除はまだ見えない。立入制限そのものに対する補償規定は本法に明記されておらず、損失をどこで回収するかは別のルートを探すしかない
- 被災地に行った自衛隊の部隊が、立入りを制限するロープを張った。現場には市職員も警察官もいない。この措置は、適法な権限の行使である
取るべき行動
被害を受けた側:1. 防災無線、自治体サイト、防災アプリで、出ているのが避難指示(60条)か警戒区域(本条)かを確認する2. 区域内にペット、薬、重要書類などを残してきた場合は、突破せずに市町村の災害対策本部へ一時立入りを申し出る3. 区域設定の告知や範囲図をスクショで保存し、店舗・住宅の被害状況と合わせて記録しておく4. 区域設定が明らかに過大で長期化している場合は、行政処分性について解釈が分かれる点も含め、弁護士に審査請求・取消訴訟の可否を相談する
訴えられた側:1. 立入りや退去拒否で注意を受けたら、まずその場で従い、言い争わない。現場の警察官は市町村長の職権を代行していることがある2. 違反を問われた場合は、区域の範囲が適法に告知されていたか、自分が「災害応急対策に従事する者」に当たらなかったかを確認する3. 退去できなかった事情(要介護者の救出など)があれば、その事実を記録しておく4. 取調べの前に弁護士へ相談し、罰金か拘留かの見通しを確認する
時効(請求できる期限):違反に対する罰則(116条、10万円以下の罰金または拘留)の公訴時効は3年(刑事訴訟法250条2項6号)。区域設定・退去命令を行政処分として争う場合、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内(行政不服審査法18条)、取消訴訟は6か月以内(行政事件訴訟法14条)。ただし警戒区域設定の処分性については、実務上、解釈が分かれている
学説
処分性をめぐる見解の対立:警戒区域の設定が抗告訴訟の対象となる行政処分に当たるかについては、不特定多数に向けた一般的措置とみる見解と、区域内の者に直接の義務を課す処分とみる見解があり、実務上も解釈が分かれている。
避難指示との区別:避難指示は住民の自主的な立退きを促す措置にとどまる一方、警戒区域は罰則で担保された強制的規制であり、両者は法的性質を異にするとの理解が一般的である。
改正沿革 AI による整理
- 昭和36年(1961年) 災害対策基本法の制定とともに、市町村長の警戒区域設定権と警察官等による代行が置かれた(要検証)
- 平成7年(1995年) 阪神・淡路大震災を受けた改正で、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官による職権行使(現3項)が追加されたとされる(改正年・内容は要検証)
- 平成25年(2013年)前後 東日本大震災後の改正で、61条の2(指定行政機関の長等への助言要求)の準用規定が設けられたとみられる(改正年・内容は要検証)
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:災害対策基本法の制定に伴い、市町村長の警戒区域設定権と警察官等による職権行使が規定された。
- 災害対策基本法 第60条罰則のない避難指示との対比
- 災害対策基本法 第61条の2警戒区域設定時の指定行政機関等への助言要求
- 災害対策基本法 第73条市町村の機能喪失時の知事による代行
- 災害対策基本法 第116条警戒区域内の禁止等違反への罰則
- 災害対策基本法 第82条損失補償の対象(本条は列挙外)
- 原子力災害対策特別措置法 第28条原子力災害時に本条を読み替えて適用
- 警察官職務執行法 第4条危険時の避難等の措置という一般的権限
- 自衛隊法 第83条本条3項の前提となる災害派遣
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