災害対策基本法 第64条(応急公用負担等)
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- 市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めるところにより、当該市町村の区域内の他人の土地、建物その他の工作物を一時使用し、又は土石、竹木その他の物件を使用し、若しくは収用することができる。
- 2.市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、現場の災害を受けた工作物又は物件で当該応急措置の実施の支障となるもの(以下この条において「工作物等」という。)の除去その他必要な措置をとることができる。この場合において、工作物等を除去したときは、市町村長は、当該工作物等を保管しなければならない。
- 3.市町村長は、前項後段の規定により工作物等を保管したときは、当該工作物等の占有者、所有者その他当該工作物等について権原を有する者(以下この条において「占有者等」という。)に対し当該工作物等を返還するため、政令で定めるところにより、政令で定める事項を公示しなければならない。
- 4.市町村長は、第二項後段の規定により保管した工作物等が滅失し、若しくは破損するおそれがあるとき、又はその保管に不相当な費用若しくは手数を要するときは、政令で定めるところにより、当該工作物等を売却し、その売却した代金を保管することができる。
- 5.前三項に規定する工作物等の保管、売却、公示等に要した費用は、当該工作物等の返還を受けるべき占有者等の負担とし、その費用の徴収については、行政代執行法(昭和二十三年法律第四十三号)第五条及び第六条の規定を準用する。
- 6.第三項に規定する公示の日から起算して六月を経過してもなお第二項後段の規定により保管した工作物等(第四項の規定により売却した代金を含む。以下この項において同じ。)を返還することができないときは、当該工作物等の所有権は、当該市町村長の統轄する市町村に帰属する。
- 7.前条第二項の規定は、第一項及び第二項前段の場合について準用する。
- 8.第一項及び第二項前段の規定は、市町村長その他第一項又は第二項前段に規定する市町村長の職権を行うことができる者がその場にいない場合に限り、災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官の職務の執行について準用する。この場合において、第一項又は第二項前段に規定する措置をとつたときは、当該災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、直ちに、その旨を市町村長に通知しなければならない。
- 9.警察官、海上保安官又は災害派遣を命ぜられた部隊等の自衛官は、第七項において準用する前条第二項又は前項において準用する第二項前段の規定により工作物等を除去したときは、当該工作物等を当該工作物等が設置されていた場所を管轄する警察署長等又は内閣府令で定める自衛隊法第八条に規定する部隊等の長(以下この条において「自衛隊の部隊等の長」という。)に差し出さなければならない。この場合において、警察署長等又は自衛隊の部隊等の長は、当該工作物等を保管しなければならない。
- 10.前項の規定により警察署長等又は自衛隊の部隊等の長が行う工作物等の保管については、第三項から第六項までの規定の例によるものとする。ただし、第三項の規定の例により公示した日から起算して六月を経過してもなお返還することができない工作物等の所有権は、警察署長が保管する工作物等にあつては当該警察署の属する都道府県に、政令で定める管区海上保安本部の事務所の長又は自衛隊の部隊等の長が保管する工作物等にあつては国に、それぞれ帰属するものとする。
この条文の基本情報
応急公用負担等とは何ですか?
定義応急公用負担等とは、災害対策基本法第64条に定められた規定で、「市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めると…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第64条(応急公用負担等)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第64条の条文原文は「市町村長は、当該市町村の地域に係る災害が発生し、又はまさに発生しようとしている場合において、応急措置を実施するため緊急の必要があると認めるときは、政令で定めると…」で始まります。
- 災害対策基本法第64条は第四節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第64条の前の条は災害対策基本法第63条です。
- 災害対策基本法第64条の次の条は災害対策基本法第65条です。
- 災害対策基本法第64条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第64条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第64条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/64
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法64条は、災害時に市町村長が他人の土地等を一時使用・収用し、支障となる工作物等を除去できると定める。除去物は保管・公示され、6か月で市町村に帰属する。
Q · 災害のとき、市に車や塀を勝手に撤去されたけど、取り戻せるの?
適法な措置だが、公示から6か月以内なら返還を求められる
災害対策基本法64条2項により、市町村長は応急措置の支障となる被災工作物等を除去でき、除去した物は保管して公示しなければなりません。占有者等は返還を求められますが、保管・売却・公示の費用は返還を受ける側の負担です(5項)。公示の日から6か月を過ぎても返還できなければ、所有権は市町村に帰属します(6項)。一方、1項による土地の一時使用や物件の収用には、82条による損失補償の請求が可能です。
解説
災害の現場では、所有権より先に動くものがある。災害対策基本法64条は、災害が発生したとき、またはまさに発生しようとしているときに、市町村長に強い権限を与えている。応急措置のために緊急の必要があれば、あなたの土地や建物を一時的に使い、土石や竹木を使用し、収用(役所が所有権ごと強制的に取得すること)までできる。さらに、被災して救助や復旧の邪魔になっている塀・車・倒木などは除去できる。ここまでは知っている人もいるだろう。知られていないのはその先である。除去された物は市町村が保管し、公示して持ち主を探す。公示の日から6か月たっても返還できなければ、所有権は市町村に移る。保管や売却にかかった費用は、返還を受けるべき持ち主の負担になる。一方、1項で土地や物を使われた場合は、82条により「通常生ずべき損失」の補償を請求できる。どの項で何をされたかを見分けられるかどうかで、取り戻せるものとお金の額が変わる。
法的な位置づけ
災害対策基本法64条は、応急公用負担を定める規定であり、災害時に市町村長が応急措置の緊急の必要に基づき、他人の土地・建物等の一時使用、土石・竹木等の物件の使用・収用、及び応急措置の支障となる被災工作物等の除去を行う権限を定める。除去物の保管・公示・売却、費用負担、所有権の帰属、自衛官等への準用も併せて規定する。
手順
- 1.使用・撤去された状況を記録する 土地が使われている場合、または物が消えている場合は、日付入りの写真・動画と状況メモを残す。使用期間、使用した主体(市・警察・自衛隊など)、使われた範囲を具体的に書き留める
- 2.どの項による措置かを確認する 市町村の防災担当に、1項による使用・収用なのか、2項による除去なのかを確認する。誰が除去したかによって保管者(市町村・警察署長等・自衛隊の部隊等の長)も変わる
- 3.公示を確認し、早めに返還を申し出る 2項による除去の場合は、保管場所と公示の日を確認し、占有者・所有者として返還を申し出る。早く引き取るほど保管費用が抑えられる。費用の減免制度がないかも同時に尋ねる
- 4.1項処分なら損失補償を請求する 1項による一時使用・使用・収用を受けた場合は、82条に基づき通常生ずべき損失の補償を請求する。営業損失や原状回復費の根拠となる資料をそろえて提出する
- 5.不服があれば期限を確認する 措置そのものに不服がある場合は、審査請求(処分を知った日の翌日から3か月)や取消訴訟(知った日から6か月)の期限を確認し、早めに弁護士に相談する
よくある質問 AI による整理
Q1応急公用負担とは何ですか?
災害時の応急措置のために、私人の土地・建物・物件を行政が一時使用・収用したり、支障物を除去したりする負担のことです。災害対策基本法64条が市町村長の権限として定めています。
Q2災害時に市から土地を使わせてほしいと言われたら断れる?
64条1項の要件(災害の発生・切迫、応急措置の緊急の必要)を満たす限り、所有者の同意がなくても一時使用は可能です。断るよりも、使用状況を記録して補償請求に備えるほうが現実的です。
Q3災害で撤去された車や塀はどこに問い合わせればいい?
まず市町村の防災担当に確認します。警察官や海上保安官、自衛官が除去した場合は、警察署長等や自衛隊の部隊等の長が保管していることがあります(9項)。
Q4自衛隊が倒壊家屋を撤去することはできる?
市町村長など権限を行使できる者がその場にいない場合に限り、災害派遣を命じられた部隊等の自衛官にも除去等の権限が準用されます(8項)。自衛官は直ちに市町村長へ通知します。
Q5撤去された物の公示はどこで確認できる?
公示は政令の定める方法で行われます。市町村の掲示場やホームページに掲載されることが多いため、両方を確認し、不明なら防災担当の窓口へ直接問い合わせます。
Q6市が保管している物が売られることはある?
あります。滅失・破損のおそれがある場合や、保管に不相当な費用・手数がかかる場合は売却でき、市町村は代金を保管します(4項)。6か月を過ぎると代金も市町村に帰属します。
Q7警察が撤去した物は最終的に誰のものになる?
公示から6か月で返還できなければ、警察署長が保管する物は警察署の属する都道府県に、管区海上保安本部の事務所の長や自衛隊の部隊等の長が保管する物は国に帰属します(10項)。
Q8災害時の損失補償の請求はいつまでできる?
地方公共団体に対する金銭債権は、地方自治法236条により原則5年で時効にかかります。ただし記録が散逸しやすいため、復旧後なるべく早く請求するのが実務上の鉄則です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1勝手に土地を使われたんですけど、お金はもらえるんですか?
64条1項による一時使用や収用であれば、82条に基づき「通常生ずべき損失」の補償を請求できる。駐車場の営業損失や原状回復費などが典型である。実務のポイント:自治体から補償の案内が自動的に届くとは限らない。請求しなければ放置されることもある。使用期間中の写真と収入資料が、そのまま交渉の材料になる
Q2撤去された車、取りに行ったら保管料を払えと言われました。払わないとダメ?
64条5項により、保管・売却・公示の費用は返還を受けるべき占有者等の負担とされ、行政代執行法5条・6条が準用される。支払わなければ、国税の滞納処分と同じ手順で強制的に徴収されうる。実務のポイント:被災者の負担を減らすため、自治体が要綱などで費用を減免している例もある。払う前に、減免の制度がないか窓口で尋ねる価値はある
Q36か月過ぎたら本当に戻ってこないの?売られたお金も?
6項により、公示の日から6か月たっても返還できない工作物等の所有権は市町村に帰属する。4項で売却されていれば、その代金も含まれる。実務のポイント:期限の起算点は撤去された日ではなく公示の日である。公示が遅れていれば、その分だけ期限も後ろにずれる。まず公示の日付を確認する
間違えやすい点 AI による整理
- 災害時に役所が勝手に物を持っていくのは違法だと考える人がいる。実際には、64条1項・2項の要件を満たす限り適法であり、作業を妨げれば罰則の対象にもなりうる。争うべき点は、その措置が適法かどうかよりも、補償と返還を受けられるかどうかである
- 「撤去された物は、いずれ連絡が来て返ってくる」と思いがちである。市町村長に課されているのは公示の義務であり、個別に連絡する義務は条文に書かれていない。公示から6か月で所有権は市町村に移る。待っているだけでは、返還の機会を失う
- 「補償されるかどうか」と問うこと自体が雑である。1項の使用・収用と、2項の除去・保管とでは扱いが違う。82条の補償規定が明示しているのは主に1項の処分である。2項の場合は、逆に保管費用を負担する側に回りうる。何をされたかを特定しなければ、問いの答えは出ない(最新の条文で確認されたい)
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 主な措置の内容 | 64条:土地等の一時使用、物件の使用・収用、被災工作物等の除去・保管 | 63条:警戒区域の設定、立入制限・禁止、退去命令 76条の6:道路管理者による放置車両等の移動 |
| 権限を持つ者 | 市町村長(警察官・海上保安官・自衛官に一部準用) | 市町村長(警察官・海上保安官・自衛官に一部準用) 道路管理者(国・都道府県・市町村など) |
| 財産への影響 | 1項は82条の損失補償あり。2項の除去物は保管費用が占有者等の負担となり、6か月で帰属 | 財産の取得はなく、区域への立入りと滞在が制限される 車両の移動に伴う扱いは同条及び82条等で定める(最新条文で要確認) |
| 問い合わせ先 | 市町村の防災担当、または警察署・自衛隊の保管者 | 市町村の防災担当 国道事務所・都道府県・市町村の道路管理部署 |
他国ではどう定めているか 2 か国
台湾でも災害応変措置として私有財産の徴用等が認められ、損失補償の規定が置かれている。権限の主体が各級政府・災害応変センターの指揮官である点が、市町村長を中心とする日本と異なる
韓国も「応急負担」として土地・建物等の一時使用や障害物の除去を定めており、構造は日本の64条に近い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 台風の翌日、避難先から戻ると、道路側に倒れていたあなたのブロック塀がない。市が2項で除去し、保管しているかもしれない。まず市役所の公示を確認する。放置すれば6か月で市の所有物になる
- 豪雨で浸水したあなたの車が、排水作業の邪魔になるとして撤去された。数か月後、保管費用の請求書が届く。被災したうえに費用まで負担するのかと驚くが、64条5項はまさにそう定めている。費用の徴収には行政代執行法が準用され、税金の滞納処分と同じ手順で強制的に取り立てられる
- もし、あなたの駐車場が土のうの置き場や重機の待機所として何週間も使われたら、補償はどうなる? 1項による一時使用であれば、82条で通常生ずべき損失(その期間の駐車場収入など)の補償を請求できる。使われた期間と状態を記録しておくことが、請求の出発点になる
- 市の防災担当として、土砂崩れの現場で私有林の竹木を切って仮設の防護柵に使う判断を迫られた。誰が使い、何を、どれだけ使ったかを記録しておかなければ、後で所有者から補償を求められたとき説明できない。現場の判断が速いほど、記録が後回しになりやすい
- 山間の集落が孤立し、町長と連絡がつかない。現場の自衛官が、道をふさぐ倒壊家屋の一部を除去した。8項により、市町村長などがその場にいない場合に限って同じ権限が自衛官に準用される。自衛官は直ちに町長へ通知する義務を負う
- 公示を見落としたまま、あと2週間で6か月がたつ。流された作業用トラックはまだ市の保管場所にあるのか。期限を過ぎれば、売却代金を含めて市の所有になる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 消えた物や使われた土地について、写真・日時・状況を記録する2. 市町村の防災担当に、1項の使用・収用なのか、2項の除去なのかを確認する3. 2項の場合は、保管場所と公示の日を聞き、早めに占有者として返還を申し出る4. 1項の場合は、82条に基づき損失補償を請求する。収入の減少や修繕費の資料をそろえる5. 処分そのものに不服があれば、審査請求や取消訴訟の期限を確認する
訴えられた側:自治体職員として措置を執る場合:1. 1項の処分は政令で定める手続き(公用令書など)に沿って行い、交付できなかった事情も記録に残す2. 2項で除去した物は、品目・状態・場所を写真付きで台帳に記録する3. 公示は政令で定める事項を漏れなく載せる。公示に不備があると、6か月での所有権帰属を争われる4. 費用徴収は行政代執行法5条・6条の手順を守る
時効(請求できる期限):返還:公示の日から6か月を過ぎると、所有権は市町村に帰属する(本条6項。警察署長等が保管する場合は都道府県または国に帰属、10項)。処分への不服:審査請求は処分があったことを知った日の翌日から3か月(行政不服審査法18条)、取消訴訟は知った日から6か月(行政事件訴訟法14条)。地方公共団体に対する補償金の請求権は5年で時効(地方自治法236条)。最新の改正状況をご確認ください
学説
行政法学上の一般的理解:本条1項・2項の措置は、公益のために私人に特定の財産上の負担を課す「公用負担」の一類型であり、災害時の緊急性から事前の同意や補償を待たずに実施できる「応急公用負担」と位置づけられる。
改正沿革 AI による整理
- 平成7年(1995年)改正(要検証) 阪神・淡路大震災を受けた改正で、市町村長等が現場にいない場合に災害派遣の自衛官へ権限を準用する規定が整備されたとされる。工作物等の除去・保管・帰属に関する各項の新設時期を含め、人による確認が必要
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:災害対策基本法の制定により、市町村長の応急公用負担等の規定として設けられた。その後の改正で加わった自衛官への準用や工作物等の保管・帰属の各項の時期は、原典での確認が必要
- 災害対策基本法 第63条警戒区域設定、警察官等への準用元
- 災害対策基本法 第65条住民等への応急措置従事命令
- 災害対策基本法 第82条1項処分に対する損失補償
- 災害対策基本法 第76条の6道路管理者による放置車両の移動
- 災害対策基本法 第62条市町村長の応急措置実施責任
- 水防法 第28条水防時の土地使用・収用の特則
- 消防法 第29条消火活動のための破壊・使用処分
- 行政代執行法 第6条保管費用を滞納処分の例で徴収
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