災害対策基本法 第61条の8(居住者等の運送)
クイックジャンプ
- 都道府県知事は、都道府県の地域に係る災害が発生するおそれがある場合であつて、居住者等の生命又は身体を当該災害から保護するため緊急の必要があると認めるときは、運送事業者である指定公共機関又は指定地方公共機関に対し、運送すべき人並びに運送すべき場所及び期日を示して、居住者等の運送を要請することができる。
- 2.指定公共機関又は指定地方公共機関が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、都道府県知事は、居住者等の生命又は身体を災害から保護するため特に必要があると認めるときに限り、当該指定公共機関又は指定地方公共機関に対し、居住者等の運送を行うべきことを指示することができる。この場合においては、運送すべき人並びに運送すべき場所及び期日を書面で示さなければならない。
この条文の基本情報
居住者等の運送とは何ですか?
定義居住者等の運送とは、災害対策基本法第61条の8に定められた規定で、「都道府県知事は、都道府県の地域に係る災害が発生するおそれがある場合であつて、居住者等の生命又は身体を当該災害から保護するため緊急の必要があると認めるときは、運送…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第61条の8(居住者等の運送)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第61条の8の条文原文は「都道府県知事は、都道府県の地域に係る災害が発生するおそれがある場合であつて、居住者等の生命又は身体を当該災害から保護するため緊急の必要があると認めるときは、運送…」で始まります。
- 災害対策基本法第61条の8は第三節に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第61条の8の前の条は災害対策基本法第61条の7です。
- 災害対策基本法第61条の8の次の条は災害対策基本法第62条です。
- 災害対策基本法第61条の8には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第61条の8 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第61条の8(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/61_8
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法61条の8は、災害発生のおそれがあるとき、都道府県知事が運送事業者である指定公共機関等に住民の運送を要請できると定める。正当な理由なく応じなければ書面で指示できる。
Q · 台風が来る前に、県はバス会社に住民の避難輸送を頼めるの?
頼める。指定を受けた運送事業者が対象で、罰則はない
災害対策基本法61条の8により、災害が発生するおそれがある段階で、都道府県知事は運送事業者である指定公共機関・指定地方公共機関に、運送すべき人・場所・期日を示して居住者等の運送を要請できます。正当な理由なく応じない場合、生命・身体の保護のため特に必要と認めるときに限り、書面で指示できます。ただし本条には指示違反の罰則はなく、実効性は平時の輸送協定に左右されます。
解説
台風がまだ海の上にある段階で、都道府県知事はバス会社や鉄道会社に「この地区の住民を、この日に、この場所まで運んでほしい」と求めることができる。災害対策基本法61条の8が定めるのは、災害が「発生するおそれがある」段階での運送の要請である。被災後の救助ではなく、被災前の避難のための規定だ。令和3年(2021年)の改正で、自治体の境界を越えて逃げる「広域避難」を制度化した際に置かれたとされる。仕組みは二段階になっている。まず要請(お願い)を出す。運送会社が正当な理由なく応じない場合に限り、生命・身体の保護のため特に必要と認めるときは、書面で指示を出せる。押さえておきたいのは、指示に従わなかったときの罰則が本条にはないこと、そして対象が民間のバス会社すべてではなく、国や都道府県が「指定」した運送事業者に限られることだ。あなたの地域に避難用のバスが来るかどうかは、事前の協定と、知事がこの規定を使う判断にかかっている。
法的な位置づけ
災害対策基本法61条の8は、災害発生のおそれがある段階における居住者等の運送について定める規定である。都道府県知事は、運送事業者である指定公共機関または指定地方公共機関に対し、運送すべき人・場所・期日を示して運送を要請でき、正当な理由のない不応諾には、特に必要がある場合に限り書面で運送を指示できる。
手順
- 1.自社が要請の対象かを確認する 自社(または加盟する協会)が、運送事業者である指定公共機関または都道府県知事が指定する指定地方公共機関に当たるかを確認する。指定は協会単位で受けていることもあるため、協会経由の配車ルールもあわせて把握する
- 2.平時に輸送協定を結ぶ 都道府県と、運行の中止基準(風速・浸水深・警報の種類)、費用負担と精算方法、乗務員の安全確保、連絡体制を盛り込んだ輸送協定を結ぶ。中止基準を客観的な数値で書いておくと、当日に断る理由を説明しやすくなる
- 3.要請を受けたら運行可否を判断し記録する 要請書に記載された運送すべき人・場所・期日を確認し、車両と乗務員の手配、経路の浸水リスクを検討する。応じられない場合は、その理由を具体的に記録し、書面で回答する
- 4.指示が届いたら内容を確認し協議する 書面の指示に記載された人・場所・期日を確認し、実行できる範囲と実行できない部分を整理して都道府県と協議する。指示の処分性や争い方に疑問がある場合は、弁護士に確認する
よくある質問 AI による整理
Q1災害対策基本法61条の8とは?
災害が発生するおそれがある段階で、都道府県知事が指定公共機関等の運送事業者に、住民の避難のための運送を要請・指示できると定めた規定です。
Q2広域避難とは何ですか?
大規模水害などで、住んでいる市町村の外へ住民が避難することです。自治体の境界を越えるため、都道府県による調整と輸送手段の確保が必要になります。
Q3指定地方公共機関とは?
都道府県知事が指定する、防災上の役割を担う公共的事業者です(災害対策基本法2条6号)。運送分野ではバス協会やトラック協会が指定されている例があります。
Q4避難輸送の要請を断る「正当な理由」とは?
本条に定義はありませんが、乗務員の安全を確保できない、車両が不足している、運行経路が浸水しているなどが考えられます。協定で中止基準を決めておくと説明しやすくなります。
Q5知事の要請と指示の違いは?
要請は運送のお願いです。指示は、正当な理由なく要請に応じない場合に、特に必要があるときに限り出せる一段強い措置で、運送すべき人・場所・期日を書面で示す必要があります。
Q6台風のとき避難バスはいつ来る?
法律で決まった時刻はありません。要請は災害の「おそれ」の段階で出されるため、運行は暴風が始まる前に限られます。具体的な集合場所や時刻は市区町村の広域避難計画を確認しましょう。
Q7車がない高齢者はどうやって避難する?
自治体の個別避難計画への登録、家族や近所での送迎の事前調整、広域避難時の輸送バスの確認が基本です。公的な輸送は必ず来るものとして当てにしないことが大切です。
Q8計画運休と避難輸送は関係ある?
関係があります。鉄道やバスが計画運休に入ると避難の足がなくなります。避難輸送は運休前の時間帯に確保する必要があり、運休の発表時刻が避難の締め切りの目安になります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1バス会社が知事の指示を無視したら、罰金とかあるんですか?
災害対策基本法61条の8そのものには罰則がありません。要請に正当な理由なく応じないときに書面で指示できるだけです。この点は、輸送関係者に従事命令を出せる災害救助法7条などとは性質が違います。実務のポイント:罰則がないぶん、実際に効くのは指定の継続と平時の協定関係です。自治体の防災担当者は、要請の前に事業者の団体へ水面下で打診していることが多いです
Q2避難バスの運賃って、乗る住民が払うんですか?
本条には費用負担の定めがなく、実務上は都道府県と運送事業者の輸送協定や個別の契約で整理されることが多いです(具体的な負担は各協定をご確認ください)。実務のポイント:協定に費用条項がないまま要請が出ると、災害後に精算でもめます。事業者が協定の締結を急ぐ最大の理由は、実はここにあります
Q3うちの地元の小さいバス会社も、この要請を受けるんですか?
本条の対象は、運送事業者である指定公共機関または指定地方公共機関に限られます(同法2条5号・6号)。指定を受けていなければ対象外です。実務のポイント:都道府県が指定地方公共機関に指定しているのは、個々のバス会社ではなく都道府県のバス協会やトラック協会であることも多いです。その場合、協会を通じて加盟社に配車が回る仕組みになっています(都道府県ごとの指定状況を要確認)
間違えやすい点 AI による整理
- 「避難指示が出れば、役所が逃げる手段も用意してくれる」と考えがちだが、本条の要請は知事の権限であって義務ではない。要請が出るのは知事が「緊急の必要」を認めたときに限られ、自家用車で逃げられる人はそもそも想定の外にある。個人の避難計画を立てる前提として、送迎はないものと考えておくのが現実的である
- 知事の「指示」と聞くと強制命令のように聞こえるが、本条の指示に違反しても罰則はない。災害救助法の従事命令のような強い強制とは仕組みが違う。運送会社から見れば「拒めば処罰される義務」ではなく、「正当な理由の有無が問われる公共的責務」であり、その説明責任を果たせるかどうかが本当のリスクになる
- 「どのバス会社にも頼める」という理解は前提が誤っている。対象は運送事業者である指定公共機関(国が指定)または指定地方公共機関(都道府県知事が指定)に限られる。地元の小さな観光バス会社が指定を受けていなければ、本条の要請の対象にはならず、任意の協力依頼や契約で動いてもらうことになる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 主体と相手方 | 61条の8:都道府県知事 → 運送事業者である指定公共機関・指定地方公共機関 | 災害対策基本法60条:市町村長 → 居住者等 災害救助法7条:都道府県知事 → 輸送関係者等 |
| 使える時期 | 災害が発生するおそれがある段階(災害前) | 災害が発生し、または発生するおそれがある場合 災害救助法が適用された後の救助の段階 |
| 強制力 | 要請 → 書面による指示の二段階。本条に罰則なし | 避難の指示。住民への直接の罰則はない 従事命令。違反には罰則がある |
他国ではどう定めているか 3 か国
台湾は災害応変中心の指揮官による車両等の徴用という強制型の措置を持ち、日本の要請・指示型より強制力が強い
韓国も災害時の動員・避難の規定を持つが、具体的な対応条文は要確認
米国は連邦の災害支援の枠組みで、避難輸送の多くは州・地方政府の計画と民間との契約で行われる
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 高潮の予報が出たゼロメートル地帯で、車を持たない高齢の親が一人で暮らしている。自治体が広域避難を呼びかけたとき、親を誰が運ぶのか? 自治体が自前でバスを持っていることは少なく、指定公共機関や指定地方公共機関である運送事業者に運送を頼むことになる。要請から運行までの時間を考えると、上陸48時間前の判断がものを言う
- あなたは地方のバス会社の運行管理者。台風上陸の前日、県から「明朝8時、○○地区の住民を△△市の避難所まで」という要請が届いた。ところが運転手の自宅も浸水想定区域にある。乗務員の安全を確保できないことは「正当な理由」になりうるのか。断るなら、その理由を記録に残しておく必要がある
- 要請を断った翌日、知事名の書面による指示が届いた。運送すべき人、場所、期日が明記されている。罰則はないが、指定公共機関として自治体との関係や今後の協定に響く。今夜中に役員会で応じるかどうかを決めなければならない
- 町内会長として、近所の人から「避難バスは本当に来るの?」と聞かれた。来るかどうかは、県とバス協会の輸送協定の有無と、知事が本条の要請を出すかどうかで決まる。役所の防災課に一本電話をすれば分かる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 平時に市区町村の防災課へ、県と運送事業者の輸送協定の有無と、広域避難の集合場所を確認する2. 車がない家族については、要支援者として個別避難計画(同法49条の14)に載せるよう申し出る3. 台風の接近時は、自治体の広域避難の呼びかけと鉄道の計画運休の発表時刻を並べて見て、公共交通で動ける最後の時間を逆算する4. 送迎はないものとして、自力での避難手段を第一の案にしておく
訴えられた側:1. 自社が指定公共機関または指定地方公共機関に該当するかを確認する2. 平時に都道府県と輸送協定を結び、運行の中止基準、費用負担、乗務員の安全確保を文書にしておく3. 要請を受けたら、応じられない場合はその理由(乗務員の安全、車両の不足、浸水リスク)を記録して書面で回答する4. 指示が届いたら、書面に記載された人・場所・期日を確認し、応じられない部分について協議を求める。処分性があると解される場合の争い方は弁護士に確認する
時効(請求できる期限):本条に特定の時効はない。要請・指示は災害が「発生するおそれがある」段階でのみ使えるため、実務上の時間制限は気象予報から災害の発生までの数日間である。指示に処分性があると解される場合、取消訴訟の出訴期間は処分を知った日から6か月(行政事件訴訟法14条)だが、指示の処分性については実務上、解釈が分かれうる
改正沿革 AI による整理
- 令和3年(2021年)改正(要人的検証) 広域避難の制度化とあわせて、災害発生のおそれの段階での居住者等の運送の要請・指示の規定が置かれたとみられる。新設か既存条文の移設か、その後の改正による条番号の移動の有無は要確認
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:伊勢湾台風を契機に災害対策基本法(昭和36年法律第223号)が制定され、指定公共機関・指定地方公共機関の制度が置かれた
- 2.令和3年(2021年) 改正:災害発生のおそれがある段階からの広域避難の仕組みが整備され、居住者等の運送の要請・指示の規定が置かれたとみられる(本条の条番号の変遷は要確認)
- 災害対策基本法 第2条指定公共機関・指定地方公共機関の定義
- 災害対策基本法 第6条指定公共機関の業務遂行・協力責務
- 災害対策基本法 第60条市町村長の避難指示、居住者等の概念
- 災害対策基本法 第61条の4広域避難の協議(現行効力を要確認)
- 災害救助法 第7条輸送関係者への従事命令という強制型
- 武力攻撃事態等における国民の保護のための措置に関する法律 第71条避難住民の運送の求め、同構造(現行効力を要確認)
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める