災害対策基本法 第5条(市町村の責務)
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- 市町村は、基本理念にのつとり、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方公共団体の協力を得て、当該市町村の地域に係る防災に関する計画を作成し、及び法令に基づきこれを実施する責務を有する。
- 2.市町村長は、前項の責務を遂行するため、消防機関、水防団その他の組織の整備並びに当該市町村の区域内の公共的団体その他の防災に関する組織及び自主防災組織の充実を図るほか、住民の自発的な防災活動の促進を図り、市町村の有する全ての機能を十分に発揮するように努めなければならない。
- 3.消防機関、水防団その他市町村の機関は、その所掌事務を遂行するにあたつては、第一項に規定する市町村の責務が十分に果たされることとなるように、相互に協力しなければならない。
この条文の基本情報
市町村の責務とは何ですか?
定義市町村の責務とは、災害対策基本法第5条に定められた規定で、「市町村は、基本理念にのつとり、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 災害対策基本法第5条(市町村の責務)は、日本の災害対策基本法に含まれる条文です。
- 災害対策基本法第5条の条文原文は「市町村は、基本理念にのつとり、基礎的な地方公共団体として、当該市町村の地域並びに当該市町村の住民の生命、身体及び財産を災害から保護するため、関係機関及び他の地方…」で始まります。
- 災害対策基本法第5条は第一章 総則に置かれています。
- 災害対策基本法の公布日は昭和36年11月15日です。
- 災害対策基本法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年9月22日時点では廃止情報はありません。
- 災害対策基本法第5条の前の条は災害対策基本法第4条です。
- 災害対策基本法第5条の次の条は災害対策基本法第5条の2です。
- 災害対策基本法第5条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第5条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/336AC0000000223 - 本サイト収録
災害対策基本法(昭和三十六年法律第二百二十三号)第5条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年9月22日)https://lawplayer.com/jp/article/336AC0000000223/5
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点災害対策基本法5条は、市町村が基礎的な地方公共団体として地域防災計画を作成・実施する責務を負うと定める。市町村長による組織整備等は努力義務である。
Q · 大雨のとき、避難の判断や避難所の段取りをするのは結局どこの役所なの?
住民にいちばん近い市町村で、その長が中心になります
災害対策基本法5条は、防災の第一次責任を市町村に置いています。市町村は地域防災計画を作り、法令に基づいて実施する責務を負い、避難指示(60条)も市町村長が出します。また市町村長は消防機関・水防団・自主防災組織を整え、住民の自発的な防災活動を促すよう努めなければなりません。ただし努力義務が多く、本条だけを根拠に住民が市へ個別の賠償を請求できるわけではありません。
解説
避難指示を出すのは、総理大臣でも知事でもない。あなたの住む市町村の長である。災害対策基本法5条は、防災の最前線を「基礎的な地方公共団体」(住民にいちばん近い役所)である市町村に置いた。市町村は地域防災計画(地域ごとの防災の設計図)を作り、法令に従って実行する責務を負う。市町村長は消防機関や水防団を整え、自主防災組織(町内会などが母体の住民の防災グループ)を育て、市町村の持つ全ての機能を出し切るよう努めなければならない。ここで見落とされがちな点が二つある。一つは、本条の義務の多くが「努めなければならない」という努力義務であること。もう一つは、本条が住民に「自分も動け」と求める構造になっていることだ。本条は役所に丸投げしてよい根拠ではない。この条文があるから、住民は地区防災計画を提案でき、要支援者名簿の運用に口を出せる。本条の存在を知っている住民は、ハザードマップを眺めて終わりにせず、市役所の防災担当課に電話をかける。
法的な位置づけ
災害対策基本法5条は市町村の防災責務を定める規定であり、市町村が基礎的な地方公共団体として地域防災計画を作成し、法令に基づき実施する責務を負うこと、市町村長が消防機関・水防団・自主防災組織等の充実と住民の自発的防災活動の促進に努めること、市町村の各機関が相互に協力すべきことを定める。
手順
- 1.市町村地域防災計画とハザードマップを確認する 市の公式サイトで地域防災計画の要旨とハザードマップを確認し、自宅の浸水・土砂災害リスク、指定避難所、避難情報の発令基準を把握する
- 2.要支援者がいる家族は名簿の同意書を返送する 要介護・障害のある家族がいる場合、市から届く避難行動要支援者名簿の情報提供同意書を期限内に返送し、平常時から支援者に情報が届く状態にする
- 3.防災担当課に個別避難計画の作成を相談する 市役所の防災担当課や福祉担当課に電話し、個別避難計画の作成状況、誰が避難を支援するか、どの避難所へ移動するかを確認する。ケアマネジャーにも同席を頼むと話が早い
- 4.町内会・自主防災組織の活動と保険を確認する 地域の自主防災組織の訓練日程と役割分担を確認し、役員になる場合は活動中の事故に備えて市町村や社会福祉協議会の保険の加入状況を確かめる
よくある質問 AI による整理
Q1災害対策基本法5条とは?
市町村の防災責務を定めた条文です。市町村が地域防災計画を作って実行する責任を負い、市町村長は消防・水防・自主防災組織の充実に努めると定めています。
Q2市町村の防災の責務とは具体的に何をすること?
地域防災計画の作成と実施、消防機関や水防団の整備、自主防災組織の育成、住民の防災活動の促進などです。市町村の持つ全ての機能を発揮することが求められます。
Q3自主防災組織には必ず入らないといけない?
義務ではありません。自主防災組織は町内会などを母体とする任意の住民組織です。5条2項は市町村長にその充実を求めていますが、住民に加入を強制する規定ではありません。
Q4避難行動要支援者名簿の提供に同意しないとどうなる?
平常時に民生委員や自主防災組織へ情報が渡らず、事前の個別避難計画づくりが進みにくくなります。災害が起きた時や起きそうな時は、同意がなくても提供される場合があります。
Q5消防団の活動中にけがをしたら補償は?
消防団員は非常勤の特別職地方公務員なので、市町村の条例に基づく公務災害補償の対象になります。勤め先の会社の労災保険ではないため、まず所属する消防団と市町村に連絡します。
Q6市町村地域防災計画はどこで見られる?
多くの市町村が公式サイトで公表しています。災害対策基本法42条は計画の要旨の公表を求めています。全文は市役所の防災担当課や情報公開の窓口でも確認できます。
Q7市町村の災害対策本部は誰が設置する?
市町村長です。災害が発生したとき、または発生するおそれがあるときに、地域防災計画の定めに従って市町村災害対策本部を設置できます(災害対策基本法23条の2)。
Q8市町村が防災を怠ったら罰則はある?
5条には罰則がありません。責務規定は行政の役割を示すもので、違反に刑罰は科されません。責任を問う場合は、国家賠償法や議会、監査の仕組みを使うことになります。
この条文についての質問 AI による整理
Q1避難指示が出たのに家に残ったら、罰金とかあるの?
市町村長の避難指示(60条)そのものに罰則はない。ただし警戒区域が設定され立入禁止・退去命令が出た場合(63条)、違反は罰則の対象となる(116条、最新の改正状況をご確認ください)。実務のポイント:令和3年の改正で避難勧告は廃止され、避難指示に一本化された。古い防災マニュアルを読んで「勧告ならまだ大丈夫」と考える人がいまもいるが、その段階はもう存在しない
Q2市の避難所の開設が遅れて家族が危ない目にあった。市を訴えられる?
訴えること自体は可能だが、5条の責務規定だけを根拠に勝つのは難しい。国家賠償法1条で、当時の情報から危険を具体的に予見でき、回避の手段があったのに怠ったことを立証する必要がある。実務のポイント:勝敗を分けるのは法廷の弁論よりも、災害対策本部の会議録や避難判断の時系列記録である。発災直後に情報公開請求をかけておくと、記録の散逸を防げる
Q3町内会でマンション独自の防災計画を作ったんだけど、意味ある?
大いにある。住民等は地区防災計画を市町村防災会議に提案でき(42条の2)、計画として位置付けられれば市の地域防災計画の一部になる。5条2項が市町村長に住民の自発的な防災活動の促進を求めていることが、その背景にある。実務のポイント:提案制度を知らない自治会が多いので、提案された側の防災担当課は歓迎することが多い。備蓄や訓練への助成制度とセットで相談すると話が早い
間違えやすい点 AI による整理
- 「防災は役所の仕事だから、市町村が全部やってくれる」と考えがちだが、5条2項は市町村長に住民の自発的な防災活動の促進を求め、7条は住民自身にも備える努力を求めている。法律の設計は最初から公助と自助・共助の分担であり、役所の責務規定は住民に対する全面保証書ではない
- 責務規定があることは知っていても、それがどれほど抽象的かは知られていない。本条から直ちに「市が自分を守らなかったから賠償せよ」という個別の請求権が生まれるわけではない。賠償を求めるなら国家賠償法1条の枠組みで、具体的な職務上の注意義務違反を立証する必要がある。どこまで責任が認められるかは事案ごとの判断で、実務上も見方が分かれている
- 「消防=消防署」という見方をすると構造を見誤る。法律の上では、消防も水防も市町村の責任である(消防組織法6条、水防法3条)。地域によっては、常勤の消防職員より、本業を持つ住民が担う消防団や水防団が災害時の人手の大半を担っている。住民から見れば行政サービスでも、法律から見れば住民自身が組織の一部である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 責務の主体 | 災害対策基本法5条:市町村(基礎的な地方公共団体) | 同法4条:都道府県(広域的な地方公共団体) 同法7条:住民・公共的団体・事業者等 |
| 役割の中身 | 地域防災計画の作成・実施、消防・水防・自主防災組織の充実 | 都道府県地域防災計画の作成・実施、市町村の支援と総合調整 自ら災害に備える手段を講じ、防災活動に参加する努力 |
| 住民との距離 | 最も近い。避難指示・避難所開設・要支援者名簿を直接担う | 間接的。市町村の対応能力を超える部分を補完する 住民自身が担い手になる |
| 義務の強さ | 1項は責務、2項は努力義務 | 責務(総合調整を含む) 努力義務 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も中央・直轄市・県(市)・郷(鎮、市)の階層で災害防救の責任を分担し、地区災害防救計画を作る。最前線を基礎自治体に置く発想は日本と近い
国と地方自治体の責務を一つの条文でまとめて定める。市・郡・区の長が災害安全対策本部を担う点は日本の市町村長の役割に近い
ドイツでは防災は州の権限で、郡・郡格市が下位の防災官庁として実務を担う。連邦は戦時の民間防衛を中心に担う
米国は州・地方政府が一次対応を担い、連邦は大統領の災害宣言を受けて支援する補完型の構造である
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- あなたの町で線状降水帯が予測された夕方、防災無線から「避難指示」が流れた。避難しなかったら罰せられるのか? 原則として罰則はない。ただし市町村長が警戒区域を設定した場合(63条)は、立入禁止に違反すると罰則の対象になる。同じ「逃げろ」でも、法的な重さは段違いである
- 寝たきりの母と二人暮らし。市から「避難行動要支援者名簿に情報を提供してよいか」という書類が届いた。同意すれば、平常時から民生委員や自主防災組織に情報が渡り、個別避難計画づくりの対象になりうる。返送期限まであと10日、放置すれば平常時の名簿提供は進まない
- 町内会長を引き受けたら、自動的に自主防災組織の代表になっていた。訓練を企画しないといけないのか、事故が起きたら自分が責任を負うのか、何も分からないまま次の総会が来週に迫っている
- 会社員のあなたは誘われて消防団に入った。豪雨の夜に出動し、土のう積みの最中に腰を痛めた。消防団員は非常勤の特別職地方公務員であり、公務災害の補償制度がある。会社の労災ではない
- 台風で川が氾濫し、隣の市は早めに避難所を開いたのに、自分の市は開設が遅れて家族が車中泊を強いられた。市の判断の遅れを法的に問えるのか?
取るべき行動
被害を受けた側:1. 災害で被害を受けたら、避難指示の発令時刻、避難所の開設時刻、防災無線や通知の記録をスクショや録音で残す2. 市町村の対応に疑問があるなら、情報公開請求で地域防災計画、当日の災害対策本部の記録、避難判断の経緯を取り寄せる3. 本条の責務規定だけで賠償は取れない。国家賠償法1条に基づき、具体的な注意義務違反(予見できた危険を放置した等)を組み立てる必要があるので、災害事案の経験がある弁護士に相談する4. 並行して罹災証明書の申請、被災者生活再建支援金の確認を急ぐ
訴えられた側:1. 自主防災組織の代表や町内会役員として責任を問われそうなら、訓練記録、配布物、市との協議記録を整理する。自主防災組織はあくまで任意の住民組織で、行政と同じ責任を負うわけではない2. 活動中の事故に備え、市町村や社会福祉協議会の保険制度、自治体のボランティア保険の加入状況を事前に確認する3. 市町村職員の立場なら、避難判断の根拠(気象情報、ガイドライン、判断時刻)を時系列で記録に残すことが、事後検証や国賠訴訟での最大の防御になる
時効(請求できる期限):本条自体に時効はない。市町村の対応を国家賠償法1条で争う場合、同法4条により民法が準用され、損害および加害者を知った時から3年(人の生命・身体侵害は5年、民法724条、724条の2)、不法行為時から20年で権利が消滅する(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説:5条は市町村の防災上の役割を宣言する責務規定であり、住民に対する具体的な法的義務や個別の請求権を直接生じさせるものではない。行政の責任は国家賠償法1条の枠組みで、具体的な職務上の注意義務違反として個別に判断される
改正沿革 AI による整理
- 昭和36年(1961年)制定 伊勢湾台風を契機に災害対策基本法が制定され、市町村の責務が規定された
- 平成25年(2013年)改正(要人的検証) 東日本大震災を受けた改正で基本理念(2条の2)が新設され、本条にも「基本理念にのつとり」等の文言が加わったとみられる。2項の自主防災組織・住民の自発的防災活動に関する文言の変更時期と内容は要確認
改正の年表
- 1.昭和36年(1961年) 新設:伊勢湾台風(1959年)を契機に災害対策基本法が制定され、市町村の責務が規定された
- 災害対策基本法 第2条の2本条が従う基本理念
- 災害対策基本法 第4条都道府県の責務、広域的な補完
- 災害対策基本法 第7条住民等の責務、自助・共助の根拠
- 災害対策基本法 第42条市町村地域防災計画の作成義務
- 災害対策基本法 第60条市町村長の避難指示等の権限
- 消防組織法 第6条市町村の消防責任を個別に規定
- 水防法 第3条市町村の水防責任を個別に規定
- 国家賠償法 第1条防災対応の過誤に対する賠償責任の枠組み
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