老人福祉法 第32条(審判の請求)
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市町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百七十六条の四第一項又は第八百七十六条の九第一項に規定する審判の請求をすることができる。
この条文の基本情報
審判の請求とは何ですか?
定義審判の請求とは、老人福祉法第32条に定められた規定で、「市町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 老人福祉法第32条(審判の請求)は、日本の老人福祉法に含まれる条文です。
- 老人福祉法第32条の条文原文は「市町村長は、六十五歳以上の者につき、その福祉を図るため特に必要があると認めるときは、民法第七条、第十一条、第十三条第二項、第十五条第一項、第十七条第一項、第八百…」で始まります。
- 老人福祉法第32条は第五章に置かれています。
- 老人福祉法の公布日は昭和38年7月11日です。
- 老人福祉法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 老人福祉法第32条の前の条は老人福祉法第31条の5です。
- 老人福祉法第32条の次の条は老人福祉法第32条の2です。
- 老人福祉法第32条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第32条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/338AC0000000133 - 本サイト収録
老人福祉法(昭和三十八年法律第百三十三号)第32条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/338AC0000000133/32
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点老人福祉法32条は、65歳以上の者の福祉のため特に必要がある場合に、市町村長が後見・保佐・補助開始の審判を家庭裁判所に請求できると定める。
Q · 家族が反対していても、市役所が親の成年後見を申し立てることはできる?
できる。市町村長に申立権があり、家族の同意は不要
老人福祉法32条により、市町村長は65歳以上の者について、福祉を図るため特に必要があると認めるときは、後見・保佐・補助の開始審判などを家庭裁判所に請求できます。親族の同意は要件ではありません。身寄りがない場合や、親族による経済的虐待が疑われる場合に使われます。ただし申立ては市町村長の裁量に委ねられており、義務ではありません。後見人を誰にするかは、家庭裁判所が本人の利益を基準に決めます(民法843条)。
解説
家族がいるかどうか、家族が同意するかどうかに関係なく、役所のトップは、ひとりの高齢者の財産管理を家庭裁判所に委ねるよう申し立てることができる。根拠はこの条文だ。成年後見の申立ては、ふつう本人か配偶者、四親等内の親族しかできない(民法7条)。老人福祉法32条は、65歳以上の人について「その福祉を図るため特に必要がある」と市町村長が判断すれば、この申立権を市町村長にも与えている。後見だけでなく、保佐、補助の開始や、保佐人・補助人に代理権を与える審判まで対象になる。想定されているのは、身寄りがない人、親族が関わりを拒んでいる人、そして親族自身が年金を使い込んでいる人である。最後のケースが最も重い。家族が「申立てなんてしない」と言い張っても、市長申立てなら家族を通さずに手続が進む。介護の現場で親族の財産の扱いが不透明だと見られた時点で、この条文は動き出しうる。ただし条文は「できる」と書いているだけで、申し立てる義務を課しているわけではない。役所を動かすには、「特に必要」と言えるだけの材料を持っていく必要がある。
法的な位置づけ
老人福祉法32条は、市町村長による成年後見等の審判請求権を定める規定である。65歳以上の者について、その福祉を図るため特に必要があると認めるときに、民法7条・11条・13条2項・15条1項・17条1項・876条の4第1項・876条の9第1項に規定する審判を請求できるとし、民法が定める本人・親族等の申立権者を補完する。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.財産と生活状況の記録をそろえる 通帳の写し、出金日と使途不明の金額の一覧、本人の生活状況、親族に連絡を拒まれた経緯を書面にまとめる。「特に必要」と判断するための材料になる
- 2.地域包括支援センターまたは高齢福祉担当課に相談する 本人の住所地の市区町村に、書面を添えて市長申立ての検討を求める。親族が申立てに協力しないことと、緊急性の有無を明確に伝える
- 3.市町村の調査と親族意向確認に協力する 市町村は、親族の意向確認、本人の資産調査、医師の診断書の手配などを進める。追加資料を求められたら速やかに提出する。助成制度(成年後見制度利用支援事業)の対象かどうかもこの段階で確認する
- 4.家庭裁判所の照会に回答する 申立て後に家庭裁判所から意向照会が届いたら、後見人候補者を希望するかどうかを、収支の記録を添えて書面で回答する
- 5.審判の告知後、2週間以内に対応を判断する 開始審判に不服がある場合は、告知から2週間以内に即時抗告を行う。後見人の人選そのものは即時抗告の対象にならない点に注意する
よくある質問 AI による整理
Q1市長申立てとは何ですか?
本人や親族に代わって、市町村長が家庭裁判所に成年後見等の開始を申し立てる制度です。65歳以上の人については老人福祉法32条が根拠になります。
Q2市長申立ての要件は?
対象が65歳以上であり、市町村長が「その福祉を図るため特に必要がある」と認めることです。本人の判断能力の低下は、家庭裁判所の審判段階であらためて審理されます。
Q3市長申立てはどこに相談すればいい?
本人が住む市区町村の高齢福祉担当課か、地域包括支援センターに相談するのが一般的です。出金記録などの資料を書面で用意しておくと、検討が進みやすくなります。
Q4市長申立てで本人の同意は必要?
後見と保佐の開始には不要です。補助の開始と、保佐人・補助人への代理権付与には本人の同意が必要です(民法15条2項、876条の4第2項、876条の9第2項)。
Q5市長申立てに家族は反対できる?
家族に拒否権はありません。申立てをするかどうかは市町村長の裁量です。家族ができるのは、家庭裁判所の照会に意見や財産管理の記録を提出することです。
Q6市長申立てのとき親族調査はある?
運用上、市町村は一定範囲の親族について申立ての意向を確認するのが一般的です。調査範囲は厚生労働省の通知と自治体の要綱によるため、最新の運用を確認してください。
Q7市長申立てにはどれくらい時間がかかる?
自治体内の検討と親族調査に数か月かかる例が多いとされます。ただし虐待事案などで緊急性が高い場合は、早めに進められることもあります。期間は自治体によって大きく異なります。
Q8任意後見契約があっても市長申立てされる?
任意後見契約が登記されている場合、法定後見は原則として開始されません。本人の利益のため特に必要がある場合に限り、例外的に開始されます(任意後見契約に関する法律10条)。
この条文についての質問 AI による整理
Q1市長申立てって、費用は誰が払うんですか?
申立手数料などの手続費用は申立人である市町村がいったん負担するが、家庭裁判所は本人に負担させる決定もでき(家事事件手続法28条2項)、本人に資力があれば本人の財産から精算されることが多い。実務のポイント:鑑定費用(5万から10万円程度が目安)や後見人の報酬を助成する制度(成年後見制度利用支援事業)の要件と上限額は自治体ごとに違う。申立て前に要件を確認しておくかどうかで、本人の手元に残る金額が変わる(最新の制度内容をご確認ください)
Q2市長申立てされたら、家族は後見人になれないんですか?
なれないわけではない。後見人は家庭裁判所が本人の利益を基準に選ぶ(民法843条)。ただし市長申立てになる事情があること自体が、親族間の対立や財産管理への疑いを示していることが多く、結果として専門職が選ばれやすい。実務のポイント:親族が後見人に選ばれても、預金の大半を後見制度支援信託や支援預金に移すよう求められることがある。後見人になれるかどうかより、財産を動かすときに家庭裁判所の関与がどこまで入るかを先に確認しておくべきである
間違えやすい点 AI による整理
- 「家族がいるなら役所は口を出せない」と考えがちだが、親族がいても、申立てを拒んでいたり、本人を虐待していたりすれば市長申立ては可能である。親族の存在は申立ての妨げにならない。むしろ、親族による使い込みこそが典型的な発動場面である
- 市長申立てを「役所が面倒を見てくれる制度」だと思っていると、後でつまずく。申立てをするのは役所でも、後見人を選ぶのは家庭裁判所であり(民法843条)、選ばれるのは弁護士や司法書士などの専門職であることが多い。後見は本人の判断能力が回復しない限り原則として終わらず、その間ずっと後見人への報酬が本人の財産から支払われる。申立てを取り下げるにも家庭裁判所の許可が必要である(家事事件手続法121条)
- 家族側の問いはたいてい「市に申立てを止めさせられるか」だが、問いの立て方がずれている。申立ての可否は市町村長の裁量で、家族に拒否権はない。家族が勝負すべきなのは、それより前の段階、つまり自分が適切に財産を管理していることを記録で示せるかどうかである
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律の内容 | 老人福祉法32条:市町村長による後見等の審判請求 | 老人福祉法32条の2:後見等の人材育成など体制整備の努力義務 老人福祉法11条:養護老人ホーム等への入所措置 |
| 市町村長の行為の性質 | 家庭裁判所への申立て(最終判断は裁判所) | 体制整備に努める義務(個別事案の手続ではない) 行政による措置(市町村自身が決定) |
| 本人の財産・契約への影響 | 審判が出れば後見人等が財産管理・契約を担う | 直接の影響なし 施設入所の確保(財産管理権は生じない) |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾では、直轄市・県(市)の主管機関が監護・輔助宣告の聲請に関与できる。行政が家族の外側から裁判所につなぐ構造は日本と類似している
韓国は2013年の成年後見制度施行以降、地方自治体の長を民法上の請求権者として明記した。福祉法ではなく民法本体に置いている点が日本と異なる
ドイツの Betreuung は、裁判所が職権でも開始できる。行政(Betreuungsbehörde)は申立権者というより、裁判所への情報提供と支援の役割を担う
米国では州ごとに、Adult Protective Services や Public Guardian が後見申立てを担う。利害関係人なら誰でも申し立てられる州が多い
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 一人暮らしの伯母が認知症になり、通帳の残高が月30万円ずつ減っている。出入りしているのは同居していない従兄だけで、本人は何も覚えていない。あなたは四親等内の親族だから自分で申し立てることもできる。ただ、鑑定費用と手間を考えると、まず地域包括支援センターに相談し、市長申立てに回してもらうほうが現実的なこともある
- 親の年金を管理している長男であるあなたのもとに、市役所から「お母様の財産管理について確認したい」と電話が来た。何が始まろうとしているのか? 高齢者虐待防止法の経済的虐待として通報が入り、市長申立ての検討段階に入っている可能性がある。家計簿と領収書をすぐに整理しなければならない
- ケアマネジャーのあなたが担当する82歳の男性は、身寄りがなく、施設入所の契約書にサインできる人がいない。市町村長申立てを役所に要請するのが筋道になる
- 審判書が届いた。母に後見人として見知らぬ司法書士がついていて、あなたは選ばれていない。不服を申し立てられるのは告知から2週間以内。机の上の封筒を開けないまま過ぎた日数も、その2週間に含まれている
取るべき行動
被害を受けた側:1. 本人の財産が親族に使い込まれている疑いがあれば、通帳の写し、出金日、使途不明の金額を一覧にする2. 地域包括支援センターか市町村の高齢福祉担当課に、書面を添えて相談する。親族が申立てに協力しないことも伝える3. 自分が四親等内の親族なら自分で申し立てることもできるが、費用負担と親族間の対立を考えて市長申立てを要請するほうが有利なこともある4. 申立費用や後見人報酬の助成(成年後見制度利用支援事業)の有無を役所に確認する
訴えられた側:1. 役所から財産管理について照会が来たら、感情的に拒否せず、入出金の記録と使途を説明できる資料をそろえる2. 正当な支出であれば、その旨を書面で回答し、記録を残す3. 申立てが行われたら、家庭裁判所の意向照会に後見人候補者として名乗り出る4. 審判に不服があれば、告知から2週間以内に即時抗告を行う(家事事件手続法86条、123条)。ただし後見人の人選そのものは即時抗告の対象にならないことに注意する
時効(請求できる期限):市長申立てそのものに期限はない。後見開始審判に対する即時抗告の期間は2週間で(家事事件手続法86条1項)、本人以外の抗告権者については、後見人に選ばれた者への告知日から起算する(同法123条関連。具体的な起算点は事案ごとに確認すること)
学説
通説的理解:本条は民法上の申立権者を補完する公益的な申立権であり、親族の存否や意向にかかわらず行使できる。「特に必要がある」かどうかの判断は市町村長の裁量に属し、申立義務までは課していないと解されている
改正沿革 AI による整理
- 平成11年(1999年)成年後見制度導入に伴う整備(要確認) 民法の成年後見制度創設(平成12年施行)に合わせ、市町村長による後見・保佐・補助の審判請求を定める規定として整備されたとみられる。新設か改正かの区別、およびその後の改正の有無は人的検証が必要
改正の年表
- 1.昭和38年(1963年) 新設:老人福祉法制定(昭和38年法律第133号)
- 2.平成11年(1999年) 改正:成年後見制度の創設(平成12年4月施行)に伴う関係法律の整備により、市町村長による後見・保佐・補助の審判請求の規定が設けられた
- 老人福祉法 第32条の2後見等の人材育成など体制整備の努力義務
- 老人福祉法 第11条養護老人ホーム等への入所措置
- 老人福祉法 第5条の4福祉の措置の実施者の定め
- 民法 第7条後見開始審判の本来の申立権者
- 高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律 第9条虐待通報後の市長申立てによる対応(通称 高齢者虐待防止法)
- 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第51条の11の2精神障害者についての市町村長申立て
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