要点法人税法 52 条は、中小法人や銀行等が金銭債権の貸倒れの見込額を貸倒引当金として損金算入できると定める。ただし翌期に全額を益金へ戻す洗替えが必要となる。
Q · 取引先が倒産しそう。まだ貸し倒れていない売掛金を、今期の損金に落とせるの?
原則、資本金 1 億円以下の中小法人などだけが使えます
法人税法 52 条により、対象法人は金銭債権の貸倒れの見込額を貸倒引当金として損金算入できます。対象は資本金 1 億円以下の中小法人、銀行・保険会社、リース債権等を有する法人に限られます。ただし資本金 5 億円以上の大法人に 100% 支配される子会社は、自社の資本金が 1000 万円でも中小法人から除外され、この制度を使えません。損金算入には確定申告書への別表 11 の明細記載が必須で、繰り入れた額は翌期に全額を益金へ戻す洗替法が採られます。
取引先が倒産して売掛金が回収できなくなる。その損失を、実際に回収不能が確定する前の「見込み」の段階で、税金の計算上マイナスにできる。それが法人税法52条の貸倒引当金だ。ただし、ここに巨大な分断線が引かれている。平成23年(2011年)の改正で、この武器を使えるのは原則として資本金1億円以下の中小法人、銀行・保険会社、リース債権などを持つ法人だけになった。あなたの会社が大企業やその100%子会社なら、もうこの引当金は積めない。さらに落とし穴がある。中小法人でも、資本金5億円以上の大法人に100%支配されているグループ子会社は、たとえ自社の資本金が1000万円でも「中小法人」から外される。あなたが経理で決算を組むとき、この線のどちら側に立つかで、当期の課税所得が数百万円変わる。
法人税法 52 条の貸倒引当金は、内国法人が有する金銭債権の貸倒れによる損失の見込額を、損金経理により当期の損金に算入することを認める制度である。対象は中小法人・金融機関・リース債権等を有する法人に限定され、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権に区分して繰入限度額が政令により算定される。
AI 輔助整理,以條文原文為準
将来発生する金銭債権の貸倒れによる損失を、実際の貸倒れ前に見込みで当期の損金に算入する制度です。法人税法 52 条が根拠で、対象法人が限定されています。
個別評価は債務者ごとに回収不能見込額を基礎に、一括評価は期末の一括評価金銭債権額に業種別の法定繰入率または実績繰入率を乗じて算定します。詳細は施行令 96 条・97 条です。
個別評価は更生計画認可・民事再生等の事実がある特定債権、一括評価は通常の売掛金・貸付金などをまとめた債権です。前者は債務者ごと、後者は一括で限度額を計算します。
卸売・小売業は 10/1000、製造業は 8/1000、金融・保険業は 3/1000 など、業種ごとに率が異なります(租税特別措置法施行令 33 条の 7)。
個別評価は債務者名・繰入事由・債権額・回収不能見込額・繰入限度額を、一括評価は期末債権額と繰入率・繰入額を記載します。この明細記載が損金算入の要件です(3 項)。
原則、期末資本金 1 億円以下の普通法人等です。ただし資本金 5 億円以上の大法人に発行済株式の全部を保有される子会社は除外されます。
前期に繰り入れた貸倒引当金を翌期に全額益金へ戻し、当期分を改めて繰り入れる方式です(10 項)。損失の消滅ではなく課税の繰延べにとどまります。
なりません。内国法人が完全支配関係のある他の法人に対して有する金銭債権は、個別評価・一括評価いずれの母数からも除外されます(9 項 2 号)。
資本金1億円以下なら原則使えますが、落とし穴があります。資本金5億円以上の大法人に株式を100%持たれている子会社は、第1項の対象となる中小法人から除外されます。業界裏話ヒント:この「大法人による完全支配」の判定は直接の親会社だけでなく、同一の大法人グループに100%支配されている兄弟会社関係でも及ぶ。増資やM&Aで資本構成が変わった年度は、税理士に中小法人該当性を必ず再確認させること
個別評価金銭債権として繰り入れるには、更生計画認可の決定、民事再生手続、手形交換所の取引停止処分など、施行令96条が定める具体的な事実の発生が必要です。単なる「倒産しそう」では足りません(1項)。業界裏話ヒント:ただし一括評価金銭債権なら、個別の危機がなくても売掛金全体に繰入率を掛けて一定額を繰り入れられる(2項)。個別で落とせない債権も一括評価の母数に含めて間接的に損金化する二段構えが実務の定石
誤解です。前期に繰り入れた貸倒引当金は、翌期の益金に全額戻します(洗替法、10項)。つまり損失の消滅ではなく課税の一期先送りにすぎません。業界裏話ヒント:それでも価値はある。黒字が大きい期に繰り入れて課税を翌期へ繰り延べれば当期の資金繰りに余裕が生まれる。業績の山谷が激しい会社ほど、利益の大きい期に限度額いっぱい繰り入れて納税タイミングを操作するのが常道
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 計上のタイミング | 貸倒れ確定前の見込み段階(法人税法 52 条) | — |
| 対象法人 | 中小法人・銀行・保険・リース債権等を有する法人に限定 | — |
| 損金の性質 | 繰延べ(翌期に全額を益金へ戻す洗替) | — |
| 主な要件 | 損金経理+別表 11 の明細記載(3 項) | — |
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