要点法人税法60条の3は、欠損等法人が支配日時点で保有していた特定資産を適用期間内に譲渡・評価換え・除却して生じた損失を損金不算入とする規定。適用期間は原則3年である。
Q · 赤字会社を買収して、その会社が持っていた含み損の資産を売れば節税できますか?
買収から原則3年は、その売却損を損金にできません
法人税法60条の3により、欠損等法人が支配日の属する事業年度開始の日に有していた特定資産を、適用期間(適用事業年度開始の日から3年、ただし支配日から5年を経過する日まで)内に譲渡・評価換え・貸倒れ・除却した場合、そこから生じた譲渡等損失額は損金の額に算入されません。同一事業年度の適用期間内に生じた特定資産の利益がある場合は、これを控除した純額が対象となります。適用期間の満了後に処分すれば通常どおり損金算入できるため、処分時期の管理が実務上の分かれ目になります。
累積赤字と含み損を抱えた会社を安く買い取り、その損失であなたの本業の黒字を消す。会計の裏技のように語られるこの節税は、二重の網で封じられている。一つ目の網が57条の2で、買った会社の繰越欠損金を使わせない。そして60条の3が二つ目の網だ。買収した欠損等法人が、支配権が移った事業年度の開始時点で持っていた資産(含み損のある土地、株式、債権など)を、買収後に売却・評価減・貸倒れ・除却しても、そこから出た損失は損金に算入できない。適用期間はおおむね3年(適用事業年度開始から3年、ただし支配日から5年を超えない範囲)。つまり、赤字会社を買って含み損資産を吐き出させて節税する、という王道スキームの出口を塞ぐ条文である。あなたがM&Aで赤字会社を検討しているなら、この一条を見落とした瞬間、想定していた税務メリットが丸ごと蒸発する。
法人税法60条の3は、欠損等法人の特定資産に係る譲渡等損失額の損金不算入を定める規定である。特定資産とは、欠損等法人が支配日の属する事業年度開始の日に有する資産および適用事業年度開始の日以後の適格分割・適格現物出資等により移転を受けた資産のうち政令で定めるものをいう。57条の2の繰越欠損金制限と対をなす租税回避防止措置として機能する。
法人税法57条の2第1項に定める、特定株主等に支配された後に旧事業の廃止や規模の急拡大など一定の事由が生じた法人です。この認定を受けると繰越欠損金の使用と含み損資産の損失計上が同時に制限されます。
適用事業年度開始の日から3年を経過する日までです。ただしその日が支配日から5年を経過する日より後になる場合は、支配日から5年を経過する日で打ち切られます。二重の枠がかかる点が要注意です。
できます。譲渡等特定事由が生じた日の属する事業年度の適用期間内に、特定資産の譲渡・評価換え等による利益として政令で定める金額があれば、それを控除した純額が損金不算入の対象になります。
両方が同時に適用されます。57条の2が繰越欠損金の使用を封じ、60条の3が含み損資産の損失計上を封じます。繰越欠損金を諦めても60条の3は別枠で効いてくるため、片方だけの検討では足りません。
本条1項の括弧書きにより、64条の11から64条の13の時価評価損益の規定の適用を受ける事業年度があれば、適用期間はその事業年度終了の日で打ち切られます。3年を待たずに終期が前倒しされる仕組みです。
原則は支配日の属する事業年度開始の日に有していた資産が対象です。ただし適用事業年度開始の日以後に、他の者や関連者を分割法人等とする適格組織再編成等により移転を受けた資産のうち政令で定めるものも含まれます。
支配権移転の日付と、その後の資産処分損の計上時期を突き合わせるだけで判定できるため、確認されやすい論点です。支配日・適用期間・特定資産の三点を示す資料を買収時点から保存しておくことが実務上重要です。
本条は当該事業年度の所得計算上、損金の額に算入しないと定めるものです。取扱いの詳細は政令に委任されているため、繰越や取得価額への反映の有無を含め、必ず現行の政令および通達を確認してください。
違法ではありません。買収も損失の活用も適法です。ただし57条の2と60条の3が、支配権移転後に旧事業の廃止や規模の急拡大など一定の事由があると、繰越欠損金の使用と含み損資産の損失の損金算入を封じます。業界裏話ヒント:発動するかは「支配後に何をしたか」で決まります。買っただけなら網にかからないこともある。だから買収目的を『損失取り込み』一色にせず、事業上の合理性を書面で残すのが実務の鉄則です
逃げられません。60条の3第2項が、適格組織再編成で特定資産(評価損資産に限る)を移転した場合、移転先の合併法人等を欠損等法人とみなして同じ損金不算入を適用します。業界裏話ヒント:2項は資産を動かして網を逃れる典型スキームを狙い撃ちにした条文です。資産を移した瞬間、制限もセットで移転先へ引き継がれる。組織再編で回避を狙うほど、税務調査では逆に目立ちます
できます。60条の3の損金不算入は適用期間(適用事業年度開始から3年、支配日から5年以内)に生じた損失に限られ、期間満了後の譲渡損は通常どおり損金算入できます。業界裏話ヒント:だから実務では『あと何日で適用期間が明けるか』を逆算し、含み損資産の処分をその翌日以降にずらします。たった数日の差で数千万円の税負担が動くので、満了日はカレンダーに赤字で書き込むのが定石です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 封じる対象 | 60条の3:欠損等法人が支配日時点で持つ特定資産の含み損(譲渡等損失額) | — |
| 発動の入口 | 57条の2第1項の欠損等法人に該当すること(支配 + 旧事業廃止等の一定事由) | — |
| 期間制限 | 適用事業年度開始から3年、かつ支配日から5年以内(時価評価適用時は前倒し) | — |
| 資産を動かした場合 | 2項により移転先の合併法人等を欠損等法人とみなし、制限がそのまま引き継がれる | — |
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