要点法人税法62条の7は、支配関係5年未満で行う共同事業性のない適格組織再編成等について、引き継いだ含み損資産等の譲渡損失を損金不算入とする。5年超の継続支配なら適用外となる。
Q · 含み損を抱えた子会社を合併したら、その損は自社の黒字と相殺できる?
支配関係が5年未満なら損金にできません
法人税法62条の7により、支配関係のある法人と共同事業性のない適格合併・分割・現物出資等(特定適格組織再編成等)を行った場合、再編事業年度開始日から3年(支配関係発生から5年を経過する日が後ならその5年目まで)に生じる含み損資産の譲渡損失等は損金不算入となります。ただし、設立日または支配関係発生日から継続して5年を超えて支配していれば適用されず、含み損を自由に損金算入できます。カギは含み損の大きさではなく「支配関係がいつ始まったか」です。
赤字会社や含み損を抱えた会社を買って合併し、その損失で自社の黒字を相殺する。かつては節税の王道だったこの手法に、法人税法62条の7が正面から蓋をした。支配関係のある会社を「特定適格組織再編成等」(共同事業性のない、身内同士の適格合併・分割・現物出資・現物分配)で取り込んだ場合、一定期間に生じる「特定資産譲渡等損失額」を損金に算入させない。勝負を分けるのは支配関係が5年続いているかどうか。設立の日、または支配関係の発生から5年を超えて支配が続いていれば、この規制はまるごと外れる。逆に、5年に満たない駆け込みの買収・再編でその会社の含み損資産を売れば、その損は税務上なかったことにされる。しかも狙われるのは相手から引き継いだ資産(特定引継資産)だけではない。合併法人であるあなた自身が元々持っていた含み損資産(特定保有資産)も対象だ。制限期間は再編事業年度の開始日から3年、支配関係発生から5年を超える場合はその5年目まで。あなたが再編のスキームを描くとき、真っ先に確認すべきは「いつから支配していたか」の一点である。
法人税法62条の7は特定資産譲渡等損失額の損金不算入を定める規定であり、支配関係にある法人との共同事業性のない適格組織再編成等において、相手から引き継いだ特定引継資産および再編法人が支配関係発生前から保有していた特定保有資産に生じる譲渡・評価換え・貸倒れ・除却等の損失を、一定の制限期間内は所得計算上損金に算入させない。
支配関係発生前から保有していた資産(特定引継資産・特定保有資産)の譲渡・評価換え・貸倒れ・除却による損失から利益を差し引いた金額です。制限期間内はこれが損金不算入となります(法人税法62条の7第2項)。
支配関係法人との適格合併・適格分割・適格現物出資・適格現物分配等のうち、共同事業性のない身内同士の再編を指します。共同事業要件(57条4項)を満たす再編はこの規制の対象外です。
再編事業年度開始日の5年前の日、内国法人の設立日、支配関係法人の設立日のうち最も遅い日から継続して支配関係があるかで判定します。両社が生まれてから身内なら規制対象外です。
再編事業年度開始日から3年です。ただしその3年経過日が支配関係発生から5年経過日より前になる場合は、5年を経過する日まで延びます(62条の7第1項)。
特定引継資産は相手法人から再編で引き継いだ含み損資産、特定保有資産は再編法人が支配関係発生前から自ら保有していた含み損資産です。矢は両側から飛んできます。
通算加入後は64条の14という同型規制が起動します。通算承認の効力発生後は62条の7の特定保有資産分(第2項第2号)は「ないもの」とされ、64条の14へ引き継がれます(62条の7第7項)。
適用されません。非適格再編では資産が時価で引き継がれ含み損はその場で精算されるため、この3年〜5年の縛りは付きません。適格の恩恵と引き換えの制約です。
相手法人や再編法人が60条の3の欠損等法人で適用期間内の再編なら、引き継ぎ資産や保有資産について62条の7は適用されず、欠損等法人ルール側で処理されます(62条の7第4項・第5項)。
分けて考える必要があります。繰越欠損金の引継ぎには57条3項・4項の別の制限(みなし共同事業要件など)がかかり、資産の含み損にはこの62条の7がかかります。両方とも支配関係5年ルールが軸です。業界裏話ヒント:実務家は「欠損金の壁」と「含み損の壁」を二枚の別々の関門として設計します。片方だけクリアして安心すると、もう片方で損金を落とされる。両方を同じ支配関係のカレンダー上に並べて初めて全体が見える
内国法人の設立日、相手法人の設立日、そして再編事業年度開始日の5年前の日、この三つのうち最も遅い日から継続して支配関係があるかで判定します(62条の7第1項)。要は、両社が生まれてからずっと身内なら最初から規制対象外ということです。業界裏話ヒント:グループ内で会社を新設してから再編すると、その新設日が起算点になり5年を稼げないことが多い。器を先に作るスキームほど、この起算日で足をすくわれる
セーフです。損金不算入が発動するのは譲渡・評価換え・貸倒れ・除却など損失が実現する事由が起きたときで(62条の7第2項)、保有しているだけでは損は出ません。制限期間さえ過ぎれば売却して損金算入できます。業界裏話ヒント:だからこそ実務では「3年(または5年)待って売る」という時間差スキームが組まれる。急いで実現させると消える損が、待つだけで生き返る。焦って売った側だけが損をする構造です
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 封じる対象 | 62条の7:資産の含み損(特定資産譲渡等損失額) | — |
| 判定の軸 | 支配関係5年 + 共同事業性の有無 | — |
| 制限期間 | 再編事業年度開始日から3年(5年経過日が後ならその日まで) | — |
| 通算移行時の連動 | 64条の14へ引き継ぎ(62条の7第7項) | — |
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