要点法人税法 62 条の 8 は、非適格合併等で生じた税務上ののれんを資産調整勘定として計上し、当初計上額を 60 か月で均等に損金算入することを定める。適格合併等では生じない。
Q · 買収で払った「のれん代」は、税金の計算で経費にできるの?
非適格なら 60 か月で損金化、適格なら生じません
法人税法 62 条の 8 は、非適格合併等(適格に該当しない合併・分割・現物出資・事業譲受け)により資産・負債の移転を受けた場合、支払対価が移転資産・負債の時価純資産価額を超える部分のうち政令で定める金額を資産調整勘定として計上し、当初計上額を 60 か月で均等に減額して損金算入することを認めます。対価が時価純資産価額に満たなければ差額負債調整勘定として益金算入します。適格合併等では簿価引継ぎのため、これらの勘定は生じません。買収の入口設計(適格か非適格か)で買収後 5 年の税負担が丸ごと変わります。
あなたが 3 億円で同業他社の事業を買収したとする。その会社の資産と負債を時価で差し引きすると純資産は 2 億円しかない。では残りの 1 億円は何に消えたのか。ブランド、顧客リスト、従業員のノウハウ、つまり「のれん」だ。法人税法 62 条の 8 は、この 1 億円を「資産調整勘定」として計上し、60 か月(5 年)かけて毎年 2000 万円ずつ損金に落とすことを認める。5 年間で 1 億円の課税所得が消え、実効税率 30% なら約 3000 万円の節税になる。だが落とし穴がある。同じ買収でも「適格合併」の判子を押した瞬間、この資産調整勘定は一切生まれない。適格は簿価引継ぎだから、のれんも認識されず節税の道が閉じる。多くの経営者は「税金がかからない適格の方が得」と信じてストラクチャーを組むが、その選択が数千万円の節税機会を捨てていることに気づかない。
資産調整勘定とは、内国法人が非適格合併等により資産・負債の移転を受けた際、交付した対価の額が移転資産・負債の時価純資産価額を超える部分のうち政令で定める金額をいい、税務上ののれんに相当する。当該金額は当初計上額を 60 か月で除した金額に事業年度の月数を乗じて均等に減額され、各事業年度の損金に算入される。適格合併等では認識されない。
AI 輔助整理,以條文原文為準
非適格合併等で支払対価が時価純資産価額を超える部分のうち政令で定める金額で、税務上ののれんに相当します。60 か月で均等に損金算入します(法人税法 62 条の 8)。
60 か月(5 年)です。当初計上額を 60 で除し、当該事業年度の月数を乗じた金額を毎期損金算入します。会計上の任意償却(20 年以内)とは別軌道です。
違います。会計ののれんは 20 年以内の任意償却、税務の資産調整勘定は 60 か月の均等償却で固定です。金額も期間も一致しないため毎年の別表調整が必要です。
できます。非適格合併等では対価が時価純資産価額を超える部分が資産調整勘定になります。逆に適格合併等では簿価引継ぎのため計上できません。
非適格合併等で対価が時価純資産価額に満たない部分、いわゆる負ののれんです。60 か月で均等に益金算入します(法人税法 62 条の 8 第 3・7・8 項)。
会計上ののれん償却額と税務上の資産調整勘定減額のズレを、法人税申告の別表で毎期加算・減算調整します。両者の金額・期間の差が 5 年間続きます。
政令で定める事業の譲受けは非適格合併等に含まれるため、対価が時価純資産価額を超えれば資産調整勘定を計上できます。同時に消費税も別途課されます。
差額負債調整勘定として当初計上額を 60 か月で均等に減額し、減額した事業年度の益金に算入します(法人税法 62 条の 8 第 7・8 項)。
自動的には減りません。会計上ののれん償却と、税務上の資産調整勘定の減額(法人税法 62 条の 8 第 4 項・第 5 項)は別物です。税務は 60 か月の均等償却と決まっていて、会計の償却期間(20 年以内で任意)とずれるため、毎年の申告で別表調整が必要になります。業界裏話ヒント:会計士は会計基準で、税理士は税法で、それぞれ別の「のれん」を見ています。両者の期間設定が合っていないと、決算は黒字なのに税務では損金が残る(または逆)というズレが 5 年間続く。M&A 前にこの二つを突き合わせておく会社は驚くほど少ない
「税金がかからない」のは正確には「課税が繰り延べられる」だけです。適格合併(法人税法 62 条の 2)は資産を簿価で引き継ぐので、のれんも生まれず、資産調整勘定による損金(62 条の 8)も一切使えません。非適格プラスのれん 5 年償却の方が、買収後のキャッシュで有利になる場面があります。業界裏話ヒント:アドバイザーは手続きが単純な適格を勧めがちですが、それは彼らの都合でもある。買い手にとって非適格ののれん償却は年数千万円の節税になり得る。「なぜ適格を勧めるのか」を一度立ち止まって問う価値がある
言われる可能性があります。対価が時価純資産を大きく上回ると、その超過部分が資産調整勘定(のれん、法人税法 62 条の 8 第 1 項)になりますが、経済合理性を欠く過大な対価は寄附金(同法 37 条)と認定され、損金算入を否認されるリスクがあります。業界裏話ヒント:この線引きの防波堤が「第三者による株価・事業価値評価書」です。評価書があるかないかで、税務調査での主張の強さが段違いになる。買収を急ぐあまり評価を省くと、5 年後に否認されて追徴を食らう。評価費用は保険料と思うべき
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| のれんの認識 | 62 条の 8:非適格で資産調整勘定(税務上ののれん)を認識 | — |
| 課税のタイミング | 60 か月で均等に損金(負ののれんは益金)算入 | — |
| 対価過大時のリスク | 超過額が資産調整勘定、ただし過大は寄附金認定の余地 | — |
| 根拠・防波堤 | 第三者評価書+施行令 123 の 10 の計算範囲 | — |
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