都市計画法 第26条(障害物の伐除及び土地の試掘等)
クイックジャンプ
- 前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行う者は、その測量又は調査を行うに当たり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくは垣、柵等(以下「障害物」という。)を伐除しようとする場合又は当該土地に試掘若しくはボーリング若しくはこれらに伴う障害物の伐除(以下「試掘等」という。)を行おうとする場合において、当該障害物又は当該土地の所有者及び占有者の同意を得ることができないときは、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて当該障害物を伐除し、又は当該土地の所在地を管轄する都道府県知事(市の区域内にあつては、当該市の長。以下「都道府県知事等」という。)の許可を受けて当該土地に試掘等を行うことができる。この場合において、市町村長が許可を与えようとするときは障害物の所有者及び占有者に、都道府県知事等が許可を与えようとするときは土地又は障害物の所有者及び占有者に、あらかじめ、意見を述べる機会を与えなければならない。
- 2.前項の規定により障害物を伐除しようとする者又は土地に試掘等を行なおうとする者は、伐除しようとする日又は試掘等を行なおうとする日の三日前までに、その旨を当該障害物又は当該土地若しくは障害物の所有者及び占有者に通知しなければならない。
- 3.第一項の規定により障害物を伐除しようとする場合(土地の試掘又はボーリングに伴う障害物の伐除をしようとする場合を除く。)において、当該障害物の所有者及び占有者がその場所にいないためその同意を得ることが困難であり、かつ、その現状を著しく損傷しないときは、国土交通大臣、都道府県若しくは市町村又はその命じた者若しくは委任した者は、前二項の規定にかかわらず、当該障害物の所在地を管轄する市町村長の許可を受けて、ただちに、当該障害物を伐除することができる。この場合においては、当該障害物を伐除した後、遅滞なく、その旨をその所有者及び占有者に通知しなければならない。
この条文の基本情報
障害物の伐除及び土地の試掘等とは何ですか?
定義障害物の伐除及び土地の試掘等とは、都市計画法第26条に定められた規定で、「前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行う者は、その測量又は調査を行うに当たり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくは垣、…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 都市計画法第26条(障害物の伐除及び土地の試掘等)は、日本の都市計画法に含まれる条文です。
- 都市計画法第26条の条文原文は「前条第一項の規定により他人の占有する土地に立ち入つて測量又は調査を行う者は、その測量又は調査を行うに当たり、やむを得ない必要があつて、障害となる植物若しくは垣、…」で始まります。
- 都市計画法第26条は第二節 都市計画の決定及び変更に置かれています。
- 都市計画法の公布日は昭和43年6月15日です。
- 都市計画法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 都市計画法第26条の前の条は都市計画法第25条です。
- 都市計画法第26条の次の条は都市計画法第27条です。
- 都市計画法第26条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第26条 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/343AC0000000100 - 本サイト収録
都市計画法(昭和四十三年法律第百号)第26条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/343AC0000000100/26
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点都市計画法26条は、同意が得られない場合でも市町村長の許可で障害物を伐除し、都道府県知事等の許可で試掘等を行えると定める。実施の三日前までの通知が必要である。
Q · 同意していないのに、庭木や生け垣を行政に伐られることがあるんですか?
あります。ただし通知と意見聴取が必要です
都市計画法26条1項により、立入測量・調査に当たりやむを得ない必要がある場合、所有者及び占有者の同意が得られなくても、障害物の伐除は市町村長の許可、試掘・ボーリング等は都道府県知事等(市の区域内は市長)の許可を受けて実施できます。ただし許可を与える前に所有者及び占有者へ意見を述べる機会を与えなければならず(1項後段)、実施の三日前までに通知が必要です(2項)。所有者が不在で同意が困難かつ現状を著しく損傷しない伐除は、事後通知で足ります(3項)。
解説
ある朝、自宅の生け垣が切られている。作業員は「都市計画の調査で入った」と言う。警察を呼ぶ話に見えるが、実はこの伐採、法律上は完全に適法な可能性がある。都市計画法26条は、都市計画の基礎調査のために他人の土地に立ち入る者に対し、あなたが同意しなくても、市町村長の許可さえあれば垣・柵・植物を伐り除く権限を与えている。土地に穴を掘る試掘やボーリングも、都道府県知事等(市の区域内なら市長)の許可で可能だ。ただし、ここからがあなたの武器になる。同意なしで進めるには、行政は事前にあなたへ「意見を述べる機会」を与えなければならず、実行の三日前までに通知しなければならない。つまり、ある日突然切られるのは原則として違法である。あなたが持っているのは拒否権ではなく、手続を踏ませる権利だ。そしてこの手続違反は、後の損害賠償や許可の取消しを争う足場になる。
法的な位置づけ
都市計画法26条は、同法25条1項に基づく立入測量・調査に伴う障害物の伐除及び試掘等の手続を定める規定である。所有者及び占有者の同意が得られない場合、伐除は市町村長、試掘等は都道府県知事等の許可を要し、許可前の意見陳述機会の付与と実施三日前までの通知が義務づけられる。
手順・フロー
AI による整理。効力は条文原文が基準です
手順
- 1.根拠条文と許可権者を確認する 伐除や試掘を予告されたら、都市計画法26条のどの項によるものか、許可を出したのが市町村長か都道府県知事等かを確認する。伐除は市町村長、試掘等は都道府県知事等(市の区域内は市長)であり、権者を誤った許可は手続の瑕疵となる
- 2.通知書と封筒を日付入りで保存する 受領日をその場で記録し、封筒と消印を保存する。26条2項の三日前要件を満たしているかが後に争点化したとき、日付証拠を持つ側が有利になる。行政側が発送記録を提出できない例も実務上ある
- 3.意見陳述の機会に代替案を書面で提出する 許可が出る前の意見陳述(26条1項後段)が唯一の交渉局面。伐除範囲の限定、迂回可能な測点、試掘位置の変更を図面付きの書面で提示する。争点を残したまま許可を出すことを行政は避けたがるため、範囲が縮小されることが多い
- 4.実施前後の現況写真を撮影する 伐除・試掘の前後で、樹種・樹齢・植栽位置が分かる写真を撮る。都市計画法27条の損失補償の協議では、補償額の根拠資料の有無で結論が大きく変わる。植栽時の領収書があれば併せて保存する
- 5.手続違反があれば不服申立てを検討する 三日前通知や意見陳述の機会がなかった場合、許可処分に対する審査請求・取消訴訟、及び損害賠償の検討に入る。伐除が完了すると訴えの利益が失われやすいため、実施前に動くほど選択肢が広い
よくある質問 AI による整理
Q1都市計画法26条の障害物の伐除とは何ですか?
立入測量・調査の障害となる植物や垣・柵等を伐り除くことです。所有者及び占有者の同意が得られないときは、市町村長の許可を受けて実施できます。
Q2庭木を伐る許可を出すのは誰ですか?
障害物の伐除は障害物の所在地を管轄する市町村長です。試掘やボーリング等は土地の所在地を管轄する都道府県知事等(市の区域内は市長)で、許可権者が分かれています。
Q3試掘やボーリングも同意なしでできるのですか?
できます。都市計画法26条1項は、同意が得られないとき都道府県知事等の許可を受けて試掘等を行えると定めます。ただし事前の意見陳述機会と三日前通知が必要です。
Q4伐除の通知は何日前に来ますか?
実施しようとする日の三日前までです(26条2項)。障害物又は土地の所有者及び占有者の双方に通知が必要で、この期間を欠く実施は手続の瑕疵を帯びます。
Q5借りている土地でも通知は来ますか?
来ます。26条は所有者「及び」占有者の双方に意見陳述の機会と通知を求めています。借地人・賃借人も当事者であり、所有者を通す必要はありません。
Q6立入調査を拒否したら罰則はありますか?
都市計画法には立入りの拒否・妨害に対する罰則規定があります(92条)。現場で実力阻止するより、許可の有無と通知の適法性を書面で争うのが安全です。
Q7意見を述べる機会では何ができますか?
伐除の必要性そのものより、範囲の限定や代替地点の提案が現実的です。書面で代替案を出すと、許可申請の内容自体が修正されることがあります。
Q8市の区域内では許可権者が変わるのですか?
試掘等については変わります。原則は都道府県知事ですが、市の区域内では当該市の長が許可権者です。障害物の伐除は一貫して市町村長です。
この条文についての質問 AI による整理
Q1許可が出たら、もう庭木を伐られるのを止める方法はないんですか?
許可自体は行政処分であり、審査請求や取消訴訟で争えます。ただし実務では伐除が先に完了してしまい、訴えの利益が失われがちです。実務のポイント:本当の勝負は許可前の意見陳述(26条1項後段)にあります。行政は争点を抱えたまま許可を取りたがらないため、この段階で代替案を書面で出すと伐除範囲が実際に縮小されることが多い。許可後に弁護士へ駆け込む人ほど、この無料のカードを使い切っていない
Q2伐られた木の代金は誰が払ってくれるんですか?
都市計画法27条により、立入り、伐除、試掘等によって損失を受けた者に対して、当該行為を行った者が通常生ずべき損失を補償します。庭木や垣の価値、原状回復費用が対象です。実務のポイント:補償額は協議で決まり、協議が整わないときは収用委員会の裁決を求める道があります。行政の初回提示額は控えめなことが多く、伐採前の樹木の写真、樹種、樹齢、植栽時の領収書を持っている人と持っていない人では、最終的な補償額が大きく変わる
Q3留守にしている間に勝手に伐られていました。これは違法ですよね?
必ずしも違法とは限りません。26条3項は、所有者及び占有者がその場所にいないため同意を得ることが困難で、かつ現状を著しく損傷しないときは、市町村長の許可を受けて直ちに伐除でき、事後通知で足りるとしています。ただし試掘またはボーリングに伴う伐除はこの例外から除かれます。実務のポイント:争点は「著しく損傷しない」の評価に集まります。枝払い程度か、幹ごと除去したかで結論が変わるため、被害を見つけた瞬間の写真が決定的な証拠になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「自分の土地の木を勝手に伐られるはずがない、同意しなければ済む話だ」と考えがちだが、26条はまさに同意が得られないときのための条文である。同意拒否は手続を止めるのではなく、行政を許可申請という次の段階へ進ませるだけだ
- 立入調査の権限があることは知っていても、その深刻度を見落としている人が多い。26条が認めるのは「見る」ことではなく、植物や垣・柵を物理的に伐り除くこと、さらに地面を掘る試掘・ボーリングまで含む。原状回復を前提とした一時的な立入とは、侵襲の深さが桁違いである
- 「伐採を止められるか」を問いにしてしまう人が多いが、問いの立て方自体がずれている。実務上、伐除の必要性そのものを覆すのは難しい。勝負どころは範囲の限定(どの木まで伐るか)、代替手段の提示、そして損失補償(27条)の金額であり、そこに交渉の余地が集中している
- あなたから見れば「庭木を無断で伐った器物損壊」でも、法律から見れば「許可に基づく適法行為」になりうる。この落差を知らずに感情的に作業員と衝突すると、公務執行妨害の側に回る危険すらある。争う先は現場の作業員ではなく、許可を出した市町村長の判断である
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規律する行為 | 26条:障害物の伐除・試掘等(原状が戻らない侵襲) | 25条:他人の占有する土地への立入り・測量・調査 27条:立入り・伐除・試掘による損失の補償 |
| 必要な許可 | 伐除=市町村長、試掘等=都道府県知事等(市の区域内は市長) | 許可ではなく立入りの通知が前提 許可の問題ではなく補償協議の問題 |
| 事前手続 | 意見を述べる機会の付与+実施三日前までの通知 | 立入りに関する事前の通知等 協議、整わないときは収用委員会の裁決 |
| 所有者側の主戦場 | 伐除範囲の限定・代替地点の提示・手続違反の指摘 | 立入りの態様・時間帯の調整 通常生ずべき損失の額の立証 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾も事業準備のための進入調査勘測を認め、障礙物の遷移・伐除には事前通知と補償を要求する。通知期間を明文化する点で日本26条2項と同型
韓国は立入り・장애물 제거・시험굴착を同一条で規律し、허가と사전 통지を要求。損失補償は別条で手当てされる構造も日本と近い
ドイツは所有者・占有者に受忍義務(Duldungspflicht)を課す構成をとり、事前告知と損失補償で均衡を図る。許可制ではなく受忍義務構成である点が日本と異なる
米国は収用前の立入り・試掘について裁判所の命令(order for entry)を要する州があり、司法的統制が前置される点で、行政庁の許可で完結する日本と対照的
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 区画整理の話が出ている地区で、自宅の生け垣に測量テープが巻かれていた。数日後、市の委託業者が「伐らせてほしい」と言ってくる。あなたが断れば終わりだと思っていたが、業者は市町村長の許可申請へ動く。あなたに残されたカードは拒否ではなく、意見陳述の場で「この部分は伐らずに迂回できる」と代替案を突きつけること
- もし、通知も意見聴取もないまま、ある日突然庭木が伐られていたら? それは26条2項の三日前通知義務違反の疑いがある。ただし3項の例外(所有者が不在で同意困難、かつ現状を著しく損傷しない場合)に当たれば事後通知で足りる。どちらに当たるかで、あなたの立場は真逆になる
- あなたは土地を借りて資材置き場にしている占有者で、所有者は遠方の地主。行政が来たとき「所有者に聞いてくれ」と言いたくなるが、26条は所有者「及び」占有者の双方に意見陳述と通知を求める。あなたは当事者であり、あなたを飛ばした手続は瑕疵を帯びる
- 工事を請け負った側の視点。発注者から「同意が取れないので急いで伐ってくれ」と言われた。許可なく伐れば、あなたが器物損壊や不法行為の責任を負う側になる。許可証の写しと通知発送の記録を確認するまで、チェーンソーを入れてはならない
- あと三日。通知書に書かれた試掘の実施日が迫っている。今日中に意見書を出すか、代替地点を提案するか、それとも黙って当日を迎えるか。黙って迎えれば、掘られた後に「聞いていない」とは言えなくなる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 伐除や試掘が予告されたら、まず根拠条文と許可権者を確認する。障害物の伐除は市町村長、試掘等は都道府県知事等(市の区域内は市長)と許可権者が分かれており、誤った長の許可であれば手続の瑕疵になる2. 通知書と封筒を日付入りで保存し、三日前要件の充足を検証する3. 意見陳述の機会では、伐除範囲の限定と代替地点を書面で提示する4. 実施前後の現況写真を必ず撮影し、27条の損失補償請求の基礎資料にする
訴えられた側:1. 行政側または受託業者として作業に入る前に、許可書の写し、通知の発送記録、意見陳述の機会を与えた記録の三点を揃える2. 3項の緊急的な伐除を使う場合は、所有者及び占有者の不在と現状を著しく損傷しないことの両方を現場写真で立証できるようにし、事後通知を遅滞なく行う3. 試掘に伴う障害物の伐除は3項の対象外である点を混同しない4. 必要最小限を超えた伐除は、許可があっても損害賠償の対象になりうる
時効(請求できる期限):実施の三日前までの通知が法定要件(26条2項)。3項の場合は伐除後遅滞なく事後通知。許可という行政処分を争うなら、審査請求は処分を知った日の翌日から3か月以内、取消訴訟は6か月以内(行政不服審査法18条、行政事件訴訟法14条)。損失補償の請求には特定の時効規定がないが、一般の消滅時効(民法166条、権利行使できると知った時から5年または権利行使できる時から10年)が問題となりうる(最新の改正状況をご確認ください)
学説
通説(行政法・都市法):26条は財産権に対する強度の制約であるため、拒否権を与えない代償として、許可・事前意見陳述・三日前通知という三段の手続的統制を置いたものと理解される。手続要件の欠缺は許可処分の違法事由及び国家賠償上の違法評価の基礎となりうる
ログインすると、この条文にメモを残して他の利用者と共有できます。
ログインして共同ノートを始める