水質汚濁防止法 第20条の2(賠償についてのしんしやく)
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第十九条第一項に規定する損害の発生に関して、天災その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任及び額を定めるについて、これをしんしやくすることができる。
この条文の基本情報
賠償についてのしんしやくとは何ですか?
定義賠償についてのしんしやくとは、水質汚濁防止法第20条の2に定められた規定で、「第十九条第一項に規定する損害の発生に関して、天災その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任及び額を定めるについて、これをしんしやくすることができ…」と規定しています。
出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)
- 水質汚濁防止法第20条の2(賠償についてのしんしやく)は、日本の水質汚濁防止法に含まれる条文です。
- 水質汚濁防止法第20条の2の条文原文は「第十九条第一項に規定する損害の発生に関して、天災その他の不可抗力が競合したときは、裁判所は、損害賠償の責任及び額を定めるについて、これをしんしやくすることができ…」で始まります。
- 水質汚濁防止法第20条の2は第四章 損害賠償に置かれています。
- 水質汚濁防止法の公布日は昭和45年12月25日です。
- 水質汚濁防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
- 水質汚濁防止法第20条の2の前の条は水質汚濁防止法第20条です。
- 水質汚濁防止法第20条の2の次の条は水質汚濁防止法第20条の3です。
- 水質汚濁防止法第20条の2には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。
この条文を引用する
下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。
- 正式書式
水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第20条の2 - 官報・e-Gov
e-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000138 - 本サイト収録
水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第20条の2(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/345AC0000000138/20_2
わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です
要点水質汚濁防止法20条の2は、有害物質による健康被害の無過失責任に天災等の不可抗力が競合したとき、裁判所が賠償の責任と額をしんしゃくできると定める。免責ではなく裁量である。
Q · 工場の排水事故が豪雨のせいだったら、賠償金は減るの?
減る余地はあるが、減らすかは裁判所の裁量
水質汚濁防止法20条の2により、有害物質による健康被害(19条1項)の発生に天災その他の不可抗力が競合した場合、裁判所は賠償の責任と額を定める際にその事情をしんしゃくできます。ただし条文は「しんしゃくすることができる」と定めるだけで、減額は義務ではありません。浸水履歴がある場所や予見できた豪雨では不可抗力と評価されにくく、天災の寄与を主張・立証するのは事業者側です。
解説
無過失責任と聞くと、工場側に逃げ道は一切ないと思うだろう。水質汚濁防止法19条は、カドミウムやシアンなどの有害物質を含む汚水や廃液が排出され、または地下に浸透して人の生命・身体を害したとき、事業者に過失がなくても賠償責任を負わせる。本条は、その責任に一か所だけ調整の余地を残している。豪雨、地震、津波などの天災その他の不可抗力(人の力ではどうにも防げない出来事)が被害の発生に重なっていた場合、裁判所は責任の有無と賠償額を決めるときに、それを「しんしゃく」(事情として考慮し、割り引くこと)できる。押さえるべき点は三つある。第一に、条文は「免責する」ではなく「しんしゃくすることができる」と書いている。割り引くかどうか、どこまで割り引くかは裁判所が決める。第二に、予見できた豪雨や、ハザードマップで浸水が想定されていた場所での流出は、そもそも不可抗力と評価されにくい。第三に、天災を理由に割り引いてほしいのは事業者なので、その事情を主張し、証拠を出すのも事業者の側になる。被害者から見れば、相手が「天災のせい」と言い出したら、それが反論の準備を始める合図である。
法的な位置づけ
水質汚濁防止法20条の2は、同法19条1項の無過失損害賠償責任について、損害の発生に天災その他の不可抗力が競合した場合、裁判所が損害賠償の責任及び額を定める際にその事情をしんしゃくできる旨を定める規定である。不可抗力を理由とする当然の免責規定ではなく、裁判所の裁量による減責規定として位置づけられる。
よくある質問 AI による整理
Q1水質汚濁防止法20条の2とは何ですか?
有害物質による健康被害の無過失責任(19条1項)について、天災などの不可抗力が損害の発生に重なった場合に、裁判所が賠償の責任と額を割り引けると定めた規定です。
Q2不可抗力とはどんな出来事を指しますか?
人の力では予見も回避もできない外部の出来事です。地震、津波、記録的豪雨などが典型ですが、予見できた災害や対策で防げた被害は不可抗力と評価されにくくなります。
Q3しんしゃくとはどういう意味ですか?
事情を考慮に入れて判断することです。本条では、天災が被害に寄与した事情を考慮し、裁判所が賠償責任の有無や金額を割り引けることを意味します。
Q4天災による公害の賠償責任は誰が負いますか?
有害物質を排出した事業者が19条1項により無過失責任を負います。天災が競合しても責任は当然には消えず、本条により裁判所が減額を判断します。
Q5地震で工場の有害物質が漏れたら違法ですか?
民事の賠償責任は19条1項により過失がなくても生じえます。地震の寄与は本条でしんしゃくされる余地がありますが、耐震対策の不備があれば割引は限定されやすいです。
Q6水質汚濁防止法の無過失責任はどこまで及びますか?
19条1項の対象は、有害物質を含む汚水等の排出・地下浸透によって人の生命または身体を害した場合です。漁業被害などの財産損害は原則として民法709条のルートになります。
Q7不可抗力を主張するのは誰の責任ですか?
賠償額を割り引いてほしいのは事業者なので、天災の規模や予見不可能性、講じた対策を主張・立証するのは実務上、事業者の側になります。
Q8大気汚染にも同じような減額規定はありますか?
大気汚染防止法にも、無過失責任に天災等が競合した場合のしんしゃく規定が置かれています(同法25条の3、現行効力は要確認)。両法は同じ改正で整備されました。
この条文についての質問 AI による整理
Q1工場は大雨のせいだって言ってるけど、それで賠償ゼロになることってあるの?
条文上は「責任及び額」をしんしゃくするとあるので、理論上は責任そのものが否定される余地も残る(20条の2)。ただし19条が無過失責任を定めた趣旨からすれば、ゼロになるのは極めて例外的と考えるべきである。この種の裁判例は多くなく、実務の判断基準はまだ固まっていない。実務のポイント:勝負を分けるのは気象の規模よりも、過去の同じ程度の雨でどうなっていたかである。同程度の降雨が近年あったことを気象庁の過去データで示せれば、「想定外」の主張は一気に崩れる
Q2川の魚が大量に死んだんだけど、この法律で工場に払わせられる?
19条の無過失責任が及ぶのは人の生命・身体の被害に限られる。漁業被害などの財産的損害は、原則として民法709条で工場の過失を立証する必要があり、本条の出番はそもそも限られる。実務のポイント:過失の立証が重いときは、都道府県の公害審査会による調停や、公害等調整委員会の裁定を使うと、専門的な調査を低い費用で進められる場合がある。訴訟を始める前にこのルートを比較する弁護士は意外と少ない
Q3排水基準はちゃんと守ってたのに、事故の責任まで負うの?
負いうる。19条は過失を要件としておらず、ふだん基準を守っていたことは免責の理由にならない。天災が重なった場合でも、本条による割引は裁判所の裁量にとどまる(20条の2)。実務のポイント:事業者側が本当に備えるべきは平常時の水質記録ではなく、豪雨や地震のときの貯留槽・配管の対策記録である。「非常時に何をしていたか」の書類が、法廷で最も重い証拠になる
間違えやすい点 AI による整理
- 「天災が原因なら工場は払わなくていい」と思われがちだが、条文が認めているのは免責ではなく「しんしゃく」である。裁判所は責任や額を割り引くことが「できる」だけで、割り引く義務はない。天災が絡んでいても全額賠償という結論は十分にありうる
- 「あれは天災だったのか、人災だったのか」という二択で争うのは、問いの立て方がずれている。本条が想定しているのは、排出と天災が「競合」した場面である。問うべきは、天災が被害にどれだけ寄与したか、そして事業者の備えでその寄与をどこまで防げたかである。白か黒かではなく割合の勝負になる
- 事業者から見れば「排水基準は守っていたし、豪雨は想定外だった」で説明は尽きている。だが法律から見れば、19条は基準の遵守を免責の理由にしておらず、本条の不可抗力も「予見できず、避けられなかった」ことが前提になる。浸水想定区域に貯留槽を置いていたこと自体が、しんしゃくを拒む理由として扱われうる。この落差に気づかないまま交渉に臨むと、立場が一気に崩れる
| 比較の観点 | この条文 | ほかの条文 |
|---|---|---|
| 規定の役割 | 水濁法20条の2:天災等の不可抗力が競合した場合のしんしゃく | 水濁法19条:有害物質による健康被害の無過失責任の本体 水濁法20条:複数事業者のうち寄与度が著しく小さい者の額のしんしゃく |
| 考慮される事情 | 天災その他の不可抗力の競合 | 事業者の過失の有無は問わない 他の事業者との関係での原因の程度 |
| 効果 | 責任及び額をしんしゃくできる(裁量) | 損害賠償責任が発生する 損害賠償の額をしんしゃくできる(裁量) |
| 主張する側 | 減額を求める事業者 | 請求する被害者 減額を求める寄与度の小さい事業者 |
他国ではどう定めているか 4 か国
台湾の水汚染防治法には本条のような不可抗力しんしゃく規定はなく、民法の危険活動責任と過失相殺の一般法理で調整する構造
韓国は無過失責任を定めつつ、天災地変等の不可抗力を免責事由として明文化しており、裁量的しんしゃくにとどまる日本より事業者寄り
ドイツは höhere Gewalt による損害について賠償義務を否定する免責型で、割合的しんしゃくの日本とは効果が異なる
米国は act of God を唯一の原因とする場合に限り抗弁を認め、競合原因では抗弁が成立しにくい
AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です
想定される場面と対応 AI による整理
こんなときに使う
- 線状降水帯で工場のめっき液貯留槽があふれ、下流の井戸水を飲んでいた住民に健康被害が出た。会社は「記録的豪雨だった」と繰り返す。だが同じ敷地が過去10年で3回浸水していたなら、本当に不可抗力と言えるのか。天災に見えても予見できた事故であれば、しんしゃくの対象から外れうる
- 地震で配管が破断し、六価クロムが地下に浸透して近隣住民の健康被害につながったら、工場は全額を払うことになるのか? 19条によって責任そのものは負う。そのうえで本条により、裁判所が地震の寄与分を割り引く余地がある。ただし、耐震点検を怠っていたせいで広がった被害まで割り引かれるとは限らない
- あなたは中小めっき工場の二代目。台風の翌週、住民の代理人から内容証明が届いた。回答期限まであと14日。気象庁の観測記録、設備点検簿、台風接近前にとった対応の記録を今すぐ押さえなければ、「不可抗力」という主張は根拠のない言い訳で終わる
- 渇水で川の流量が激減し、ふだんなら薄まっていた排水の濃度が跳ね上がった。自然現象の競合として争点になりうる。
- 漁協の友人から「台風のせいなら諦めるしかないのか」と相談された。最初に確認すべきは被害の中身である。19条の無過失責任が及ぶのは人の生命・身体の被害に限られ、魚や養殖いけすの損害は原則として民法709条で過失を立証する別ルートになる。本条の出番がそもそもあるのかどうかが、そこで分かれる
取るべき行動
被害を受けた側:1. 診断書、通院記録、水質検査の結果を確保し、被害が生命・身体に関わるもの(19条の対象)か、財産の損害(民法709条のルート)かを整理する2. 相手が天災を持ち出してきたら、過去の浸水履歴、ハザードマップ、設備の点検状況を調べ、予見できたかどうかの材料を集める3. 賠償額の割引は裁判所の裁量なので、天災の寄与は小さいという主張を具体的な数字で組み立てる4. 訴訟の負担が重ければ、都道府県の公害審査会による調停や公害等調整委員会の手続も比較検討する
訴えられた側:1. 気象庁の観測データ、被災直後の設備の写真、直前の点検記録を直ちに保全する2. 天災の規模が予見の範囲を超えていたことと、とりうる対策をとっていたことを、あわせて立証できるよう準備する3. 被害のうち天災が寄与した割合について、専門家の意見書を検討する4. 保険約款の汚染免責の範囲を確認し、保険会社へ早めに通知する5. 割引はあくまで裁量なので、全額賠償となった場合も想定して和解の選択肢を並行して試算する
時効(請求できる期限):人の生命・身体を害した場合、損害と賠償義務者を知った時から5年、行為の時から20年で請求権が消滅するのが原則である(民法724条、724条の2)。水質汚濁防止法20条の3の時効特則との関係も含め、正確な期間は(最新の改正状況をご確認ください)
学説
一般的理解:本条は19条1項の無過失責任を前提に、損害の発生に自然力が寄与した部分を公平の見地から調整する裁量規定と理解される。予見可能性・回避可能性が認められる場合には不可抗力に当たらず、しんしゃくは否定されやすい。
改正沿革 AI による整理
- 昭和47年(1972年) 大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律で、19条の無過失損害賠償責任とあわせて本条が設けられたとみられる。その後の文言改正の有無は要検証
改正の年表
- 1.昭和47年(1972年) 新設:大気汚染防止法及び水質汚濁防止法の一部を改正する法律により、19条の無過失損害賠償責任とあわせて設けられた。その後の文言改正の有無は要検証
- 水質汚濁防止法 第19条しんしゃくの対象となる無過失責任の本体
- 水質汚濁防止法 第20条複数事業者の寄与度によるしんしゃく
- 水質汚濁防止法 第20条の3損害賠償請求権の消滅時効(現行効力を要確認)
- 水質汚濁防止法 第1条被害者保護を掲げる目的規定
- 民法 第709条過失責任の一般原則、財産被害の請求根拠
- 民法 第722条損害賠償額の減額調整の一般法理
- 大気汚染防止法 第25条の3大気版の同旨しんしゃく規定(現行効力を要確認)
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