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出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)e-Gov法令検索出典公布 収録時点 令和8年7月4日読了 7 分7 分7 分

水質汚濁防止法 第19条(無過失責任)

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  1. 工場又は事業場における事業活動に伴う有害物質の汚水又は廃液に含まれた状態での排出又は地下への浸透により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出又は地下への浸透に係る事業者は、これによつて生じた損害を賠償する責めに任ずる。
  2. 2.一の物質が新たに有害物質となつた場合には、前項の規定は、その物質が有害物質となつた日以後の当該物質の汚水又は廃液に含まれた状態での排出又は地下への浸透による損害について適用する。

この条文の基本情報

無過失責任とは何ですか?

定義無過失責任とは、水質汚濁防止法第19条に定められた規定で、「工場又は事業場における事業活動に伴う有害物質の汚水又は廃液に含まれた状態での排出又は地下への浸透により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出又は地下への浸透…」と規定しています。

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)

  1. 水質汚濁防止法第19条(無過失責任)は、日本の水質汚濁防止法に含まれる条文です。
  2. 水質汚濁防止法第19条の条文原文は「工場又は事業場における事業活動に伴う有害物質の汚水又は廃液に含まれた状態での排出又は地下への浸透により、人の生命又は身体を害したときは、当該排出又は地下への浸透…」で始まります。
  3. 水質汚濁防止法第19条は第四章 損害賠償に置かれています。
  4. 水質汚濁防止法の公布日は昭和45年12月25日です。
  5. 水質汚濁防止法について、LawPlayer が e-Gov法令検索から取得した令和8年7月4日時点では廃止情報はありません。
  6. 水質汚濁防止法第19条の前の条は水質汚濁防止法第18条です。
  7. 水質汚濁防止法第19条の次の条は水質汚濁防止法第20条です。
  8. 水質汚濁防止法第19条には、要件・効果とよくある質問をまとめた解説が本ページにあります。

この条文を引用する

下の三行はそのまま引用に使えます(法令番号・条番号・出典・取得日を含みます)。

  • 正式書式水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第19条
  • 官報・e-Gove-Gov法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/345AC0000000138
  • 本サイト収録水質汚濁防止法(昭和四十五年法律第百三十八号)第19条(LawPlayer 収録、取得日 令和8年7月4日)https://lawplayer.com/jp/article/345AC0000000138/19

わかりやすく解説 AI による整理。効力は条文原文が基準です

要点水質汚濁防止法19条は、事業場からの有害物質の排出・地下浸透で人の生命・身体を害した事業者に、故意・過失がなくても賠償責任を負わせる規定。財産被害は対象外。

Q · 工場が排水基準を守っていても、住民の健康被害を賠償しなければならないの?

はい。健康被害なら過失がなくても事業者は賠償責任を負う

水質汚濁防止法19条により、工場や事業場から有害物質を含む汚水・廃液を排出し、又は地下へ浸透させて人の生命・身体を害した事業者は、故意・過失がなくても損害賠償責任を負います。排水基準の遵守は免責事由になりません。ただし対象は生命・身体の被害に限られ、財産被害は民法709条で過失を立証する必要があります。因果関係の立証は被害者側に残ります。

解説

排水基準を守っていて、担当者にも落ち度がなかった。それでも会社は賠償を払う。水質汚濁防止法19条は、工場や事業場から有害物質(カドミウム、鉛、水銀、トリクロロエチレンなど、政令で指定された物質)を含む排水を流したり、地下へしみ込ませたりして、人の生命や身体を害した事業者に、故意・過失がなくても損害を賠償させる。民法709条の「過失の立証」という最大の壁を、被害者側から取り除いた条文である。ただし、どんな損害にも使えるわけではない。守られるのは「人の生命・身体」だけで、養殖魚の全滅や田畑の汚染といった財産被害には19条は使えず、民法709条に戻って過失を立証することになる。そして、無過失責任になっても「その排水が病気の原因だ」という因果関係の立証は被害者側に残る。住民の立場なら健康被害の記録から、事業者の立場なら排水と地下浸透の記録から、先に手を付けることになる。

法的な位置づけ

水質汚濁防止法19条は、工場又は事業場の事業活動に伴い、有害物質を含む汚水又は廃液の排出又は地下への浸透によって人の生命又は身体を害した場合、当該事業者に故意・過失を要件としない損害賠償責任(無過失責任)を課す規定である。民法709条の過失責任原則に対する特則であり、有害物質指定日前の排出等には適用されない。

手順

  1. 1.健康被害の医療記録を集める 診断書、検査値の推移、通院記録を集め、症状が現れた時期と経過を時系列で特定する。慢性的な被害では、いつ異常が判明したかが時効の起算点にも関わる
  2. 2.水質データと汚染源の位置関係を整理する 自治体が公表している公共用水域・地下水の水質測定結果を入手し、汚染源と疑われる事業場と自宅・井戸の位置関係を地図にまとめる。因果関係立証の中核材料になる
  3. 3.健康被害と財産被害を分けて請求を組み立てる 生命・身体の被害は水質汚濁防止法19条(無過失責任)、家屋・農地・漁業などの財産被害は民法709条(過失の立証が必要)と、根拠条文を分けて請求を構成する
  4. 4.時効を止めつつ訴訟以外の手段も検討する 時効の期限が近い場合は内容証明郵便で催告する。あわせて公害健康被害の補償等に関する法律の認定制度や、公害等調整委員会の調停・裁定など、訴訟以外の手段を並行して検討する

よくある質問 AI による整理

Q1水質汚濁防止法19条とは何ですか?

有害物質を含む排水の排出や地下浸透で人の生命・身体を害した事業者に、過失がなくても損害賠償責任を負わせる規定です。公害被害者の立証負担を軽くするために設けられました。

Q2無過失責任とはどういう意味ですか?

加害者に故意や過失がなくても損害賠償責任を負う仕組みです。被害者は過失を証明する必要がありませんが、損害と因果関係の立証は必要です。

Q3水質汚濁防止法の有害物質には何がありますか?

カドミウム、鉛、水銀、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレンなど、水質汚濁防止法施行令で指定された物質です。指定は追加されることがあります。

Q4地下水汚染の健康被害で損害賠償を請求できる?

できます。19条は「地下への浸透」も対象としており、有害物質の地下浸透で健康被害が生じた場合、事業者は過失がなくても賠償責任を負います。

Q5公害の損害賠償請求はいつまでできる?

生命・身体侵害の場合、損害と賠償義務者を知った時から5年、侵害時から20年で時効にかかります(民法724条、724条の2)。

Q6工場排水で漁業被害が出たら19条で請求できる?

できません。19条が保護するのは人の生命・身体だけです。漁業や農作物の損害は民法709条により、事業者の過失を立証して請求します。

Q7有害物質に指定される前の排水にも責任はある?

19条2項により、有害物質に指定された日より前の排出・浸透には19条は適用されません。その分は民法709条で過失を立証して争うことになります。

Q8複数の工場が原因の場合、賠償はどうなる?

複数の事業者が原因となった場合、関与が著しく小さい事業者については、裁判所が賠償額の算定でその事情をしんしゃくできます(同法20条)。

この条文についての質問 AI による整理

Q1工場が排水基準をちゃんと守ってたら、訴えても無駄なんじゃないの?

無駄ではない。19条は故意・過失を要件にしていないので、基準を守っていたかどうかは賠償責任の成否に関係しない。争点になるのは、排出された物質が有害物質に当たるかと、健康被害との因果関係である。実務のポイント:事業者側は「基準を守っていた」と説明して住民をあきらめさせようとすることがある。それは行政規制の話であって、民事の責任とは別物である

Q2田んぼが汚染されて米が売れなくなった。これも無過失責任で請求できる?

19条ではできない。条文が守るのは人の生命・身体だけで、農作物や漁業の損害は民法709条で過失を立証して請求することになる。実務のポイント:同じ汚染源から健康被害も出ているなら、先に19条で因果関係を固めておく。そこで明らかになった排出の経緯は、財産被害の請求で過失を立証する材料としても使える

Q3何十年も前の地下浸透でも、今の会社が責任を負うの?

責任を負うのは、浸透させた事業者である。ただし2項により、その物質が有害物質に指定された日より前の排出や浸透には19条は適用されない。実務のポイント:会社を合併したり事業を譲り受けたりすると、承継の仕方によっては過去の浸透による賠償債務も引き継ぐ。工場を含む M&A では、土壌調査に加えて、その物質がいつ有害物質に指定されたかも確認しておく必要がある

間違えやすい点 AI による整理

  • 「排水基準を守っていれば、責任を問われることはない」と考える事業者は多い。しかし19条は無過失責任で、基準の遵守は免責事由にならない。基準は行政規制(罰則や改善命令)の物差しであって、民事の賠償責任を線引きするものではない。この二つを混同している会社の環境管理は、民事リスクを抱えたままになる
  • 「無過失責任なのだから、被害者は訴えれば勝てる」というのは問いの立て方がずれている。19条がなくしたのは過失の立証だけである。その排水がその病気を引き起こしたという因果関係の立証は、今も被害者側の最大の山場として残っている。公害裁判では疫学的な手法で因果関係を認めた裁判例(イタイイタイ病控訴審、名古屋高金沢支判昭和47.8.9)があるが、どの事件でも同じように認められるとは限らない
  • 住民から見れば「工場のせいで生活が壊された」という一つの被害でも、法律はそれを二つに分けて扱う。健康被害は19条(無過失)、家屋・農地・漁業の損害は民法709条(過失の立証が必要)である。この切り分けを知らずに一本の請求として組み立てると、財産被害の部分で過失の立証が足りずに崩れる
比較の観点この条文ほかの条文
規定の役割19条:有害物質の排出・地下浸透による生命・身体被害の無過失賠償責任20条:複数事業者が原因の場合の賠償額しんしゃく
20条の2:天災等の不可抗力が競合した場合の賠償額しんしゃく
主張する側被害者(責任成立の根拠)事業者(関与が著しく小さいことを主張)
事業者(不可抗力の競合を主張)
効果過失の立証なしで賠償責任が成立責任自体は残り、賠償額が調整される
責任自体は残り、賠償額が調整される

他国ではどう定めているか 5 か国

台湾
民法第191条の3

台湾は危険な事業活動による損害について過失を推定する方式を採る。完全な無過失責任ではなく、事業者が注意を尽くしたことを証明すれば免責されうる点で日本の19条より緩やか

韓国
환경정책기본법 제44조

韓国は環境汚染による被害全般について事業者の無過失責任を定める。生命・身体に限定しない点で日本より保護範囲が広い

中国
民法典 第1229条

中国は環境汚染・生態破壊による損害について無過失責任を採り、財産被害も含む

ドイツ
WHG § 89

ドイツ水管理法は水質の変化による損害について危険責任を定め、人身に限らず財産損害も対象とする

アメリカ
Restatement (Second) of Torts § 519

米国は州の不法行為法で異常に危険な活動に厳格責任を認める。浄化費用については連邦 CERCLA が厳格責任を定める

AI による対応参考であり、公式の対照ではありません。各国の原文が基準です

想定される場面と対応 AI による整理

こんなときに使う

  • 井戸水を飲み続けてきた家族の健康診断で、肝機能の異常値が出た。近所の旧メッキ工場跡地から有機塩素系溶剤が地下水へ流れ出ていたと分かった。工場側が「当時は適法に処理していた」と答えても、19条のもとでは適法かどうかは問題にならない。争点は、その溶剤が有害物質に当たるかと、健康被害との因果関係の二つに絞られる
  • あなたは中小の金属加工会社で環境担当をしている。排水基準は毎月クリアしている。ところが20年前に床のひび割れから溶剤がしみ込んでいたことが土壌調査で判明し、周辺住民から健康被害の申し出が来た。「基準を守っていた」は19条に対する反論にならない。反論の軸は、因果関係と、ほかの事業者がどこまで原因に関わっていたかへ移る
  • もし工場の排水で川魚が大量に死に、漁協が損害賠償を求めてきたら、19条は使えるのか? 使えない。対象は人の生命・身体だけで、漁業被害は民法709条で過失を立証する別の戦いになる
  • 健康被害を知ってから4年半が過ぎている。生命・身体侵害の請求は、知った時から5年で時効にかかる。残りは半年しかない。医療記録と水質データを揃え、内容証明で催告して時間を稼ぐ判断を今週中にしなければならない
  • 友人から「実家の近くの工場が、最近政令で有害物質に指定された物質を昔から流していた。昔の分も19条で請求できる?」と聞かれた。答えはノー。2項によって、指定日より前の排出には19条は適用されず、それより前の分は民法709条で争うしかない

取るべき行動

被害を受けた側:1. 診断書、検査値の推移、通院記録を集め、症状が出た時期を特定する2. 自治体が公表している水質・地下水の測定データを入手し、汚染源と疑われる事業場との位置関係を地図にまとめる3. 健康被害は19条、財産被害は民法709条と請求を分けて組み立てる4. 公害健康被害の補償等に関する法律の認定制度や、公害等調整委員会の調停・裁定など、訴訟以外の手段も並行して検討する

訴えられた側:1. 過失がないという主張は通らないので、防御の軸を因果関係と対象物質に移す2. 排出していた物質が、排出当時すでに有害物質に指定されていたかを確認する(2項) 3. 同じ水域・地下水に関わるほかの事業者がいれば、原因への関与の程度を主張する(20条) 4. 天災などの不可抗力が重なっていれば、賠償額のしんしゃくを求める(20条の2)

時効(請求できる期限):生命・身体侵害の損害賠償請求権は、損害と賠償義務者を知った時から5年、侵害時から20年で時効にかかる(民法724条、724条の2)。慢性的な健康被害では、「知った時」が診断時か原因の判明時かが争点になりやすい(最新の改正状況をご確認ください)

学説

通説:本条の無過失責任は、危険な有害物質を扱って利益を得る事業者がその危険の実現による損害を負担すべきとする危険責任・報償責任の考え方に基づく。過失責任原則(民法709条)の特則であり、要件以外の点は民法の不法行為規定が適用される

改正沿革 AI による整理

  • 昭和47年(1972年) 大気汚染防止法とあわせた一部改正により、第4章として事業者の無過失損害賠償責任を新設。四大公害訴訟を受けた立法である
  • 平成元年(1989年) 有害物質を含む水の地下浸透の規制強化にあわせて、賠償責任の対象に「地下への浸透」を加える改正が行われた

改正の年表

  1. 1.昭和45年(1970年) 新設:水質汚濁防止法制定。当初は行政規制を中心とし、無過失賠償責任の規定は置かれていなかった
  2. 2.昭和47年(1972年) 改正:大気汚染防止法とあわせた一部改正により、事業者の無過失損害賠償責任を新設。四大公害訴訟を受けた立法
  3. 3.平成元年(1989年) 改正:有害物質を含む水の地下浸透規制の強化にあわせ、賠償責任の対象に「地下への浸透」を追加

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水質汚濁防止法の全文を見る所属する編章節を開く:第四章 損害賠償

出典:e-Gov法令検索(デジタル庁)。AI による解説は理解の補助であり、法的効力は条文原文が基準です。

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