事業者は、中高年齢者その他労働災害の防止上その就業に当たつて特に配慮を必要とする者については、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行なうように努めなければならない。
要点労働安全衛生法 62 条は、事業者に対し、中高年齢者など特に配慮を要する者を心身の条件に応じて適正に配置するよう努める努力義務を課す。罰則はないが安全配慮義務違反の判断材料になる。
Q · 「努力義務だから守らなくてもいい」って本当ですか?
罰則はないが、怠れば損害賠償につながる
労働安全衛生法 62 条は、中高年齢者など特に配慮を要する者の適正配置を事業者に求める努力義務規定で、この条文自体に罰則はありません。しかし「法的に無害」ではありません。配置の配慮を怠った事実は、労働契約法 5 条の安全配慮義務違反を裁判官が認定する際の有力な判断材料となり、そこから慰謝料や逸失利益を含む民事の損害賠償責任が現実に発生します。罰則のない条文が、損害賠償という形で牙を剥くのです。
「努めなければならない」。この五文字を見た瞬間、多くの会社の安全担当者はページをめくる手を緩める。努力義務で罰則がない、だから守らなくても処罰されない、と読むからだ。労働安全衛生法 62 条はたしかに罰則を伴わない。だがその「軽さ」を信じた会社が、後に数千万円の賠償判決を受ける。この条文は、中高年齢者やその他「労働災害の防止上、特に配慮を要する者」について、その心身の条件に応じた適正な配置を会社に求めている。あなたが 50 代で重量物運搬を任され腰を壊しても、あなたが定年再雇用後に若手と同じ夜勤シフトに組み込まれても、この条文があなたの後ろに立っている。重要なのは、62 条違反そのものは処罰されないが、それが労働契約法 5 条の安全配慮義務違反を裁判官が認定するときの決定的な材料になるという点だ。罰則のない条文が、損害賠償という形で牙を剥く。
労働安全衛生法 62 条は、中高年齢者その他労働災害の防止上特に配慮を要する者に対する適正配置の努力義務を定める規定である。事業者は、これらの者の心身の条件に応じて適正な配置を行うよう努めなければならず、その違反は罰則を伴わないが、私法上の安全配慮義務違反を認定する判断材料となる。
労働安全衛生法上、明確な年齢線引きはありませんが、行政上は一般に 45 歳以上を中高年齢者として扱います。62 条はこれに限らず、心身の条件に配慮を要する者を広く対象とします。
ありません。62 条は努力義務規定で、違反しても行政罰・刑事罰は科されません。ただし配慮の欠如は労働契約法 5 条の安全配慮義務違反として民事賠償の根拠になります。
令和 2 年に厚生労働省が定めた「高年齢労働者の安全と健康確保のためのガイドライン」です。62 条の趣旨を具体化し、床の段差解消・照度確保・夜勤負担軽減などの配慮基準を示します。
重量物作業の見直し、高所・夜勤・交替制の負担軽減、床の段差解消や照度改善などです。エイジフレンドリーガイドラインに沿った措置を文書で記録することが重要です。
口頭ではなくメールや書面で、安衛法 62 条とエイジフレンドリーガイドラインに言及して配慮を求めます。医師の診断書を添えると客観性が高まり、後の証拠になります。
療養給付・休業給付は 2 年、障害給付・遺族給付・葬祭料は 5 年です。けがをした日の翌日が起算点となるため、配置に無理があったと気づいたら早めの申請が必要です。
できます。労災保険は慰謝料をカバーしませんが、労働契約法 5 条に基づく民事賠償では慰謝料も逸失利益も請求できます。62 条の配慮不足は会社の過失を基礎づけます。
対象になります。条文は『その他労働災害の防止上特に配慮を必要とする者』も明記しており、年齢に限らず持病・障害・妊娠・言語環境なども配慮の射程に入ります。
行政罰や刑事罰という意味ではその通りで、安衛法 62 条違反だけで会社が処罰されることはない。だが「法的に無害」ではない。配置の配慮を怠った事実は、労働契約法 5 条の安全配慮義務違反を裁判官が認定する際の重要な根拠になり、民事の損害賠償につながる。業界裏話ヒント:会社の安全担当者でも『努力義務=リスクなし』と誤解している人は多い。だからこそ、配慮を求めた書面が一通あるだけで、相手は『指摘されていたのに放置した』という最も不利な立場に立つ
心身の条件に応じた適正配置を求める安衛法 62 条の趣旨に照らせば、加齢に伴う負荷への配慮を欠いた運用は問題があり、エイジフレンドリーガイドラインも夜勤・交替制勤務の負担軽減を求めている。まず体調と勤務指示を記録に残すこと。業界裏話ヒント:労働基準監督署はこの種の相談を受け付けており、会社名を伏せた一般的な相談から始められる。監督署が動かなくても、相談した記録自体が後の交渉や訴訟であなたの主張の裏付けになる
条文は『その他労働災害の防止上その就業に当たつて特に配慮を必要とする者』も明記しており、年齢に限らない。持病、障害、妊娠、安全表示を読めない言語環境なども、心身の条件として配慮の対象になりうる。業界裏話ヒント:自分の持病や体調を会社に伝えると不利になると恐れて隠す人が多いが、医師の意見書という形で正式に伝えておくと、それが配慮を求めた記録として残り、後で『会社は知らなかった』という言い逃れを封じられる
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 義務の性質 | 安衛法 62 条:適正配置の努力義務(罰則なし) | — |
| 対象者 | 中高年齢者その他特に配慮を要する者 | — |
| 違反の効果 | 罰則なし、安全配慮義務違反の判断材料に | — |
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