要点労働安全衛生法 66 条の 8 の 3 は、事業者に対し、管理監督者を含む労働者の労働時間を客観的方法で把握する義務を定める。目的は長時間労働者の健康確保にある。
Q · 管理職になって残業代が出なくなったら、会社は私の労働時間をもう記録しなくていいの?
いいえ、管理職でも会社は客観的方法で労働時間を把握する義務があります
労働安全衛生法 66 条の 8 の 3 により、事業者は高度プロフェッショナル制度対象者を除くほぼ全ての労働者について、タイムカードや PC ログなど客観的な方法で労働時間の状況を把握しなければなりません。管理監督者や裁量労働制で残業代が出ない労働者も対象です。目的は賃金計算ではなく、月 80 時間超の長時間労働者に医師の面接指導を実施するための健康確保にあります。会社が記録を持たないこと自体が、過労事案での落ち度になります。
課長に昇進した途端、残業代が消え、同時に誰もあなたの勤務時間を見なくなったように感じる。だがそれは錯覚だ。労働安全衛生法は、管理監督者であろうと裁量労働制であろうと、ほぼすべての労働者について、事業者が「客観的な方法」で労働時間の状況を把握することを義務づけている。客観的な方法とは、タイムカード、パソコンのログイン記録、IC カードのこと。自己申告は原則として認められない例外扱いだ。なぜこの義務があるのか。月 80 時間を超えて働いた者には、医師による面接指導(働きすぎの労働者を医師が直接チェックする制度)を受けさせる必要があるからだ。つまりこの条文は、あなたが過労で倒れる前に会社が気付けるよう、時間を見える化することを強制している。そして倒れた後には、この記録の有無があなたの労災認定や損害賠償請求の決定的証拠になる。例外は高度プロフェッショナル制度の対象者だけ。あなたがそれでないなら、あなたの労働時間は必ずどこかに記録されているはずだ。
労働安全衛生法 66 条の 8 の 3 は、事業者に対し、医師の面接指導を適切に実施する前提として、厚生労働省令で定める客観的な方法により労働者の労働時間の状況を把握すべき義務を定める規定である。高度プロフェッショナル制度対象者を除くほぼ全労働者が対象となり、賃金計算を目的とする労働基準法上の把握とは区別される、健康確保のための時間把握を意味する。
AI 輔助整理,以條文原文為準
タイムカード、PC のログイン記録、IC カード等、事業者の現認以外の客観的な記録で労働時間を把握することです。自己申告はやむを得ない場合の例外扱いとなります。
客観的方法が可能なのに把握していなければ、労働安全衛生法 66 条の 8 の 3 の把握義務を果たしていない可能性があります。労基署の調査で是正の対象になります。
健康確保措置に関する記録の保存には法令上の定めがあります。関連する賃金台帳等の保存義務とあわせ、最新の改正状況をご確認ください。
なります。本条が求める客観的方法の代表例で、始業・終業の推認材料として労災認定や残業代請求で有力な証拠となります。
把握されます。裁量労働制でみなし労働時間が適用されても、健康確保のための労働時間の状況の把握義務は事業者側に残ります。
働き方改革関連法により新設され、2019 年(平成 31 年)4 月 1 日から施行されました。管理監督者や裁量労働者も対象に含まれました。
本条自体に直接の罰則は定められていませんが、労働基準監督署の是正指導の対象となり、把握不備は安全配慮義務違反の推認材料にもなります。
正社員に限りません。パート・契約社員・管理監督者・裁量労働者を含み、高度プロフェッショナル制度対象者のみが除外されます。
それは別の話です。残業代が出ないこと(労働基準法 41 条の管理監督者)と、安全衛生上の労働時間把握義務(本条)は完全に別の制度です。管理監督者でも、健康確保のために会社は客観的方法で労働時間を把握しなければなりません。業界裏話ヒント:「管理職だから時間管理は不要」と説明する会社は、この 2019 年施行の義務を知らないか、わざと混同しています。残業代の問題と健康管理の問題を切り分けて主張できると、交渉で一気に有利になる
本条は客観的な方法での把握を原則とし、自己申告はやむを得ない場合の例外です(厚生労働省ガイドライン)。客観的方法が可能なのに自己申告のみに頼り、しかも実態と乖離があるなら、把握義務を適切に果たしていない可能性があります。業界裏話ヒント:自己申告制を採る会社には、申告時間と入退館記録・PC ログとの乖離を確認・補正する義務がガイドライン上あります。これを怠る会社は労基署の調査で指摘される。労基署への情報提供という選択肢がある
労災申請では労働基準監督署が職権で会社に資料提出を求められます。会社が本条の把握義務を果たしていれば記録があるはずで、なければそれ自体が問題視されます。業界裏話ヒント:会社が「記録がない」と言うことは、必ずしも被災者に不利ではありません。把握義務を怠った事実は安全配慮義務違反(労働契約法 5 条)を推認させ、損害賠償請求でむしろ有利に働くことがある。記録の不在を諦める理由にしない
本条の対象からは除外されます(次条すなわち 66 条の 8 の 4 第 1 項の対象者)。ただし高プロ対象者には、労働基準法 41 条の 2 に基づく健康管理時間の把握という別の仕組みがあり、事業場内にいた時間と事業場外で働いた時間が把握されます。業界裏話ヒント:高プロは「労働時間規制の適用除外」とよく言われますが、健康管理時間の把握と一定時間超での医師面接は義務です。完全に野放しではない。自分がどの制度の対象かを正確に知ることが、健康と権利を守る第一歩
| dimension | thisArticle | alternatives |
|---|---|---|
| 制度の目的 | 労働安全衛生法 66 条の 8 の 3:健康確保(面接指導の前提) | — |
| 対象範囲 | 高プロ対象者を除くほぼ全労働者(管理監督者・裁量労働者を含む) | — |
| 把握するもの | 労働時間の状況(客観的方法) | — |
| 把握しない場合のリスク | 是正指導・安全配慮義務違反(労働契約法 5 条)の推認 | — |
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